橋の「ガタン」の正体は?NEXCO中日本の「100mで約5cm」の条件と、点検要領の伸縮装置を確認

橋を渡るとき、タイヤが「ガタン」「ゴツン」と鳴る。あの正体は何で、なぜ橋にはつなぎ目が必要なのか、気になったことはないでしょうか。

この記事では、NEXCO中日本のよくあるご質問、国土交通省の「橋梁定期点検要領」(平成31年3月版)と東北技術事務所の報告、阪神高速の技術紹介、道路法施行規則(e-Gov)、伸縮装置メーカーの技術解説、日本自動車工業会(JAMA)の二輪車向け情報をもとに、橋のつなぎ目(伸縮装置)の役割と種類、「100mで約5cm」の条件、ガタンを減らす工夫を整理します。YouTubeで反応のよかったショート動画に入りきらなかった詳細を加えた解説記事です。

📋 この記事の要点

✔ 「ガタン」の正体について、NEXCO中日本は橋と橋(または土工部と橋)を接続し、橋自体の伸び縮みを調整するジョイント(継ぎ目)を通過する際の振動と思われると回答している

✔ NEXCO中日本の例は「鉄でできた100mの橋は、40℃の温度変化で約5cm長さが変わる」。これは条件つきの例で、計算の温度幅は地域や橋の種類で変わる(この記事の検算。北海道開発局の鋼橋の区分〔令和3年4月版の表を転記した資料〕で72〜96mm、道路橋示方書の普通の地方・鋼橋上路橋では60mm)

✔ 国土交通省の橋梁定期点検要領(平成31年3月版。令和6年に改定済みで、この表は現行版では確認できませんでした)は、着目点を示す伸縮装置の種類として埋設・突き合わせ・荷重支持型ゴム・鋼製フィンガーの4つを挙げ、段差や車両通過時の騒音も点検の着目点としている。くし形は鋼製フィンガーで、鋼の板が荷重を支える

✔ つなぎ目は温度だけのためではない。桁のたわみ・地震・雨水にも関わり、壊れて漏水すると桁の端が傷む(東北の鋼橋の調査では、漏水の原因の約半数が止水材の脱落)

✔ ガタンを減らす工夫は、NEXCO中日本の「橋を長くしてジョイントを少なくする」、阪神高速の「ノージョイント化」「縦断修正」。バイクや自転車は、段差や雨で濡れた金属の継ぎ目に特に注意

🎬 動画で見る(ショート)

この記事の元になった、かーぎーくんのショート動画です。動画では触れられなかった詳しい内容や条文・公式情報は、このあと記事で確認できます。

▶ YouTubeで見る(YouTube「くるまのかーぎーくん」)

動画の補足:ショート動画の冒頭は「100メートルの鉄の橋が、温度変化で5センチも伸び縮みする」と短くまとめています。NEXCO中日本の原文は「40℃の温度変化で5cmも長さが変わると考えられております」という例なので、この記事では温度の幅など条件を補いました。また、NEXCO中日本の回答は「振動と思われます」という推定の表現です。動画の題名は「つなぎ目が必要な理由3つ」ですが、理由にあたるのは1つ目(伸び縮み)だけで、2・3つ目は種類と工夫の紹介です。この記事では理由を温度・たわみ・地震・雨水に整理しました。なお、動画が根拠にした国土交通省の点検要領は平成31年版で、その後(令和6年)改定されています(2026年10月確認)。

1. 「ガタン」の正体は、つなぎ目(伸縮装置)を通る振動

夏は桁が伸びてすき間がせまく、冬は桁が縮んですき間が広くなる橋の模式図
図:夏と冬の桁とすき間(遊間)のイメージ。すき間の大きさは誇張した自作の模式図で、実際の値は橋によって異なります

NEXCO中日本の「よくあるご質問」には、「橋の上を通ると『ゴツン、ゴツン』と振動があるのはなぜ?」という質問があります。回答の要旨は次のとおりです。

📜 NEXCO中日本 よくあるご質問(回答の要旨)

土工部と橋、または橋と橋を接続し、橋自体の伸び縮みを調整するために設置しているジョイント(継ぎ目)を通過する際の振動と思われます。橋は鉄やコンクリートで建設されていますが、これらは夏と冬の温度変化で伸びたり縮んだりします。したがって、ジョイントは橋にはどうしても必要な設備です。

動画では「ガタン」、NEXCO中日本の質問では「ゴツン、ゴツン」と書かれていますが、どちらもジョイント(伸縮装置)を通るときの振動についての説明です。なお、NEXCO中日本の回答は「思われます」という推定の表現です。個々の橋で揺れる原因が継ぎ目かどうかは、橋の管理者でなければ断定できません。

2. 橋は何cm伸び縮みする?「100mで5cm」は条件つきの目安

NEXCO中日本は、同じ回答のなかで「鉄でできた100mの橋は、40℃の温度変化で5cmも長さが変わると考えられております」と例を挙げています。この数字を、伸縮装置メーカーが解説している計算式で確かめてみます。

伸縮装置メーカー(クリテック工業)の技術サイト「伸縮装置Navi」は、温度変化による伸縮量を「伸縮量=温度変化の範囲×線膨張係数×伸縮桁長」で求めると解説し、線膨張係数は鋼橋なら12×10-6、PC橋(コンクリート橋)なら10×10-6としています。この係数は、道路橋示方書(平成29年)共通編8.10(5)で、鋼構造物における鋼の線膨張係数が12×10-6、コンクリート構造物における鋼材及びコンクリートの線膨張係数が10×10-6と定められている値と同じです(国土交通省の改定通知〔国都街第45号、平成29年7月21日〕で確認)。

📊 計算で確かめた「100mの鋼橋」の伸縮量(線膨張係数12×10-6/℃で計算)

ケース 温度変化の幅 100mの鋼橋の伸縮量(計算) 出典・条件
NEXCO中日本の例 40℃ 0.000012×100m×40℃=0.048m=48mm(約5cm) NEXCO中日本の説明例(「考えられております」)と整合する
道路橋示方書の表
鋼橋(上路橋)・普通の地方
-10〜+40℃
(50℃)
0.000012×100m×50℃=60mm 道路橋示方書(平成29年)共通編 表-8.10.1「伸縮装置の伸縮量算定に用いる温度変化の範囲」(国土交通省の改定通知で確認)
同 鋼橋(上路橋)・寒冷な地方 -20〜+40℃
(60℃)
0.000012×100m×60℃=72mm 同上
北海道開発局の設計区分(鋼橋)
「-25℃以下とならない」区分
-20〜+40℃
(60℃)
0.000012×100m×60℃=72mm 北海道開発局 道路設計要領 第3集 橋梁 7.2 の表(令和3年4月版。土木研究センター資料に転記されたもの。北海道開発局の公式PDFそのものは未確認)
同「-25℃〜-35℃」区分 -30〜+40℃
(70℃)
0.000012×100m×70℃=84mm 同上
同「-35℃〜-45℃」区分 -40〜+40℃
(80℃)
0.000012×100m×80℃=96mm 同上
NEXCO中日本の例と北海道開発局の設計区分で、100mの鋼橋の伸縮量を比べた図
図:100mの鋼橋の伸縮量の計算例(自作)。棒の長さは同じ縮尺。実際の設計では余裕量や他の要因も加えて装置を選びます
この表の読み方:上の表は、公開されている区分と係数を使って自分で検算した値で、特定の橋の実際の伸縮量ではありません。線膨張係数と道路橋示方書の温度範囲は国土交通省の改定通知(道路橋示方書の条文)で、北海道開発局の温度範囲は土木研究センター資料に転記された表(令和3年4月版)で確認しています。72〜96mmは北海道開発局が示した値ではなく、この記事で掛け算した値です。実際の設計では、橋の構造で決まる伸縮桁長(伸縮する桁の長さ)や、コンクリート橋の乾燥収縮・クリープなども合算し、余裕量を加えて装置を選びます(伸縮装置Navi)。

3. つなぎ目は温度だけのためではない

動画では「橋は伸び縮みする」ことを1つ目の理由に挙げています。技術資料をたどると、つなぎ目(伸縮装置)には、温度以外にも役割があります。

役割・理由 内容 出典
温度による伸縮に対応 桁が温度変化で伸び縮みしても桁同士や桁と橋台がぶつからないよう「遊間(すき間)」を設け、その遊間を覆って車や歩行者の通行を確保する クリテック工業 伸縮装置ガイドブック
車の通行によるたわみ 橋を車が通ると桁がたわみ、両端に動きが生じる。伸縮量の計算では、気温・乾燥収縮・クリープ・たわみによる移動量を合算する 伸縮装置Navi(メーカー解説)
地震 地震で橋が揺れると伸縮装置も伸び縮みするため、レベル1地震動(中規模程度)に耐えられるよう設計する。免震支承を用いる橋では、道路橋示方書V耐震設計編により必要な上部構造端部の遊間を設ける 伸縮装置Navi(メーカー解説)/国総研・土研「参考となる知見(13BR007)」
雨水を桁の下に漏らさない 破損すると桁下に漏水して支承を傷め、橋の寿命を縮める。平成31年版の点検要領は、鋼橋の桁端部について「桁端部は湿気がこもりやすく、伸縮装置からの漏水も生じやすい」とし、短期間でかなりの板厚減少に至った事例もあるとしている クリテック工業/国交省 橋梁定期点検要領(平成31年3月版)

つまり、つなぎ目は「桁を自由に動かしつつ、車は安全に通し、水は通さない」という複数の役目を、路面の小さな部分で担っています。それだけ傷みやすい場所で、メーカーも「路面に露出しているため、アスファルト舗装と同様、傷みやすい」と解説しています。

4. 点検要領(平成31年版)の伸縮装置4種類と、点検で見る場所

国土交通省の「橋梁定期点検要領」(平成31年3月版)3.6は、伸縮装置のうち特に損傷が発生しやすく、点検で重点的に着目する箇所を、種類ごとに示しています。動画の「埋設、突き合わせ、ゴム、鋼製フィンガー」は、この4つです。ご注意:この平成31年版は、その後の令和6年の改定(現行は「道路橋定期点検要領」令和6年3月、国管理施設は「橋梁定期点検要領」令和6年7月)で置き換えられています。現行版の本文を検索した範囲では、この4種類の表は確認できませんでした(図表になっている可能性は残ります)。以下は平成31年版の記載です。また、伸縮装置の分け方には別の軸もあり、メーカー(クリテック工業)は「荷重支持構造」(突合せ型・荷重支持型)と「積算方法」(鋼製フィンガー・埋設・その他)で分類しています。点検要領の4つは、着目点を示すための区分と考えてください。

平成31年版の点検要領が挙げる伸縮装置の4種類(埋設・突き合わせ・荷重支持型ゴム・鋼製フィンガー)と点検の着目点
図:平成31年版の点検要領が挙げる伸縮装置の4種類と着目点(自作の模式図。分類と着目点は国土交通省の橋梁定期点検要領〔平成31年3月版。令和6年に改定済み〕、特徴の一言はメーカー・東北技術事務所の解説による)

📊 国土交通省「橋梁定期点検要領」(平成31年3月版)の伸縮装置の種類と着目箇所(要旨)

種類 着目箇所(要領の記載の要旨)
埋設ジョイント シール材の脱落/埋設舗装材のひびわれ・角欠け・剥離/漏水
突き合わせジョイント シール材の脱落・ゴムの切断/コーナーチャンネル等の変形/アンカー部の破損/土砂の侵入/後打ち材の角欠け・陥没/後打ち材と舗装との段差、伸縮装置前後の段差
荷重支持型ゴムジョイント フェースゴムの摩耗・さく裂/取り付けボルトのゆるみ/後打ち材や周辺舗装の損傷/段差/ゴムと鋼材の間にできた隙間から発生する車両通過時の騒音、段差による車両通過時の騒音、アンカーボルトの取り付け不良・ゆるみによる車両通過時の騒音
鋼製フィンガージョイント フェースプレートの破断・破損/溶接部の破断/鋼材やアンカーの腐食/高力ボルトのゆるみ・破断/前後のフェースプレート間の段差とそれによる車両通過時の騒音、破損による騒音・金属音/フェースプレートが離れすぎて歯がかみ合っていないことによる漏水

くし形の鋼の板が車の重さを支える

動画の「ギザギザ」は、このうち鋼製フィンガージョイントです。国土交通省東北技術事務所の報告は、対象を「鋼製の櫛形フェースプレートで荷重を支持する」伸縮装置としており、くし形の鋼板が車の荷重を支えるタイプがあることが確認できます。くしの歯の間のすき間が桁の動きに合わせて開いたり閉じたりするしくみです(平成31年版の点検要領には、フェースプレートが離れすぎて歯がかみ合っていない状態が、漏水につながる損傷として挙げられています)。

メーカーの解説では、床版のすき間に鋼材を設けて車輪の荷重を支える構造を「荷重支持型」、すき間にゴムなどを入れて車輪の荷重を支えない構造を「突合せ型」と呼びます。車道部には耐久性の高い荷重支持型が多く使われ、荷重の小さい歩道部などに突合せ型が使われるとされています。

段差・騒音・漏水は「点検で見る項目」

点検要領(平成31年版。令和6年版にも同名の項目があります)には、損傷の種類として「路面の凹凸」(橋軸方向の凹凸や段差。伸縮継手部の段差も対象)と「異常な音・振動」(伸縮装置などから異常な音が聞こえる、または異常な振動や揺れを確認できる状態)があります。段差があるとガタンが大きくなりやすい、という動画の説明は、点検の着目点とも一致します。

漏水については、国土交通省東北技術事務所が、東北地方整備局管内の鋼橋の定期点検結果(平成18〜22年度)などをもとにした報告をまとめています。

📊 東北技術事務所の報告より(東北地方整備局管内の鋼橋・積雪寒冷地の調査。点検結果は平成18〜22年度のもの)

項目 数字
管内の鋼橋のうち、非排水型(止水材で水を止める型。報告では排水型と区別されています)の伸縮装置を採用した橋 1,340橋のうち1,064橋(79%)
非排水型のうち、すでに漏水が確認された橋 約3割(326橋・31%)
「速やかに補修が必要(C判定)」とされた橋のうち、漏水が確認された85橋を現地調査して、漏水の原因が止水材の脱落だった割合 49%(約半数)
過去に伸縮装置を交換した橋(補修履歴を確認できた104橋)で、交換後に漏水が起きるまで 平均6年程度
数字の注意:これは東北地方の積雪寒冷地にある鋼橋と、報告で対象にした型式の調査で、全国の橋の数字ではありません。報告は、くしの部分に雪や土砂が堆積・凍結したところへ大型車両などの荷重がかかり、止水材が押し込まれて脱落に至ることが一因と推定しています。

点検は5年に1回、近接目視が基本

道路法施行規則第4条の5の6第1号は、トンネル、橋その他、損傷や劣化が生じた場合に道路の構造や交通に大きな支障を及ぼすおそれがある施設について、近接目視により、五年に一回の頻度で点検を行うことを基本とすると定めています(e-Gov法令検索で確認)。橋梁定期点検要領も(平成31年版・令和6年7月版とも)、供用開始後2年以内に初回を行い、2回目以降は5年に1回の頻度を基本としています。

5. ガタンを減らす工夫

つなぎ目の数を減らす工夫と、路面の段差をならす工夫の模式図
図:ガタンを減らす2つの工夫(自作の模式図。NEXCO中日本・阪神高速の説明をもとにしたイメージです)

工夫1:つなぎ目の数を減らす

NEXCO中日本は、同じ回答で「近年では、技術開発により橋を長くすることが可能になることでジョイント個所を少なくするなどの工夫もおこなっております」としています。

阪神高速の技術紹介「フレッシュアップ工事」(2012〜2015年の工事を紹介した記事で、公開日と現在の状況は未確認)では、伸縮継手というジョイントをなくすノージョイント化を推進しているとし、理由として、路面の走行性や安全性が向上し、走行時の騒音・振動も大幅な低減が期待できることを挙げています。従来は鋼桁の主桁同士を連結できる場合が対象でしたが、桁同士を連結できない条件でも、コンクリート床版だけを連結する「床版連結」ならノージョイント化が可能になった、と紹介されています。東大阪線の法円坂付近では、12か所もの橋脚の前後1mほどを切断・撤去して橋桁で連結する工事を、8日間の通行止め期間中に行ったとされています(本邦初と紹介)。

工夫2:路面の段差をならす(縦断修正)

どうしてもジョイントを残さなければならない場合に、阪神高速が走行性を高めるために行っているのが「縦断修正」です。舗装と伸縮継手は個別に補修を重ねるうちに段差ができてしまうため、車の走る向き(縦断方向)をできるだけ平らにしようという考え方です。紹介記事の執筆当時で10年余前、補修したにもかかわらず「以前よりも騒音や振動がひどくなった」という沿道からの苦情が多く寄せられたことが、この手法を編み出すきっかけだったと紹介されています。

ノージョイントは万能ではありません。阪神高速の紹介自体が「どうしてもジョイントを残さなくてはならない場合」に縦断修正を行うと述べているとおり、すべての橋でつなぎ目をなくせるわけではありません。今回確認した資料では、つなぎ目のある橋とない橋の割合や、ゴム製と鋼製のどちらが静かかを示す数字は確認できませんでした。

6. バイク・自転車の人が気をつけたいこと

四輪の「ガタン」は不快でも、二輪では転倒につながる場合があります。確認できた情報を整理します。

情報源 内容
国土交通省 橋梁定期点検要領(平成31年3月版。旧版) 下部構造の沈下に伴う伸縮装置での段差により、自転車やオートバイが転倒するなど道路利用者等へ障害を及ぼす懸念がある状況では、緊急対応が妥当と判断できる場合がある(損傷判定の例示。令和6年7月版では「自転車やオートバイ」の文言は確認できず、遊間が異常に広がって二輪車の転倒が懸念される場合の例示が残っています)
日本自動車工業会(JAMA)MOTOINFO(2025年5月16日) 雨の日のライディングでは、マンホールや白線に加え、高速道路や橋などの金属製の継ぎ目などは要注意。晴れの日なら問題のない箇所でも、雨でスリップして転倒するケースがある。いつも以上にスピードを抑え、余裕をもった運転を
伸縮装置メーカー(伸縮装置Navi) 伸縮装置は鋼材(フィンガージョイント)で作られていることが多く、鋼材は雨や雪で濡れると滑りやすい。特に二輪車は、滑ると大怪我につながる可能性が高い。滑り止めを施すのは降雪量が多い地域などの条件に合う場合で、必ずしもすべての橋ではない

動画の最後で「スピードを出しすぎずに、安全運転でいこう」と呼びかけているとおり、つなぎ目の手前では速度を抑えることが基本です。また、つなぎ目の破損や大きな段差など、道路の異状を見つけたときは、国土交通省の道路緊急ダイヤル「#9910」に通報できます(対象は国道や高速道路など幹線道路の異状です。市町村道などの橋は、それぞれの道路管理者へ)。NEXCO中日本の案内では、固定電話・携帯電話・公衆電話から24時間、通話料無料で利用でき、運転中の通話は道路交通法で禁止されているため、安全な場所に停車してからかけるよう案内されています。

7. よくある質問

Q. 「ガタン」は、どの橋にもあるのですか?

A. すべての橋にあるとは言えません。NEXCO中日本は橋を長くしてジョイント箇所を少なくする工夫を、阪神高速は(2015年ごろの技術紹介で)ジョイントをなくすノージョイント化を進めていると説明しています。ただし、ジョイントのある橋とない橋の割合は、今回確認した資料では分かりませんでした。

Q. 「100mで5cm」は、どの橋でも当てはまりますか?

A. いいえ。NEXCO中日本の回答は「鉄でできた100mの橋は、40℃の温度変化で5cmも長さが変わると考えられております」という例です。設計で使う温度の幅は地域や橋の種類で異なります。たとえば道路橋示方書の表(鋼橋・上路橋、普通の地方)なら100mの橋で計算上60mm、北海道開発局の鋼橋の区分(土木研究センター資料に転記された令和3年4月版)なら72〜96mmになります(どちらもこの記事の検算。実際の設計では余裕量なども加わります)。

Q. 鉄の橋だけでなく、コンクリートの橋も伸び縮みしますか?

A. NEXCO中日本は「鉄やコンクリート」で建設された橋が温度変化で伸び縮みすると説明しています。道路橋示方書(平成29年)共通編では、線膨張係数は鋼が12×10-6、コンクリートが10×10-6とされています(伸縮装置Naviも同じ数値を解説)。コンクリート橋では乾燥収縮やクリープも考慮します。

Q. 伸縮装置はどのくらいの頻度で点検され、何年で交換されますか?

A. 橋の点検は、道路法施行規則により近接目視で5年に1回が基本です。交換の年数については、今回確認した公的資料に一律の目安は見つかりませんでした。東北技術事務所の報告では、交換した104橋が平均6年程度で非排水機能を失っていましたが、これは積雪寒冷地の鋼橋の調査で、全国の目安ではありません。

Q. 橋のつなぎ目が壊れているのを見つけたら、どうすればよいですか?

A. 道路の異状(破損など)を見つけたときは、道路緊急ダイヤル「#9910」に通報できます(NEXCO中日本の案内。対象は国道や高速道路など幹線道路で、市町村道などは道路管理者へ)。運転中の通話は禁止されているため、休憩施設など安全な場所に停車してからかけてください。高速道路上では、やむを得ない場合を除いて駐停車できません。

まとめ

橋の「ガタン」について、確認できたことを整理します。(1)NEXCO中日本は、橋と橋(または土工部と橋)を接続し、橋の伸び縮みを調整するジョイント(継ぎ目)を通過する際の振動と思われると回答しています。(2)橋が伸び縮みする量は、NEXCO中日本の例で「100mの鉄の橋が40℃の温度変化で約5cm」。条件で変わり、この記事の検算では、道路橋示方書の普通の地方・鋼橋(上路橋)で100mあたり60mm、北海道開発局の鋼橋の区分(転記資料)で72〜96mmになります。(3)つなぎ目(伸縮装置)は温度による伸縮だけでなく、桁のたわみ、地震、雨水の遮断にも関わります。(4)平成31年版の国土交通省の点検要領は、着目点を示す伸縮装置の種類として埋設・突き合わせ・荷重支持型ゴム・鋼製フィンガーの4つを挙げ、段差や車両通過時の騒音を着目点としています(令和6年に改定済みで、この表は現行版では確認できませんでした)。(5)NEXCO中日本は橋を長くしてジョイントを減らす工夫、阪神高速は(2015年ごろの技術紹介で)ノージョイント化と縦断修正を紹介しています。(6)二輪車は、段差や雨で濡れた金属の継ぎ目に特に注意が必要です。

次に橋を渡るとき「ガタン」と鳴ったら、そこが桁の伸び縮みを受け止めるつなぎ目です。速度を出しすぎず、とくにバイクや自転車では路面の段差や濡れた金属に気をつけて通過しましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。数値・基準・取り組みは変更されることがあり、個々の橋の構造や伸縮量は橋の管理者によって異なります。表中の「検算」は、公開されている区分と係数を用いた当サイトの計算であり、特定の橋の実際の値ではありません。道路の異状や安全に関する最新の内容は、道路管理者(国土交通省・NEXCO各社・自治体など)の公式情報でご確認ください(2026年10月時点)。

参考(一次情報・公的機関・業界団体・メーカー解説): NEXCO中日本 橋の上を通ると「ゴツン、ゴツン」と振動があるのはなぜ?/国土交通省 橋梁定期点検要領(平成31年3月版。旧版)/国土交通省 橋梁定期点検要領(令和6年7月・現行)/国土交通省 道路橋示方書の改定通知(国都街第45号、平成29年7月21日)/国土交通省 東北技術事務所「道路橋の伸縮装置における漏水対策の検討について」/国総研・土木研究所「参考となる知見(13BR007)」/阪神高速 技術のチカラ「阪神高速独自のフレッシュアップ工事」/e-Gov法令検索 道路法施行規則(第4条の5の6)/土木研究センター 意見募集結果(北海道開発局 道路設計要領〔令和3年4月版〕の温度変化の表を転記)/NEXCO中日本 道路緊急ダイヤルのご案内/JAMA MOTOINFO 梅雨を乗り切る!ライディングの注意点/クリテック工業 伸縮装置ガイドブック(メーカー解説)/伸縮装置Navi 伸縮量の計算(メーカー解説)/同 伸縮装置選定の流れ/同 伸縮装置の滑り止め

図はすべて自作のイラストです(AI生成なし)。実際の構造や寸法は橋・製品によって異なります。

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