回送運行許可(回送ナンバー)とは、仮ナンバーとの違い

ナンバーの付いていない車や、車検が切れた車を運ぶときに使う「ナンバー」には、事業者が使う「回送運行許可」(通称:回送ナンバー、赤枠ナンバー、ディーラーナンバー)と、誰でも一時的に借りられる「臨時運行許可」(通称:仮ナンバー)があります。この記事では、両者の根拠となる道路運送車両法の規定、対象者、有効期間、申請先、返納を、法令と国土交通省(関東運輸局)の要領、自治体の案内で整理しました。

📋 この記事の要点

✔ 回送運行許可は、道路運送車両法第36条の2に基づく。地方運輸局長の許可で、有効期間は5年を超えてはならない

✔ 許可の対象は、自動車の製作・販売・陸送・特定整備を業とする者(関東運輸局の取扱要領)。個人が単発で取得する制度ではない

✔ 臨時運行許可(仮ナンバー)は、同法第35条に基づく。申請先は市区町村で、有効期間は原則5日を超えてはならない

✔ 仮ナンバーの手数料は、横浜市・江東区の案内でどちらも750円(2026年9月25日確認)。自治体によって案内が異なる場合がある

動画でも解説しています。(YouTube「くるまのかーぎーくん」)

1. 2つの制度の全体像

📊 回送運行許可と臨時運行許可の比較(確認日: 2026年9月25日)

項目 回送運行許可(回送ナンバー) 臨時運行許可(仮ナンバー)
根拠 道路運送車両法 第36条の2 道路運送車両法 第35条(第34条の許可)
許可する機関 地方運輸局長(申請は営業所を管轄する運輸支局等を経由) 市区町村長・特別区長等(行政庁)
使える人 自動車の製作・販売・陸送・特定整備を業とする者(関東運輸局の要領) 登録・車検のための運行や、販売目的の回送などが対象として挙げられている(自治体の案内)
有効期間 5年を超えてはならない(必要により短縮できる) 5日を超えてはならない(長期間を要する回送などのやむを得ない場合を除く)
運行の範囲 許可証に記載された回送の目的の範囲内 許可証に記載された目的・経路・有効期間の範囲内
交付・貸与されるもの 回送運行許可証、回送運行許可番号標 臨時運行許可証、臨時運行許可番号標
返納 有効期間の満了などから5日以内に返納 有効期間の満了から5日以内に返納

📌 補足

回送運行許可番号標は「赤枠ナンバー」と通称されます。この記事では、根拠条文や公的機関の案内で確認できた内容を中心に記載します。

2. 回送運行許可(回送ナンバー)の中身

道路運送車両法第36条の2は、自動車の回送を業とする者で地方運輸局長の許可を受けたものが、その業務として回送する自動車を、許可の有効期間内に、回送運行許可証に記載された目的に従って運行の用に供するときは、登録・車検などの規定を適用しないとしています。関東運輸局の取扱要領では、次のように定められています。

📊 回送運行許可の概要(確認日: 2026年9月25日)

項目 内容 出典
許可の対象者 自動車の製作、販売、陸送または特定整備を業とする者 関東運輸局 取扱要領 第6条
許可の有効期間 5年。必要により短縮することができる 関東運輸局 取扱要領 第6条
申請先 許可申請書を、営業所の所在地を管轄する運輸支局長等を経由して局長に提出 関東運輸局 取扱要領 第3条
更新の申請 現に許可を受けている期間の終期日の2か月前までに申請 関東運輸局 取扱要領 第3条
許可証・番号標 許可を受けた者に、許可証を交付し、番号標を貸与する。営業所を管轄する運輸支局長等に交付等の申請をする 関東運輸局 取扱要領 第16条
自賠責保険 交付等の申請時に保険証の提示が必要。保険期間は許可の有効期間に相当する期間を満たすこと 関東運輸局 取扱要領 第17条
管理体制 許可証等の管理責任者の選任、社内取扱内規の作成、運転者等への研修(少なくとも年1回以上)など 関東運輸局 取扱要領 第11〜15条
許可証・番号標の使用 番号標は前面・後面に表示。許可証は前面の見やすい位置に表示。保険証を備え付ける 関東運輸局 取扱要領 第27条
返納 有効期間の満了や、取消し・返納命令を受けたときから5日以内 道路運送車両法 第36条の2第7項

回送の目的は、業種ごとに決められています。要領第9条には、たとえば販売を業とする者について、次のような目的が例示されています。

📊 回送の目的の例(関東運輸局 取扱要領 第9条)

業種 認められる回送の目的(要領の例)
販売を業とする者 仕入先から営業所までの回送、納品のための回送、営業所と自動車置場・架装工場・整備工場との間の回送、展示や顧客への提示のための回送、車検・登録・封印のための回送、下取り車の処理のための回送
陸送を業とする者 委託者の指示する場所間の回送
製作を業とする者 製作工場とテストコースの間、製作工場と車体架装工場の間、製作工場から自動車置場までの回送
特定整備を業とする者 車検のために引き取る・引き渡す回送、車検場までの回送

⚠️ 目的外の使用は、許可の取消しなどの対象です

道路運送車両法第36条の2第8項は、許可証に記載された回送の目的に従わずに運行の用に供したときなどに、返納命令や許可の取消しができるとしています。取り消された場合は、その日から2年間は新たな許可が行われないとされています(同条第10項)。

3. 仮ナンバー(臨時運行許可)の中身

道路運送車両法第35条は、臨時運行の許可は、試運転を行う場合、新規登録・新規検査・継続検査などの申請をするために必要な提示のための回送を行う場合、その他特に必要がある場合に限り行うことができるとしています。申請先は市区町村で、案内の内容は自治体で少し異なります。

📊 自治体の仮ナンバーの案内の例(確認日: 2026年9月25日)

項目 横浜市の案内 江東区の案内
手数料 750円 750円(1件)
有効期間 運行先により3日以内・4日以内・5日以内に分かれる 最長5日間(必要最小限度の期間)。車検・登録のための回送は1日間
必要書類 自動車損害賠償責任保険証明書の原本(電子交付版は不可)、自動車検査証またはそれに相当する書類、本人確認書類など 申請書、自賠責保険の証明書(紙の原本のみ)、自動車を確認するための書類、公的な身分証明書
対象となる運行 新規登録や継続検査のための運輸支局への運行、販売業者による回送など 登録・車検のための運輸支局への運行、販売目的の回送など。試乗・保有・展示・撮影・日常利用は対象外
返却 許可期間満了後5日以内 貸出期間の終了後5日以内(郵送可)

📌 補足

手数料の額や有効期間の区分は、自治体によって違うことがあります。この表は横浜市と江東区の案内の例です。お住まいの市区町村の窓口・ウェブサイトで、最新の案内を確認してください。

4. 個人が車検切れの車を運ぶ場合、どちらを使うか

🧭 個人が仮ナンバーを使う流れ

1

運びたい目的を整理する

車検や登録のための運輸支局への運行、整備工場への移動など、目的をはっきりさせます。

2

ナンバー・車検の状態を確認する

登録されていない車、車検が切れた車が対象です。抹消登録証明書、車検証などの書類を用意します。

3

市区町村の窓口へ確認する

仮ナンバーの申請先、受付時間、必要書類、当日中か前日から申請できるかなどを確認します。

4

自賠責保険を確認する

横浜市・江東区の案内では、自賠責保険の証明書の原本が必要とされています。有効な保険が付いているかを確認します。

5

申請して、番号標と許可証を受け取る

許可された目的・経路・期間の範囲内でのみ運行します。

6

期間終了後5日以内に返却する

返却が遅れると、法令により罰せられる可能性があります(道路運送車両法第35条第6項・第108条)。

📊 状況別の考え方(一般的な整理)

状況 一般的な選び方
個人が、車検が切れた自分の車を、一度だけ整備工場や車検場へ運ぶ 仮ナンバー(臨時運行許可)。市区町村に申請する
事業者が、日常的にナンバーのない車を扱う 回送運行許可を検討する。運輸支局に確認するか、専門家に相談する
車を運びたいが、公道を走らせたくない 積載車(レッカー)などで運ぶ。ロードサービスや整備工場に相談する

⚠️ ナンバーなし・車検切れのまま走ると、法令違反になります

道路運送車両法第108条は、同法第4条(無登録)や第58条第1項(無車検)などに違反した者を、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処するとしています。許可を受けずに走らせないようにしてください。個別の判断は、運輸支局・専門家・自治体の窓口でご確認ください。

📝 申請前のチェックリスト

☑️ 運ぶ目的(検査・登録・整備など)を決めた

☑️ 仮ナンバーの申請先の市区町村を確認した

☑️ 自賠責保険の証明書(原本)を用意した

☑️ 自動車検査証や抹消登録証明書などを用意した

☑️ 運転免許証など、本人確認書類を用意した

☑️ 有効期間の日数と、返却の期限(期間終了後5日以内)を確認した

☑️ 運行経路が、許可の範囲内か確認した

5. よくある質問

Q. 回送運行許可は、個人でも取れますか?

A. 関東運輸局の取扱要領では、許可の対象は自動車の製作・販売・陸送・特定整備を業とする者と定められています。個人が単発で取得する制度ではありません。詳しくは運輸支局にご確認ください。

Q. 回送運行許可の有効期間は、どのくらいですか?

A. 道路運送車両法第36条の2は、有効期間は5年を超えてはならないとしており、関東運輸局の要領では、許可の有効期間は5年で、必要により短縮できるとされています。なお、「1か月単位の短期契約がある」という点は、今回確認した公的資料では確認できませんでした。

Q. 仮ナンバーは、どのくらいの期間借りられますか?

A. 道路運送車両法第35条は、有効期間は5日を超えてはならない(やむを得ない場合を除く)としています。実際の日数は自治体の案内で異なり、横浜市は運行先により3〜5日以内、江東区は最長5日間(車検・登録のための回送は1日間)とされています。

Q. 仮ナンバーの手数料は、いくらですか?

A. 横浜市・江東区の案内では、どちらも750円でした(2026年9月25日確認)。自治体により異なる場合があるため、窓口・ウェブサイトで最新の額をご確認ください。

まとめ

回送運行許可(回送ナンバー)は、道路運送車両法第36条の2に基づく、自動車の製作・販売・陸送・特定整備を業とする事業者向けの制度で、有効期間は5年を超えません。仮ナンバー(臨時運行許可)は、同法第35条に基づき市区町村が許可し、有効期間は原則5日以内です。個人が車検切れの車を運ぶときは、まず仮ナンバーを検討し、申請先の窓口で必要書類と期限を確認しましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。

アイキャッチ画像: Toyota Used Cars by Mr.ちゅらさん, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

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