車検証の「型式」欄には、6AA-ZWE219Hのような暗号に見える文字が並んでいます。ハイフンの前の3文字は何を表し、ハイフンの後ろは何なのか。さらに、リコールの確認や保険の見積りで「型式」を聞かれたとき、どこまでを入力すればよいのか、迷ったことはありませんか。
この記事では、国土交通省の排出ガス規制の識別記号の表、日本自動車工業会(JAMA)の解説、道路運送車両法、国土交通省のリコール情報検索の案内、損害保険料率算出機構の資料をもとに、型式の先頭3文字の読み方を整理します。YouTubeのショート動画「車検証の型式、最初の3文字『6AA』って何の記号?見方3つ」の内容に、動画では触れられなかった記号の一覧や例外、注意点を加えて詳しく解説したものです。
📋 この記事の要点
✔ 型式は「排出ガス規制の識別記号(3文字)–メーカーが決めた記号」をハイフンでつないだもの(国土交通省)
✔ 6AAは、1桁目の6=平成30年規制・75%低減レベル、2桁目のA=ガソリン・LPGのハイブリッド、3桁目のA=乗用車。ハイブリッドでない同じレベルは6BA
✔ 電気自動車や燃料電池車は排出ガス規制の適用を受けず、先頭がZになる(例: 電気の乗用車はZAA)
✔ ハイフンの後ろの記号はメーカーごとに書き方が違う。公的な一覧は確認できなかったため、意味はメーカーの資料や販売店で確認する
✔ 国土交通省のリコール情報検索は車名・型式・届出日で調べられるが、対象かどうかは車台番号で決まる。保険の「型式別料率クラス」の型式は識別記号とハイフンを除いた部分
🎬 動画で見る(ショート)
この記事の元になった、かーぎーくんのショート動画です。動画では触れられなかった詳しい内容や条文・公式情報は、このあと記事で確認できます。
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📑 目次
1. 型式は「識別記号」と「メーカーの記号」でできている
国土交通省の「自動車燃費一覧」の用語の解説では、型式は「○○○-△△・・△△」の形で示されています。ハイフンの前の○○○は自動車排出ガス規制及び低排出ガス車認定の識別記号、ハイフンの後ろの△△は自動車製作者等が決めた記号です。

この記事の例は、トヨタ カローラ スポーツ(ハイブリッド)の主要諸元表(2026年7月版)に載っている型式6AA-ZWE219Hです。同じ諸元表には、エンジン(型式2ZR-FXE、無鉛レギュラーガソリン)と、モーター(型式1VM)、電気式無段変速機の記載があり、ハイブリッド車であることが公式資料から確認できます。
車検証に載る根拠
車検証に何を記載するかは、道路運送車両法施行規則第35条の3に定められています。第4号が「車名及び型式」、第8号が「原動機の型式」で、両者は別の記載事項です。電子車検証でも、券面の記載事項に「車名・型式」「型式」「原動機の型式」などが含まれます(国土交通省の電子車検証特設サイト)。
📜 道路運送車両法施行規則 第35条の3(自動車検査証の記載事項。条文の抜粋)
第四号 車名及び型式 / 第八号 原動機の型式 / 第九号 燃料の種類
また、国土交通省がメーカー別に公表している整備情報提供の別表には、「基本型式」を車検証の「型式」欄の文字のうち、ハイフンの前の英字(排出ガス規制の識別記号)を除いたもの(例:「DBA-ABCD」なら「ABCD」)と説明する注記があります。車検証の型式欄が「識別記号-記号」の形で載ることの裏づけにもなります。
2. 先頭3文字の読み方(1桁目・2桁目・3桁目)
先頭の3文字は、国土交通省の「平成17年規制以降の自動車排出ガス規制の識別記号」(令和7年1月10日現在)の表で整理されています。JAMAの解説によると、排出ガス規制の適用がある車では、1桁目が何年度の排出ガス規制の適合車か、2桁目がハイブリッドの有無と燃料の種類、3桁目が用途や、規制値のベースとなる重量条件などを示します。
📊 1桁目(排出ガス規制年と低排出ガス認定)の主な記号
| 排出ガス規制年 | 低排出ガス認定 | 識別記号 |
|---|---|---|
| 平成17年規制 | 認定なし | A |
| 平成17年規制 | 50%低減レベル | C |
| 平成17年規制 | 75%低減レベル | D |
| 平成30年規制 | 認定なし | 3 |
| 平成30年規制 | 25%低減レベル | 4 |
| 平成30年規制 | 50%低減レベル | 5 |
| 平成30年規制 | 75%低減レベル | 6 |
| 平成30年規制 | 排出ガスの上限値規制(PHP車) | 7 |
このほかにも、平成18年〜28年の規制ごとの記号(J、E・G・H、K、L・M・Q・R、S・T、U、W、X、Y、2など)や、平成32年規制(8)、令和6年規制(9)の記号があります。対象の車の種類(乗用車・二輪車・特殊自動車など)ごとに決まっているため、全体の一覧は国土交通省の表で確認してください。
📊 2桁目(燃料の別とハイブリッドの有無)の主な記号
| 燃料の別 | ハイブリッドあり | ハイブリッドなし |
|---|---|---|
| ガソリン・LPG | A | B |
| 軽油(ディーゼル) | C | D |
| CNG(天然ガス) | E | F |
| メタノール | G | H |
| その他 | Y | Z |
このほか、ガソリン・電気/LPG・電気の組み合わせ(L)や軽油・電気(M)の記号、重量車の一部に使う細かい記号もあります。
📊 3桁目(用途や重量条件)の主な記号
| 用途 | 条件など | 識別記号 |
|---|---|---|
| 乗用車 | 平成17年規制のディーゼル車以外 | A |
| 乗用車 | 平成17年規制のディーゼル車(車両重量1265kg以下) | B |
| 乗用車 | 平成17年規制のディーゼル車(車両重量1265kg超) | C |
| 貨物・乗合 | 軽自動車 | D |
| 貨物・乗合 | 車両総重量1.7トン以下 | E |
| 貨物・乗合 | 車両総重量1.7トン超、3.5トン以下 | F |
| 貨物・乗合 | 車両総重量3.5トン超 | G |
| 二輪車等 | 第1種原付 / 第2種原付 / 軽二輪 / 小型二輪 | H / J / K / L |
特殊自動車(定格出力別のM・N・P・R・S・T)や超小型モビリティ(貨物=Y、乗用=Z)の記号もあります。
6AAと6BAを読んでみる

| 型式の先頭 | 1桁目 | 2桁目 | 3桁目 | 国土交通省の説明 |
|---|---|---|---|---|
| 6AA | 6=平成30年規制、75%低減レベル | A=ガソリン・LPG、ハイブリッドあり | A=乗用車 | 平成30年基準排出ガス75%低減レベルのハイブリッド車 |
| 6BA | 6=平成30年規制、75%低減レベル | B=ガソリン・LPG、ハイブリッドなし | A=乗用車 | 平成30年基準排出ガス75%低減レベルのもの |
| DAA | D=平成17年規制、75%低減レベル | A=ガソリン・LPG、ハイブリッドあり | A=乗用車 | 平成17年基準排出ガス75%低減レベルのハイブリッド車 |
| DBA | D=平成17年規制、75%低減レベル | B=ガソリン・LPG、ハイブリッドなし | A=乗用車 | 平成17年基準排出ガス75%低減レベルのもの |
「国土交通省の説明」の欄は、燃費一覧の用語の解説に載っている表現です。1桁目だけを見ると、同じ車名でも、適合している規制が違えば先頭の記号は変わることがわかります。
3. EV・燃料電池車は先頭がZになる
電気自動車(EV)や燃料電池車は、排出ガス規制の適用を受けません。この場合の識別記号は、国土交通省の表の「排出ガス規制の適用を受けない自動車の識別記号」で決まっています。
📊 排出ガス規制の適用を受けない自動車の識別記号
| 桁 | 内容 | 識別記号 |
|---|---|---|
| 1桁目 | 排出ガス規制の適用を受けない車 | Z |
| 2桁目(種類・燃料等) | 電気 / 燃料電池(水素・圧縮水素) | A / B |
| 3桁目(用途等) | 乗用車 / 貨物 / 乗合 | A / B / C |
| 3桁目(用途等) | 二輪車(原動機付自転車 / それ以外) / 特殊自動車 | D / E / F |
| 3桁目(用途等) | 超小型モビリティ(貨物 / 乗用) | Y / Z |
JAMAは、日産リーフ(電気自動車・乗用車)は排出ガス規制の適用を受けないため「ZAA-」で始まる、いすゞ エルフEVは同じEVでも用途区分が貨物のため3桁目がBになり「ZAB-」になる、と例示しています。この表に当てはめると、燃料電池の乗用車はZBAになります。
4. 型式がわかると何ができる?(リコール検索と保険)

リコール情報検索は「車名・型式・届出日」で調べられる
道路運送車両法第63条の3は、メーカー等が同一の型式の一定の範囲の自動車について、保安基準に適合しなくなるおそれがある状態などの原因が設計または製作の過程にあると認める場合の改善措置(リコール)の届出を定めています。国土交通省のリコール情報検索は、この届出を車名、型式、届出日から検索できます。
| 項目 | 国土交通省の案内 |
|---|---|
| 検索できる条件 | 車名・型式・届出日から、リコール等の内容を検索できる |
| 結果の見方 | リコールの対象は車台番号の幅(範囲)で示される。範囲に入っていても、仕様(自動変速機・手動変速機の違い、ターボの有無等)により対象外の場合もある |
| 個別の車の確認 | 個別の車台番号から調べたいときは、自動車メーカーや販売会社に問い合わせる。主要メーカーには、車検証の車台番号を入力して調べられるシステムがある |
つまり、型式は「候補を絞る手がかり」で、最終的な判断は車台番号です。リコールの確認方法は、リコール・PL法・メーカー保証、何が違う?車の不具合に関わる3つの制度でも整理しています。
保険の「型式別料率クラス」でいう型式
損害保険料率算出機構は、自動車保険の型式別料率クラスについて、「型式」を自動車排出ガス規制の識別記号およびハイフンを除いたものと説明しています(例: ABC-DEFならDEF)。つまり、この記事の例で保険の料率クラスを検索するときの型式は、6AA-ZWE219HのZWE219Hの部分です。
| 項目 | 損害保険料率算出機構の説明 |
|---|---|
| クラスの数 | 自家用普通乗用車・自家用小型乗用車はクラス1〜17、自家用軽四輪乗用車はクラス1〜7。クラス1が最も安い |
| 見直し | 毎年11月頃に、翌年(1月1日〜12月31日)の契約を想定したクラスを掲載。新たに発売される型式は、発売日の翌月初めに追加 |
| 検索できない車 | 自家用普通・小型・軽四輪乗用車以外、改造車、型式不明車、並行輸入車、未発売・発売して間もない型式 |
| 注意 | 検索結果は参考純率上のクラス。各保険会社が使うクラスとは異なる場合がある。クラスが高いからといって、危ない自動車ということではない |
実際の保険料は、型式別のクラスのほか、契約の条件によっても変わります。契約する保険会社の案内で確認してください。型式指定番号・類別区分番号と保険の関係は、車検証の「型式指定番号」「類別区分番号」とはで解説しています。
5. 型式欄の特別な表記と、似た欄との違い
「改」「不明」「-ABC-」と書かれている車
損害保険料率算出機構の資料では、次の表記が説明されています。
| 型式欄の表記 | 意味(損害保険料率算出機構) |
|---|---|
| 「改」「カイ」 | 改造車 |
| 「不明」「FUMEI」「フメイ」 | 型式不明車 |
| 型式が「-」で囲まれている(例: -ABC-) | 並行輸入車(正規の販売代理店を通さず、別のルートで輸入した自動車) |
電子車検証の二次元コードの項目定義(国土交通省、2023年1月版)にも、改造車は型式の末尾に「*K」が付く(例: ABCDEF12345*K)、型式IDコードが不明な場合は「*FUMEI」を設定する、という定めがあります。また、道路運送車両法第12条は、登録されている型式などに変更があったときは、その事由があった日から15日以内に変更登録の申請をすることを定めています。
型式と、似た名前の欄
| 欄・番号 | 何を表すか | この記事の例 |
|---|---|---|
| 型式 | 車の種類を分類する記号。先頭3文字は排出ガス規制の識別記号 | 6AA-ZWE219H |
| 原動機の型式 | エンジンの型式。車検証では型式とは別の記載事項(施行規則第35条の3第8号) | 2ZR-FXE(カローラ スポーツ ハイブリッドのエンジン型式。トヨタ諸元表) |
| 型式指定番号・類別区分番号 | 型式指定を受けた車に付く番号(道路運送車両法第75条)。型式とは別の番号 | 詳しくは別記事 |
| 車台番号 | 車ごとに付く番号。リコールの対象範囲は車台番号の幅で示される | 車検証で確認 |
型式指定は、国土交通大臣が申請に係る自動車の構造・装置・性能が保安基準に適合し、かつ均一性を有するかどうかを判定して、自動車を型式について指定する制度です(第75条第1項・第3項)。電子車検証の券面に載る内容や入手方法は、車検証の「自動車検査証記録事項」、窓口配布終了!2026年からの入手方法と注意点も参考になります。
6. よくある質問
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まとめ
車検証の型式「6AA-ZWE219H」は、ハイフンの前の3文字(排出ガス規制・低排出ガス車認定の識別記号)と、ハイフンの後ろのメーカーが決めた記号に分けて読みます。6AAは、1桁目の6=平成30年規制・75%低減レベル、2桁目のA=ガソリン・LPGのハイブリッド、3桁目のA=乗用車で、ハイブリッドでない同じレベルは6BAです。EVや燃料電池車は先頭がZになります。
型式は、リコール情報検索(車名・型式・届出日)や、保険の型式別料率クラス(識別記号とハイフンを除いた部分)でも使われますが、リコールの対象かどうかは車台番号、実際の保険料は契約の条件でも変わります。次に車検証を見たら、型式の最初の3文字をぜひ読んでみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。識別記号の表・法令・保険の制度は改正や更新されることがあるため、最新の内容や個別の判断は、国土交通省・メーカー・保険会社などの公式情報でご確認ください(確認日: 2026年10月17日)。識別記号の表は令和7年1月10日現在のものを確認しました。
参考(一次情報・公的機関・業界団体・メーカー公式): 国土交通省「自動車燃費一覧」用語の解説(型式の構成、識別記号の例)/国土交通省「平成17年規制以降の自動車排出ガス規制の識別記号」(令和7年1月10日現在)/国土交通省 整備情報提供の別表(基本型式の注記)/JAMA BLOG「自動車諸元表の読み方① 寸法・型式編」/e-Gov法令検索 道路運送車両法(第12条・第63条の3・第75条)/同 道路運送車両法施行規則(第35条の3)/国土交通省 電子車検証特設サイト「電子車検証について」/同 二次元コードの項目定義/国土交通省 リコール情報検索/国土交通省「自分の車がリコールになっているか知りたい」/損害保険料率算出機構 型式別料率クラス検索/トヨタ カローラ スポーツ 主要諸元表(2026年7月版)
図はすべて自作のイラストです(AI生成なし)。


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