膨らんだバッテリーをハサミで切ってガス抜きは絶対NG!安全な対処法とは?

スマートフォンやモバイルバッテリーのバッテリーが膨らんだとき、インターネットには「ハサミで切ってガスを抜く」といった自己流の対処が出回っています。しかし、NITE(製品評価技術基盤機構)は、膨らんだリチウムイオン電池の内部には可燃性ガスがたまっており、強い外力を加えると発火するおそれがあると注意喚起しています。この記事では、NITE・JBRC・JAFの公開情報をもとに、やってはいけない対処、気づいたときの手順、回収・処分の考え方、そしてクルマの12Vバッテリーが膨らんだ場合を整理しました。

📋 この記事の要点

✔ NITEによると、膨らんだリチウムイオン電池の内部には可燃性ガスがたまっている。強い外力を加えると可燃性ガスが噴き出し、発火するおそれがある

✔ NITEの事故事例には、膨らんだモバイルバッテリーを押し込んで元に戻そうとして外力が加わり、内部ショートして発火したものがある(2021年9月)

✔ 充電できない、充電中に以前より熱い、膨らんで変形している、衝撃で変形した、不意に電源が切れる、といった異常を見つけたら、すぐに充電・使用を中止し、販売店や製造・輸入事業者に相談する(NITE)

✔ JBRC(小型充電式電池のリサイクル)の回収対象外には、破損・膨張した電池が含まれる。処分は、メーカーまたは自治体に相談する

✔ クルマの12Vバッテリーの膨らみは、内部でガスが発生しているサイン(JAF)。早めに点検を受ける

1. なぜ、膨らんだバッテリーを切ってはいけないのか

リチウムイオン電池は、正極板と負極板をセパレーターで隔てた構造で、何らかの理由で両者が電気的につながる「内部ショート」が起きると、異常発熱や発火につながります(NITE)。膨らんだ電池の内部には可燃性ガスがたまっているため、強い力が加わることが特に危険です。

📊 膨らんだバッテリーへの「やってはいけない対処」(出典:NITE、JBRC)

やってしまいがちな対処 危険な理由・公的資料の記述 取るべき行動
ハサミ・針などで切る、穴を開けてガスを抜く 膨らんだ電池の内部には可燃性ガスがたまっている。強い外力を加えると、可燃性ガスが噴き出して発火するおそれがある(NITE) 絶対にしない。使用を中止し、販売店・事業者に相談する
膨らんだ部分を押し込んで元に戻す NITEの事故事例で、押し込もうとして外力が加わり、内部ショートして発火した例がある(2021年9月) 触らず、衝撃を与えない
そのまま充電・使用を続ける 充電中に以前より熱くなる、膨らんで変形するなどの異常があれば、すぐに充電・使用を中止する(NITE) 充電器から外し、使用をやめる
暑い車内・直射日光の場所に置く 高温下では熱の影響で異常な反応が起き、発熱・破裂・発火するおそれ。夏場に高温の車内へ放置して発火した事故がある(NITE) 高温になる場所に置かない
普通のごみに混ぜて出す NITEは、ごみ収集車での発火・破裂、ごみ処理施設での発火の映像資料を公開している。膨張・破損した電池の出し方は、自治体・事業者の案内に従う 自治体・メーカーの案内を確認
自分で分解して電池を取り出す JBRCは、モバイルバッテリーは本体のまま回収するため、分解して電池を取り出さないよう案内している 分解しない

📌 補足

冷凍庫に入れる、水に浸すといった自己流の処置について、NITE・環境省などの公的資料で推奨されている記載は確認できていません。膨らみに気づいたときは、自己判断で処置せず、事業者・自治体の案内に従ってください。

2. 膨らみ・異常に気づいたときの手順

🧭 膨らんだバッテリーを見つけたときの流れ

1

充電・使用を止める

充電中なら充電器から外し、機器の電源を切ります。異常を見つけたら、すぐに充電・使用を中止します(NITE)。

2

押さない・潰さない・落とさない

膨らんだ電池には、可燃性ガスがたまっています。強い外力を加えないようにします(NITE)。

3

高温の場所・可燃物から離す

直射日光の当たる場所や、暑い日の車内などの高温下には置きません(NITE)。

4

販売店・製造/輸入事業者に相談する

購入した販売店や製造・輸入事業者に相談します。リコール対象の場合は、異常がなくても直ちに使用を中止します(NITE)。

5

処分は、事業者・自治体の案内に従う

破損・膨張した電池は、JBRCの回収対象外です。メーカーまたは自治体に、出し方を相談します。

⚠️ 注意

煙・炎が出ている、強い異臭がするなどの場合は、近づかず、身の安全を第一に119番通報してください。発火したときの対応は、この記事の後半と、関連記事「バッテリーが爆発する原因とは?」で解説しています。

3. 異常のサインと、対象になる製品

📊 異常のサインと対応(出典:NITE 製品安全情報マガジン Vol.481)

異常のサイン(NITE) 見つけたときの行動
充電できない 充電・使用を中止し、販売店・事業者に相談
充電中に以前よりも熱くなる 充電・使用を中止し、販売店・事業者に相談
膨らんで変形している 充電・使用を中止。押さない。販売店・事業者に相談
落とす・ぶつけるなど強い衝撃で、一部が変形している 充電・使用を中止し、販売店・事業者に相談
不意に電源が切れる 充電・使用を中止し、販売店・事業者に相談

NITEによると、リチウムイオン電池搭載製品の事故は、モバイルバッテリーが最も多く、そのほか電動アシスト自転車、充電式掃除機、充電式電動工具、ポータブル電源などで多く報告されています。スマートフォンを含め、充電して繰り返し使う製品は、いずれも同じ注意が必要です。

💡 ポイント

リコール対象品による事故も多く報告されています。NITEの「NITE SAFE-Lite」や、消費者庁のリコール情報サイトで、お持ちの製品がリコール対象かどうかを確認できます。

4. 回収・処分の考え方

📊 回収・処分の整理(出典:JBRC「排出方法(回収対象、対象外説明)」)

項目 JBRC(小型充電式電池のリサイクル)の案内 ポイント
回収の対象 JBRC会員企業の製品で、電池の種類が明確で、破損・水濡れ・膨張などの異常がない電池 協力店・協力自治体の検索ができる
回収できない電池 破損・膨張した電池、解体された電池パック、電池パックから取り出された電池、水濡れ電池 該当する場合は、メーカーまたは自治体に相談
モバイルバッテリー 携帯電話・スマートフォンへの充電を主機能とするものは本体回収。分解して電池を取り出さない 分解は絶対にしない
回収対象外の例 自動車用電池(二輪バイク用含む)、携帯電話用電池(通信会社で回収)、加熱式タバコ、ポータブル電源(AC100V出力付)など 製品ごとの回収窓口を確認

環境省は、市区町村向けに「リチウム蓄電池等の適正処理に関する方針と対策集」(2025年3月31日)を公表しています。回収方法は自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村の分別ルール(ごみ・資源の案内、窓口)を確認してください。

⚠️ 注意

出し方は、自治体・製品・事業者で異なります。この記事は一般的な情報です。個別の処分方法は、お住まいの自治体の窓口や製品メーカーに確認してください。

5. クルマの12Vバッテリーが膨らんだ場合

スマートフォンなどの電池と、クルマの12Vバッテリーは別のものです。クルマの12Vバッテリーについては、JAFが次のように案内しています。

📊 クルマの12Vバッテリーの膨らみ(出典:JAF、国土交通省、JBRC)

項目 内容(JAF・国土交通省)
膨らみのサイン バッテリー本体の側面や底の膨らみは、内部でガスが発生しているサイン。放置すると液漏れにつながり、電装系のトラブルを引き起こすおそれがある(JAF)
交換の目安 一般的なガソリン車は2〜5年。アイドリングストップ車は2〜3年。ハイブリッド車・電気自動車の補機バッテリー(12V)も2〜5年程度(JAF)
交換が必要なサイン エンジンのかかりが悪くなった、アイドリングストップの作動頻度が減った、外観の異常(膨らみ・端子周りの白い粉)、前回の交換から2〜3年以上(JAF)
バッテリ液の取り扱い バッテリ液は腐食性が強く、体・衣服・車体に付着しないよう注意。液量がLOWER以下で使用すると、破裂(爆発)のおそれがあり、規定の範囲まで精製水を補充する(国土交通省 日常点検)
廃バッテリー JAFは廃バッテリーの引き取り(回収)を行っていない(JAF)。自動車用電池はJBRCの回収対象外

6. 事故を防ぐチェックリスト

📝 リチウムイオン電池搭載製品の使い方チェックリスト

☑️ 購入前に、販売事業者の連絡先(電話番号・住所)やリコール情報を確認した

☑️ お持ちの製品がリコール対象でないか、NITE SAFE-Liteなどで確認した

☑️ 暑い日の車内や直射日光の当たる場所に置いていない

☑️ 落とす・ぶつけるなど、強い衝撃を与えていない

☑️ 充電・使用中は、ときどき様子を見て、熱さや膨らみを確認している

☑️ 異常があれば、すぐ使用を止め、販売店・事業者に相談する

☑️ 不要になったら、メーカー回収や自治体の分別方法を確認して処分する

7. よくある質問

Q. 膨らんだバッテリーを、ハサミで切ってガスを抜いてもいいですか?

A. いいえ。NITEによると、膨らんだ電池の内部には可燃性ガスがたまっており、強い外力を加えると可燃性ガスが噴き出して発火するおそれがあります。切る・穴を開ける・押し込むといった処置はしないでください。

Q. 膨らんだモバイルバッテリーは、どこに出せばいいですか?

A. JBRCの回収対象外(破損・膨張した電池)です。製品のメーカー、または、お住まいの自治体に出し方を相談してください。自治体ごとに回収方法が異なります。

Q. しばらく使っても大丈夫なほどの軽い膨らみでも、使用を止めるべきですか?

A. NITEは、膨らんで変形している場合はすぐに充電・使用を中止し、販売店・事業者に相談するよう案内しています。膨らみの程度で使用可否を判断せず、使用を止めてください。

Q. クルマのバッテリーが膨らんでいたら、どうすればいいですか?

A. JAFによると、12Vバッテリーの膨らみは内部でガスが発生しているサインで、放置すると液漏れなどにつながります。早めに、販売店・整備工場・カー用品店などで点検を受けてください。

まとめ

膨らんだリチウムイオン電池の内部には可燃性ガスがたまっており、ハサミで切る・押し込むなどの処置は発火の危険があります。異常に気づいたら、すぐに充電・使用を止め、販売店や事業者に相談し、処分はメーカー・自治体の案内に従いましょう。クルマの12Vバッテリーの膨らみも、内部でガスが発生しているサインです。早めに点検を受けてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。

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