秋の長雨・台風シーズン前に確認したいタイヤの溝の重要性

秋は台風に加え、前線の停滞による長雨(秋雨)も増える季節です。雨の日の安全性を左右するタイヤの溝について、法律上の限度、性能が落ち始める目安、硬貨での測り方、片減り(偏摩耗)の見つけ方を、国土交通省・JAF・タイヤメーカーの情報で整理しました。

📋 この記事の要点

✔ タイヤの溝は残り1.6mmで使用限度。側面の位置表示の延長上にあるスリップサインが1か所でも露出したら、法律上そのタイヤは使えない

✔ タイヤメーカー(ヨコハマ)は、溝が4mmを切ると性能が低下し始めるとして、早めの交換を勧めている

✔ JAFのテストでは、時速100kmの濡れた路面で、溝7.6mmの新品は47.6m、溝3.1mmの摩耗タイヤは70.5mで止まった

✔ 硬貨での測定は目安にすぎない。5円玉は約4mmと約1.6mm、100円玉は5mmの目安。正確な測定は専門店で

✔ 空気圧は少なくとも月1回点検。高すぎる空気圧は偏摩耗の原因になる(JAF)

1. タイヤの溝の役割と、深さごとの目安

タイヤの溝は、路面とタイヤの間の水を逃がす(排水する)ために欠かせません。溝が浅くなると排水が追いつかなくなり、水の上をすべるハイドロプレーニング現象が起きやすくなります。まず、深さごとの目安を整理します。

📊 溝の深さと目安

溝の深さ どういう状態か 出典
約7.6mm JAFのテストに使った新品タイヤ(10分山)の平均。新品時の溝の深さは、タイヤの種類で異なる JAF Mate Online
約4.7mm JAFのテストの5分山タイヤの平均 JAF Mate Online
4mm ヨコハマタイヤの解説では、ここから性能が低下し始めるため、この段階での早めの交換が推奨されている ヨコハマタイヤ
約3.1mm JAFのテストの2分山タイヤの平均。濡れた路面での制動距離が大きく伸びた JAF Mate Online
1.6mm 法律上の使用限度。ここまで減るとスリップサインが現れる ヨコハマタイヤ、JAF Mate Online

📌 補足

ヨコハマタイヤの解説では、残り溝1.6mmのタイヤは約85km/hでハイドロプレーニング現象が発生するとされています。実際に起きる速度は、路面の水の量やタイヤの種類などで変わるため、あくまで目安と考えてください。

2. JAFのテストで見る、溝の深さと止まる距離

JAFは、新品の10分山(溝の深さ平均7.6mm)、5分山(同4.7mm)、2分山(同3.1mm)のタイヤで、乾いた路面と濡れた路面の制動距離を比べました。結果のうち、公表されている数値を表にまとめます。

📊 JAFユーザーテストの制動距離(公表数値のみ)

条件 10分山(7.6mm) 5分山(4.7mm) 2分山(3.1mm)
濡れた路面・時速60kmから 16.7m 16.7m 18.0m
濡れた路面・時速100kmから 47.6m 50.8m 70.5m
乾いた路面・時速100kmから 47.5m(10分山) 数値は確認できず 42.6m

※表は横にスクロールできます

💡 この結果から言えること

時速60kmでは差は小さい一方、時速100kmの濡れた路面では、2分山タイヤが10分山より20m以上長くなりました。乾いた路面では、濡れた路面のような大幅な悪化は見られませんでした。溝の浅さは「雨の日の高速走行」で特に影響が大きいと読み取れます。JAFのQ&Aでも、雨天時は晴天時の約4倍も事故が起こりやすいという調査結果と、降り始めは路面のホコリや泥で滑りやすい点が紹介されています。

3. 法律上の限度とスリップサインの見つけ方

📊 タイヤの溝に関する基準

項目 内容 出典
法律上の使用限度 残り溝1.6mmのタイヤは、法律で使用が禁止されている。根拠は道路運送車両の保安基準(オートバックスの解説では第9条)。スリップサインが露出したタイヤは、車検に通らない ヨコハマタイヤ、JAF Mate Online、オートバックス
スリップサインの位置 タイヤ側面の△マークなどの位置表示が指す先の、溝の中にある盛り上がり(他より1.6mm高い) ヨコハマタイヤ、オートバックス
露出したら 1か所でも露出していれば、そのタイヤは使用限度まで摩耗している ヨコハマタイヤ
スタッドレスタイヤ プラットフォーム(溝が50%以上摩耗すると露出する部分)が見えたら、冬用タイヤとしては使用できない ヨコハマタイヤ

⚠️ 注意

1.6mmは「ここを下回ったら使ってはいけない」という下限であり、「ここまでは安全」という意味ではありません。上の表のとおり、それ以前から雨天時の性能は下がっていきます。

4. 溝の測り方と、片減りの確認

📊 溝の点検方法

方法 やり方と読み方 出典
スリップサイン 側面の位置表示に合わせて、溝の中の盛り上がりが、周囲のブロックと同じ高さになっていないか確認する ヨコハマタイヤ
5円玉(夏タイヤ) 溝に差し込む。「五」の3本目の横線が見えたら残り約4mm、「五円」の文字がすべて見えたら約1.6mm ブリヂストン
100円玉 「1」の数字と接地面が平行になるように溝へ差し込む。「1」が見えなければ残り溝は5mm以上、見えていれば5mm以下。ブリヂストンはスタッドレスの目安として紹介 JAF Mate Online、ブリヂストン
溝ゲージ・専門店 正確に測るならタイヤ専用のゲージやタイヤ専門店での点検 ブリヂストン

⚠️ 硬貨は目安にすぎません

ブリヂストンは、硬貨による測定は簡易的な目安で、正確な測定ではないと説明しています。判断に迷ったときは、タイヤ専門店やガソリンスタンドなどで点検を受けましょう。

🧭 自分でできるタイヤ点検の手順

1

平らな場所に停め、タイヤ全体を見る

亀裂・傷・異物の刺さりがないかも、同時に確認します。

2

空気圧を確認する

指定空気圧は、運転席ドアの開口部のラベルか取扱説明書に書かれています。タイヤが冷えているときに測ります。

3

溝を内側・中央・外側の3か所で測る

摩耗が偏っていないかを見ます。硬貨やゲージで、それぞれの深さを比べます。

4

スリップサインを、周方向の複数個所で確認する

1か所でも露出していれば、使用限度です。

5

気になる点は専門店へ

片減り・ひび割れ・異音などは、点検を受けて原因を確認してもらいます。

📊 空気圧と、タイヤへの影響

空気圧の状態 起こりうること(JAFの解説)
低すぎる 燃費の悪化、走行安定性の低下、パンクの危険性の増加
高すぎる 直進安定性の悪化、偏摩耗の原因
点検の目安 少なくとも1か月に1回程度。タイヤが温まった直後は、高めに表示されることがある

📌 補足

国土交通省が紹介する日常点検のタイヤの項目は、空気圧の不足、亀裂・損傷、異状な摩耗、溝の深さの4点です。片減りの原因は空気圧だけとは限らないため、内側・外側で溝の深さが大きく違うときは整備工場で見てもらいましょう。

5. 秋に済ませたい点検と、交換の判断

📝 秋の長雨・台風シーズン前のタイヤチェックリスト

☑️ スリップサインが、どの位置でも露出していないことを確認した

☑️ 溝の深さを内側・中央・外側で測り、偏りがないことを確認した

☑️ 溝が4mm前後に近い場合は、交換の計画を立てた

☑️ 空気圧を、冷えた状態で指定値に合わせた

☑️ タイヤ側面や接地面に、亀裂・傷・異物がないか確認した

☑️ スタッドレスへ交換する予定がある場合、その分の残り溝も確認した

📊 結果の考え方(目安)

測定結果の目安 考え方
1.6mm(スリップサイン露出) 使用できない。すぐに交換
4mm前後まで メーカーは性能が低下し始めるとして早めの交換を推奨。雨天や高速走行が多いなら、交換を前向きに検討
それ以上 引き続き、月1回程度の空気圧点検と、溝の確認を習慣にする

6. よくある質問

Q. 残り溝は何mmで交換すればよいですか?

A. 法律上の使用限度は1.6mmで、スリップサインが1か所でも露出したら使用できません。一方、ヨコハマタイヤは4mmから性能が低下するとして早めの交換を推奨しています。走り方や雨の日の使用頻度も考えて、タイヤ専門店で相談しましょう。

Q. 100円玉や5円玉で、正確に測れますか?

A. いいえ。ブリヂストンも、硬貨での測定は簡易的な目安と説明しています。溝ゲージやタイヤ専門店での点検が確実です。

Q. スリップサインが1か所だけ出ていたら?

A. 1か所でも露出していれば、そのタイヤは使用限度まで摩耗しているとされます。走行を続けず、交換や点検を受けてください。

Q. 空気圧はどのくらいの頻度で点検すればよいですか?

A. JAFは、少なくとも1か月に1回程度の点検を勧めています。指定空気圧は運転席ドアの開口部や取扱説明書で確認できます。

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まとめ

タイヤの溝は、雨の日の安全を左右します。法律上の限度は1.6mmですが、性能は4mmあたりから落ち始めるとされ、JAFのテストでは時速100kmの濡れた路面で制動距離に大きな差が出ました。秋雨・台風の前に、溝の深さ・スリップサイン・空気圧・片減りを点検し、迷ったら専門店で見てもらいましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。

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