ヘッドレストの正しい位置は?むち打ち防止の効果と調整方法

「ヘッドレストは、頭をもたせかけて休むためのもの」と思っていませんか。実は、後ろから追突されたときに、頭が過度に後ろへ傾くのを抑える安全装備です。この記事では、道路運送車両の保安基準の条文、東京労働局(厚生労働省)の資料に引用された交通事故総合分析センター(ITARDA)のデータ、NASVA(自動車事故対策機構)の試験方法、JAFユーザーテストの実験をもとに、正しい位置と調整のしかたを整理します。

📋 この記事の要点

✔ 保安基準第22条の4は、運転者席とこれと並列の座席に、追突時に頭部の過度の後傾を抑える頭部後傾抑止装置(ヘッドレスト)を備えることを求めている

✔ 東京労働局の資料では、適正位置は「頭を後ろに傾けても上に乗り上げない高さ」「後頭部にできるだけ近い位置」「ヘッドレストの中心が両耳のいちばん上のあたり」

✔ ITARDAの分析(2007年)では、頸部の無傷率は、適正位置で16.7%、そうでない場合で7.4%

✔ JAFの実験(2006年)では、最下部にセットしたヘッドレストで、頭と胴体がずれて動き、首への負担が大きかった

✔ 位置の表現は資料によって異なる。最終的には、取扱説明書の指示に従う

1. ヘッドレストの役割と、法令上の位置づけ

追突されると、体は座席に押されて前へ動きますが、頭は遅れて動くため、首に大きな力がかかります。ヘッドレストは、この頭の動きを受け止めて、首への負担を減らす装備です。保安基準は、次のように定めています。

⚖️ 道路運送車両の保安基準 第22条の4(頭部後傾抑止装置等)の要旨

対象の自動車の座席のうち運転者席及びこれと並列の座席には、他の自動車の追突等による衝撃を受けた場合に、乗車人員の頭部の過度の後傾を有効に抑止し、かつ、乗車人員の頭部等に傷害を与えるおそれの少ないものとして、告示で定める基準に適合する頭部後傾抑止装置を備えなければならない。ただし、座席自体が同等の性能を有するときは、この限りでない(対象外となる自動車の規定もある)。

📊 ヘッドレスト(頭部後傾抑止装置)の位置づけ

項目 内容 出典
条文が対象とする座席 運転者席及びこれと並列の座席(前席) 保安基準第22条の4
装置の目的 追突等の衝撃で乗車人員の頭部が過度に後ろへ傾くのを抑える 保安基準第22条の4
後席のヘッドレスト 条文が対象とするのは運転者席とこれと並列の座席。後席の使い方は取扱説明書に従う 車種の取扱説明書

⚠️ 注意

ヘッドレストを取り外したまま運転しないようにしましょう。保安基準は、対象の座席に頭部後傾抑止装置を備えることを求めています。清掃などで外したときは、必ず取り付けてから走行してください。

2. 正しい位置の目安

東京労働局(厚生労働省)の資料「ヘッドレストを適正位置に設定して追突され事故の被害を軽減しましょう!」では、適正位置を次のように説明しています。

📊 ヘッドレストの適正位置の目安

確認するところ 目安(東京労働局の資料) 別の資料での表現
高さ 頭を後ろに傾けたときに、ヘッドレストの上部に乗り上げてしまうことがない高さ。ヘッドレストの中心が両耳のいちばん上のあたりになるように 「自分の目の高さがヘッドレストの中央にくるように」と説明する記事もある(ガリバー掲載のJAFユーザーテスト紹介)
前後の距離 後頭部にできるだけ近づけた位置(前後の調整ができる場合) —
最優先で確認すること お乗りの車の取扱説明書に書かれた適正位置 車種で調整範囲が異なる

🧭 ヘッドレストの調整手順

1

座席に深く座り、正しい姿勢をとる

背もたれに背中をつけ、運転する姿勢で確認します。

2

高さを合わせる

ヘッドレストの中心が、両耳のいちばん上のあたりに来るように上下します。頭を少し後ろに倒しても、上に乗り上げない高さかを確認します。

3

前後を合わせる(調整できる車のみ)

後頭部にできるだけ近づけます。

4

がたつきや固定を確認する

調整後に、しっかり固定されているか、押して確認します。

5

取扱説明書と見比べる

車種ごとの調整方法や、適正位置の図を確認します。

💡 ポイント

運転席は、シートポジションを変えるたびに位置が変わることがあります。ドライバーが交代するとき、同乗者が乗るときにも、位置を見直す習慣をつけましょう。

3. データと実験で見る効果

ヘッドレストの位置が結果にどう影響するか、公的機関の公表内容と実験で確認できることを整理します。

📊 ヘッドレストに関する資料

資料 確認できる内容
ITARDA(交通事故総合分析センター)「イタルダ・インフォメーション」No.66(2007年)。東京労働局の資料に引用 対象にした追突事故(約12万件)の被追突車両の運転者の負傷状況は、軽症93.0%、重症0.6%、無傷6.5%。ヘッドレストが適正位置に設定されていた場合、頸部の無傷率は16.7%、そうでない場合は7.4%
NASVA(自動車事故対策機構)の後面衝突頚部保護性能試験 同じ質量の自動車が停車中の自動車に時速約36.4kmで衝突した際の衝撃(速度変化時速20.0km)を再現し、ダミーの頚部が受ける損傷を測定。12点満点で評価し、5段階のレベルで公表
JAFユーザーテスト(2006年)。ガリバーの記事が紹介 時速35kmで追突を再現。ヘッドレストが最下部にあると、頭が後ろに倒れ、その反動で前に戻り、胴体と頭がずれて動くため、首に負担がかかった。適正位置では、体と頭が同じタイミングで動いた

📌 補足

上の数値は、それぞれの調査・試験の条件での結果です。個々の事故で、どの程度軽減できるかを保証するものではありません。ヘッドレストの位置を適切にすることで、ケガを防ぐ可能性が上がる、というのが東京労働局の資料の説明です。

⚠️ 注意

追突されたあとは、その場で痛みがなくても、体の異変が出ることがあります。事故のあとに首や肩の違和感がある場合は、医療機関で診てもらってください。

4. 座席ごとの確認と、日常のチェックリスト

📊 座席ごとの確認ポイント

座席 確認のタイミング 確認すること
運転席 乗車のたび、運転姿勢を変えたとき 耳の上端付近の高さ、後頭部との距離、固定
助手席 同乗者が替わるたび 同乗者の体格に合わせた高さと前後位置、固定
後席(車種による) 人を乗せるとき、清掃で取り外したあと 取扱説明書の使い方に従い、取り付けと高さを確認

📝 ヘッドレストのチェックリスト

☑️ ヘッドレストが取り付けられている

☑️ 中心が両耳のいちばん上のあたりに来ている

☑️ 頭を少し後ろに倒しても、ヘッドレストの上に乗り上げない

☑️ 後頭部との距離をできるだけ近づけた(調整できる車)

☑️ 調整後に、がたつきがない

☑️ 同乗者にも、乗るときに確認してもらう

☑️ 取扱説明書の調整方法を確認した

📌 補足

上記は2026年9月25日に確認した内容です。

5. よくある質問

Q. ヘッドレストの高さは、どこに合わせればよいですか?

A. 東京労働局の資料では、頭を後ろに傾けても上に乗り上げない高さで、中心が両耳のいちばん上のあたりに来るようにとされています。目の高さを目安にする説明もあります。最終的には取扱説明書に従ってください。

Q. 後頭部との距離は、どれくらいがよいですか?

A. 東京労働局の資料は「後頭部にできるだけ近づけた位置」としています。具体的な距離の数値は、この記事では確認できていません。車種の取扱説明書を確認してください。

Q. ヘッドレストを外して運転してもよいですか?

A. 保安基準第22条の4は、運転者席とこれと並列の座席に頭部後傾抑止装置を備えることを求めています。外したままにせず、必ず取り付けて走行してください。

Q. 位置を合わせるだけで、どのくらい効果がありますか?

A. ITARDAの分析では、適正位置の場合の頸部の無傷率は16.7%、そうでない場合は7.4%でした。ただし、事故の条件で結果は異なり、効果を保証するものではありません。

まとめ

ヘッドレストは、頭を休めるためではなく、追突されたときに頭が過度に後ろへ傾くのを抑える安全装備です。東京労働局の資料では、適正位置は、上に乗り上げない高さで、中心が両耳のいちばん上のあたり、後頭部にできるだけ近い位置とされています。ITARDAの分析でも、適正位置のほうが頸部の無傷率が高い結果でした。乗るたびに位置を確認し、取扱説明書に従って調整しましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。ヘッドレストの調整方法・位置の目安は、車種によって異なります。詳細は、お乗りの車の取扱説明書でご確認ください。事故後の体調に不安がある場合は、医療機関にご相談ください(2026年9月25日確認)。

アイキャッチ画像: Headrest by Michael Sheehan, CC BY 2.0

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