メルセデス・ベンツ Vクラス中古車完全ガイド|選び方・弱点・維持費まとめ

Mercedes-Benz V-Class

Photo: Tokumeigakarinoaoshima / Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0

メルセデス・ベンツ Vクラスは、同社のラインアップで唯一の、1ボックスタイプのミニバンです。乗車定員は6名または7名で、ヨーロッパでは同じ系統の商用車タイプ(Vito)が、警察車両や救急車などにも使われています。中古車市場には、初代(W638)・2代目(W639、前期は「ビアノ」)・3代目(W447)が混在し、世代でエンジンや装備が大きく異なります。この記事では、世代ごとの違い・選び方・確認したい注意点を、公開情報をもとに整理しました。

📋 この記事の要点

✔ 初代(W638)は1996年に登場。日本では1998年に「V230」、1999年に「V280」を設定

✔ 2代目(W639)は2003年に「ビアノ」として登場し、2006年11月のマイナーチェンジで「Vクラス」に名称が戻った

✔ 現行の3代目(W447)は2014年1月にモデルチェンジ。日本では2015年10月に発表、2016年1月に発売され、日本仕様は当初、全車がディーゼルターボ

✔ 2022年2月の一部改良で、エンジンが2.2L(OM651)から2.0L(OM654)に、ATが9速(9G-TRONIC)に変わった。2024年10月には2度目のマイナーチェンジを実施

✔ 輸入車のため、整備・部品・保証、正規ディーラー車か並行輸入車かの確認が大切

1. 世代の早見表

📊 Vクラスの世代別早見表

世代・型式 販売時期 エンジン・駆動 主な特徴
初代 W638 1996年〜2003年。日本では1998年に「V230」の販売を開始、1999年に「V280」を追加。V280は2002年に生産中止となり、末期はV230のみ 自社製の直列4気筒が主力。のちにV型6気筒(フォルクスワーゲン製の2.8L狭角V6)を追加。駆動はFF(横置きエンジン+トランスアクスル) 商用車「Vito」の乗用バージョンとして登場
2代目 前期 W639(ビアノ) 2003年〜。日本仕様は「3.2 トレンド」「3.2 アンビエンテ」「3.2 アンビエンテ ロング」の3種 3.2L V型6気筒に統一。駆動は縦置きエンジンのFR 名称は「ビアノ(Viano)」。ロングは、ホイールベースはそのままに、後方の荷室を約25cm延長。3列目シートを最後部まで下げることはできない
2代目 後期 W639(Vクラス) 2006年11月のマイナーチェンジで名称が「Vクラス」に戻る(〜2014年) 2006年11月:3.7L V型6気筒。2007年11月の一部改良:3.5L V型6気筒DOHCに変更、出力は27PS向上 7人乗り・3列シート、対座シート、電動デュアルスライディングドアなどの装備。2011年1月に2度目のマイナーチェンジ(ヘッドランプ・バンパー・リアランプのデザイン変更、サスペンション改良)
3代目 W447 2014年1月にモデルチェンジ(発表当初のエンジンは2.1L直列4気筒ディーゼルターボのみ)。日本では2015年10月10日に発表・注文受付、2016年1月に発売 日本仕様は全車ディーゼルターボ。2.2L直列4気筒ブルーテック(OM651)+7速AT(7G-TRONIC PLUS)。2022年2月から2.0L(OM654)+9速AT(9G-TRONIC) 2列目が独立シート、3列目がベンチシートで、それぞれ着脱式。日本仕様の全長は、標準4,905mm・ロング5,150mm・エクストラロング5,380mm(2015年の発売時)

※表は横にスクロールできます

📌 補足

基本の駆動方式は二輪駆動(初代のみFF、2代目以降はFR)で、オプションで四輪駆動もありますが、日本仕様には未設定と記載されています。年月・数値は日本語版Wikipediaの記述に基づきます。3代目は世代のなかでもグレード・年式による差が大きいため、次の章で年式ごとの違いを整理しました。

2. 3代目(W447)の年式ごとの違い

📊 3代目の主な改良(日本語版Wikipediaの記載より)

年月 主な内容
2016年1月(発売時) 日本仕様は全車ディーゼルターボ。グレードは、標準ボディの「V220 d トレンド(受注生産)」「V220 d」、ロングの「V220 d アバンギャルド ロング」、エクストラロングの「V220 d アバンギャルド エクストラロング」の4種。360°カメラシステム・アクティブパーキングアシスト・パークトロニックを全車に標準装備
2016年6月1日 尿素水溶液「AdBlue(アドブルー)」のタンク容量を、従来の11.5Lから25Lに大型化(約20,000kmまで継続走行が可能に)。「V220 d スポーツ ロング」を追加
2017年7月5日 「V220 d スポーツ」を追加(「AMGライン」を採用)
2018年2月2日 「V220 d Marco Polo HORIZON(マルコ ポーロ ホライズン)」を追加。ポップアップルーフ(2名まで使用可能なベッド)、3列目のフルフラット機構、前席の回転機構を装備
2018年11月5日 限定車「V260 ロング」を発表。当代では初のガソリンモデルで、2.0L直噴ガソリンターボ(M274)を搭載。250台限定(各色125台)
2019年10月24日 マイナーチェンジ。フロントフェイスを刷新。アダプティブハイビームアシスト・プラスを標準装備。メーカーオプションの「レーダーセーフティパッケージ」に、歩行者検知機能付きのアクティブブレーキアシストを追加。グレードを「V220 d」「V220 d アバンギャルド ロング」「V220 d アバンギャルド エクストラロング」の3種に整理。特別仕様車「V260 アバンギャルド ロング」(ガソリン、105台限定)も設定
2020年5月・7月 5月:「Marco Polo HORIZON」が新仕様で再発売(サイドオーニング、2列目シートヒーター・ベンチレーター、サブバッテリーなどを追加)。7月13日:「レーダーセーフティパッケージ」が標準装備化。10.25インチのワイドスクリーンと対話型インフォテインメントシステム「MBUX」を搭載
2021年1月・7月 1月:「Marco Polo HORIZON」にMBUXを搭載。7月29日:「レーダーセーフティパッケージ」にリアクロストラフィックアラートを追加。スマートフォン連携機能が標準装備に
2022年2月18日 エンジンを2.2L(OM651)から2.0L(OM654)に一新。排気の浄化にsDPF(選択触媒還元法コーティング付粒子状物質除去フィルター)を採用。ATは9速(9G-TRONIC)に。夜間のドア開閉時のブランドロゴプロジェクターライト、座面長延長機能を全モデルに標準装備。「V220 d エクスクルーシブ ロング プラチナスイート」を追加。同年7月に「V220 d アバンギャルド エクストラロング ブラックスイート」を追加
2024年10月1日 2度目のマイナーチェンジ(フェイスリフト)。ラジエーターグリルの大型化、12.3インチのワイドスクリーンコックピット、静電容量式ステアリングホイール、ボタン式のキーレススタートなど。センターエアバッグ・リアのウィンドウバッグが全モデルに追加。「AIRMATICサスペンション」を新たに搭載(日本仕様への設定内容はグレードで異なるため、要確認)

💡 ポイント

同じ3代目でも、2019年10月・2020年7月・2022年2月・2024年10月で、安全装備・エンジン・室内の装備が大きく変わります。候補の車を見つけたら、年式とグレード、装着されている安全装備パッケージを、販売店の資料と車検証で確認しましょう。

3. 目的別の選び方

📊 目的別の選び方

重視すること 考え方の目安
安全装備を重視したい 2019年10月のマイナーチェンジ以降は、歩行者検知機能付きのアクティブブレーキアシスト(メーカーオプションのレーダーセーフティパッケージ)を設定。2020年7月からはレーダーセーフティパッケージが標準装備。2021年7月にはリアクロストラフィックアラートも追加
ディーゼルエンジンの新しさを重視したい 2022年2月以降は、2.0L(OM654)とsDPFを採用したエンジンと、9速AT。それ以前(2016年〜2022年1月)は、2.2L(OM651)+7速AT
多人数・送迎に使いたい 3代目は、標準4,905mm・ロング5,150mm・エクストラロング5,380mm。シートは2列目・3列目とも着脱式で、2列目を後ろ向きにした対面式や、ショーファードリブン仕様への配置換えも可能。保管場所・駐車場の寸法と合わせて確認
車中泊・キャンプに使いたい 「V220 d Marco Polo HORIZON」(2018年2月〜)は、ポップアップルーフ・ベッド・3列目フルフラット機構などを装備。2020年5月の新仕様で、サブバッテリーやサイドオーニングが追加。個体数が限られるため、専門の販売店で探すと選択肢が広がる
ガソリン車がよい 3代目の日本仕様は基本的にディーゼル。ガソリン車は、限定車の「V260 ロング」(2018年11月・250台)と「V260 アバンギャルド ロング」(2019年10月・105台)。台数が限られる
予算を抑えたい(旧世代) 2代目(ビアノ・Vクラス)は、V型6気筒(3.2L・3.7L・3.5L)。年式が古いため、整備記録・消耗品・電装系の状態と、整備できる工場を重点的に確認

4. 弱点・注意したいポイント

📊 注意したいポイント

項目 内容 購入前の確認方法
尿素水溶液(AdBlue)の残量・補充 3代目のディーゼル車は、AdBlueを使う。2016年6月に、タンク容量が11.5Lから25Lに拡大(約20,000kmまで継続走行が可能)と記載されており、年式で容量が異なる 警告表示・補充の履歴を確認。年式によるタンク容量と補充の目安を、販売店に確認
ディーゼルの排気浄化装置 2022年2月以降のエンジンは、sDPFなどで排気を浄化。使い方(短距離中心か、長距離中心か)によって、装置への負担や整備の内容が変わる可能性がある 前オーナーの使い方、整備記録、警告灯の点灯履歴を確認。ディーゼル特有の点検が済んでいるかを、販売店に確認
着脱式シート・アレンジ機構 2列目・3列目が着脱式。シートのロック機構・レールの動作、3点式シートベルトの状態は、使用頻度で状態が異なる 全席の着脱・スライド・向きの変更を、実車で確認。シートベルトのほつれ・作動も確認
スライドドア・電動装備 2代目後期は、電動デュアルスライディングドアを装備と記載。使用頻度が高く、経年で作動に不具合が出ることがある(個体差) 左右のドアの開閉・電動の動作・挟み込み防止機能を確認
サスペンション・乗り心地 2024年10月のマイナーチェンジで、従来の「AGILITY CONTROLサスペンション」に加え「AIRMATICサスペンション」が新たに搭載されたと記載。年式・仕様で乗り心地は異なる 試乗で、段差・高速走行時の乗り心地と、異音・車高の変化を確認。装備の有無は車検証・仕様書で確認
キャンパー(Marco Polo)の架装部分 ポップアップルーフ、ベッド、サブバッテリー、カーテン、オーニングなどの装備は、使用状況で傷み方が異なる 屋根の開閉・ベッドの展開・サブバッテリーの作動を確認。雨漏り・カビ・臭いの有無も確認
使用歴(業務・送迎) ショーファードリブン仕様のように使われた個体は、走行距離・消耗の進み方が個体ごとに異なる 使用歴(自家用か業務用か)と、走行距離に対する消耗の程度、整備記録簿を確認
リコール・改善対策 公表リコールの有無は、車台番号ごとに異なる。この記事では、特定の内容を断定しない 車台番号で、国土交通省のリコール検索・正規ディーラーに確認

⚠️ 注意

輸入車の場合、正規ディーラー車か、並行輸入車かで、保証の範囲やリコール対応の受け方が異なることがあります。購入前に、保証の内容・期間・対応できる整備先を、必ず書面で確認してください。

5. 購入前チェックリストと、進め方

📝 実車を確認するときのチェックリスト

☑️ 整備記録簿・点検記録簿の有無と内容を確認した

☑️ 正規ディーラー車か並行輸入車かを確認した

☑️ 事故歴・修復歴の有無を確認した

☑️ リコール・改善対策の対応状況を、車台番号で確認した

☑️ ディーゼル車のAdBlue残量・警告表示・排気関連の整備歴を確認した

☑️ 2列目・3列目シートの着脱・スライド・向きの変更を確認した

☑️ 電動スライドドアの開閉と、安全装備・カメラ類の動作を確認した

☑️ 車検の残り期間と、次回車検の費用の見積もりを確認した

🧭 購入の進め方

1

世代と予算の目安を決める

世代(2代目・3代目前期・3代目後期)・ボディの長さ・必要な安全装備を考えます。

2

候補を複数探し、条件をそろえて比べる

同じ世代・ボディ長・グレード・走行距離で、使用歴と整備状態を比べます。

3

整備記録を確かめ、実車確認と試乗をする

チェックリストに沿って確認します。正規ディーラー車か並行輸入車かも、この段階で確認します。

4

総額(車両価格+諸費用+保証+次回車検・整備)で判断する

見積もりの内訳と、保証の範囲・期間を必ず確認します。

6. 維持費の考え方

📊 維持費の主な項目

項目 考え方
自動車税(種別割) 排気量ごとに税額が決まる。具体額は、当サイトの税額表の記事で確認(登録時期によって扱いが異なる場合がある)
車検費用 法定費用(自動車重量税・自賠責保険料・印紙代)に、車検基本料金・整備費用が加わる。詳しくは、車検費用の記事を参照
整備・部品代 輸入車のため、国産車より部品代・工賃が高くなる傾向がある(車種・内容で異なる)。輸入車に対応できる整備先を、購入前に確認しておくと安心
燃料代・AdBlue 3代目の日本仕様はディーゼルで、燃料は軽油。AdBlueの補充が別途必要。2代目はガソリン(V型6気筒)
任意保険 型式・等級・使用状況で異なる。複数社の見積もりで比較

7. ライバル・比較したい車

📊 ライバル・関連車種

車種 位置づけ 詳しいガイド
トヨタ アルファード 国産の上級ミニバンとして比べられる。国産車のため、整備・部品・保証の確認の手間は、輸入車より少なくなる傾向 アルファード中古車ガイド
トヨタ ヴェルファイア アルファードの兄弟車として、あわせて比較される ヴェルファイア中古車ガイド
フォルクスワーゲン ID.Buzz 電動化を重視する場合に比べる、ミニバンタイプのモデル ID.Buzz中古車ガイド
メルセデス・ベンツ GLS 同じ会社で、多人数乗車ができる別のモデル(Wikipediaでは、Vクラスとはコンセプトが全く異なると記載) GLS中古車ガイド

8. よくある質問

Q. Vクラスは、どの世代を選ぶのがよいですか?

A. 安全装備と新しさを重視するなら、3代目のなかでも2019年10月のマイナーチェンジ以降、特に2020年7月以降(レーダーセーフティパッケージが標準装備)が目安です。予算を抑えたい場合は旧世代も候補ですが、整備記録と整備先の確認が大切です。

Q. 日本で売られているVクラスは、ディーゼルだけですか?

A. 3代目の日本仕様は、2016年1月の発売時から全車ディーゼルターボです。ガソリン車は、限定車の「V260 ロング」(2018年11月・250台)などに限られます。2代目は、V型6気筒のガソリンエンジンでした。

Q. 「ビアノ」と「Vクラス」は、別の車ですか?

A. 2代目(W639)の前期型は「ビアノ(Viano)」という名称で、2006年11月のマイナーチェンジで「Vクラス」に名称が戻りました。同じW639系のなかでの名称の変更です。

Q. アルファード・ヴェルファイアと、どう選び分けますか?

A. 国産の上級ミニバンは、整備・部品・保証の確認の手間が少なくなる傾向があります。Vクラスは、輸入車ならではの車格や、ボディの長さ(3種類)を選べる点などが特徴です。維持費・保証・整備先を含めた総額で、比べましょう。

🛠 リコール情報の確認先(公的・公式)

この記事で紹介しているリコールは、公開情報のうち確認できたものに限られます。中古車を選ぶときは、車検証の車台番号で、対象のリコール・改善対策が実施済みかを、次のページで確認しましょう。

国土交通省「リコール情報検索」 車名・型式などから、届出されたリコール情報を検索できます
国土交通省「車台番号検索ページ一覧」 各メーカーの、車台番号での検索ページにまとめてアクセスできます
日本自動車整備振興会連合会「リコール情報検索」 メーカーと車台番号を入力して検索できます

輸入車は、正規ディーラーに車台番号を伝えて、リコール・サービスキャンペーンの対象か照会できます。

まとめ

Vクラスは、初代・2代目(ビアノ時代を含む)・3代目と、世代でエンジンや装備が大きく異なります。3代目の日本仕様はディーゼルターボで、2019年10月・2020年7月・2022年2月・2024年10月の改良で、安全装備やエンジンが変わっています。年式・グレードを決め、AdBlueや排気関連の整備歴、シートの着脱・ドアの動作、保証の内容を確認しましょう。正規ディーラー車か並行輸入車かを確かめ、総額で比べて選ぶのが、失敗しないコツです。

※世代・年式・仕様は、日本語版Wikipedia等の公開情報をもとに2026年10月時点で整理したものです。グレード・年式・個体ごとに装備や状態は異なります。中古車の価格は状態・地域・時期で大きく変わるため、当サイトでは特定の金額を断定していません。購入前に、販売店・メーカー公式情報で最新の内容をご確認ください。

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