台風が過ぎたあとの車の点検・手入れガイド|浸水・塩害・ブレーキ・保険を公式情報で解説

Photo(資料写真・洗車機の中): 3268zauber / Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0(一部をトリミング)

台風25号は、日本気象協会によると、21日の昼前から夜遅くにかけて関東に最も近づく見込みです(2026年9月20日時点)。台風が過ぎて雨風が弱まると、つい「そのまま車に乗って出かけよう」と考えがちですが、車には、目に見えない被害が残っていることがあります。この記事では、JAF、トヨタ・マツダの取扱説明書、損害保険会社、電力会社などの公式情報をもとに、台風が過ぎたあとの車の点検・手入れ・保険の連絡を、順番にまとめます。

📋 この記事でわかること
・台風が過ぎた直後、車に近づく前に確認すること
・浸水した車を「動かしてはいけない」理由(JAF)
・海沿いを走ったあとに「ただちに洗車」が必要な理由(トヨタ取扱説明書)
・洗車の落とし穴(エンジンルーム・高圧洗浄機・下まわり)
・水たまりを走ったあとのブレーキの確認方法(マツダ取扱説明書)
・飛来物の傷を保険で直すときの連絡と等級(ソニー損保)

💡 先に結論(6つのポイント)
① 車に近づく前に、周囲を見る。切れて垂れ下がった電線にはさわらず、電力会社に連絡する。
② 車内に水が入った、水につかったなら、水が引いても自分でエンジンをかけない(JAF)。
海岸地帯を走ったあとや泥で激しく汚れたときは、ただちに洗車する(トヨタ取扱説明書)。
④ 洗車では、エンジンルームに水をかけない。高圧洗浄機の使い方にも決まりがある。
⑤ 水たまりを走ったあと・洗車のあとは、ブレーキの効きを確認する(マツダ取扱説明書)。
⑥ 飛来物の傷は、保険会社にまず連絡・相談。相談だけなら等級は下がらない(ソニー損保の場合)。

台風が過ぎた直後の3ステップ

  1. 自分の安全を確保する。気象情報で雨や風が収まったことを確認してから外に出ます。
  2. 車の周りを見る。倒木、垂れ下がった電線、落下物、冠水した場所がないかを確認します。
  3. 車を動かす前に、車の状態を見る。浸水の有無、外装の傷、タイヤの状態を確認します。

順番が大切です。とくに2と3の間で、浸水の形跡があれば「動かさない」という判断が必要になります。

状況別の早見表:こんなときは、こうする

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こんなとき やること 根拠
切れて垂れ下がった電線を見つけた さわらず、電力会社に連絡する 東京電力パワーグリッド
車内に水が入った・水につかった 水が引いても、自分でエンジンをかけない。JAF・販売店に連絡 JAF
高潮で海水につかった 電気系統のショート・発火の危険がある。自分でバッテリーを外さず、JAF・販売店・整備工場に相談 JAF
海岸地帯を走った・泥で激しく汚れた ただちに洗車する(エンジンルームには水をかけない) トヨタ取扱説明書
水たまりを走った・洗車をした 低速で、ブレーキペダルを軽く数回踏んで乾かし、効きを確認 マツダ取扱説明書
ハンドルがとられる・異常な振動・車体が傾く パンクやバーストのサイン。徐々にブレーキをかけて速度を落とす マツダ取扱説明書
床下に衝撃を受けた 安全な場所に停車し、ブレーキ液・燃料の漏れ、各部の損傷を確認 マツダ取扱説明書
飛来物で傷・へこみができた 保険会社に連絡・相談(相談だけなら等級は下がらない) ソニー損保

手順1:車の周りの安全確認(電線・倒木・冠水)

東京電力パワーグリッドは、電線が切れて垂れ下がっているのを見つけたときは、切れた電線にはさわらず、お近くの東京電力パワーグリッドへ連絡するよう呼びかけています(東京電力管内の場合。ほかの地域は、その地域の電力会社の案内に従ってください)。電柱にはのぼらないでください。

冠水した道路には近づかないでください。JAFは、乗用車の場合、一般に走行可能とされる水深は「ドアの下端、つまり床面が浸からない程度」としており、ゲリラ豪雨や台風のあとは、高架下・ガード下・立体交差のアンダーパスなど周囲より低い場所が冠水しやすいため、進入せずに迂回するよう案内しています。詳しくは冠水・水没したときの脱出方法と対処をご覧ください。

手順2:車内に水が入った・水につかったら「動かさない」

台風のあと、最も注意したいのが、車が浸水した可能性があるときです。JAFの「クルマ何でも質問箱」(2025年7月現在)は、次のように案内しています。

  • 一度でも車内に浸水した場合は、車両は水が引くまで放置し、その旨をJAFのロードサービスや販売店に連絡する。
  • 水が引いたからといって、車に乗り込みエンジンをかけると破損や感電の危険があるので、絶対にやめる。河川の氾濫で、止めていた車両が水没した場合も同じ。
  • 自分でバッテリーを外そうとしたり、エンジンをかけたりせず、JAFや販売店、整備工場などに相談する。

高潮で海水につかったときは、火災にも注意

台風で高潮が起きると、海岸付近に止めていた車が海水につかることがあります。JAFによると、海水は電気を通しやすく、電気系統がショートして車両火災につながる可能性があります。キーを抜いていても、バッテリーから直接電気が流れてショートするケースがあり、水が引いたあとも、海水によって電気系統の腐食が進み、自然に発火することもあります。JAFは、2004年8月に香川県高松市で、台風16号による高潮のあと、海水につかった自動車が次々と自然発火した例を挙げています。

ハイブリッド車(HV)・電気自動車(BEV)については、JAFは「むやみに触らないでください」と案内しています。

⚠️ 「水が引いたから大丈夫」ではありません
浸水した車は、見た目に問題がなくても、電気系統に水や塩分が残っている可能性があります。JAFのロードサービスは、浸水した車のけん引にも対応しており、水が引いたあとに、自宅・販売店・整備工場など任意の場所まで運ぶことができます。

手順3:海岸地帯を走ったあと・泥で汚れたら「ただちに洗車」

トヨタ AQUAの取扱説明書(2021年7月版)には、外装の手入れとして、次の注意が書かれています。塗装の劣化や、車体・部品(ホイールなど)の腐食を防ぐために、次のような場合は、ただちに洗車してください。

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取扱説明書が「ただちに洗車」を求める場面 台風のあととの関係
海岸地帯を走行したあと 高波・高潮・潮風を受けた道路を走ったとき
ほこり・泥などで激しく汚れたとき 冠水していない道でも、泥はねで汚れたとき
コールタール・花粉・樹液・鳥のふん・虫の死がいなどが付着したとき 木の葉や樹液が付いたとき(強風のあと)
塗装に傷が付いたとき 取扱説明書は「早めに補修」と案内。飛来物の傷が該当

「台風のあとは必ず洗車」というルールではなく、海岸地帯の走行や、泥・汚れが激しい場合に、ただちに洗うというのが、取扱説明書の考え方です。なお、これはトヨタ AQUAの取扱説明書の記載です。ほかのメーカー・車種は、お乗りの車の取扱説明書で確認してください。

洗車の落とし穴:エンジンルーム・高圧洗浄機・下まわり

同じ取扱説明書には、洗車のときの注意も書かれています。

  • エンジンルーム内に水をかけない。電気部品に水がかかると、車両火災につながるおそれがあります(警告)。
  • 排気管は、十分に冷めてからふれる。やけどのおそれがあります。
  • 高圧洗浄機を使うとき:カメラやその周辺に直接水を当てない(高い水圧で装置が正常に作動しなくなるおそれ)。エンブレムの裏に搭載されているレーダーに直接水をかけない。駆動系・ステアリング・サスペンション・ブレーキ部品の結合部やブーツ類、コネクタ類にノズルを近づけすぎない。モールやバンパーなどの樹脂部分は、ノズルを車体から30cm以上離す。
  • 「高圧洗浄機で車両の下まわりを洗浄しないでください」と明記されています。

海沿いを走ったあとは下まわりの塩分が気になりますが、下まわりの洗い方は、車種によって取扱説明書の指示が異なる可能性があります。不安なときは、販売店や整備工場に相談してください。

手順4:水たまり・冠水路を走ったあとは、ブレーキの効きを確認

マツダ CX-8の取扱説明書には、「水たまり走行後や洗車後はブレーキの効きを確認する」という項目があります。水たまりを走ったあとや洗車後は、ブレーキパッドがぬれているため、ブレーキの効きが悪くなったり、ぬれていない片方のブレーキだけが効いて、ハンドルをとられるおそれがあり、危険です。

効きが悪いときの対処は、低速で走りながら、効きが回復するまで、アクセルペダルを放してブレーキペダルを軽く数回踏み、ブレーキを乾かすことです。周りの安全を十分に確かめながら行ってください。

同じ取扱説明書は、次のような点も案内しています。

  • 冠水した道路を走行しない。エンストだけでなく、電気部品や電子部品のショート、水を吸い込んでのエンジン破損など、車に悪影響が出ます。万一、水中につかったときは、必ず販売店に相談する。
  • パンクやバースト(破裂)が考えられるサイン:ハンドルがとられる、異常な振動がある、車両が異常に傾く。走行中にパンクしたときは、ハンドルをしっかり持ち、徐々にブレーキをかけて速度を落とす。
  • 床下に衝撃を受けたら、下まわりを点検する。安全な場所に停車して、車の下にブレーキ液や燃料の漏れがないか、各部に損傷がないかを確認する。
  • 異常を感じたときは、販売店で点検を受ける。

台風のあとの強風:横風に注意

台風が過ぎても、風が残ることがあります。マツダの取扱説明書は、横風が強く車が横に流されるようなときは、ハンドルをしっかり握り、スピードを徐々に落とすよう案内しています。トンネルの出口、橋の上、山を削った切り通しは、とくに横風が発生しやすい場所です。日本気象協会の道路気象予測も、21日は関東で瞬間的に50m/sの風が吹く恐れがあると伝えています。最新の状況は、シルバーウィーク×台風25号の天気・渋滞・通行止め情報で更新しています。

飛来物の傷・へこみ:保険会社への連絡と等級

強風で飛んできた瓦や看板などで、車に傷やへこみができたときは、まず保険会社に連絡・相談します。ソニー損保の「自然災害ガイド」によると、次のとおりです。

  • 台風による車の損害は、「一般型」「エコノミー型」どちらの車両保険でも補償される(ソニー損保の場合)。補償の対象となる例として、機械式駐車場ごと水没、飛んできた瓦が車に当たった、が挙げられている。
  • 車両保険を使うと、翌年は1等級ダウンし、事故あり係数適用期間が1年加算される。
  • 連絡や相談をしただけでは、等級は下がらない。
  • 相手方への賠償は、台風のみを直接の原因とする場合には、自動車保険では補償されない(基本的に法律上賠償する責任がないため)。

JAFも、地震・噴火・台風・洪水・高潮・津波などによる自然損害には、対人賠償保険・対物賠償保険・無保険車傷害保険が適用されないとしています(一時金を支払う特約を販売している保険会社もあります)。契約内容は保険会社によって異なるため、ご自身の契約と、保険会社の連絡先を、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。なお、JAFのロードサービスは、自動車保険では対象外の、地震・台風・大雪など「自然災害に起因した事故・故障」にも対応しています。

台風のあとの車チェックリスト(順番どおりに)

  • ☐ 雨風が収まったことを気象情報で確認してから、外に出る
  • ☐ 車の周りに、垂れ下がった電線・倒木・落下物・冠水がないか見る(電線にはさわらず、電力会社に連絡)
  • ☐ 車内・床・エンジンルームなどに、浸水の形跡がないか見る(あれば、エンジンをかけず、JAF・販売店に連絡)
  • ☐ 外装の傷・へこみ・ガラスのひび・ライトの破損を確認し、保険を使う可能性があれば、修理の前に保険会社へ連絡
  • ☐ 海岸地帯を走った・泥で激しく汚れたときは、ただちに洗車(エンジンルームに水をかけない)
  • ☐ タイヤに異常(ハンドルがとられる・異常な振動・傾き)がないか確認
  • ☐ 走り出したら、低速でブレーキの効きを確認する(水たまりを走ったあと・洗車後は特に)
  • ☐ 異音や違和感があれば、販売店・整備工場で点検を受ける

よくある質問(FAQ)

Q. 台風のあとは、必ず洗車したほうがいいですか?

A. トヨタ AQUAの取扱説明書が「ただちに洗車」を求めているのは、海岸地帯を走行したあとや、ほこり・泥などで激しく汚れたときなどです。すべての台風のあとに必要、という記載ではありません。ほかの車種は、取扱説明書で確認してください。

Q. 水が引いたので、自分でエンジンをかけて確認してもいいですか?

A. いいえ。JAFは、水が引いたからといって車に乗り込みエンジンをかけると、破損や感電の危険があるため、絶対にやめるよう案内しています。JAFや販売店に連絡してください。

Q. 高圧洗浄機で、下まわりを洗ってもいいですか?

A. トヨタ AQUAの取扱説明書は「高圧洗浄機で車両の下まわりを洗浄しないでください」としています。車種によって指示が異なる可能性があるため、お乗りの車の取扱説明書を確認してください。

Q. 保険の相談をしただけで、等級は下がりますか?

A. ソニー損保の案内では、連絡や相談をしただけでは、等級は下がりません。車両保険を使った場合は、翌年に1等級ダウンし、事故あり係数適用期間が1年加算されます。

出典(2026年9月20日確認)

※本記事は、2026年9月20日時点で公開されている公式情報を、当サイトが整理したものです。取扱説明書の内容は車種・年式によって異なり、保険の補償内容も契約によって異なります。お乗りの車の取扱説明書と、ご契約の保険会社の案内を、必ずご確認ください。

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