Photo: Alexander Migl / Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0
トヨタ GRヤリスは、WRC(世界ラリー選手権)参戦のベース車として、GAZOO Racingカンパニーが独自に開発した、3ドア・四輪駆動のスポーツカーです。2020年9月に発売され、その後2024年4月(24式)・2025年4月(25式)・2026年4月(26式)と改良が重ねられています。中古車では、世代(式)ごとの出力・トランスミッション・装備の違いと、サーキット・競技での使用歴が、選び方の大きなポイントです。この記事では、公開情報をもとに整理しました。
📋 この記事の要点
✔ 2020年9月4日に発売(20式)。1.6L直3ターボ(G16E-GTS型・272PS/37.7kgf・m)と、四輪駆動システム「GR-FOUR」を搭載
✔ 2024年4月8日発売の24式で、出力は304PS(224kW)/400N・m(40.8kgf・m)に。8速AT「GR-DAT」が追加され、1.5L・前輪駆動のRSは廃止
✔ 25式(2025年4月11日発売)、26式(2026年4月6日発売)と年次改良。RCの安全運転支援システムは、25式以降で標準装備
✔ RCは、競技のベース車向けに快適装備を省略したグレード。サーキット・競技での使用歴の確認が特に大切
✔ GRMNヤリス(500台限定)や、各種の特別仕様車もある。同じ「GRヤリス」でも、式・グレードで別物として比べる
1. 世代(式)の早見表
📊 GRヤリスの式別早見表(年式による違い)
| 式・発売時期 | エンジン・出力 | トランスミッション・駆動 | 主な特徴 | |
|---|---|---|---|---|
| 20式(初期モデル) | 2020年9月4日発売 | G16E-GTS型 1.6L(1,618cc)直3ターボ。最高出力272PS、最大トルク37.7kgf・m(340N・m)。RSのみ、1.5L自然吸気のM15A-FKS型(120PS) | iMT(自動ブリッピング機能付マニュアル)。RSはCVT。四輪駆動GR-FOUR(前後配分:ノーマル60:40、スポーツ30:70、トラック50:50)。RSは前輪駆動 | 3ドア、CFRP製ルーフ、ボンネット・ドアはアルミ製。アイドリングストップ機構を装備。Toyota Safety Senseは、RCで設定なし、RZは24式以降で標準装備と記載 |
| 24式(進化型GRヤリス) | 2024年1月12日発表、4月8日発売 | 最高出力224kW(304PS)、最大トルク400N・m(40.8kgf・m)。アイドリングストップは廃止、1.5L車は廃止 | iMTに加え、8速AT「GR-DAT」を選択可能(GR-DAT車は、iMT車より20kg重い)。GR-FOURは、トラックモードが60:40〜30:70の可変、スポーツモードに代えて、53:47のグラベルモードを追加 | 内外装を大幅変更。ダッシュボードが専用デザインに、12.3インチフルTFTメーター。ドライビングポジションが25mm低くなる。フロントバンパーは3分割構造。ボディの剛性向上(スポット溶接打点数が約13%増加など) |
| 25式 | 2025年4月11日発売 | 24式と同様 | GR-DATの制御最適化。高剛性ボルトを、シャシ締結部の一部に採用。RZ・RZ”High performance”は、ショックアブソーバーとEPSチューニングを最適化 | RCのToyota Safety Senseを標準装備(2025年12月からの自動ブレーキシステム搭載義務化に対応と記載)。2025年10月1日に「Aero performance package」を発売 |
| 26式 | 2026年3月13日発表、4月6日発売 | 24式・25式と同様 | ソフトウェア改良で、EPSやトルクセンサーのトーションバー剛性を最適化 | 専用開発の「GRステアリング」に変更。RZ”High performance”は、ブリヂストン製「POTENZA RACE」を装備。DAT車はパドルシフトの形状変更 |
※表は横にスクロールできます
📊 グレードの位置づけ
| グレード | 位置づけ・特徴 |
|---|---|
| RC | 競技車両のベース車向けに、ディスプレイオーディオ・エアコン・スマートエントリー・遮音材などの快適装備を省略した軽量グレード。24式以降は「モータースポーツ参戦用車両」の呼称が付き、ヘッドランプがLEDからハロゲンに、ボディカラーが「スーパーホワイトII」のみに |
| RC”Light Package” | 2022年6月追加。遮音材・リアシート・リアゲートダンパー・リアスポイラー・塗装を省いた仕様で、車重は1,170kg。24式以降は未設定 |
| RZ | 1.6Lターボ+GR-FOURのグレード。18インチ鋳造アルミホイール、8インチディスプレイオーディオ、左右独立温度コントロールフルオートエアコンなどを標準設定 |
| RZ”High performance” | 最上級グレード。BBS製18インチ鍛造アルミホイール、トルセンLSD、ブレーキ冷却用ダクトなどを装備。24式以降は、インタークーラーにGR-FOURのロゴがプリント |
| RS(20式〜23式のみ) | 1.5L自然吸気エンジン、前輪駆動、CVTのグレード。車重は1,130kg。24式でGR-DATを追加したことに伴い、廃止。2022年4月に「RS”Light Package”」を追加(1,110kg) |
📌 補足
GRヤリスは、2020年発売のコンパクトカー「ヤリス」と車名は同じですが、一部のメカニズムを除いて別の車種として設計されています。前半にGA-B、後半にGA-Cのプラットフォームを組み合わせる、ハイブリッド構造を採用と記載。年月・数値は日本語版Wikipediaの記述に基づいており、グレードや仕向け地で異なる場合があります。
2. 目的別の選び方
📊 目的別の選び方
| 重視すること | 考え方の目安 |
|---|---|
| 操る楽しさ・マニュアル | iMT(マニュアル)車。20式から設定。RZ・RZ”High performance”・RCで選べる。自動ブリッピング機能付。パーキングブレーキは、RS以外が手引き式(サイドターン対応) |
| 扱いやすさ・日常使い | 24式以降の8速AT「GR-DAT」車。渋滞時や日常使いの快適性を高めた仕様と記載。iMT車より20kg重い |
| 快適装備・先進安全装備 | RZ系(RCは快適装備を省略)。RZは、24式以降でToyota Safety Senseが標準装備。RCは、25式以降で標準装備。年式による装備差が大きい |
| 最新の仕様・装備 | 24式以降(304PS/400N・m、内装の大幅変更)。25式・26式は、さらにシャシやステアリングを改良 |
| 費用を抑えて走りを楽しむ | 20式のRZ、または前輪駆動のRS(20式〜23式)が選択肢。RSは、GRヤリスの中で1.5L自然吸気・CVTで、1.6Lターボ車とは走りの性格が異なる |
| 競技・サーキットの使用が前提 | RCが候補。ただし、購入する個体の使用歴・改造内容・消耗品の状態を、特に慎重に確認 |
💡 ポイント
GRヤリスは、「20式」「24式」など、呼び名(通称)で世代が語られます。中古車の広告では、式・グレード・トランスミッションの有無を、車検証の初度登録年月と、実車の装備で確認しましょう。
3. 弱点・注意したいポイント
📊 注意したいポイント
| 項目 | 内容 | 購入前の確認方法 |
|---|---|---|
| サーキット・競技での使用歴 | 競技のベース車として開発された高性能車のため、サーキット走行・競技での使用歴がある個体は、足回り・エンジン・ブレーキの消耗が進んでいる可能性がある(個体差) | 使用歴、整備記録簿、消耗品の交換履歴を確認。オーナーの使用目的も、販売店に確認 |
| ターボエンジン・冷却・オイル管理 | 1.6L直3ターボと四輪駆動の組み合わせ。冷却系統・オイル管理の状態が、コンディションに影響する | 整備記録簿での、オイル交換・冷却系の点検履歴を確認。異音・白煙・警告灯の有無 |
| 四輪駆動システムGR-FOUR | 電子制御カップリングで前後の駆動力を配分する。RZ”High performance”のみトルセンLSDを装備。作動状態は、試乗で確認が必要 | 試乗で、旋回・加速時の違和感、警告灯の点灯を確認。モードダイヤルの作動 |
| タイヤ・ブレーキの残量 | 高性能モデルのため、タイヤ・ブレーキパッド・ローターの消耗が進みやすい傾向がある。RCは、17インチのECOPIA EP150を装備と記載(交換前提) | タイヤの残り溝・銘柄・偏摩耗、ブレーキローターの状態を確認 |
| 改造・チューニング・ECU書き換え | 社外パーツやECU書き換えがされている場合、保証・保安基準への適合が個体ごとに異なる | 改造内容、純正パーツの有無、保証の可否を、書面で確認 |
| 年式・グレードによる装備差 | 20式RCは、Toyota Safety Senseの設定なし。RC”Light Package”は、エアコン・リアシート等を省略。RCのヘッドランプは、24式以降ハロゲン | 車検証の年月と、グレード・装備一覧を照合 |
| 後席・積載 | 後席は2人掛けで、ルーフが後ろ下がりのため、ヘッドルームは限られる。荷室は、バッテリーやタンクを下部に配置 | 実車で、後席の乗降と荷室の使い勝手を確認 |
| リコール・改善対策 | 公表リコールは、車台番号ごとに対象が異なる。ここでは特定の内容を断定しない | 車台番号で、国土交通省・トヨタのリコール検索、ディーラーに確認 |
⚠️ 注意
「GRヤリスは競技車だから丈夫」とは限りません。サーキット・競技での使用歴と、整備履歴、消耗品の状態を確認できる個体を選び、改造・ECU書き換えの有無も、購入前に必ず確認してください。
4. 購入前チェックリストと、進め方
📝 実車を確認するときのチェックリスト
☑️ 整備記録簿・点検記録簿の有無と内容を確認した
☑️ サーキット走行歴・競技使用歴の有無を確認した
☑️ 事故歴・修復歴の有無を確認した
☑️ 改造・チューニング・ECU書き換えの有無と、純正戻しの可否を確認した
☑️ タイヤ・ブレーキ(パッド・ローター)の残量を確認した
☑️ GR-FOUR(四輪駆動)の作動、警告灯の点灯を、試乗で確認した
☑️ 式(20式/24式/25式/26式)・グレード・トランスミッション(iMT/GR-DAT)が用途に合っているか確認した
☑️ 車検の残り期間と、次回車検の費用の見積もりを確認した
🧭 購入の進め方
式・グレード・トランスミッションを決める
予算・用途(街乗り/サーキット/競技)と、式ごとの装備差を考えます。
候補を複数探し、条件をそろえて比べる
同じ式・グレード・走行距離で、使用歴と車両状態を比べます。
実車確認と試乗をする
チェックリストに沿って、足回り・駆動系・警告灯を確認します。
総額で判断する
車両価格+諸費用+消耗品(タイヤ・ブレーキ)+次回車検の費用を比べます。
5. 維持費の考え方
📊 維持費の主な項目
| 項目 | 考え方 |
|---|---|
| 自動車税(種別割) | 排気量ごとに税額が決まる。1.6L(1,618cc)の区分は、当サイトの税額表の記事で確認(登録時期によって扱いが異なる場合がある) |
| 車検費用 | 法定費用(自動車重量税・自賠責保険料・印紙代)に、車検基本料金・整備費用が加わる。詳しくは普通車の車検費用の記事を参照 |
| 消耗品(タイヤ・ブレーキ・オイル) | 高性能モデルのため、通常のヤリスと比べて、消耗品の交換頻度・費用が高くなる傾向がある。サーキット・競技で使う場合は、さらに増える |
| 燃料・任意保険 | 使い方で変わる。任意保険は、型式・等級・年齢条件で大きく異なるため、複数社で見積もりを比較 |
6. ライバル・兄弟車
📊 ライバル・兄弟車
| 車種 | 位置づけ | 詳しいガイド |
|---|---|---|
| トヨタ GRカローラ | 北米では、GRヤリスの代わりに、カローラスポーツをベースに、GRヤリスと同じパワートレインを搭載して発売されたモデルと記載 | GRカローラ中古車ガイド |
| ホンダ シビック タイプR | 前輪駆動のスポーツモデルとして、比較されることがある | シビック タイプR中古車ガイド |
| トヨタ ヤリス | 車名は同じだが、GRヤリスとは別の車種として設計されたコンパクトカー | ヤリス中古車ガイド |
7. よくある質問
🛠 リコール情報の確認先(公的・公式)
この記事で紹介しているリコールは、公開情報のうち確認できたものに限られます。中古車を選ぶときは、車検証の車台番号で、対象のリコール・改善対策が実施済みかを、次のページで確認しましょう。
| トヨタ公式(車台番号検索) | 車台番号を入力して、対象・実施状況を確認できます |
| 国土交通省「リコール情報検索」 | 車名・型式などから、届出されたリコール情報を検索できます |
| 国土交通省「車台番号検索ページ一覧」 | 各メーカーの、車台番号での検索ページにまとめてアクセスできます |
| 日本自動車整備振興会連合会「リコール情報検索」 | メーカーと車台番号を入力して検索できます |
まとめ
GRヤリスは、式(20式・24式・25式・26式)とグレード(RC・RZ・RZ”High performance”・RS)で、出力・トランスミッション・装備が異なります。サーキット・競技での使用歴、整備記録、改造・ECU書き換えの有無、タイヤ・ブレーキの消耗を、必ず確認しましょう。式・グレードを決めて候補を比べ、実車確認と総額で選ぶのが、失敗しないコツです。
※世代・年式・仕様は、日本語版Wikipedia等の公開情報をもとに2026年10月時点で整理したものです。グレード・年式・個体ごとに装備や状態は異なります。中古車の価格は状態・地域・時期で大きく変わるため、当サイトでは特定の金額を断定していません。購入前に、販売店・メーカー公式情報で最新の内容をご確認ください。


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