台風が過ぎたあと、車に目立った傷がなくても、強風・飛来物・冠水路の走行などで、見えない不具合が出ていることがあります。この記事では、浸水していない場合を中心に、国土交通省の「日常点検15項目」やJAFの案内をもとに、通過後の点検の順番とチェックポイントを整理しました。なお、浸水した車は、点検の前に「まず触らない」が原則です(国土交通省・JAF)。
📋 この記事の要点
✔ 水に浸った車は、外観に問題がなさそうでも感電や車両火災のおそれがあるため、自分でエンジンをかけず、販売店か整備工場に相談する(国土交通省)
✔ タイヤの半分以下の水位の冠水路でも、走行後にパーキングブレーキが固着することがある(JAFロードサービス隊員の話)
✔ 国土交通省の日常点検は15項目。タイヤは空気圧・亀裂や損傷・溝の深さを見る。スリップサインは、溝の深さが1.6mm以下になると現れる
✔ ワイパーゴムの交換目安は半年〜1年ごと、ブレード(金具)は1〜2年ごと(JAF Mate)
✔ 停電で信号機が消えている交差点では、警察官の手信号に従う。警察官がいない場合は、手前で徐行か一時停止をして安全を確認する(警視庁・県警)
📑 目次
1. 最初に決めること:浸水したかどうか
通過後の点検は、車が水に浸かったかどうかで進め方が大きく変わります。浸水した場合は、エンジンをかける前に、次の表で対応を確認してください。
📊 浸水の有無による、最初の対応
| 状況 | まずやること | 根拠 |
|---|---|---|
| 車内やエンジンルームまで水に浸かった(冠水・水没) | エンジンをかけない。使いたい場合は、販売店か整備工場に相談する。ハイブリッド車(HV)・電気自動車(EV)は高電圧のバッテリーを積んでいるため、むやみに触らない | 国土交通省「浸水・冠水被害を受けた車両のユーザーの方へ」 |
| 海水(高潮)に浸かった | 水が引いた後も、海水の塩分による電気系統の腐食で、自然発火する可能性がある。自分で作業せず、JAFや販売店・整備工場に相談する | JAF「自動車が冠水路や高潮で浸水してしまったら?」 |
| 冠水路を走ったが、車内までは浸水していない | 早めに整備工場などで点検を受ける。タイヤの半分以下の水位でも、パーキングブレーキの固着や、後日のエンジン不調が起きることがある | JAF Mate 2026年7月30日 |
| 浸水も冠水路の走行もない(強風や飛来物のみ) | このあとの、外まわり→下まわり→始動後の順に確認する | 国土交通省「日常点検」 |
⚠️ バッテリー端子について
国土交通省のページは、使用するまでの間、発火のおそれがあるためバッテリーのマイナス側の端子を外し、外した端子がバッテリーと接触しないよう絶縁するよう案内しています。一方、JAFのQ&Aは、自分でバッテリーを外そうとせず、JAFや販売店・整備工場に相談するよう案内しています。公的な案内でも表現が異なるため、判断に迷う場合は、まず専門家に相談してください。
2. 外まわりのチェック
明るいうちに、車の周りを一周して確認します。国土交通省の日常点検では、ランプ類・ワイパー・タイヤが対象に含まれています。
📊 外まわりの確認項目
| 箇所 | 見るポイント | 異常があったら |
|---|---|---|
| ボディ・ルーフ・ボンネット | 飛来物によるキズ・へこみ。普段見えにくいルーフやボンネットも見る | 写真を撮っておく。台風の飛来物による損害は、車両保険の対象になる場合がある(保険の記事を参照) |
| ガラス | ヒビ・欠け | 整備工場やガラス店に相談する |
| ランプ類 | ヘッドランプ・ウインカー・ブレーキランプ・テールランプの点灯。レンズの汚れや損傷、反射器の汚れ(国土交通省) | 球切れやレンズの割れは、整備工場で対応を相談する |
| ワイパー・ウォッシャー | 低速・高速の作動が不良でないか、拭き取れるか。ウォッシャー液の量と噴射の向き・高さ(国土交通省)。ブレードの曲がりや、フレームのさび・がたつき(JAF Mate) | 拭き残し・ビビリ音・筋状の跡が出たら交換のサイン。ゴムは半年〜1年、ブレードは1〜2年が目安(JAF Mate) |
| タイヤ | 亀裂・損傷、釘や石などの異物。空気圧。溝の深さ(国土交通省) | 釘や石などの異物に気付かず走行すると、パンクやバーストの危険がある(国土交通省)。異物が取れない場合や空気が減る場合は整備工場へ。スリップサインが出ていたら交換 |
| 室内 | フロアやシートの下がぬれていないか、においがないか | 浸水の形跡があれば、エンジンをかけず、販売店・整備工場へ相談する |
✅ チェック
タイヤの溝は、スリップサイン(ウェア・インジケータ)で確認できます。国土交通省は、溝の深さが1.6mm以下になるとスリップサインが現れ、雨天時にはスリップしやすく危険なため、現れたら交換するよう案内しています。
3. 下まわりと足まわりのチェック
JAFのロードサービス隊員によると、冠水路に入ると水の抵抗で、アンダーカバーやバンパーなどが外れてしまうことがあります。また、冠水すると縁石や側溝が見えなくなるため、縁石にタイヤをぶつけてパンクしたり、側溝や用水路に落輪したりするトラブルも多くなるとのことです。
📊 下まわり・足まわりの確認項目
| チェック | 内容 | 異常のときの対応 |
|---|---|---|
| アンダーカバー・バンパー | 下がり、ぐらつき、脱落がないか | 走行前に整備工場へ相談。ぶら下がったまま走ると危険 |
| タイヤ・ホイール | 縁石にぶつけた傷、サイドウォールの亀裂・損傷(国土交通省) | 見た目に異常がなくても、走行後の空気圧低下に注意し、不安があれば点検を受ける |
| 異物の挟まり | 風で飛んできた枝や小石が、下まわりに挟まっていないか(可能な範囲で目視) | 無理に手を入れず、取れない場合は整備工場へ相談 |
| パーキングブレーキ | ワイヤー式の場合、後輪のブレーキ部が水に浸かると、乾いたときに固着して走行できなくなるケースがある(JAF Mate) | 冠水路を走った場合は、早めに整備工場で点検 |
4. 始動と走行前後のチェック(日常点検の視点)
外まわりに問題がなければ、エンジンをかけて、国土交通省の日常点検の項目を確認します。国土交通省は、少しでも「変だな」と感じたら、整備工場などで必ず点検整備を受けるよう案内しています。
🧭 始動から試走までの流れ
エンジンのかかりと異音を確認する
速やかに始動するか、スムーズに回転するか、始動時やアイドリング時に異音がないかを確認します(国土交通省)。
警告灯を確認する
メーターに、普段は点灯しない警告灯がついていないかを見ます。点灯したまま消えない場合は、走行を控えて整備工場へ相談します。
ブレーキペダルと駐車ブレーキを確認する
ペダルの踏みしろや踏みごたえが、いつもと違わないか。駐車ブレーキの引きしろが多すぎたり少なすぎたりしないかを見ます(国土交通省)。
液量を確認する
ブレーキ液・冷却水・エンジンオイル・バッテリー液・ウォッシャー液の量を、規定の範囲かどうかで確認します(国土交通省)。
低速で、安全な場所で走行を確認する
広い場所で低速から走り、ブレーキの効き、ハンドルの違和感、異音がないかを確かめます。違和感があれば、そのまま走行を続けず、整備工場へ相談します。
📝 点検チェックリスト
☑️ 車の周囲を一周し、キズ・へこみ・ガラスのヒビを確認した
☑️ ランプ類が点灯し、レンズに損傷がない
☑️ ワイパーが拭きムラなく作動し、ウォッシャー液が出る
☑️ タイヤに亀裂・損傷・異物がなく、空気圧と溝が適正
☑️ アンダーカバー・バンパーにぐらつきや脱落がない
☑️ 車内・フロアがぬれていない
☑️ エンジンのかかりが良く、異音・警告灯の点灯がない
☑️ ブレーキペダルの踏みごたえがいつもどおり
☑️ 冠水路を走った場合は、整備工場で点検を受ける予定を入れた
5. 走行を再開するときの道路事情
台風のあとは、信号機が消えていたり、道路が冠水していたりすることがあります。点検が済んだあとも、走行を再開するときは次の点に注意してください。
📊 走行再開時の注意
| 状況 | 対応 | 出典 |
|---|---|---|
| 停電などで信号機が消えている | 警察官がいる場合は、手信号に従う(警視庁)。警察官の手信号は、正面と背中が赤信号、体の左右が青信号 | 警視庁「手信号による交通整理」 |
| 信号機が消えていて、警察官がいない | 交差点の手前で徐行か一時停止を確実に行い、周囲の車両や歩行者を確認した上で、安全な速度で通行する | 富山県警察・沖縄県警察 |
| 道路が冠水している | 水深が分からないため、進入せず迂回する。アンダーパスや高架下など低い場所は特に避ける | JAF |
⚠️ 注意
JAFのロードサービス隊員は、現場に着いたときは膝までだった水位が、説明している間に腰下まで上がったこともあり、雨が上がると数分〜数十分で水が引くこともあると話しています。「大丈夫だろう」という思い込みは禁物です。
- 国土交通省「日常点検」(自動車総合安全情報)
- 国土交通省「浸水・冠水被害を受けた車両のユーザーの方へ」
- JAF「台風・大雨時のクルマに関する注意点」
- JAF「自動車が冠水路や高潮で浸水してしまったら?」
- JAF Mate「豪雨で多発するクルマの故障と走行NGの判断基準とは?」
- JAF Mate「ワイパー劣化の5大サイン」
- 警視庁「手信号による交通整理」
6. よくある質問
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まとめ
台風通過後は、まず車が浸水していないかを確認し、浸水した車にはエンジンをかけないのが原則です。浸水していない場合も、外まわり、下まわり、始動後の順に、国土交通省の日常点検の項目で確認しましょう。冠水路を走った車は、後日に不具合が出ることもあるため、早めに整備工場で点検を受けると安心です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。


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