台風が近づくと、通行止めや冠水で普段の道が使えなくなり、カーナビや渋滞予測アプリの案内を頼りにする場面が増えます。ただし、道路情報は提供元も更新の仕組みも異なり、画面に出ている内容はその時点で集められた情報です。この記事では、公的機関・高速道路会社・VICSセンター・JAFなどの公開情報をもとに、台風接近時に見るべき道路情報の種類と使い分け、情報の時間差への向き合い方、通信が不安定なときの備え、運転中の使い方を整理しました(2026年9月25日確認)。
📋 この記事の要点
✔ 通行止めなどの規制情報は、交通管理者・道路管理者がそれぞれ集めた情報が、VICS情報として提供されている(VICSセンター)
✔ 高速道路は、あらかじめ設定した規制基準を超えた場合に通行規制を実施。解除は、雨が落ち着いた状態が一定時間続いたあと、点検・作業と安全確認を経て行う(NEXCO東日本)
✔ VICS対応カーナビの時刻表示は、現在時刻でも受信時刻でもなく、情報を処理・送信した時刻。画面の時刻を確認する(VICSセンター)
✔ JARTICは、災害時に「通行実績情報」(現在・最新1時間・3時間・6時間)を地図で確認できるサービスを提供している
✔ 走行中にカーナビ等の画面を注視することは、警察庁が「極めて危険な行為」と明記している。設定は出発前か停車中に済ませる
📑 目次
1. 台風時に見る道路情報の種類と役割
台風接近時の道路情報は、1つのアプリや1台のカーナビだけで完結しません。何を知りたいかによって、見るべき情報源が変わります。公開されている情報源を、役割ごとに整理しました。
📊 台風時に使う道路情報の情報源(公式ページの記載)
| 情報源 | わかること(公式ページの記載) | 使うときの注意 |
|---|---|---|
| JARTIC(日本道路交通情報センター) | 高速・都市高速・一般道路の情報を24時間、5分更新で提供。地図上で通行止め、車線規制、渋滞、SA/PAの情報などを確認できる | 災害時は、通常の表示から「災害時情報提供サービス」に切り替わることがある。案内用の全国共通ダイヤルは050-3369-6666。運転中の電話はしない |
| 国土交通省の道路防災情報 | 「道路情報提供システム」で通行止めや道路規制などの道路管理情報を確認できる。各地方整備局等の報道発表で「通行止めの可能性のお知らせ」も見られる | 国が管理する道路の情報が中心。都道府県道・市道は、各自治体の情報も確認が必要 |
| 高速道路会社(NEXCO東日本の例) | 悪天候で通行止め等が予想される場合、通行止めの可能性がある区間を公式Webサイト・公式X・LINE等で事前に知らせる。リアルタイムの渋滞・規制は「ドラとら」で確認 | 各高速道路会社が自社のサイトで案内している。走行予定の区間を管理する会社のサイトを確認する |
| VICS対応カーナビ | 渋滞・所要時間・交通規制・交通障害・駐車場の情報。VICS WIDE対応機では大雨エリア情報(降雨エリアの表示)、FM多重放送では気象などの特別警報も提供 | 提供情報は機種や受信方法で異なる。VICS情報が提供可能な路線は、基本的に国道および県道以上 |
| 気象庁 | 警報・注意報のほか、河川氾濫・大雨・土砂災害の警報・注意報が出たときは「キキクル」でどこで危険度が高まるかを確認できる | 道路の通行可否そのものは示さない。気象情報と道路情報を組み合わせて判断する |
| 国土交通省「重ねるハザードマップ」 | 洪水・土砂災害・高潮・津波のリスクや道路防災情報などを、地図に重ねて表示できる | あらかじめ、自宅や勤務先周辺、通る道の危険箇所を確認するために使う |
💡 使い分けの考え方
出発前は、気象庁・高速道路会社・JARTICで、通行止めの可能性と気象の見通しを確認します。走行中は、VICSなどの車載機の表示に頼りつつ、画面をじっくり見る操作は避けます。台風の進行や通行止めの状況は短時間で変わるため、出発前と休憩中に、確認を繰り返すことが大切です。
2. 情報の時間差と「通行止め」の考え方
「アプリでは通れると出ていたのに、実際は通行止めだった」ということが起こりうるのは、情報が集められてから画面に表示されるまでに、時間や経路があるためです。公式に確認できた範囲で、通行止めと表示の仕組みを整理します。
📊 通行止め・情報の更新に関する公式の説明
| 場面 | 公式ページに書かれていること | 運転者の受け止め方 |
|---|---|---|
| 通行止めが始まる基準 | NEXCO東日本は、集中豪雨や台風の影響がある場合、あらかじめ設定した規制基準を超過した場合に通行規制を実施すると説明している | 雨量・風速の具体的な数値基準は、今回確認した公式ページには記載がなく、確認できなかった。「まだ通れる」と決めつけない |
| 通行止めの事前告知 | 影響が予想される場合は、通行止めの可能性がある区間を、公式Web・X・LINE等で事前に知らせる(NEXCO東日本) | 出発前に確認し、可能性がある区間はルートから外すことを検討する |
| 通行止めの解除 | 雨が落ち着いた状態が一定時間続いた後、点検・作業(復旧・清掃)を行い、安全を確認したうえで解除する(NEXCO東日本) | 雨がやんでも、すぐには通れない。解除の見込みは公式情報で確認する |
| 台風による通行への影響の例 | NEXCO東日本は事例として、令和元年9月の千葉東金道路(台風15号、強風に伴う枝葉の散乱)、令和5年9月の常磐道(台風13号、大雨に伴う土砂災害・倒木)を挙げている | 強風や大雨は、路面上の障害物や土砂災害にもつながる |
| VICSの更新間隔 | VICS-FM多重放送は5分間ごとに更新される(VICSセンター) | 画面が5分ごとに書き換わるとは限らない。機種や受信状況による |
| VICSの時刻表示 | カーナビに表示されるタイムスタンプは、現在時刻や受信時刻ではない。FM多重放送ではVICSセンターが交通情報を処理した時刻、ビーコンでは道路管理者や交通管理者が情報を送信した時刻を示す(VICSセンター) | 「いつの時点の情報か」を、時刻表示で確認する |
| 規制情報の集め方 | 通行止めなどの規制情報は、交通管理者・道路管理者がそれぞれ収集し、VICS情報として提供している(VICSセンター) | 情報の元は、道路の管理者側。最新の状況は道路管理者・高速道路会社の公式情報で確認する |
⚠️ 「通れた道」の情報は、通行を保証するものではありません
JARTICの災害時情報提供サービスは、通行実績情報を「現在」「最新1時間」「最新3時間」「最新6時間」で切り替えて表示できます。2026年8月に千葉県で提供が始まった際は、トヨタ・日産・ホンダ・いすゞ・日野の情報をもとにした通行実績と報じられました(ITmedia NEWS、2026年8月14日)。実績は、その時間内に車が通行した記録です。その後の冠水や倒木で状況が変わる可能性があるため、実績があっても、アンダーパスや冠水した道には入らない、という基本は変わりません。
3. 通信が不安定なときの備え
山間部やトンネル内など、場所や状況によっては、スマートフォンの通信が遅くなったり途切れたりすることがあります。通信に頼らない手段を、あらかじめ複数用意しておくと安心です。
📊 通信に頼らない手段(公式の説明)
| 手段 | 通信への依存 | 公式の説明・注意点 |
|---|---|---|
| 地図アプリのオフラインマップ | 事前にダウンロードしておけば、走行中の地図表示は通信に頼らない | Googleマップの公式ヘルプでは、ルート全体がオフラインマップの範囲内なら、インターネット接続が遅い・使えない場合でも目的地までの案内を受けられる。一方、運転中にオフラインになると、交通情報や代替ルートは表示できない。有効期限が近づくとWi-Fi接続時に自動更新が試みられる。一部の国・地域ではダウンロードできない。他のアプリは、各社の案内で確認が必要 |
| VICS(FM多重放送・ビーコン) | スマートフォンの通信ではなく、FM多重放送や電波ビーコン・光ビーコンで受信 | 山の近く、谷部、建物の影、FM基地局から離れた場所などでは、受信できない場合がある(VICSセンター) |
| ラジオ・道路情報板・ハイウェイラジオ | スマートフォンの通信は不要 | JAFは、高速道路の大雨時に、ハイウェイラジオや道路情報掲示板などで最新の情報を得るよう案内している |
| 事前のルート確認・メモ | 通信は不要 | 出発前に、通る道と迂回路の候補を確認し、簡単なメモや地図を残しておく。台風時は道路状況が変わるため、あくまで補助として使う |
🧭 出発前の準備
出発の前に、行き先までの道路情報を確認する
気象庁の警報・注意報、通る高速道路会社の通行止め情報、JARTICの地図を確認します。
迂回路を2つ以上決める
通行止めが広がる場合を想定し、通る道が使えなかったときの代わりの道を、あらかじめ決めておきます。
オフラインマップを用意する
通る範囲をダウンロードし、有効期限が切れていないかを確認します(アプリの案内に従う)。
スマートフォンの充電と、車内の充電手段を確認する
長時間の運転や停電に備え、出発前に充電し、車内で使うケーブルなどの用意を確認します。
目的地の設定を済ませて出発する
走行中に画面を操作しなくて済むように、経路と音声案内の設定は、停車中に済ませます。
4. 運転中のナビ・アプリの使い方
悪天候時は視界を確保するために、前方への注意がより重要になります。ナビの画面を見ながらの運転は、台風でなくても、法令と警察の案内で厳しく戒められています。
📊 運転中の画面の見方に関するルール
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 道路交通法 第71条第5号の5 | 運転中は、停止しているときを除き、無線通話装置を手で保持して通話したり、自動車等に取り付けられ・持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視したりしてはならない(道路運送車両法の特定の装置は除かれる) | e-Gov法令検索 道路交通法 |
| 警察庁の案内 | 運転しながらのスマートフォン等の注視・通話や、カーナビゲーション装置等の注視は、画面に意識が集中して周囲の危険を発見できず、重大な交通事故につながり得る極めて危険な行為であり、絶対にやめるよう呼びかけている | 警察庁「やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用」 |
| 2秒間に進む距離 | 各種の研究報告によれば、2秒以上画面を見ると運転者が危険を感じるという点で一致している。時速60kmで走行した場合、2秒間に約33.3m進む | 警察庁(同上) |
| 罰則(携帯電話使用等) | 保持(手で持って通話・画面注視):6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金、基礎点数3点、反則金は普通車1万8千円。交通の危険を生じさせた場合:1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、基礎点数6点 | 警察庁(同上) |
💡 安全に使うための工夫
目的地・経路の設定は停車中に済ませ、走行中は音声案内を中心にします。渋滞情報や通行止めの再確認が必要になったときは、安全な場所に停車してから画面を見ます。同乗者がいる場合は、同乗者に確認を頼むのも一つの方法です。
5. 出発前チェックリストと、確認先の一覧
📝 台風接近時の道路情報チェックリスト
☑️ 気象庁の警報・注意報と、通る地域の危険度の見通しを確認した
☑️ 通る高速道路会社・道路管理者の、通行止めの可能性の発表を確認した
☑️ JARTICなどで、経路上の規制・渋滞・通行止めを確認した
☑️ 迂回路を2つ以上決め、アンダーパスや川沿い、海岸沿い、急傾斜地を避けるルートにした
☑️ カーナビのVICSの時刻表示を確認し、古い情報でないかを見た
☑️ オフラインマップをダウンロードし、有効期限を確認した
☑️ 目的地の設定は停車中に済ませた
☑️ 運転そのものを控える判断も含めて、出発を決めた(「台風接近中、車を運転していい?いけない?」を参照)
- JARTIC(日本道路交通情報センター)
- 国土交通省「道路防災情報」
- NEXCO東日本「大雨・台風接近時は、お出かけ前に最新の気象予測や道路交通情報をご確認ください」(2025年6月12日)
- VICSセンター「よくあるご質問」
- Googleマップヘルプ「エリアをダウンロードしてオフラインでナビを使う」
- 警察庁「やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用」
- ITmedia NEWS「千葉の「通れた道」、JARTIC地図で確認可能に」(2026年8月14日)
- 気象庁「気象警報・注意報」
- JAF「台風・大雨時のクルマに関する注意点」
6. よくある質問
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まとめ
台風接近時の道路情報は、JARTIC、国土交通省、高速道路会社、VICS、気象庁などから得られますが、いずれも「その時点で集められた情報」です。VICSの時刻表示や、通行実績情報の意味を理解し、出発前と休憩中に確認を繰り返しましょう。通信が不安定な場合に備えて、オフラインマップやラジオなど、通信に頼らない手段も用意し、運転中は画面を見ずに、音声案内を中心に使うのが基本です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。

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