駐車場でよく見かけるコンクリートやゴム製のブロックは、「車止め」「輪止め」「タイヤストッパー」などと呼ばれます。実は、資料によって呼び方が異なり、駐車場の車止めと、停車中の車が動かないようにする輪止め(輪留め)は、役割が違います。この記事では、駐車場の車止めの役割、規格が定められていない点、輪止め(輪留め)による逸走防止、道路交通法の規定を、国土交通省・厚生労働省・JAF・東京都道路整備保全公社の資料で整理しました。
📋 この記事の要点
✔ 国土交通省の「駐車場設計・施工指針」は、必要に応じて車止め等を設け、車体の保護と躯体等の防護を図るものとしている
✔ 同指針には、車止めの具体的な規格や寸法は定められていない(東京都道路整備保全公社の報告書)
✔ 車止めは、物損事故の防止や、車室を通過して移動する自動車の防止のために必要とされる一方、車体サイズと配置が合わないと、逆に構造物に接触するおそれがある
✔ 道路交通法第71条第5号は、車を離れるとき、原動機を止め、完全にブレーキをかけるなど、停止の状態を保つために必要な措置を求めている
1. 呼び方の整理:車止めと輪止め(輪留め)
同じようなブロックでも、資料によって言葉が違います。この記事では、資料の用語に合わせて整理します。
📊 「車止め」「輪止め」などの用語(確認日: 2026年9月25日)
| 呼び方 | 主な意味 | 使われている資料 |
|---|---|---|
| 車止め | 駐車場内に設ける、車体の保護や躯体等の防護のための設備 | 国土交通省「駐車場設計・施工指針」 |
| 車止め(事故防止の観点) | 物損事故の防止や、車室を通過して移動する自動車の防止のための設備 | 東京都道路整備保全公社の報告書 |
| 輪留め(輪止め) | 車両を固定するため、タイヤに当てて置くもの。JAFの寒冷地駐車の案内では、車体の対角線上に前後2か所に設置するとされる | JAF |
| 逸走防止措置 | 停車中の貨物自動車が動き出さないようにする措置 | 厚生労働省 荷役作業の安全対策 |
📌 補足
駐車場の「タイヤストッパー」は一般に「車止め」と呼ばれ、坂道などで車のタイヤに当てる「輪止め」とは別の使い方です。
2. 駐車場の車止めが果たす役割
国土交通省の「駐車場設計・施工指針」(道路附属物としての駐車場を整備する際の指針)は、駐車場内の柱等の構造を、車両の衝突等に対して十分安全なものにするとしたうえで、必要に応じて車止め等を設け、車体の保護と躯体等の防護を図るものとしています。
📊 車止めの主な役割(確認日: 2026年9月25日)
| 役割 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 車体・躯体の保護 | 車両の衝突等に対して、駐車場の構造物と車を守る | 国土交通省「駐車場設計・施工指針」 |
| 物損事故の防止 | 構造物や設備に対する事故(物損事故)を防ぐために必要とされる | 東京都道路整備保全公社の報告書 |
| 車室を通過する移動の防止 | 前進駐車をするために、車室をまたいで移動する自動車などを防ぐ | 東京都道路整備保全公社の報告書 |
これらは運転の実感としては理解できますが、今回確認した公的資料には書かれていなかったため、断定は避けます。
3. 規格は決まっていない:素材や形状はさまざま
東京都道路整備保全公社の報告書(平成30年3月)には、「柱・車止めについては駐車場設計・施工指針では、具体的な規格や寸法は定められていない」と書かれています。また、車止めは材質・形状ともに様々なものが存在するとされています。
📊 車止めの規格・配置に関する記述
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 規格・寸法 | 駐車場設計・施工指針には、具体的な規格や寸法は定められていない | 東京都道路整備保全公社の報告書 |
| 材質・形状 | 様々なものが存在する | 東京都道路整備保全公社の報告書 |
| 配置の注意 | 駐車車両の車体サイズと車止めの配置が合わない場合、逆に構造物等に接触するおそれがある。車止めを設置する場合は、車体サイズを考慮した配置が必要 | 東京都道路整備保全公社の報告書 |
| 視認性の向上 | カラー塗装等による視認性の向上や、保護材による躯体の保護等の対策が必要とされる | 東京都道路整備保全公社の報告書 |
⚠️ 車止めに乗り上げたときは、ゆっくり確認を
車止めの高さや位置は駐車場ごとに違います。乗り上げてタイヤや車体を傷めないよう、駐車場では速度を落とし、車止めの位置を目で確認してから停止してください。車止めがない駐車場でも、前方・後方の安全確認は必要です。
📌 補足
国土交通省の指針は「必要に応じて」車止め等を設けるという書き方で、すべての駐車場に一律に設置を求めるものではありません。設置の有無は、駐車場の構造や管理者の判断によります。
4. 輪止め(輪留め)で車の動き出しを防ぐ:法令とJAFの案内
駐車場の車止めとは別に、停車中の車が動き出さないようにする措置があります。道路交通法第71条第5号は、車両等の運転者に、車両等を離れるときは、原動機を止め、完全にブレーキをかける等、その車両等が停止の状態を保つために必要な措置を講ずることを求めています。
📊 停止の状態を保つための措置(確認日: 2026年9月25日)
| 場面 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 一般の車 | 車を離れるとき、原動機を止め、完全にブレーキをかけるなど、停止の状態を保つために必要な措置を講ずる | 道路交通法 第71条第5号 |
| 寒冷地での駐車 | パーキングブレーキは凍結するおそれがあるため使わない。輪留めを車体の対角線上に位置する前後2か所に設置する。AT車はPレンジ、MT車は1速(下り坂ならリバース)に入れる | JAF クルマ何でも質問箱 |
| 貨物自動車の荷役 | 停車中の貨物自動車の逸走防止措置を確実に行う。万一動き出したときは、止めようとしたり運転席に乗り込もうとしたりしない | 厚生労働省 陸上貨物運送事業の荷役作業の安全対策 |
⚠️ 輪止めの使用が法律で一律に義務、とは確認できませんでした
道路交通法第71条第5号は「必要な措置」と書いており、輪止めの使用を一律に求める書き方ではありません。どの措置が必要かは、車の種類・場所・状況により異なります。一般的な情報です。個別の判断は、警察・専門家などの窓口でご確認ください。
🧭 車を離れるときの流れ(法令とJAFの案内をもとに整理)
平らな場所に停める
坂道や傾斜のある場所は避けるか、動き出しの危険を意識します。
原動機を止め、完全にブレーキをかける
道路交通法第71条第5号の趣旨に沿った基本の措置です。
AT車はPレンジ、MT車はギアを入れる
JAFの寒冷地駐車の案内では、AT車はPレンジ、MT車は1速(下り坂ならリバース)とされています。
必要に応じて輪留めを設置する
寒冷地では、JAFの案内のとおり、車体の対角線上の前後2か所に設置します。
離れる前に、車が動かないことを確認する
電動パーキングブレーキは、エンジンを止めると自動で作動する車種もあるため、取扱説明書で確認します。
5. 確認しておきたいことと、チェックリスト
📝 駐車するとき・車を離れるときのチェックリスト
☑️ 車止めの位置を確認し、速度を落として進入した
☑️ 前方・後方の安全を目で確認した
☑️ 原動機を止め、完全にブレーキをかけた
☑️ AT車はPレンジ、MT車はギアを入れた
☑️ 傾斜のある場所では、動き出しのおそれがないか確認した
☑️ 寒冷地では、パーキングブレーキの凍結に注意した
☑️ 貨物自動車では、逸走防止措置を確実にした
📊 状況別の考え方(一般的な整理)
| 状況 | 考え方の目安 |
|---|---|
| 車止めのある駐車場 | 車止めの位置を確認し、当たりすぎない位置で停止する。車体サイズと合わない場合は、無理に寄せない |
| 車止めのない駐車場 | 車止めの代わりに、壁・境界線・目印などを確認し、前方・後方の安全を目で確認する |
| 傾斜のある場所 | 原動機を止め、完全にブレーキをかける。必要に応じて輪留めを併用する |
| 寒冷地 | パーキングブレーキの凍結に注意し、JAFの案内に従って輪留めとギアを使う |
- 国土交通省 駐車場設計・施工指針について
- 東京都道路整備保全公社 駐車場の交通事故減少に向けた安全性向上のための施設運用に関する研究(概要版)
- e-Gov法令検索 道路交通法
- JAF 寒冷地で駐車する際の注意点
- 厚生労働省 陸上貨物運送事業者の皆様へ 荷役作業での労働災害を防止しましょう
6. よくある質問
まとめ
駐車場の車止めは、国土交通省の指針で「必要に応じて設ける」とされる、車体の保護と躯体等の防護のための設備で、具体的な規格や寸法は定められていません。車体サイズと配置が合わないと、逆に構造物に接触するおそれがあります。車が動き出さないようにするには、道路交通法第71条第5号のとおり、原動機を止め、完全にブレーキをかけるなどの措置が基本で、必要に応じて輪留めを使います。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。
アイキャッチ画像: Parking lot of Izumiotsu City by 阪神強いな, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons(大阪府泉大津市で撮影)


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