台風が近づくと、「どこに車を停めておくか」で被害の大きさが変わることがあります。この記事では、気象庁・JAF・国土交通省などの公開情報をもとに、屋外・地下・立体駐車場・河川や海岸の近くといった駐車場所ごとのリスクと、移動のタイミングの考え方を整理しました。2025年9月に三重県四日市市で起きた地下駐車場の浸水(国土交通省の公表資料)にも触れています。
📋 この記事の要点
✔ 気象庁の「風の強さと吹き方」では、平均風速15m/s以上20m/s未満で看板やトタン板が外れ始め、20m/s以上25m/s未満では看板が落下・飛散し、細い木の幹が折れるなどとされている
✔ 地下・半地下・機械式駐車場の地下部は、大雨で短時間に冠水するおそれがある。2025年9月12日の四日市市の地下駐車場では、274台が被災した(国土交通省)
✔ JAFは、水位が上がってからの自動車での避難は大変危険なので控えるよう案内している。移動は水位が上がる前に
✔ 海水に浸かった車は、水が引いた後も電気系統の腐食で自然発火する可能性がある(JAF)
✔ 台風の被害は車両保険の対象になるケースが大半と、保険会社が案内している。ただし契約内容による
1. 駐車場所ごとのリスクの早見表
台風時の駐車場所は、「屋根があるかどうか」だけでは決まりません。風で飛んでくるもの・倒れるもの、大雨や高潮による冠水、土砂災害の三つの面から、公開情報で確認できたリスクを場所ごとに整理します。
📊 駐車場所ごとのリスク(公開情報の整理)
| 駐車場所 | 主なリスク | 確認できた根拠 | 考え方 |
|---|---|---|---|
| 屋外の平置き(屋根なし) | 飛来物による傷・へこみ。周囲の看板・屋根材が飛ぶ、樹木が倒れる | 気象庁の風の表では、平均風速15〜20m/sで看板やトタン板が外れ始め、20〜25m/sで看板が落下・飛散し、根の張っていない木が倒れ始める。ソニー損保は、看板・屋根瓦の飛来や駐車場の木の倒壊を車両の損害例に挙げている | 周囲に倒れやすい木、老朽化した看板、外れやすい屋根材がないかを確認し、可能なら別の場所へ |
| 屋根付き・屋内の地上車庫 | 屋根は上からの飛来物への備え。冠水そのものは防げない | JAFは、大雨や台風では海岸・増水した川・急傾斜地などに近づかず、ハザードマップで危険箇所を確認するよう案内している | 屋根の有無に加え、浸水想定区域かどうかを自治体のハザードマップで確認 |
| 地下・半地下・機械式駐車場の地下部 | 大雨による冠水。出入口から急に水が流れ込むことがある | 国土交通省によると、2025年9月12日に四日市市の地下駐車場が浸水し、274台が被災した。JAFのロードサービス隊員も、地下や機械式駐車場の地下部にある場合は、車を地上や上層階へ早めに移すことを勧めている(JAF Mate 2026年7月30日) | 大雨の予報が出たら、水位が上がる前に地上や上層階へ移す |
| 立体駐車場の上層階・屋上 | 冠水しにくい。施設によっては台風時の利用制限や閉鎖がある | JAF Mateは、台風は事前に予報があるので高台に避難するなどの対策をとりやすいと説明。ソニー損保も、洪水などの水災では早めに車を高台へ移すなどの予防策を挙げている | 営業時間や台風時の閉鎖の有無を、施設に事前確認(施設ごとに異なる) |
| 河川・海岸の近く | 河川の増水、高潮。海水に浸かると車両火災のおそれ | JAFによると、高潮が起きると海岸付近の車が海水に浸かることがある。海水は電気を通しやすく、電気系統がショートして車両火災につながる可能性がある。水が引いた後も腐食で自然発火することがある | 高台や内陸側を選ぶ |
| アンダーパス・高架下など周囲より低い場所 | 短時間で冠水しやすい | JAFは、高架下や立体交差のアンダーパスなど周囲より低い場所は冠水しやすいので進入せず迂回するよう案内している | 走行だけでなく、駐車場所としても避けるのが無難(当サイトの考え方) |
※表は横にスクロールできます
⚠️ 注意
どの場所が最も安全かは、地域の浸水想定、地形、台風の進路や雨の降り方によって変わります。上の表は一般的な整理で、特定の場所の安全を保証するものではありません。自宅や勤務先の周辺は、自治体のハザードマップで個別に確認してください。
2. 移動のタイミングと手順
JAFは、大雨のときに水位が上がってからの自動車での避難は大変危険なので控えるよう案内しています。台風は事前に進路の予報が出るため、状況が悪化する前に駐車場所を決めて移しておくことが基本です。
🧭 駐車場所を決めて移すまでの流れ
台風情報を確認する
気象庁の台風情報で進路と、暴風域(平均風速25m/s以上の風が吹いているか、吹く可能性がある範囲)の予想を確認します。
ハザードマップで候補を選ぶ
国土交通省のハザードマップポータルサイトや、市区町村のハザードマップで、浸水想定区域・土砂災害警戒区域から外れた駐車場を探します。
早めに移動する
気象庁によると、暴風警報は暴風となる数時間前に、警報級の時間帯を明示して発表されます。屋外の移動が難しくなる前に移しましょう。
停め方を整える
窓・ドアが閉まっているか、車外に飛ばされやすいものを置いていないかを確認します。
通過後は、すぐに近づかず状況を確認する
冠水している場合は近づかず、浸水した車にはエンジンをかけないでください(国土交通省・JAF)。詳しくは、通過後の点検の記事をご覧ください。
📝 移動前のチェックリスト
☑️ 自宅・勤務先周辺のハザードマップで、浸水想定区域を確認した
☑️ 移動先が、浸水想定区域や土砂災害警戒区域の外にあることを確認した
☑️ 移動先の営業時間・台風時の利用条件を確認した
☑️ 周囲に倒れやすい木、老朽化した看板・建物がない場所を選んだ
☑️ 窓・ドア・サンルーフを閉め、車外のものを片付けた
☑️ 移動後の帰宅手段(徒歩・公共交通)を決めた
☑️ 車両保険に加入しているかを、保険証券などで確認した
📌 確認できなかったこと
台風の何時間前までに車を移すべきかを、一律に示した公的な基準は確認できませんでした。地域や台風の進路で状況が異なるため、気象庁や自治体の情報を見ながら、余裕をもって判断してください。
3. 地下・半地下・機械式駐車場の注意点(国土交通省の公表資料から)
「屋根があるから安心」と思われがちな地下駐車場は、大雨のときに水が集まりやすい低い場所でもあります。国土交通省が公表した資料から、事実として確認できた内容を整理します。
📊 四日市の地下駐車場の浸水と、国の対応
| 日付 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 2025年9月12日 | 三重県四日市市で、観測史上最大の時間雨量123.5mmを観測。中心部の地下駐車場(くすの木パーキング)が浸水し、274台が被災した | 国土交通省 報道発表(2026年3月6日) |
| 2025年9月19日(公表) | 地下駐車場の車両用出入口3か所(電動式)のうち、国道側の2か所は止水板が故障しており、市道側の1か所は急激な浸水で操作が間に合わなかった。歩行者用出入口7か所(人力)も、急激な浸水で止水板の設置が間に合わなかった | 国土交通省 報道発表(2025年9月19日) |
| 2026年3月6日 | 国が管理する地下駐車場について、浸水防止技術の強化(止水板の自動化、浸水センサー等)、防災管理体制の強化(閉鎖基準の設定等)、地域との連携強化を柱とするガイドラインを策定 | 国土交通省 報道発表(2026年3月6日) |
📌 補足
ここで挙げたのは国が管理する地下駐車場についての資料です。民間や自治体が管理する駐車場を含めた一般的な閉鎖基準は、この資料では確認できません。利用する駐車場の管理者に、大雨時の閉鎖や案内の方法を確認しておくと安心です。
⚠️ 注意
水位が上がった地下駐車場へ、車を取りに行くのは危険です。JAFは、水位が上がってからの自動車での避難は大変危険だと案内しており、ソニー損保も、身の危険を感じる事態では車を置いてでもまず逃げるよう呼びかけています。
4. 河川・海岸・土砂災害の近くを避けるために
📊 駐車場所を選ぶときの確認先
| 心配なこと | 確認する情報 | ポイント |
|---|---|---|
| 河川の氾濫・浸水 | 国土交通省ハザードマップポータルサイト、市区町村のハザードマップ | JAFは、ハザードマップを、過去の被害をもとに洪水や土石流・崖崩れなどの発生状況を予測して地図にしたものと説明している |
| 高潮 | 気象庁の高潮に関する情報、津波・高潮ハザードマップ | 気象庁は、満潮と高潮が重なると潮位がいっそう上昇して災害が起こりやすいと説明している。詳しくは、沿岸部の記事をご覧ください |
| 土砂災害 | 都道府県が指定する土砂災害警戒区域等 | 気象庁によると、急傾斜地や渓流の付近など、土砂災害で命が脅かされる危険性が認められる場所は都道府県が区域に指定している。詳しくは、山間部の記事をご覧ください |
| 倒木・落下物 | 現地での目視確認 | 大きな木、老朽化した看板・屋根の近くを避ける。気象庁の風の表では、20m/s以上で看板が落下・飛散し、細い木の幹が折れるなどとされている |
- 気象庁「風の強さと吹き方」
- JAF「台風・大雨時のクルマに関する注意点」
- JAF「自動車が冠水路や高潮で浸水してしまったら?」
- 国土交通省「国管理の地下駐車場に関する浸水対策ガイドライン(直轄地下駐車場)を策定しました」
- 国土交通省「くすの木パーキングに関する対応について」
- JAF Mate「豪雨で多発するクルマの故障と走行NGの判断基準とは?」
5. よくある質問
📚 あわせて読みたい
まとめ
台風時の駐車場所は、屋根の有無だけでなく、浸水想定区域か、周囲に倒れやすいものがないかを合わせて選ぶことが大切です。地下・半地下・機械式駐車場の地下部は、大雨で短時間に冠水するおそれがあり、四日市市では274台が被災しました。水位が上がってからの移動は危険なので、ハザードマップで候補を決め、状況が悪化する前に移しましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。
出典: JAF「自動車が冠水路や高潮で浸水してしまったら」


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