メルセデス・ベンツ Sクラス中古車完全ガイド|選び方・輸入車の注意点まとめ

Mercedes-Benz S-Class

Photo: Charles (Port Chester, New York) / Wikimedia Commons, CC BY 2.0

メルセデス・ベンツ Sクラスは、Fセグメントに属する、メルセデス・ベンツブランドのフラッグシップモデルです。中古車市場には、W220・W221・W222・W223などの世代が混在し、世代ごとにエンジン・安全装備・電動化(PHEVなど)・サスペンションの内容が大きく異なります。この記事では、世代ごとの違い・選び方・輸入車ならではの確認ポイントを、公開情報をもとに整理しました。

📋 この記事の要点

✔ 「Sクラス」の名称は、1972年登場のW116から。W220(1998〜2005年)、W221(2005〜2013年)、W222(2013〜2020年)、W223(2020年〜)が、中古車で主に流通する世代

✔ 7代目(W223)は、日本で2021年1月28日に発売。日本仕様は全車が9速ATと4MATICの組み合わせで、後輪駆動(FR)の設定は廃止された

✔ W222は、2018年3月に直列6気筒(M256型)+ISG+48V電気システムの「S450」が登場。W223のプラグインハイブリッド「S 580 e」は、2022年6月に追加され、2023年10月に廃止された

✔ W220は全車にエアサスペンションを採用。初期型は7G-TRONIC(7速AT)のEGSカプラーを起因とする故障が多かったと記載

✔ 輸入車のため、正規ディーラー車か並行輸入車か、左右ハンドル、整備記録・保証・部品の入手性を購入前に確認

1. 世代の早見表

📊 Sクラスの世代別早見表

世代・型式 日本での販売時期 エンジン・パワートレイン 主な特徴
4代目 W220 1998〜2005年(日本の販売開始月は、参照した記述では確認できず) 記述に日本仕様の全グレード一覧は記載なし。「S500後期型で世界初の電子制御7速AT・7Gトロニック」と記載 全車にエアサスペンションを採用。Sクラス初の4MATIC。ドアミラー内蔵ウインカーを採用した世界初の市販車。後期型で内装の品質改善がなされたと記載
5代目 W221 2005年10月(S350・S500・S500ロング)。2009年9月にマイナーチェンジ、輸入車初のハイブリッドを追加 3.5L V6(M272型)・5.5L V8(M273型)・5.5L V12ツインターボ。V6/V8は7速AT、V12は5速AT。2009年9月にガソリンエンジン+モーターのハイブリッド(マイルドハイブリッド) 2006年11月に4MATIC(S550 4MATIC)を追加(左ハンドルのみ)。2011年11月に、ハイブリッドを除く全グレードで、レーダーセーフティパッケージを標準装備
6代目 W222 2013年8月23日に発表。同年11月上旬から納車開始。2017年8月9日にマイナーチェンジ 発売時はS400ハイブリッド・S550ロング・S63 AMGロングなど。2015年8月にS300h(2.1L直4ディーゼル+モーター)、2018年3月にS450(直6 M256型+ISG+48V)、同年9月にS400 d(直6ディーゼル OM656型)、同年12月にPHEVのS560 eロング LEDの灯火類、マジックボディコントロール(グレードにより標準またはオプション)。2015年2月にメルセデス・マイバッハ Sクラスを追加。2017年のマイナーチェンジで、アクティブステアリングアシストなどを追加
7代目 W223 2021年1月28日に発売。マイバッハは2021年7月1日に発表 S 400 d 4MATIC(直6ディーゼル OM656型)・S 500 4MATIC(直6 M256型+ISG+48V)。2021年9月にS 580 4MATIC(4.0L V8 M176型+ISG)。2022年6月にPHEVのS 580 e ロング(2023年10月に廃止)。2023年10月にS 450 dに 全車9速AT+4MATIC(FR廃止・右ハンドルも選択可)。12.8インチの縦型OLEDメディアディスプレイ、格納型ドアハンドル、後輪操舵「リア・アクスルステアリング」。2023年11月に「メルセデスAMG S 63 E PERFORMANCE」を発売

※表は横にスクロールできます

📌 補足

W223のプラグインハイブリッド「S 580 e 4MATIC ロング」は、2022年6月に追加が発表され、2023年10月の一部改良で廃止されたと、日本語版Wikipediaに記載されています。同じ改良で「S 400 d 4MATIC」が「S 450 d 4MATIC」に置き換わり、ディーゼルのロングボディは消滅しています。

2. 世代ごとの違いと、おすすめの選び方

📊 目的別の選び方

重視すること 考え方の目安
安全装備を重視したい W221は、2011年11月にレーダーセーフティパッケージを標準装備(ハイブリッドを除く)。W222は、2017年のマイナーチェンジで、自動再発進機能付きのアクティブディスタンスアシストやアクティブステアリングアシストなどを追加。W223は、後席SRSリアエアバッグやARナビゲーションなど、世界初の技術を採用と記載
電動化・環境性能を重視したい W221に輸入車初のハイブリッド。W222にS400h・S300h(ディーゼルハイブリッド)・S550e/S560e(PHEV)。W223にS 580 e(2022年6月〜2023年10月)。PHEVは、自宅などの充電環境と、駆動用バッテリーの保証確認が大切
ディーゼルを選びたい W222は2015年8月にS300h、2018年9月にS400 d。W223はS 400 d、後にS 450 d。走行距離や使われ方の確認が大切
後席の快適性を重視したい ロングボディのほか、W222にはメルセデス・マイバッハ Sクラスがある。W223のマイバッハは、ホイールベースがW223のロングからさらに180mm延長され、その分がすべて後席スペースに充てられたと記載
雪道など4WDを選びたい W222以前の4MATICは、左ハンドル仕様のみと記載。W223は、全車が4MATICで、右ハンドルも選択できる。ハンドル位置は、個体ごとに確認
乗り心地・サスペンションを重視したい W220は全車エアサスペンション。W222のマジックボディコントロールは、後輪駆動・ロング系・V8以上のグレードのみ、標準またはオプションと記載。W223は、E-ACTIVE BODY CONTROLがS 500 4MATICでも設定可能(2021年9月〜)。装備の有無は、実車で確認

💡 ポイント

Sクラスは、世代・グレード・ボディ(標準かロングか)・ハンドル位置の組み合わせが多い車種です。「同じSクラス」でも装備は大きく異なるため、車検証の型式と装備一覧を照らし合わせて確認しましょう。

3. 弱点・注意したいポイント

📊 注意したいポイント

項目 内容 購入前の確認方法
W220の7速AT(初期のモデル) 「S500後期型で世界初の電子制御7速AT・7Gトロニックが登場したが、初期のモデルはEGSカプラーを起因とする故障が多かった」と記載 対象年式か、交換・対策の履歴があるかを、整備記録簿と正規ディーラーで確認。試乗で、変速のショックや警告灯を確認
サスペンション(エアサスペンション・アクティブ機構) W220は全車にエアサスペンション。W222のマジックボディコントロールは、条件付きで機能する装備(夜間・悪天候では無効と記載)。装備のない個体と点検内容が異なる 装備の有無を確認し、試乗で車高・乗り心地に違和感がないかを確認
W220・W221などの内装・電子装備 W220は、内装の質感のコストダウンが指摘され、後期型で品質改善がなされたと記載。年式によって、ナビ・ディスプレイの世代が異なる 内装の状態、ナビ・ディスプレイ・電動シートの動作を、実車で確認
PHEV・ハイブリッド仕様 W221のハイブリッド、W222のS300h・S550e/S560e、W223のS 580 eなど。駆動用バッテリーを搭載する。W222のS560 eは、メルセデス・ケア3年+4年の特別延長保証(合計7年)が付帯と記載。中古車で使えるかは条件次第 バッテリーの保証内容・残り期間、充電環境と充電履歴を確認
ハンドル位置・輸入経路 W221の4MATICは左ハンドルのみなど、グレードごとに左右の設定が異なる。並行輸入車の場合、保証・部品の体制も異なる ハンドル位置・車検証・保証書を確認し、整備を任せられる店があるかを確認
公表リコールの有無 参照した情報源(日本語版Wikipedia)には、Sクラスのリコールの記載は確認できなかった。ただし届出がないという意味ではない 公表リコールの有無は、車台番号で国土交通省・正規ディーラーに確認

⚠️ 注意

リコール・改善対策の対象は、型式・製作期間・車台番号ごとに異なります。「対象外だから安心」「対象だから避ける」と決めず、対応済みかどうかを、記録簿や正規ディーラーで確認してください。ここに挙げたもの以外にも届出がある可能性があるため、最新・全件は国土交通省のリコール情報とメルセデス・ベンツ日本の正規ディーラーで確認しましょう。

4. 購入前チェックリストと、進め方

📝 実車を確認するときのチェックリスト

☑️ 正規ディーラー・専門店での整備記録簿の有無と内容を確認した

☑️ 認定中古車(Mercedes-Benz Certified等)か、一般の中古車販売店経由かを確認した

☑️ 正規ディーラー車か並行輸入車かを、車検証・保証書で確認した

☑️ 事故歴・修復歴の有無を確認した

☑️ リコール・改善対策の対応状況を、車台番号で確認した

☑️ エアサスペンション・アクティブサスペンションの装備の有無と、動作を確認した

☑️ ハンドル位置(左右)と、ボディ(標準かロングか)が用途に合っているか確認した

☑️ PHEV・ハイブリッド仕様は、駆動用バッテリーの保証と充電環境を確認した

☑️ 電動シート・ディスプレイ・運転支援の動作を確認した

☑️ 車検の残り期間と、次回車検の費用の見積もりを確認した

🧭 購入の進め方

1

世代と予算の目安を決める

世代・ボディ(標準かロングか)・パワートレイン(ガソリン・ディーゼル・PHEV)を整理し、予算とのバランスを考えます。

2

候補を複数探し、条件をそろえて比べる

同じ世代・グレード・走行距離で、車両状態と保証内容を比べます。正規ディーラー車か並行輸入車かも、ここで確認します。

3

実車確認と試乗をする

チェックリストに沿って、外装・内装・走行時の状態を確認します。整備記録簿は、必ず現物を見せてもらいましょう。

4

総額(車両価格+諸費用+次回車検・整備)で判断する

見積もりの内訳を、必ず確認します。輸入車は、購入後の整備費用も見込んでおくと安心です。

5. 維持費の考え方

📊 維持費の主な項目

項目 考え方
自動車税(種別割) 世代・グレードによって、3.0L台の直列6気筒・V6・ディーゼル、4.0L〜6.0LのV8・V12など幅広く、排気量区分で決まります。登録時期によって扱いが異なる場合があるため、当サイトの税額表の記事で確認してください(具体額は本記事では記載しません)
車検費用 法定費用(自動車重量税・自賠責保険料・印紙代)に、車検基本料金・整備費用が加わります。輸入車は、整備費用・部品代が国産車と異なる場合があるため、事前に見積もりを取りましょう。詳しくは、当サイトの車検費用の記事を参照
任意保険 型式・等級・使用状況で異なります。複数社の見積もりで比較
燃料代・整備費 燃料の種類(ガソリン・ディーゼル・PHEV)と、走行の仕方(街乗り中心か高速中心か)で変わります。フラッグシップは装備が多く、点検・整備の費用も国産車と異なる場合があるため、購入前に整備費用の見積もりを取っておくと安心です
PHEVの充電 PHEVは電気代(自宅充電か外部充電か)と、充電設備の設置費用も考慮が必要

6. ライバル・兄弟車

📊 ライバル・兄弟車

車種 位置づけ 詳しいガイド
メルセデス・ベンツ Eクラス ひとつ下のクラス。EクラスはCクラスとSクラスの間に位置すると記載 Eクラス中古車ガイド
BMW 7シリーズ 同クラスの輸入フラッグシップセダンとして、比較される BMW 7シリーズ中古車ガイド
アウディ A8 同クラスの輸入フラッグシップセダンとして、比較される アウディ A8中古車ガイド
レクサス LS 国産フラッグシップセダンとして、比較される レクサス LS中古車ガイド

7. よくある質問

Q. Sクラスは、どの世代がおすすめですか?

A. 安全装備や電動化を重視するなら、W222の後期(2017年8月以降)やW223が目安です。予算を抑えたい場合はW221やW220も候補ですが、年式が古いほど整備記録と保証内容の確認が大切です。

Q. メルセデス・マイバッハ Sクラスは、通常のSクラスとどう違いますか?

A. メルセデス・ベンツのサブブランドとして展開される最上級モデルです。W223のマイバッハは、ロングボディからさらにホイールベースが180mm延長され、その分が後席スペースに充てられたと記載されています。

Q. プラグインハイブリッドのS 580 eは、今も新車で買えますか?

A. W223のS 580 e 4MATIC ロングは、2022年6月に追加され、2023年10月の一部改良で廃止されたと記載されています。中古車を検討する場合は、駆動用バッテリーの保証と、充電環境を確認しましょう。

Q. 左ハンドルと右ハンドルは、どう選べばよいですか?

A. W221の4MATICなどは左ハンドルのみの設定でした。W223からは4MATICでも右ハンドルを選べます。同じ世代でも、グレードごとに設定が異なるため、個体ごとに確認しましょう。

🛠 リコール情報の確認先(公的・公式)

この記事で紹介しているリコールは、公開情報のうち確認できたものに限られます。中古車を選ぶときは、車検証の車台番号で、対象のリコール・改善対策が実施済みかを、次のページで確認しましょう。

国土交通省「リコール情報検索」 車名・型式などから、届出されたリコール情報を検索できます
国土交通省「車台番号検索ページ一覧」 各メーカーの、車台番号での検索ページにまとめてアクセスできます
日本自動車整備振興会連合会「リコール情報検索」 メーカーと車台番号を入力して検索できます

輸入車は、正規ディーラーに車台番号を伝えて、リコール・サービスキャンペーンの対象か照会できます。

まとめ

Sクラスは、W220からW223まで、世代ごとにエンジン・安全装備・電動化・サスペンションが大きく異なります。W223は全車9速ATと4MATICの組み合わせで、PHEVのS 580 eは2022年6月から2023年10月までの設定でした。選ぶときは、世代・ボディ・パワートレイン・ハンドル位置を整理し、正規ディーラー車か並行輸入車か、整備記録と保証、車台番号でのリコール確認を大切にしましょう。

※世代・年式・仕様は、日本語版Wikipedia等の公開情報をもとに2026年10月時点で整理したものです。グレード・年式・個体ごとに装備や状態は異なります。中古車の価格は状態・地域・時期で大きく変わるため、当サイトでは特定の金額を断定していません。購入前に、販売店・メーカー公式情報で最新の内容をご確認ください。

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