秋の交通安全運動、高齢ドライバー・高齢歩行者への配慮ポイント

秋は日の入りが急に早まり、夕暮れ時から夜間にかけて、歩行者が被害にあう事故が増えやすい季節です。家族に高齢のドライバーや歩行者がいる方のために、この記事では内閣府の「令和8年秋の全国交通安全運動推進要綱」、警察庁、警視庁などの公開情報をもとに、配慮したいポイントを整理しました。個別の運転能力の判断は、この記事ではなく、医師や警察などの公的窓口に相談してください。

📋 この記事の要点

✔ 要綱によると、交通事故死者数を状態別に見ると歩行中の割合が最も高く、その中で高齢者が約7割を占める

✔ 75歳以上の高齢運転者による交通死亡事故は、免許保有人口当たりで見ると、75歳未満の運転者と比べて約2倍発生している(要綱)

✔ 75歳以上の免許更新では、認知機能検査と高齢者講習があり、一定の違反歴がある方は運転技能検査に合格する必要がある(警察庁・警視庁)

✔ 運転に不安があるときは、免許の自主返納のほか、サポートカー限定免許や、安全運転相談ダイヤル#8080という選択肢もある(警察庁)

✔ 運転者は、横断歩道等に歩行者等がいないことが明らかな場合を除き、直前で停止可能な速度で進行する義務や、歩行者優先の義務を守る(要綱)

1. 高齢者の交通事故と、2026年秋の運動での位置づけ

2026年の秋の全国交通安全運動の全国重点は、歩行者・自動車・自転車の3つです(詳細は別記事で解説しています)。高齢者に関する項目は、全国重点そのものではなく、それぞれの重点の中の推進項目として、要綱に盛り込まれています。

📊 令和8年秋の全国交通安全運動推進要綱(内閣府、2026年7月1日決定)から整理

要綱の記載 内容
歩行者事故の状況 交通事故死者数を状態別に見ると歩行中の割合が最も高く、その中でも高齢者の割合が約7割。秋口から年末にかけて、夜間の歩行中の死者数が多くなっている
高齢歩行者の特徴 高齢歩行者の死亡事故は、65歳未満と比べて横断歩道以外を横断中のものが多い、といった特徴がある
高齢運転者の状況 75歳以上の高齢運転者による交通死亡事故は、免許保有人口当たりで75歳未満の約2倍で、要因として運転操作不適に起因する事故が多い
自転車 自転車乗用中の交通事故死者数は近年減少傾向にあるものの、年齢別では65歳以上が多くを占める

📊 高齢者に関する推進項目

要綱の推進項目(高齢者関連) 主な内容
高齢歩行者 高齢者自身が、加齢に伴う身体機能の変化(認知機能の低下、視野障害の増加、反射神経の鈍化、筋力の衰えなど)を理解し、安全な交通行動を実践するための交通安全教育などを推進
高齢運転者 加齢に伴う身体機能の変化が運転に及ぼす影響を踏まえたシミュレーターなどの活用、安全運転サポート車とサポートカー限定免許制度の広報啓発、安全運転相談窓口などの周知
地域・家庭での活動 家庭内での話し合いなどを通じた交通安全意識の向上。交通安全教育を受ける機会の少ない高齢者へ、福祉関係者や地域の交通ボランティアと連携した家庭訪問などの指導

📌 補足

要綱が示すのは、高齢者だから運転をやめるべき、ということではなく、身体機能の変化を本人や周囲が理解し、必要な備えをしよう、という考え方です。

2. 高齢運転者の免許更新制度

75歳以上の運転免許の更新には、認知機能検査と高齢者講習があります。さらに、一定の違反歴がある方は、運転技能検査に合格しなければ更新できません。制度は改正されることがあるため、最新の内容は、お住まいの都道府県警察の案内で確認してください。

📊 75歳以上の免許更新で受ける検査・講習

項目 内容 出典
認知機能検査 更新期間満了日の年齢が75歳以上の方が受ける。「手がかり再生」(16種類の絵を記憶して回答)と「時間の見当識」(年月日、曜日、時間の回答)の簡易な検査。警視庁の案内では、警察施設で実施する場合の手数料は1,050円(教習所は異なる) 警視庁
検査の結果 36点未満の方は、記憶力・判断力が低くなっていて「認知症のおそれあり」と判定され、臨時適性検査(専門医の診断)の受検または診断書の提出が必要になる 警視庁
高齢者講習 認知機能検査と合わせて受ける講習。受講の順序などは、更新時の誕生日によって異なる(警視庁の案内参照) 警視庁
運転技能検査 75歳以上で、免許の有効期間が満了する日の直前の誕生日の160日前の日前3年間に、信号無視・通行区分違反・速度超過・横断歩行者等妨害・携帯電話使用等などの一定の違反歴がある方は、コースで普通自動車を運転して受検する。100点満点からの減点方式で、第一種免許は70点以上で合格 警察庁

⚠️ 注意

検査や講習の予約、手数料、免除の条件(診断書など)は、都道府県や更新時期によって扱いが異なります。案内のはがきが届いたら、早めに予約や手続きの方法を確認しましょう。

3. サポートカー、自主返納、相談窓口という選択肢

運転に不安を覚えたとき、選択肢は「続ける」か「やめる」の2つだけではありません。警察庁は、自主返納のほかに、より安全な車に限って運転を続ける中間的な選択肢を用意しています。

📊 運転に不安があるときの選択肢

選択肢 内容 出典
サポートカー限定免許 運転免許の条件として、運転できる自動車を「サポートカー」に限定する。申請により付与でき、免許更新の申請と併せて手続きできる。付与できるのは普通免許のみ。運転できるのは、衝突被害軽減ブレーキ(対車両・対歩行者)とペダル踏み間違い時加速抑制装置が搭載された普通自動車で、後付けの装置は対象外 警察庁
自主返納・運転経歴証明書 運転に不安を感じるようになった高齢ドライバーなどは、運転免許証を自主返納できる。返納した方や、更新せず失効した方は運転経歴証明書の交付を受けられる(自主返納後5年以上、または失効後5年以上が経過している方などは交付を受けられない)。平成24年4月1日以降に交付された運転経歴証明書は、運転免許証に代わる公的な本人確認書類として使える 警察庁
自主返納者への支援 自治体や事業者などによる支援が、地域の実情に応じて行われている(内容は地域ごとに異なる)。詳細は、全日本指定自動車教習所協会連合会が運営する「高齢運転者支援サイト」などで確認できる 警察庁
安全運転相談 #8080 都道府県警察の安全運転相談窓口に直接つながる、全国統一の専用相談ダイヤル「#8080(シャープハレバレ)」。加齢に伴う身体機能の低下を踏まえた助言・指導や、自主返納制度などの案内が受けられる 警察庁 交通安全白書

⚠️ サポートカーを過信しない

警察庁は、サポートカーの安全運転支援システムには、一定以上の速度で走行している場合には適切に作動しない場合があるなどの限界があると説明しています。自動運転とは異なり、運転者が絶えず周囲の状況を確認しながら運転操作を行うことが前提で、その限界や注意点を正しく理解し、過信せずに運転するよう呼びかけています。

💡 ポイント

サポートカー限定免許の対象となる車両は、車検証の車台番号を、メーカーごとの対象車両リストと照合して確認できます。リストは随時更新されるため、警察庁のページで最新のものを確認してください。

4. 高齢の歩行者に、運転者が配慮したいこと

要綱は、運転者に対しても、歩行者優先の徹底を求めています。高齢の歩行者は横断に時間がかかることがあるため、運転者側の余裕が事故を防ぎます。

📊 運転者が意識したい点

運転者が意識したいこと 内容(要綱・警察庁)
歩行者優先 横断歩道等に歩行者等がいないことが明らかな場合を除き、直前で停止可能な速度で進行する義務や、横断歩道等における歩行者等優先義務を守る
夕暮れ時のライト 夕暮れ時の早めのライト点灯。日の入り後1時間における横断中の事故が多い。対向車や先行車がいない状況ではハイビームの活用も呼びかけられている
薄暮時間帯の事故 警察庁の分析では、薄暮時間帯には自動車と歩行者が衝突する事故が最も多く、横断中が約8割、そのうち約7割は横断歩道以外での発生
思いやり・ゆずり合い 歩行者優先を始めとした交通ルールの遵守と、思いやり・ゆずり合いの気持ちを持って安全に運転する

💡 ポイント

歩行者を急かすようなクラクションは避け、余裕を持って待ちましょう。高齢の歩行者は、身体機能の変化で、車の接近を判断しにくいことがあります。

5. 家族で話し合うときのポイント

🧭 家族での話し合いの進め方

1

日頃の運転の様子を、責めずに共有する

最近、ヒヤリとしたことはないか、運転が疲れるようになっていないかを、批判ではなく心配として聞きます。

2

事実をもとに話す

免許更新時の検査結果、車のキズ、ヒヤリ・ハットの回数などを手がかりにします。

3

運転を続けるための選択肢を一緒に調べる

サポートカーへの乗り換えや、サポートカー限定免許、夜間や遠出を控えるなどの工夫も含めて検討します。

4

公的な相談窓口を利用する

運転に不安があれば、#8080(安全運転相談ダイヤル)など、警察の相談窓口に相談できます。

5

返納する場合は、移動手段を先に考える

返納後の通院・買い物の移動手段を、家族や地域の支援も含めて事前に確認します。自主返納者への支援は地域ごとに異なります。

📝 秋の見守りチェックリスト

☑️ 免許更新の案内(検査・講習)が届いているか確認した

☑️ 夜間や夕暮れ時の運転が増えていないか聞いた

☑️ 横断歩道以外を渡る習慣がないか、歩行時の様子を見た(高齢歩行者)

☑️ 外出時に、反射材や明るい目立つ色の服を身につけるよう声かけした

☑️ 運転に不安があるとき、#8080などの相談窓口を伝えた

☑️ サポートカーへの乗り換えや、限定免許の制度を知らせた

☑️ 返納後の移動手段を、家族で話し合った

📌 補足

この記事は一般的な情報です。運転を続けられるかどうかの判断は、本人・家族・医師、そして警察の窓口などでご相談ください。

6. よくある質問

Q. サポートカー限定免許とは何ですか?

A. 運転免許に付ける条件のひとつで、運転できる車を、衝突被害軽減ブレーキ(対車両・対歩行者)とペダル踏み間違い時加速抑制装置が搭載された普通自動車(サポートカー)に限定するものです。申請により付与され、更新の申請と併せて手続きできます。後付けの装置は対象外です。

Q. 免許を自主返納すると、身分証明書はどうなりますか?

A. 運転免許証を自主返納した方は、運転経歴証明書の交付を受けられます。平成24年4月1日以降に交付されたものは、運転免許証に代わる公的な本人確認書類として使えます。ただし自主返納後5年以上経過している方などは交付を受けられないため、手続きの時期に注意してください。

Q. 運転に不安を感じたら、どこに相談できますか?

A. 警察の安全運転相談窓口に直接つながる全国統一の相談ダイヤル「#8080」があります。また、免許更新のときの検査や講習の窓口でも、案内を受けられます。

Q. 高齢者は、必ず運転をやめるべきですか?

A. そのようなことは、公的機関の資料にも書かれていません。要綱が示しているのは、加齢に伴う身体機能の変化を本人や周囲が理解し、サポートカーの活用、安全運転相談、返納も含めた選択肢を検討することです。この記事は一般的な情報です。個別の判断は、医師や警察などの公的窓口にご相談ください。

まとめ

高齢者の交通安全は、歩行者としての備えと、運転者としての備えの両面が大切です。要綱では、高齢歩行者の事故防止と、高齢運転者へのサポートカーや相談窓口の周知が推進項目に挙げられています。運転に不安があるときは、免許の自主返納だけでなく、サポートカー限定免許や#8080など、複数の選択肢があります。運転者も、歩行者優先と夕暮れ時の早めのライト点灯を心がけましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。

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