クルマの重さを支え、走る・曲がる・止まるをすべて担っているのに、路面と接する面積は、タイヤ1本あたり「ハガキ約1枚分」(JAF)しかありません。そのタイヤのトラブルは、JAFのロードサービスの出動理由の第2位で、高速道路では第1位です。この記事では、JAF、日本自動車タイヤ協会(JATMA)、ブリヂストンの公式情報をもとに、タイヤの点検のしかた(空気圧・溝・ひび割れ・偏摩耗)と、交換時期の見きわめ方(製造年週・年数)を、順番にまとめます。数値は、いずれも公式資料に記載された内容で、確認日は2026年9月25日です。交換の目安は、環境条件・保管条件・使い方によって変わるため、お乗りの車の取扱説明書と、タイヤ販売店・整備工場での点検の結果もあわせてご確認ください。
📋 この記事の要点
✔ 月に1回、空気圧をエアゲージで測る。タイヤの空気は、パンクしていなくても自然に抜けていく(JAF)
✔ JATMAの点検(2025年)で最も多かった整備不良は空気圧不足で、溝不足は340台中2台だった
✔ 溝は1.6mm未満だと車検に通らない。JAFは、残りが4mm以下になった時点での交換を検討するよう案内している
✔ 製造年週は、サイドウォールの4桁(例:2524=2024年の第25週)で確認できる。使用開始から5年を超えたら、専門店で点検を受ける
✔ 製造から10年を超えたタイヤは、外観が良くても交換が推奨される。ただし、10年は目安で、実際の使用期限ではない(JATMA)
✔ スタッドレスタイヤは、溝が新品時の50%未満(プラットホームが出たら)で、冬タイヤとしては使えない(JAF)
1. データで見る:タイヤのトラブルは、どれくらい起きているか
JAFの救援件数は、2025年度(2025年4月〜2026年3月)に、四輪・二輪合計で230万9,716件(約13.7秒に1件)でした。出動理由の第2位が、「タイヤのパンク・バースト・エアー圧不足」の48万2,696件(構成比20.90%)です(第1位はバッテリー上がりで99万7,116件・43.17%)。
📊 JAFロードサービスの出動理由(2025年度、JAF)
| 区分(2025年度) | 「タイヤのパンク・バースト・エアー圧不足」の件数 | 構成比・順位 |
|---|---|---|
| 四輪・二輪合計(全体) | 482,696件 | 20.90%・第2位 |
| 四輪・一般道路 | 442,300件 | 20.55%・第2位 |
| 四輪・高速道路 | 26,985件 | 44.02%・第1位 |
| BEV(電気自動車) | 3,335件 | 30.7%・第1位 |
| 2025年ゴールデンウイーク・高速道路(四輪・二輪合計) | 1,031件 | 38.70%・第1位 |
JAFは、四輪のタイヤのトラブルが、一般道路では全体の約20%なのに対し、高速道路では約40%と、2倍以上になっていると説明しています。高速道路ではバースト(破裂)が多く、空気圧が低下したまま高速で連続走行すると、タイヤのたわみが大きくなり、発熱して、最後にはバーストにいたります。この現象を「スタンディングウェーブ現象」といい、バーストにいたらなくても、セパレーション(はく離)を起こす危険があります。
📊 JATMAのタイヤ点検の結果(2025年、高速道路と一般道路の合計)
| 項目(2025年、JATMA) | 台数・件数 | 不良率 |
|---|---|---|
| 点検した車両 | 340台(高速道路213台・一般道路127台) | ― |
| タイヤ整備不良の車両 | 183台 | 53.8%(高速47.4%・一般64.6%) |
| 空気圧不足 | 169件 | 49.7% |
| 偏摩耗 | 5件 | 1.5% |
| 外傷(コードに達するもの) | 3件 | 0.9% |
| タイヤ溝不足 | 2件 | 0.6% |
| 釘・異物踏み | 0件 | 0.0% |
| その他 | 18件 | 5.3% |
⚠️ 「溝」より先に、「空気圧」です
この点検では、タイヤの整備不良の大半が空気圧不足で、溝不足は340台中2台でした。なお、これはJATMAが点検会場で実施した結果であり、全国のドライバー全体の割合ではありません。ブリヂストンは、乗用車用タイヤは1か月で5%程度も空気圧が低下するとされ、JATMAの調べでは約4台に1台が空気圧不足で走行している、と紹介しています。
2. 点検1:空気圧(月に1回、エアゲージで)
JAFは、タイヤ内の空気は自然に抜けていくため、少なくとも1か月に1回くらいは空気圧の点検を行うよう案内しています。空気圧は、目で見ても正確には判断できないため、必ずエアゲージ(空気圧を計測するゲージ)で測定します。指定空気圧は、運転席のドアの開口部などに表示されています(取扱説明書にも記載)。
🧭 空気圧の点検の手順(JAF・ブリヂストン)
指定空気圧を確認する
運転席のドアの開口部や取扱説明書に、書かれています。単位はkPa(キロパスカル)で、前後輪で数値が異なる場合があります。純正以外のサイズに変更している場合は、指定空気圧が異なるため、タイヤ専門店へ事前に相談します。
エアバルブのキャップを外す
なくさないように、注意します。
エアゲージで測定する
押し当てる角度が悪いと、空気が抜けてしまいます。
必要なら、メーカー推奨の空気圧に調整する
空気圧が足りなければ補充し、高すぎれば抜きます。
キャップを取り付ける
忘れずに取り付けます。
走行前の冷えた状態で測るのが基本です(ブリヂストン)。高速道路での長距離走行の直後など、タイヤが温まっていると、空気圧が高めに表示される場合があります(JAF)。ブリヂストンは、自然漏れを考慮し、指定空気圧を基準に、0〜+20kPaの範囲内で調整・管理することをすすめています。走行の途中で調整する場合は、指定空気圧より20〜30kPa高めにし、冷えた状態になったら再調整します。スペアタイヤ(応急用タイヤ)も忘れずに。テンパータイヤと呼ばれる応急用タイヤの指定圧は、普通のタイヤの約2倍で、側面などに記載があります(JAF)。
📊 空気圧が「低い」「高い」と、何が起きるか
| 状態 | 起きること(ブリヂストンの資料) |
|---|---|
| 空気圧が不足 | 偏摩耗(片減り・肩落ち)/摩耗寿命の低下/操縦安定性がそこなわれる/燃費の低下/タイヤの損傷(ヒートセパレーションなど) |
| 空気圧が過多 | 偏摩耗(センター摩耗)/摩耗寿命の低下/乗心地の悪化/燃費の低下/カット・ショックによるコード切れ、バーストの懸念 |
📌 補足
空気圧の測定には、当サイトの「タイヤ空気圧ゲージの比較」や、走行中に空気圧を確認できる「タイヤ空気圧センサー(TPMS)の比較」も参考になります。
3. 点検2:溝・ひび割れ・傷・偏摩耗
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(第89条)では、タイヤの溝は、すべての部分で1.6mm以上の深さが必要とされています(JAF)。1.6mm未満のタイヤは、車検に通りません。JATMAも、タイヤの使用限度は残り溝1.6mmとしています。スリップサインが出たまま走ると、保安基準に違反し、整備不良車両として罰則の対象になります(JAF)。
📊 溝・ひび割れ・偏摩耗などの確認
| 項目 | 確認できる内容 | 出典 |
|---|---|---|
| スリップサイン | タイヤの側面(サイドウォール)に「△」マークがあり、その延長線上にある溝の底が少し高くなっている。タイヤの表面に出たら、残り溝が1.6mmになったことを示す | JAF・JATMA |
| 早めの交換の目安(4mm) | 残り溝が4mm以下になると、ウェット路面で制動距離が伸びる傾向がある。JAFは、4mm程度で交換を検討することをすすめている。5円玉を溝に垂直に差し込み、「五」の三画目の横線が見えたら、約4mmの目安 | JAF |
| ハイドロプレーニング | 水の溜まった道路を高速で走ると、タイヤの溝で水を排除しきれず、タイヤが水の上を滑る現象が起きることがある | JATMA |
| ひび割れ | ひび割れがコードに達している場合は、バーストの危険があり、すみやかに交換が必要。軽微に見えても、コードに達しているかは外観だけでは判断できないため、タイヤ専門店に点検を依頼する | JAF |
| 偏摩耗 | 空気圧の過不足や、ホイールアライメントの狂いなどが原因で、接地面が部分的に偏って摩耗する。見つけたら、早めに点検を受ける。ローテーションやアライメント調整が、有効な対策 | JAF |
| 釘・異物 | 近年のタイヤは、異物が刺さっても一気に空気が抜けにくく、気づかないまま走る「スローパンク」になりやすい。前輪が跳ね上げた異物を後輪が踏むケースが多いため、後輪も念入りに点検する | JAF |
📊 JATMAが案内する、新しいタイヤ(バルブ)に交換するべき症状
| チェック項目 | 交換が必要な症状(JATMA) |
|---|---|
| 溝の深さ | スリップサインが露出している |
| 摩耗の状態 | 偏摩耗によって、コードが露出している |
| 外傷 | ベルト・カーカスに達する傷 |
| トレッド・サイドのふくらみ | 局部的なふくれがある |
| その他 | 各部位の極端な変形 |
| バルブ・バルブコア | 変形、亀裂、腐食 |
⚠️ 異常な音や振動を感じたら、まず安全な場所に停車してください
JATMAは、走行中に操縦が不安定になったり、異常な音や振動を感じたりしたときは、速やかに安全な場所に停車して、車両とタイヤを点検するよう案内しています。外観に異常がなくても、できる限り低速で移動して、タイヤ販売店などに点検を依頼します。
4. 交換時期:製造年週と、年数の目安
タイヤはゴム製品なので、走行していなくても、紫外線や熱の影響で劣化が進みます。溝が十分に残っていても、製造から年数が経過したタイヤは、本来の性能を発揮できません。製造年週は、サイドウォールに刻印された数字で確認できます。
📊 製造年週の読み方(前半2桁が製造週、後半2桁が製造年の西暦の下2桁)
| 刻印(末尾の4桁) | 意味 | 出典 |
|---|---|---|
| 2524 | 2024年の第25週(6月ごろ)に製造 | JAF |
| 1220 | 2020年の第12週に製造 | JATMA |
| 3桁(例:249) | 1999年以前の製造。前半2桁が週、末尾1桁が年。製造から25年以上が経過しているため、使っているならすみやかな交換が必要 | JAF・JATMA |
刻印は、タイヤの片側にしかない場合が多く、装着したままでは見えないことがあります。見当たらないときは、タイヤの内側に印字されている可能性があるため、カー用品店やタイヤ専門店、整備工場で確認を依頼します(JAF)。
📊 経過年数と、交換・点検の目安
| 経過年数 | 目安(JAF・JATMA) |
|---|---|
| 新品〜製造から3年程度 | 保管環境が適切なら、性能の低下はほとんど生じないとされる(JAF)。購入時に製造から1〜2年経っていても、過度に気にする必要はない |
| 使用開始から4〜5年 | 夏タイヤは、一度点検・交換を検討する時期。冬タイヤ(スタッドレス)は3〜4年程度が一般的な目安。溝が十分でも、ゴムの硬化で、排水性能やグリップ力は少しずつ低下する(JAF) |
| 使用開始から5年超 | 年に1回以上は、専門店で点検を受ける(JAF)。JATMAも、使用開始後5年以上経過したタイヤは、継続使用に適しているかを、すみやかにタイヤ販売店などで点検することをすすめている(スペアタイヤも同様) |
| 製造から10年超 | 外観に異常がなくても、スペアタイヤを含めて交換が推奨される(JAF・JATMA) |
⚠️ 「10年」は、あくまで目安です
JATMAは、10年という年数は目安であり、そのタイヤの実際の使用期限を示すものではないとしています。環境条件・保管条件・使い方によっては、10年を経過していても使えるタイヤもあれば、10年に満たなくても継続使用に適さないタイヤもあります。また、5年・10年という年数は、各タイヤメーカーなどの品質保証期間を示すものでもありません。車両メーカーが取扱説明書に記載している、点検・交換の時期も、あわせて確認してください。
JAFは、スタッドレスタイヤについて、残りの溝が新品時の50%未満になると、積雪路・凍結路での性能が低下し、冬用タイヤとして使えなくなると説明しています。溝の深さ50%の位置には、使用限界を表す「プラットホーム」(タイヤ側面の「⇧」印の位置)があります。プラットホームとスリップサイン(1.6mm)は別物で、スリップサインが出たら、冬用でも夏用でも交換が必要です。スタッドレスタイヤは、一般的には3シーズンから5シーズンは使用できるといわれますが、使用環境で変わります。
5. 長持ちさせるコツ・出発前の確認・パンクしたとき
📊 タイヤを長持ちさせる習慣
| 習慣 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| ローテーション | 走行距離5,000kmごとを目安に、装着位置を入れ替える。偏摩耗の兆候があれば、早めに行う。回転方向や取り付け方の指定があるタイヤは、その指定どおりに装着する | JAF・JATMA |
| 運転の仕方 | 縁石にタイヤの側面を当てない。道路の凹みや突起物の乗り越えを避ける。急発進・急加速・急旋回・急制動を避ける | JATMA |
| スタッドレスの保管 | 融雪剤や泥、油を水洗いして落とし、水気を拭き取ってから、直射日光が当たらない、温度変化の少ない通気性のよい場所で保管する | JAF |
JAFの統計では、連休の高速道路でも、タイヤのトラブルが出動理由の第1位です(2025年ゴールデンウイークは1,031件・38.70%)。長距離を走る前は、空気圧(冷えた状態で)、溝、ひび割れ・釘、スペアタイヤ(またはパンク修理キット)を確認しておきましょう。
🧭 パンク・バーストしたときの対処の流れ(JAFの案内より)
あわてず、安全な場所に停車する
路肩や高速道路上での作業は、二次事故の危険が高く、とくに高速道路では、自分で作業することは避けます(JAF)。
ハザードランプを点灯し、三角表示板を設置する
スペアタイヤへ交換する場合の手順です(JAF)。
状況に応じて、対処を選ぶ
スペアタイヤへの交換、応急修理キットの使用、カー用品店・ガソリンスタンドへの持ち込み、ロードサービスへの連絡があります(JAF)。
応急用タイヤ・修理キットの制限を守る
テンパータイヤは、取扱説明書の速度・距離の制限を守り、できるだけ早く通常のタイヤへ交換します。修理キットは、トレッド面の小さな穴に限られ、サイドウォールの損傷などには使えません(JAF)。
応急処置のあとも、専門店で確認する
補修液を入れたタイヤは、修理できず、交換が必要になる場合があります(JAF)。
📝 タイヤ点検チェックリスト
☑️ 【月1回】エアゲージで空気圧を測る(走行前の冷えた状態で。指定空気圧は運転席ドアの開口部)
☑️ 【月1回】スペアタイヤの空気圧も確認する(応急用タイヤの指定圧は約2倍)
☑️ 【月1回】ひび割れ・傷・ふくらみ・釘などの異物がないか、目で見る
☑️ 【月1回】スリップサイン(△マークの延長線上)が出ていないか見る。残り溝が4mm以下なら、交換を検討する
☑️ 【月1回】偏摩耗(内側・外側だけ減っている)がないか確認する
☑️ 【5,000kmごと】ローテーションをする
☑️ 【年1回】製造年週を確認する。使用開始から5年を超えていたら、専門店で点検を受ける
☑️ 【製造から10年】外観が良くても、スペアタイヤを含めて交換を検討する
☑️ 【冬前】スタッドレスタイヤのプラットホームが出ていないか確認する
6. よくある質問
まとめ
タイヤの点検は、月に1回の空気圧(エアゲージで、冷えた状態で)、溝(1.6mmが限度、4mm以下で交換を検討)、ひび割れ・傷・偏摩耗の確認が基本です。JATMAの点検では、整備不良の大半が空気圧不足でした。製造年週は、サイドウォールの4桁で確認でき、使用開始から5年を超えたら専門店で点検を、製造から10年を超えたら交換を検討します(10年は目安)。スタッドレスタイヤは、溝が新品時の50%未満になったら冬用としては使えません。異常な音や振動を感じたときは、安全な場所に停車して点検を依頼しましょう。
※本記事は、公的機関・業界団体(JAF、日本自動車タイヤ協会、ブリヂストン)が公開している情報を、当サイトが整理したものです(確認日:2026年9月25日)。交換の目安は、環境条件・保管条件・使い方によって変わります。お乗りの車の取扱説明書と、タイヤ販売店・整備工場での点検の結果を、必ずご確認ください。
Photo(資料写真・摩耗したタイヤのトレッド): Shixart1985 / Wikimedia Commons, CC BY 2.0(一部をトリミング)


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