厳冬期の車内温度はどこまで下がる?JAF実測データと車中泊の注意点

雪道で車が動けなくなり、車内で夜を明かすことになったら、車内の温度はどこまで下がるのでしょうか。JAFは2014年2月、長野県の菅平高原で、エンジンを止めた車内で8時間過ごせるかを実際にテストしています。この記事では、JAFが公表しているテスト条件と結果を整理し、エンジンをかけて暖をとる場合の一酸化炭素(CO)の危険を、JAFの別の実験データとあわせて解説します。

📋 この記事の要点

✔ JAFのテストは、2014年2月4日23時〜5日7時に長野県上田市の菅平高原で実施。外気温は開始時−10.2℃、最低−13.2℃、終了時−12.9℃

✔ エンジンを止めて1時間後に車内温度は15℃以上低下し、3時間で氷点下に。終了時の車内は−7℃(JAF)

✔ 「対策なし」は2時間45分、「エマージェンシーシート」は5時間27分でギブアップ。「毛布+使い捨てカイロ」「冬山用寝袋」は8時間を耐えた

✔ エンジンをかけて暖をとると、マフラーが雪で埋まったときにCOが短時間で危険な濃度に。JAFの別テストでは16分で400ppm、その後6分で測定上限の1,000ppm

✔ ミニバン2台・モニター4名の結果であり、車種・服装・天候・個人差で変わる。安全を保証する数字ではない

1. JAFテストの条件と、車内温度の下がり方

JAFは、吹雪や豪雪で車が立ち往生し、長時間車内に取り残される事例を背景に、エンジンを止めたまま寒さをしのげる対策があるのかを検証しました。排ガスによる一酸化炭素中毒やガス欠の危険を考えると、エンジンは止めたまま寒さをしのぐ対策が必要だという考え方です。

📊 JAFユーザーテスト「冬の車内温度」の条件(JAF公式サイトより)

項目 内容
実施日時 2014年2月4日(火)23時〜5日(水)7時(8時間)
場所・天候 長野県上田市 菅平高原のホテル駐車場。天候は雪
気温 テスト開始時−10.2℃、最低気温−13.2℃、テスト終了時−12.9℃
車両 ミニバン2台。1号車に「対策なし」「毛布+使い捨てカイロ」、2号車に「冬山用寝袋」「エマージェンシーシート」のモニターが乗車
モニター 20代〜30代の4名。服装は、上はダウンジャケット、下はジーンズで統一
進め方 エンジンを止めた状態で8時間。30分ごとに、続けられるかどうかの意思を確認。開始直前まで、エンジンをかけて車内を25℃に設定

📊 エンジン停止後の車内温度の変化(JAF公式サイトより)

経過 車内温度・外気温 備考
エンジン停止直前 車内25℃(エアコンで設定)。外気温は−10.2℃ ここから計測を開始
停止から1時間後 車内温度が15℃以上低下 25℃から15℃以上下がった状態(JAF)
停止から3時間後 車内温度が氷点下に JAFのQ&Aによる
テスト終了時 車内−7℃(「毛布+使い捨てカイロ」「寝袋」の車内。外気温は−12.9℃) 車内の温度は外気温に近づいていく傾向

📌 補足

このテストは2014年に、ミニバン2台と4名のモニターで行われたものです。ギブアップは、30分ごとの意思確認で本人が申告した結果です。車種・服装・天候・個人差で結果は変わるため、目安として読んでください。

2. 4つの対策の結果

JAFは、対策の異なる4つの方法を比べました。結果は次のとおりです。

📊 対策別の結果(JAFユーザーテストより)

対策 結果 終了時の外気温/車内温度 モニターのコメント(JAFの要約)
1. 対策なし 2時間45分でギブアップ −11.1℃ / 1.8℃ エンジンを切って30分ほどでかなり寒くなり、足先の感覚がなくなってきた
2. 毛布+使い捨てカイロ 8時間完了(無事終了) −12.9℃ / −7℃ カイロがあったから朝まで過ごせた。午前1時ごろから冷え込み、特に足と鼻がつらかった
3. 寝袋(冬山用) 8時間完了(無事終了) −12.9℃ / −7℃ 朝方になってかなり寒さを感じた。冬の車中泊は難しいと思った
4. エマージェンシーシート 5時間27分でギブアップ −12℃ / −3.9℃ 初めは暖かかったが、シートで覆えない顔や足先が冷えた。最初にかいた汗も冷えてきた

※表は横にスクロールできます

💡 JAFのまとめ

「寝袋」と「毛布+使い捨てカイロ」で、なんとか一晩耐えることができました。「エマージェンシーシート」では十分な暖かさが得られず、通気性がないぶん汗をかいて冷えにつながったとJAFは説明しています。

⚠️ 「耐えられた」は「快適」ではありません

寝袋や毛布+カイロを使ったモニターも、朝方や午前1時ごろからの冷え込みをつらいと感じています。JAFは、厳冬期の車内を、荒天時に天候の回復や救援を待つ場所として考えています。車中泊を目的に厳冬期の雪山へ行くことを勧める内容ではありません。

3. エンジンをかけて暖をとる危険:一酸化炭素(CO)

JAFのテスト背景にもあるとおり、エンジンをかけると暖房は使えますが、雪でマフラーが埋まると排ガスが車内に入り込むおそれがあります。JAFは、雪に埋まった車のCO濃度を測る実験を別に行っています。

📊 雪に埋まった車の車内環境(JAFユーザーテストより)

実験 条件 結果
JAF 2015年2月16日(北海道旭川市)対策なし 同じ2台のうち1台は対策なし。マフラーの高さ〜ボンネットの上まで雪で覆った。エアコンは外気導入 開始直後から濃度が上昇。16分後に短時間暴露限度の400ppm、その後6分で測定上限の1,000ppmに達した
同・マフラー周辺を除雪 同じ条件で、マフラー周辺を除雪 終始ほとんど検知されなかった
同・窓を5cmほど開けた 窓を5cmほど開けてテスト 5分で100ppm台に上昇。約40分後に400ppm、その後すぐ800ppm台に
JAF 2021年2月(山形県)ガソリン車 雪で埋め、周囲はドアハンドル付近まで。内気循環・25℃設定で60分(乗員なし) CO濃度は1分24秒で警報値の50ppmに。18〜50分は測定上限の300ppm。酸素濃度も13分14秒で安全限界の18%に達し、35分後に13.2%まで低下
同・電気自動車 同じ条件で運転席に1名乗車 二酸化炭素濃度は人体に影響があるとされる0.1%を超えず、体調変化もなし

⚠️ 「今回は大丈夫だった」は安全の証明ではありません

JAFは、車の周囲の状況、風向き、エアコンの設定などで結果が変わるため、今回安全だった条件でも危険になる場合があると説明しています。発煙筒で確認したところ、床下にたまった排ガスが車内に吸い込まれ、エアコンが内気循環でも車体の隙間から排ガスが入る危険があるとされています。

🧭 どうしてもエンジンをかける場合の注意(JAFの解説にもとづく整理)

1

マフラー周辺の雪を取り除く

JAFのテストでは、マフラー周辺を除雪した車のCO濃度はほとんど上がりませんでした。

2

雪が降り続くときは繰り返す

JAFは「頻繁な換気やマフラー周りの除雪」が必要としています。一度除雪しても、雪が降り続けば再び埋まるおそれがあります。

3

換気だけに頼らない

窓を5cmほど開けたテストでも、約40分後に400ppmに達しています。

4

体調の変化に注意する

CO中毒は、軽いうちは頭痛や疲労感、進むと激しい頭痛・めまい・吐き気が出るとされます(JAF)。異変を感じたらエンジンを止めて換気し、必要に応じて救急(119番)へ連絡してください。

📌 補足

電気自動車は排気ガスが出ないためCO中毒の心配はありませんが、JAFは、車の周囲が雪で埋もれるとドアが開かなくなったり、道路が通れるようになってもすぐ動かせなくなったりするため、こまめな除雪が欠かせないとしています。

4. 雪道に出かける前の備え

JAFの2021年のテストのまとめでは、電気自動車・ガソリン車を問わず、降雪地域へ行く場合は、除雪用のスコップや防寒具などを車内に備えておくとよいとされています。2014年の車内温度のテストと合わせると、次のような備えが考えられます。

📊 雪道に出かける前の備え(JAF・警察庁「交通の方法に関する教則」より)

備えるもの 理由・根拠
毛布・使い捨てカイロ 2014年のテストで、8時間を耐えることができた対策の一つ(ただし午前1時ごろから足と鼻が冷えたとの声)
冬山用寝袋 同じく8時間を耐えた対策。ただし、朝方に寒さを感じたとのコメントがある
防寒着(ダウンジャケット等) テストのモニターも、上はダウンジャケット、下はジーンズの服装で臨んでいる。JAFも防寒具を車内に備えるよう提言
除雪用スコップ マフラー周辺や車の周囲の除雪に使う。JAFも備えを提言
冬用タイヤ・タイヤチェーン 交通の方法に関する教則では、雪道や凍結路では滑り止め装置を着けるか、雪路用タイヤを着けるよう示されている

💡 エマージェンシーシートの位置づけ

エマージェンシーシートは、体温保持のために使う薄くて軽いアルミシートです。JAFのテストでは、単独で使った場合は5時間27分でギブアップしました。ほかの防寒との組み合わせの効果は、このテストでは検証されていません。

📝 出発前のチェックリスト

☑️ 出発前に、天気予報と道路・交通情報を確認した

☑️ 冬用タイヤ(またはタイヤチェーン)を装着・携行した

☑️ 除雪用スコップを積んだ

☑️ 毛布・使い捨てカイロ・防寒着を積んだ

☑️ 燃料(電気自動車は充電残量)に余裕がある(一般的な備え)

☑️ スマートフォンの充電など、連絡手段を確保した(一般的な備え)

☑️ 目的地・ルート・帰宅予定を、家族などに伝えた(一般的な備え)

5. 立ち往生したときの考え方

🧭 立ち往生したときの流れ(JAFの解説にもとづく一般的な整理)

1

安全を確保して、状況を伝える

後続車に追突されない位置かを確認し、ハザードランプをつけます。JAFのロードサービスや、必要に応じて110番・119番に連絡します。道路の異状は、国土交通省の道路緊急ダイヤル(#9910、24時間受付・無料)でも受け付けています。

2

車内で待つ場合は、エンジンを止めることが基本

JAFは、CO中毒やガス欠の危険を考え、エンジンを止めたまま寒さをしのぐ対策が必要としています。外より車内のほうが温度が高いため、荒天時は無理に外に出ず、車内で天候の回復や救援を待つよう案内しています。

3

体を冷やさない工夫をする

毛布や使い捨てカイロ、寝袋が有効でした。足先と顔が冷えやすいとのモニターの声もあります。汗をかくと冷えにつながるため、動きすぎには注意が必要です(JAFのエマージェンシーシートの検証より)。

4

どうしてもエンジンをかける場合は、除雪と換気を徹底する

マフラー周辺の雪を頻繁に取り除き、車内の様子(頭痛・吐き気・眠気など)にも注意します。

5

同乗者と体調を確認し合う

CO中毒は無色・無臭・無刺激のため気づきにくいとされます。異変があれば、エンジンを止めて換気し、救急を要請します。

⚠️ 命に関わる場面では、公的機関・JAFの案内を優先してください

ここで紹介したのは、JAFが特定の条件で行った実験の結果です。実際の状況(積雪量、風、車種、同乗者の体調など)は一つひとつ異なります。判断に迷うときは、JAF・警察・消防・道路管理者の案内を優先してください。

6. よくある質問

Q. 冬の車中泊は、毛布やカイロがあればできますか?

A. JAFのテストでは、毛布+使い捨てカイロや冬山用寝袋で8時間を耐えることができました。ただし、モニターは午前1時ごろや朝方の冷え込みをつらいと感じており、寝袋のモニターは冬の車中泊は難しいと感じたとコメントしています。JAFは、厳冬期の車内を、荒天時に天候の回復や救援を待つ場所として考えています。

Q. エンジンをかけたまま、暖房で過ごしてもよいですか?

A. JAFは、CO中毒やガス欠の危険を考え、エンジンを止めたまま寒さをしのぐ対策が必要としています。どうしてもかける場合は、頻繁な換気とマフラー周りの除雪が必要です。JAFの実験では、マフラー周辺が雪で覆われると、16分で400ppm、その後6分で測定上限の1,000ppmに達しました。

Q. 窓を少し開けておけば、COは心配ありませんか?

A. JAFの実験では、窓を5cmほど開けた場合でも、約40分後に400ppm、その後すぐ800ppm台に上昇しました。車の周囲の状況や風向きで結果は変わるため、換気だけで安全とは言えません。

Q. 電気自動車なら、雪に埋まっても安心ですか?

A. JAFの2021年のテストでは、電気自動車の車内で二酸化炭素濃度が人体に影響があるとされる0.1%を超えず、体調変化もありませんでした。ただし、雪でドアが開かなくなったり、すぐ動かせなくなったりするおそれがあるため、こまめな除雪と防寒の備えが必要です。

まとめ

JAFのテストでは、エンジンを止めた車内の温度は、1時間で15℃以上下がり、3時間で氷点下になりました。8時間を耐えられたのは「毛布+使い捨てカイロ」と「冬山用寝袋」で、「対策なし」は2時間45分、「エマージェンシーシート」は5時間27分でギブアップしています。エンジンをかけて暖をとる場合は、マフラーが雪で埋まると短時間でCOが危険な濃度になるため、除雪と換気が欠かせません。雪道に出かけるときは、スコップ・防寒着・毛布などを車内に備え、車内は救援や天候の回復を待つ場所と考えましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。

参考: JAF「クルマ何でも質問箱」厳冬期の自動車の室内はどのくらい温度が低くなりますか?(JAFユーザーテスト「車内温度/冬」)

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