「修復歴なし」の意味は?中古車の骨格8部位・カードサイズ基準・走行距離の表示ルールを規約と国交省資料で確認

中古車の情報に「修復歴なし」と書かれていると、事故の跡も修理の跡もない車だと受け取りがちです。しかし、この「修復歴」には規約と判断基準で決められた意味があり、「走行距離」の数字にも、書面・展示・広告で表示のしかたが違うというルールがあります。

この記事は、YouTubeで反応のよかったショート動画「中古車の修復歴と走行距離、落とし穴3つ」の内容を、自動車公正競争規約(自動車公正取引協議会)・日本自動車査定協会(日査協)の基準・国土交通省の車検証の資料・e-Gov法令検索で確認し直し、動画に入りきらなかった詳細(基準の中身、証明書の記号、車検証の記録、契約後の権利)を加えてまとめたものです。確認日は2026年10月です。

📋 この記事の要点

✔ 「修復歴」は規約で、車体の骨格に当たる8つの部位を修正・交換して復元した履歴と定義されている。ドアやバンパーは8部位に入っていない

✔ 日査協の基準では、小さな損傷(カードサイズ=8.5cm×5.4cmが基準)やネジ止めの部位は修復歴にしない。「修復歴なし」でも修理跡はありうる。証明書では板金修理跡(W)・交換跡(XM)が別の記号で示される

✔ 走行距離は、購入者に交付する書面ではメーターのキロ数。展示車・広告では千km未満を四捨五入した数字。交換歴・疑義・改ざんは区分ごとに書面で表示し、交換・改ざんの車にはシールが貼られる

✔ 車検証の備考欄(電子車検証はICタグ側の記録事項)にも、検査の際の走行距離計の表示値が記録される。走行メーター管理システムは1,500円・現車持ち込みで、オークション出品歴がない車は確認できない

✔ 自動車の購入にクーリング・オフは使えない。種類・品質の不適合は知った時から1年以内に売主へ通知が必要(民法第566条)。書面は契約前に確認する

🎬 動画で見る(ショート)

この記事の元になった、かーぎーくんのショート動画です。動画では触れられなかった詳しい内容や条文・公式情報は、このあと記事で確認できます。

▶ YouTubeで見る(YouTube「くるまのかーぎーくん」)

動画の補足と一部訂正です。動画の内容は、規約・日査協・国土交通省の資料でおおむね確認できました。次の3点を補足・訂正します。(1)「カードサイズ未満の小さな損傷は修復歴にしない」は、部位と損傷の種類ごとに決まっている基準の一部です。骨格部位の交換などは、原則として大きさに関係なく修復歴とされています(第2章の表)。(2)「走行距離はメーターのキロ数で表示」は、購入者に交付する書面での表示です。展示車や広告では、千km未満を四捨五入した数字で表示されます(第3章)。動画の「メーターのキロ数で表示」は書面についての説明で、展示車・広告には当てはまりません。(3)動画の「前回のメーターの表示値」は、国土交通省の見本の「旧走行距離計表示値」を、AIRIAの資料の例にもとづいて前回の検査時の値と読んだものです(第4章)。

「修復歴」とは何か:規約の定義と骨格8部位

中古車の「修復歴」は、自動車公正取引協議会(公取協)の自動車業における表示に関する公正競争規約(以下「規約」)と、その施行規則で定義されています。規約は、景品表示法第36条に基づいて公正取引委員会・消費者庁の認定を受けた、業界の自主ルールです(法律そのものではありません)。公取協は、この規約に賛同して入会した販売店を「会員店」として会員証を発行し、会員店検索システムも公開しています。

📜 自動車公正競争規約 施行規則 第14条(定義の要約)

「修復歴(車体の骨格に当たる部位の修正及び交換歴)」とは、販売する中古自動車について、次の部位を修正及び交換することにより復元されたものをいう。①フレーム(サイドメンバー) ②クロスメンバー ③フロントインサイドパネル ④ピラー(フロント、センター及びリヤ) ⑤ダッシュパネル ⑥ルーフパネル ⑦フロアパネル ⑧トランクフロアパネル

修復歴の対象になる骨格8部位の模式図
図:規約の骨格8部位を、乗用車の側面の模式図に当てはめたもの(自作イラスト。位置は模式的で、実際の構造は車種によって異なります)

規約の「自動車」は、二輪車や大型・小型特殊自動車を除きます(第2条)。表示のルールは、展示している中古車に「修復歴」の有無を表示することを求めるもので、修復歴があれば「有」、なければ「無」と表示します(規約第11条・施行規則第15条)。

基準は3団体で同一とされていた。2019年4月に一部が変わった

修復歴の判断基準は、公取協(規約)・日査協(修復歴判断基準)・日本オートオークション協議会(修復歴判定基準)の3団体で同一の基準とされていました(2019年3月26日付の公取協のお知らせ)。そのお知らせによると、2019年4月1日から、次の2点が変更されました。

項目 変更前 変更後
損傷の大きさの基準 軽微なもの(500円玉程度) 小さなもの(カードサイズ未満)
フロントクロスメンバーの定義 左右サイドメンバーに溶接されているもの 左右サイドメンバーに直接溶接されているもの(間接接合は除く)

このように、基準は見直されることがあります。中古車の表示を読むときは、「修復歴」という言葉が規約と日査協の基準にもとづく言葉であることを前提にします。

「修復歴なし」でも修理跡がある理由

修復歴と修理跡の範囲の違い
図:修復歴(骨格部位の修正・交換など)の外側にも、板金や交換の跡が残る車がありうる(自作イラスト)

「修復歴なし」は、規約と日査協の基準に当たる骨格部位の損傷・修復がないという意味です。日査協の判断基準には、次のように書かれています。

📜 日査協「中古自動車査定基準」修復歴の判断基準(要約)

骨格部位に損傷があるもの又は修復されているものは修復歴とする。但し、小さな損傷は修復歴としない。また、骨格は溶接接合されている部位(部分)のみとし、ネジ止め部位(部分)は骨格としない。

📊 日査協の判断基準:部位ごとの「修復歴とするもの/しないもの」の例(一部)

骨格部位 修復歴とするもの(例) 修復歴としないもの(例)
クロスメンバー 交換されているもの/曲がり・凹み・修理跡/亀裂 小さな凹み・亀裂・修理跡/突き上げによる凹み・傷
サイドメンバー 交換されているもの/曲がり・凹み・修理跡 ラジエーターコアサポートより前、リヤエンドパネルより後の損傷/けん引フック取付け部の損傷/バンパステー取付け部の小さな凹み/突き上げによる凹み・傷
ピラー 交換されているもの/スポット打ち直し/外部や外板を介して波及した凹み シートベルトの挟み込みによる凹み/ドアの開きすぎによるヒンジ部の凹み/小さな凹み
ルーフ 交換されているもの/ルーフ周囲のインナー部の凹み・曲がり・修理跡 インナー部の小さな凹み・曲がり・修理跡

表のとおり、骨格部位の「交換」は、原則として損傷の大きさに関係なく修復歴とされています(表の「しないもの」にある除外を除く)。一方、小さな凹みや、外部・外板を介さない損傷(細則③)などは、修復歴にはなりません。「小さな損傷」の大きさは、細則④でカードサイズ(8.5cm×5.4cm)とされています。

修復歴の判断は車ごとに異なる場合があります。日査協の細則②は、判断がボディ形状・構造(フレーム付き車など)や損傷の度合いなどにより異なる場合があると書いています。この記事の表は乗用車の判断基準の一部で、トラックなどフレーム車は別の表があります。

車両状態証明書の記号:修復歴(M)とは別に「修理跡」「交換跡」が出る

日査協は、中古展示車の車両状態を表示する車両状態証明書を発行しています。実施するのは、日査協が定める査定業務実施店に登録された事業者です。日査協の案内では、その車の修復歴の有無が分かり、傷や凹み、補修跡などが記号と数字で表示され、走行キロ数も確認しているとされています。証明の対象は乗用車・商用車・小型トラック(2tベース)で、大型車・特殊車・バス・二輪車などは対象外です。

📊 車両状態証明書で使う記号(日査協)

記号 意味
M 修復歴
W0 / W1 / W2 / W3 板金修理跡。W0=塗装のみ・板金修理跡が良好なもの、W1=目立たない、W2=目立つ、W3=再修理が必要なもの
XM 交換跡(ねじ止め外板・溶接止め外板の2種類)
U / A / P / UA / S / C / T 凹み・曲がり / 傷・ささくれ / 変色・退色・剥げ・シール跡 / 傷を伴う凹み / さび / 腐食 / 割れ・亀裂・穴
大きさ 0〜3 0=500円玉サイズ未満、1=カードサイズ未満、2=A4サイズ未満、3=A4サイズを超えたもの(※1cm未満のU・A・P・UA・S・C・Tは備考欄に記載)

つまり、証明書の「M」がなく「修復歴なし」と読める車でも、W(板金修理跡)やXM(交換跡)の記号があることがあります。動画で紹介された「修復歴とは別に修理跡や交換跡の記号がある」は、この記号のことです。

走行距離の表示ルール:書面・展示・広告で違う

走行距離の表示の4つの区分
図:走行距離の表示は、実走行・メーター交換歴・疑義あり・改ざん歴の4つに分かれる(自作の図。規約施行規則と公取協FAQより)

走行距離の表示は、どこに表示するかで数字の出し方が違います。

📊 走行距離の表示のしかた(自動車公正競争規約 施行規則)

表示する場所 表示する数字 根拠
購入者に交付する書面(販売価格を書面で表示する場合) 走行距離計に示されたキロ数 施行規則第6条第8項第1号
展示車・広告 展示時点のメーターのキロ数を千km未満四捨五入(千km未満の場合はメーターのキロ数) 施行規則第7条、公取協FAQ

計算例です(この記事の説明用で、実在の車ではありません)。メーターが31,720kmの車は、書面では「31,720km」、展示・広告では千km未満を四捨五入した「32,000km」(3万2千km)になります。メーターの数字と展示・広告の表示に最大500kmほどの差が出るのは、このルールによるものです。

メーターの交換・疑義・改ざんは、書面で明らかにする

規約第12条は、次の車両について、その旨を書面を用いて明瞭に表示するよう定めています。展示車は外部から見やすい場所に表示し、購入者にはその書面を交付します。

📊 走行距離に関する特定の車両状態(規約第12条・施行規則・公取協FAQ)

区分 規約・FAQでの扱い 書面などでの表示
走行距離計が取り替えられている車両 取替え前後のキロ数、取替えを実施した事業者・年月日を示す定期点検整備記録簿等の書類が備え付けられ、シールが貼付されているもの。記録簿等がない場合は、交換歴車として扱えない(公取協FAQ) 取り替えられている旨と、取替え前・取替え後のキロ数
走行距離数に疑義がある車両 走行距離計の示す数字が実走行距離数か疑わしい車両。改ざんの根拠となる帳票や交換の記録はない(公取協FAQ) メーターのキロ数と「?」。推定できる根拠があれば推定キロ数、なければ「不明」
走行距離計が改ざんされている車両 走行距離計の示す数字が実走行距離数でないことが明らかな車両。走行メーター管理システムや点検整備記録簿・保証書等で、走行距離数の逆転が判明したもの(公取協FAQ) 改ざんされている旨(書面ではメーターのキロ数も併記。広告では、メーターのキロ数は表示できない)

メーターを取り替えた車と改ざんが判明した車には、公取協作成のシールがセンターピラー(運転席側)に貼付されます(規約第12条の2)。シールには、交換の場合は取替え前後のキロ数・実施事業者・年月、改ざんの場合は改ざんされている旨と判明した年月が書かれます。

また、規約第14条は、走行距離計の操作・取替えなどによって走行距離を実際より少ないかのように誤認させる表示と、修復歴があるのにその旨を表示せず、修復歴がないかのように誤認させる表示を、不当表示として禁止しています。

車検証と走行メーター管理システムで確かめる

修復歴と走行距離を確かめる4つの書類・窓口
図:販売店の書面・車両状態証明書・車検証の記録・走行メーター管理システムで分かることと限界(自作の図)

車検証の備考欄:検査のときの走行距離計の表示値が記録される

国土交通省は、2003年9月30日の発表で、2004年1月から稼働する新システムで、車検証の備考欄に検査受検時の「走行距離計表示値」を記載するとしました。北海道運輸局の案内には、車検証には検査の際に確認した走行距離値を記載していること、2017年1月から、この値がメーターの交換等により小さくなった場合に「走行距離記録最大値」を記載することが書かれています。

電子車検証では、国土交通省の資料で、ICタグ側の備考欄の編集項目に「新走行距離計表示値」「旧走行距離計表示値」「走行距離記録最大値」(該当する場合に出力)が挙げられています。券面側の備考欄の項目には走行距離はありません。電子車検証特設サイトの見本(自動車検査証記録事項)では、備考欄に「走行距離計表示値」と「旧走行距離計表示値」が日付つきで並んでいます(数値は見本です)。確認する方法は、スマートフォン等の車検証閲覧アプリ、または自動車検査証記録事項(ICタグの内容を記載した書面。電子車検証の交付時に補助的に渡されるもので、窓口での交付の取扱いは国土交通省の特設サイトに案内があります)です。購入前に見せてもらえるかは、販売店に確認します。

📊 車検証に記録される走行距離の項目(国土交通省・自動車検査登録情報協会の資料)

項目 内容
走行距離計表示値(新) 今回の検査の際に確認した走行距離計の表示値
旧走行距離計表示値 以前の検査の際の表示値。自動車検査登録情報協会(AIRIA)の資料では、旧記録・新記録として、前回と今回の車検時の数値が例示されている
走行距離記録最大値 メーター交換等で検査時の走行距離が前回より減った場合に、それまでの最大値と設定年月日が記録される。2017年12月以前の車検で減っていた場合、最大値は設定されていない(AIRIA資料の注)
注意:これらは検査を受けたときの数値です。検査と検査の間の走行距離は載りません。なお、「旧走行距離計表示値」という項目名を定義した国土交通省の文書は、今回確認できませんでした。「前回の検査時の値」という読み方は、AIRIAの資料の例にもとづくものです。走行距離記録最大値の開始時期は、運輸局の案内では2017年1月からの記載開始とされていますが、AIRIAの資料の注では2017年12月以前の車検で減っていた場合は設定されないとされており、時期に差があります。古い車は、最大値が載っていなくても、メーター交換がなかったとは限りません。

走行メーター管理システム:出品歴のない車は確認できない

項目 内容
仕組み 日本オートオークション協議会が開発。オートオークション会場に出品された中古車の走行距離データを蓄積し、データベースで集中管理する
使える場面 購入した中古車の走行距離に不信感がある/購入後に、実メーターより走行距離の多いデータ(記録簿等)が出てきた(日査協の案内)
手続き 日査協支所・中販連支所が受付。手数料1,500円。現車の持ち込みが必要
限界 蓄積されたデータに照らして異常があるかを確認するもの。オークションの出品歴がないなど、データのない車は確認できない場合がある

動画で「調べても分からないこともある」と言っていたのは、この限界のことです。走行距離は、書面・車検証の記録・点検整備記録簿・このシステムを重ねて確かめるのが現実的です。

書面と、買ったあとの権利

契約前に見る書面

規約第12条は、修復歴のある車両について、修復歴の部位を書面で表示するよう定めています(ネット広告などでは、「修復歴の部位については尋ねられたい旨」の付記で代えることができます。施行規則第18条)。販売店は、この書面の写しを作成した日から2年間保存します。お店の説明だけでなく、書面と車両状態証明書の記載を、契約前に読み比べましょう。

📊 契約前に確かめたいこと

確認すること 見る場所
修復歴の有無と、あれば部位 展示車の書面(フロントガラス内側など外から見える場所)、購入者に交付される書面
販売時の走行距離数と、交換・疑義・改ざんの表示 書面、車の運転席側センターピラーのシール
修理跡・交換跡 日査協の車両状態証明書の記号(W・XM)。証明書がない場合は、販売店に尋ねる
走行距離の裏づけ(契約前) 車検証の記録(備考欄/電子車検証の記録事項)、点検整備記録簿、オークション出品票など(あれば見せてもらう)
購入後に走行距離に不信感が出たとき 走行メーター管理システムの消費者窓口(日査協・中販連の支所、1,500円、現車持ち込み)

買ったあとに分かったとき

項目 内容 根拠
クーリング・オフ 使えません。特定商取引法は、自動車(二輪を除く)の販売を、訪問販売・電話勧誘販売でもクーリング・オフ(訪問販売は第9条、電話勧誘販売は第24条)の対象から外しています。店舗での売買は、国民生活センターが挙げるクーリング・オフの対象取引にも入っていません 特定商取引法第26条第4項第1号、同施行令第14条
契約不適合責任 引き渡された目的物が種類・品質で契約の内容に適合しないとき、買主は追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・解除ができる。ただし、不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないと、これらの請求ができない(売主が引渡し時に知っていた場合などを除く) 民法第562条〜第564条、第566条
錯誤・詐欺による取消し 事情の認識が真実に反していた場合(錯誤)や、だまされた場合(詐欺)は、契約の取消しを主張できる場合がある 民法第95条、第96条

JU中販連(日本中古自動車販売協会連合会)の相談事例は、規約で表示を義務づけられている修復歴を表示せずに取引した場合や、メーターの巻戻しがあった場合について、契約不適合責任や取消しにあたりうると整理しています。ただし、個別の事案で解除や賠償が認められるかは、事情や契約内容によって変わります。「保証なし」「現状渡し」と書かれた契約でも、責任を免除する条項の有効性は消費者契約法第8条などをふまえて個別に判断されます。

国民生活センターによると、中古自動車に関する相談は、購入の際のキャンセルトラブルのほか、購入した中古自動車の品質に関するトラブルもあり、PIO-NETに登録された相談件数は、2023年度9,034件、2024年度7,059件、2025年度8,642件(2026年5月31日現在。売却時のトラブルを含む件数で、経由相談は含まれません)です。困ったときは、消費者ホットライン「188」(最寄りの消費生活センターを案内)に相談できます。公取協の消費者相談室は、電話で相談を受けてアドバイスを行いますが、当事者への交渉や斡旋は行っていません。

よくある質問

Q. 「修復歴なし」の中古車は、事故に遭っていない車ですか?

A. いいえ、そうとは限りません。規約の修復歴は、骨格の8部位を修正・交換して復元した履歴で、日査協の基準では小さな損傷やネジ止めの部位は骨格としません。ドアやバンパーの板金などは、証明書ではW(板金修理跡)・XM(交換跡)の記号で別に示されます。なお、「事故歴」という言葉を定義した規約・基準は、今回の確認では見つけられませんでした。

Q. ドアやバンパーを交換した車は「修復歴あり」になりますか?

A. 規約の8部位にドアやバンパーは入っていないため、ドアやバンパーの交換だけでは、規約上の「修復歴」にはなりません。8部位は、フレーム、クロスメンバー、フロントインサイドパネル、ピラー、ダッシュパネル、ルーフパネル、フロアパネル、トランクフロアパネルです。日査協の車両状態証明書では、交換跡はXM(ねじ止め外板・溶接止め外板)で示されます。

Q. 修復歴の部位は、どこで分かりますか?

A. 修復歴のある車両は、規約第12条により、修復歴の部位を書面で表示することになっています。展示車は外から見やすい場所に表示し、購入者にも書面を交付します。インターネット広告などでは「修復歴の部位については尋ねられたい」と付記して代えることができるため、その場合は販売店に尋ねます。

Q. メーターが少ない車は、実際の走行距離も少ないと考えてよいですか?

A. 表示はメーターの数字が基本ですが、メーターの交換や改ざんの疑いがあれば、書面でその旨が表示されるルールです。確かめる方法として、車検証の記録、点検整備記録簿、走行メーター管理システムがあります。ただし、システムはオークション出品歴のない車は確認できない場合があり、車検証の記録は検査時の数値です。

Q. 買ったあとで修復歴が分かったら、クーリング・オフで返品できますか?

A. いいえ。自動車の購入にクーリング・オフは使えません。契約不適合責任の通知は、不適合を知った時から1年以内に必要です(民法第566条)。契約書や書面を保管し、消費者ホットライン188や販売店、公取協の消費者相談室などに早めに相談してください。

まとめ

「修復歴」は、規約で骨格8部位の修正・交換による復元と定義され、日査協の基準では小さな損傷やネジ止めの部位は含まれません。「修復歴なし」は、修理跡が全くないという意味ではなく、証明書では板金修理跡(W)や交換跡(XM)が別に示されます。走行距離は、書面ではメーターのキロ数、展示・広告では千km未満の四捨五入で、メーターの交換・疑義・改ざんは区分ごとに書面で表示されます。確かめる手段は、書面・車両状態証明書・車検証の記録・走行メーター管理システムで、それぞれ限界があります。

購入のあとは、クーリング・オフが使えず、不適合の通知は知った時から1年以内です。お店の説明だけで決めず、契約前に書面を読み比べることが、いちばんの予防になります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。規約・基準・法令は改正されることがあり、個別の車や契約の判断は、販売店・日本自動車査定協会・自動車公正取引協議会・消費生活センターなどの公式情報や窓口でご確認ください(2026年10月時点)。規約・基準の引用は要約を含みます。図の車の構造・部位の位置は模式的なものです。

参考(一次情報・公的機関・業界団体): 自動車公正取引協議会「自動車公正競争規約集」(規約第11条・第12条・第12条の2・第14条、施行規則第6条〜第7条・第14条〜第19条)/公取協「日査協の修復歴判断基準が一部変更となります」(2019年3月26日)/公取協 広告表示FAQ「走行距離の表示方法」/公取協 走行距離計交換歴車・改ざん歴車シール/公取協 走行メーター管理システム/公取協 中古車の不当表示/公取協 消費者のみなさまへ(相談室)/日本自動車査定協会「中古自動車査定基準」(修復歴の判断基準)/日査協 車両状態証明事業/日査協 証明書の見方/日査協 走行メーター管理システムについて/国土交通省 自動車登録検査業務電子情報処理システムの更改について(2003年9月30日)/北海道運輸局 自動車検査証の走行距離記録最大値/国土交通省 電子車検証特設サイト 自動車検査証記録事項の見本/同 備考欄情報/同 電子車検証について/自動車検査登録情報協会 新たな検査登録情報のご提供/JU中販連 購入した中古車が修復歴車だった/JU中販連 走行メーター巻戻しだった/e-Gov法令検索 民法(第95条・第96条・第562条〜第566条)/同 特定商取引に関する法律(第26条)/同 施行令(第14条)/同 消費者契約法(第8条)/同 景品表示法(第36条)/国民生活センター 中古自動車/国民生活センター クーリング・オフ/消費者庁 消費者ホットライン188

図はすべて自作のイラストです(AI生成なし)。車の構造・部位の位置は模式的なものです。

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