ウインカーは毎分60〜120回で点滅と決まっている?細目告示の条文と、約3万個の部品・ハガキ1枚分のタイヤを確認

ウインカー(法令上の名称は「方向指示器」)の点滅の速さは、国の基準で毎分60回以上120回以下と決まっています。その数字はどの条文に書かれていて、どんな車・場面に当てはまるのでしょうか。この記事では、条文のたどり方、例外と古い車の扱い、点滅が速いときの取扱説明書の記載、合図の時期をまとめ、動画で紹介した「約3万個の部品」「ハガキ1枚分」の出典も整理します。

YouTubeのショート動画「ウインカーは毎分60〜120回と決まっている?クルマ1台は約3万個の部品」の内容を、一次情報で確認し直して詳しくまとめた記事です。ハザードランプについてはサンキューハザードの記事でも扱っています。

動画の確認結果:動画の3つの数字(約3万個・毎分60〜120回・ハガキ1枚分)は、確認した資料のいずれにも書かれており、動画の主張を訂正する必要はありませんでした。補う点は4つです。(1)毎分60回以上120回以下は、保安基準の本文ではなく細目告示の第59条(別添52)・第137条・第215条に、車の区分ごとに同じ数字で書かれています。2005年12月31日以前に製作された自動車は適用関係告示第45条の基準でよく、さらに古い車には読み替え規定もあります(1〜2章)。(2)約3万個は、トヨタと三菱自動車が小さなネジまで数えた数字で、JAMAは数え方を書いていません。(3)ハガキ1枚分は目安のたとえで、ブリヂストンは手のひら1枚分と書いています(2・3は5章)。(4)動画の「4本あわせても、ハガキ4枚分くらい」は、1本分の目安を4倍した動画内の計算です。

📋 この記事の要点

✔ ウインカーの点滅は、細目告示の第59条(別添52 4.6.9.1)・第137条・第215条に「毎分60回以上120回以下の一定の周期で点滅する」と書かれている(1秒に1〜2回。車の区分ごとに3つの節)

✔ 数字が当てはまらない場面・古い車もある。緊急制動表示灯として使うとき、2005年12月31日以前に製作された自動車(昭和48年11月30日以前は下限が毎分50回など)、非常灯として作動するハザードなど

✔ 点滅がいつもより速いとき、ホンダ・三菱自動車・日産の取扱説明書は電球切れとして説明している。新車の基準(別添52)も、故障時の周期は毎分60〜120回によらなくてよいとしている

🎬 動画で見る(ショート)

この記事の元になった、かーぎーくんのショート動画です。動画では触れられなかった詳しい内容や条文・公式情報は、このあと記事で確認できます。

▶ YouTubeで見る(YouTube「くるまのかーぎーくん」)

1. 「毎分60回以上120回以下」はどの条文に書かれているか

道路運送車両の保安基準(国土交通省令。e-Gov法令検索で確認)の第41条は、自動車に方向指示器を備えることを求めています(最高速度20km/h未満の小型の自動車など、一部は除かれます)。灯光の色・明るさ等(第2項)と取付位置・取付方法等(第3項)は告示で定める基準に適合することを求めており、保安基準の本文には点滅の数字は書かれていません。数字は細目告示(道路運送車両の保安基準の細目を定める告示)にあり、車の区分ごとに第1節(第59条)・第2節(第137条)・第3節(第215条)に同じ数字が置かれています。

📜 細目告示 第137条・第215条の第4項第1号 / 別添52 4.6.9.1(原文。国土交通省のPDF)

第137条・第215条: 方向指示器は、毎分60回以上120回以下の一定の周期で点滅するものであること。
別添52 4.6.9.1: 方向指示器は、毎分60回以上120回以下の一定の周期で点滅するものでなければならない。

📊 数字が書かれている場所(確認した資料)

条文など 書かれていること 確認先
保安基準 第41条 方向指示器を備える義務と、告示で定める基準への適合(数字は書かれていない) e-Gov法令検索
細目告示 第59条 第3項第1号 → 別添52 4.6.9.1(第2章第1節) 第1節は、指定自動車等(型式の指定を受けた自動車など)の新規検査等に適用(第5条)。取付基準は別添52で、装置の型式指定では協定規則第48号(二輪自動車などは別の定め)。4.6.9.1に毎分60回以上120回以下の定めがある 国交省 第59条・第5条・別添52【2025.9.26】
細目告示 第137条 第4項第1号(第2章第2節) 第2節は、指定自動車等以外の自動車の新規検査等に適用(第83条)。毎分60回以上120回以下の一定の周期で点滅するもの 国交省 第137条・第83条
細目告示 第215条 第4項第1号(第2章第3節) 第3節は、使用の過程にある自動車(継続検査・点検整備など)に適用(第161条)。第137条と同じ文言 国交省 第215条・第161条
適用関係告示 第45条 2005年12月31日以前に製作された自動車は、保安基準第41条と細目告示第59条・第137条・第215条にかかわらず、この条の基準でよい(次章) 国土交通省 告示PDF【2024.6.14】
保安基準第41条から細目告示第59条(別添52)・第137条・第215条の毎分60回以上120回以下までのたどり方と、数字が当てはまらない場面
図:数字が書かれている場所と、当てはまらない場面(条文の要約。自作イラスト)

毎分60〜120回を1回あたりの時間に直すと

📊 毎分の回数と、1回の周期(計算)

毎分の回数 1回の周期(60秒÷回数) 1秒あたり 3秒間
60回(下限) 1.0秒 1回 3回
90回(中間) 約0.67秒 1.5回 4.5回
120回(上限) 0.5秒 2回 6回

動画の「1秒間にすると、1回から2回のあいだ」は、この計算と合っています。条文には、「回」の数え方や点灯と消灯の長さの比率の定めは見当たりません。上の表は、点灯して消えるひと巡りを1回として割り算した計算値です。別添52の4.6.9.2には、操作後1秒以内に点灯し、1秒半以内に最初の消灯を行う、という始動時の定めがあります。

毎分60回と毎分120回の点滅を3秒間で比べた模式図
図:毎分60回(3秒で3回)と毎分120回(3秒で6回)の比較。点灯と消灯を等分に描いたイメージ(自作イラスト)

2. 数字が当てはまらない場面と古い車

ウインカーは必ず毎分60〜120回と言い切る前に、確認できた例外・別の定めを整理します。

📊 毎分60回以上120回以下が当てはまらない、または別の条文になる場合

場面 条文の定め(要旨) 出典
方向指示器を緊急制動表示灯・後面衝突警告表示灯として使う場合 その間、当該方向指示器については第2項・第3項の基準は適用しない 保安基準 第41条第4項
2005年12月31日以前に製作された自動車 保安基準第41条と細目告示第59条・第137条・第215条にかかわらず、適用関係告示第45条の基準でよい(第1項第3号イに同じ毎分60回以上120回以下の定め)。ただし第3項の読み替え表で、昭和48年(1973年)11月30日以前に製作された自動車は、下限が「毎分50回以上」、点滅のほか光度が増減する方式も可とされる。両側面の中央部に備える方向指示器(第3号リ)は毎分60回以上120回以下 適用関係告示 第45条(原本p.9〜10)
ハザードランプ(非常点滅表示灯) 色・明るさ等は第215条第1項(一部を除く)を準用。取付基準は第215条の第3項(第1・2・5〜7号)と第4項(第7〜11号・第14号を除く)を準用。ただし、盗難・車内事故などを知らせる「非常灯」として作動する場合などは、第4項第1号に適合しない構造にできる。同じ保安基準第41条の3の細目告示は、第1節が第61条、第2節が第139条(国土交通省の一覧表で対応を確認) 細目告示 第217条

なお、第137条第5項・第215条第5項は、指定自動車等と同一の構造・同一の位置の方向指示器で、機能を損なう損傷等のないものを、第4項各号の基準に適合するものとして扱う(みなし適合)規定で、毎分60〜120回の適用除外ではありません。

ハザードの点滅回数やお礼のハザードはサンキューハザードの記事、ハザードが必要になる場面はハザードランプの本当の出番の記事をご覧ください。

3. 点滅がいつもより速い・点かないとき

ウインカーは日常点検の項目です。自動車点検基準の別表第2(自家用乗用自動車等の日常点検基準)は、「灯火装置及び方向指示器」について「点灯又は点滅具合が不良でなく、かつ、汚れ及び損傷がないこと」としています。

点滅が速くなったときの原因は、取扱説明書の記載が参考になります。確認できた3社は次のとおりで、表現と対象車は資料ごとに違います。

📊 取扱説明書の記載(要旨。車種は各資料のとおり)

資料 書かれていること(要旨)
ホンダ N-WGN(2026年版)取扱説明書「表示灯」 方向指示器が点滅しない、または点滅の周期が速いときは、方向指示器の電球が切れている。ただちに電球を交換する
三菱自動車 eKスペース/デリカミニ 取扱説明書「表示灯がついたときは」 方向指示器の電球(バルブ)が切れたときは点滅が速くなる。電球を交換する
日産 ノート(E12型)取扱説明書「方向指示表示灯」(旧型のページ) 方向指示器のランプの電球が切れたときは点滅が速くなる。電球を交換する

動画の「いつもと点滅のようすが違うなと感じたら、販売店や整備工場で見てもらおうね!」は、この記載と合っています。

新車の基準(別添52)にも故障時の定めがあります。方向指示器のいずれかが正常に機能しなくなったとき、運転席の作動状態表示は「消灯する、点滅せずに点灯し続ける、又は、点滅回数が著しく変化する」ものとされ(4.6.8.2)、短絡以外の失陥が1つ起きたとき、ほかの方向指示器は引き続き点滅するが、点滅の周期は毎分60回以上120回以下によらなくてよい(4.6.9.4)とされています。電球切れで点滅が速くなるのは、この定めと整合します。自分のクルマの取扱説明書で電球交換の項を確認し、自分で交換できない灯火は販売店・整備工場に相談してください。

4. ウインカーを出す時期の決まり(道路交通法)

ここまでは点滅の速さの基準でした。いつウインカーを出すかは、別の法令(道路交通法第53条・同法施行令第21条)で決まっています。

📜 道路交通法施行令 第21条第1項(合図の時期。条文の要約)

左折するとき・右折するとき・転回するとき: その行為をしようとする地点(交差点で左折・右折する場合は、交差点の手前の側端)から30メートル手前の地点に達したとき。同一方向に進行しながら進路を左方又は右方に変えるとき: その行為をしようとする時の3秒前のとき。

道路交通法第53条は、右左折・転回・徐行・停止・後退・進路変更の合図を、行為が終わるまで続けること(第1項)、終わったらやめ、行為をしないのに合図をしてはならないこと(第4項)を定めています。違反は5万円以下の罰金の対象です(第120条第1項第6号)。交通違反としての「合図不履行」(第1項の違反)と「合図制限違反」(第4項の違反)は、いずれも違反点数1点、反則金は普通車6,000円です(施行令別表第二・別表第六、警視庁の点数表)。

5. 動画で紹介したほかの2つの数字(約3万個・ハガキ1枚分)

クルマ1台は約3万個の部品

📊 約3万個の出典(資料ごとの書き方)

資料 書かれていること(要旨)
トヨタ自動車 クルマこどもサイト 小さなネジまで数えると約3万個の部品。多くは協力会社が分担してつくる(例: シート・タイヤ・ガラス・ヘッドランプ)
三菱自動車 なぜ?なぜ?クルマづくり調査団 小さなネジも含めて約3万個の部品
JAMA(日本自動車工業会) JAMA BLOG(2026年6月16日付) 1台のクルマには約3万個に上る部品を使用している(数え方は書かれていない)

3社とも「約」の数字で、車種ごとの内訳は示していません。トヨタと三菱自動車は小さなネジまで含めた数、JAMAは数え方が不明なため、ネジ1本までの厳密な総数ではなく、おおよその規模を表す数字として読むのが安全です。

タイヤ1本の接地面積はハガキ1枚分

📊 ハガキ1枚分の出典(資料ごとの書き方)

資料 書かれていること(要旨)
JAF クルマ何でも質問箱「タイヤの空気圧点検と充填方法」 接地面積はタイヤ1本あたりハガキ約1枚分。空気圧の点検は少なくとも1カ月に1回くらい
TOYO TIRES 公式サイト 接地面積は、乗用車の場合、タイヤ1本につきハガキ1枚分。月1回程度、冷えている状態で空気圧をチェックする
ブリヂストン 公式サイト タイヤ一本の接地面積は、わずか手のひら1枚分(ハガキではなく手のひらで表現)

ハガキ1枚分は目安のたとえで、3社の資料に面積の数値はありません。JAFは、空気圧が低いと接地面積が大きくなる、とも説明しており、実際の面積はタイヤのサイズや空気圧などで変わります。動画の「4本あわせても、ハガキ4枚分くらい」は、1本分の目安を4倍した動画内の計算です。タイヤの点検や交換時期は、タイヤの点検と交換時期ガイドをご覧ください。

動画の3つの数字と確認できた資料の一覧
図:動画の3つの数字と、確認した資料(自作イラスト)
この記事で確認できていないこと:実際の車の点滅速度や点灯時間の比率/LEDなど電球以外の灯火や社外品に交換した場合の取扱い/第61条・第139条の本文と協定規則第48号の原文/ハガキ1枚分の面積の数値。

まとめ

ウインカーの点滅は、細目告示の第59条(別添52 4.6.9.1)・第137条・第215条に「毎分60回以上120回以下の一定の周期で点滅する」と、車の区分ごとに同じ数字で書かれています(1秒に1〜2回)。緊急制動表示灯として使う場合、2005年12月31日以前に製作された自動車(昭和48年11月30日以前は下限が毎分50回など)、非常灯として作動するハザードなどは別の扱いです。点滅がいつもより速いときは、各社の取扱説明書が電球切れとして説明しており、新車の基準(別添52)も故障時の周期は毎分60〜120回によらなくてよいとしています。ウインカーを出す時期は、施行令で右左折の30メートル手前、進路変更の3秒前です。約3万個と、ハガキ1枚分は、どちらも目安として読みます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。法令・告示・基準は改正されることがあり、取扱説明書の記載は車種によって異なります。最新の内容や個別の判断は、国土交通省・警察・自動車メーカー・販売店などの公式情報でご確認ください(確認日:2026年10月)。

参考(一次情報・公的機関・メーカー・業界団体): e-Gov 道路運送車両の保安基準(第41条)/国土交通省 細目告示 第59条/同 別添52/同 第137条/同 第215条/同 第217条/同 第5条/同 第83条/同 第161条/同 適用関係告示 第45条/同 保安基準と細目告示の対応一覧表/e-Gov 自動車点検基準(別表第2)/同 道路交通法(第53条・第120条)/同 道路交通法施行令(第21条・別表第二・別表第六)/警視庁 交通違反の点数/ホンダ N-WGN 取扱説明書/三菱自動車 eKスペース/デリカミニ 取扱説明書/日産 ノート(E12型)取扱説明書/トヨタ クルマこどもサイト/三菱自動車 クルマづくり調査団/JAMA BLOG/JAF タイヤの空気圧点検/TOYO TIRES/ブリヂストン

図はすべて自作のイラストです(AI生成なし)。実際の車の点滅のようすは、車種や灯火の種類によって異なります。

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