台風のときは、強い雨と風が重なり、フロントガラスの視界が普段の雨天より悪くなりがちです。この記事では、JAFの実験結果、国土交通省の日常点検、道路交通法令の内容をもとに、視界を確保するための点検・運転の考え方を整理しました。撥水コーティングなど、効果を数値で確認できなかったものは、断定せずに扱っています。
📋 この記事の要点
✔ JAFの実験(時速40km)では、雨量が1時間80mmの豪雨でも、前方の車がテールランプ・リアフォグランプ・ブレーキランプを点灯していれば、昼夜を問わず50m以上手前で止まれた
✔ 前方の車が無灯火で、夜間に自車のヘッドライトが下向きの場合は、約24mまで接近した(JAF)
✔ 豪雨のときは、必ずヘッドライトを点灯し、速度を抑えて走る(JAF)
✔ 高速道路では、視界が悪くても路肩に停車せず、SA・PAへ。高速自動車国道等での停車は原則禁止されている(道路交通法第75条の8)
✔ ワイパーゴムの交換目安は、半年〜1年ごと。ブレード(金具)は1〜2年ごと(JAF Mate)
1. JAFの実験で分かった「豪雨での見えにくさ」
JAFは、2018年5月30日に、日本自動車研究所の特異環境試験場(茨城県つくば市)で、豪雨のときに前方の車や歩行者がどう見えるかを検証しました。テスト車は時速40kmで走行し、停止車両や歩行者(マネキン)が見えたら急ブレーキを踏んで、停止位置を測っています。雨量は、1時間80mm(気象庁の用語で「猛烈な雨」)と、1時間30mm(「激しい雨」)です。
📊 豪雨のときの見えにくさ(JAF、2018年実施)
| 条件 | 結果(JAFユーザーテスト) |
|---|---|
| 前方の停止車両が、テールランプ・リアフォグランプ・ブレーキランプを点灯(80mm/h) | 昼夜を問わず、50m以上手前で止まれた |
| 前方の停止車両が無灯火。夜間で、自車のヘッドライトが下向き(80mm/h) | 約24mまで接近した。見えづらさが際立った |
| 夜間に、自車のヘッドライトが上向き | 下向きの場合と比べて、前方の停止車両(4パターンすべて)を発見しやすい傾向だった |
| 雨量30mm/h | 見えづらさは80mm/hと同じような傾向。昼よりも夜間(特に自車のヘッドライトが下向き)のほうが、止まれる位置に大きな差ができた |
| 前方の歩行者(マネキン)。夜間で、自車のヘッドライトが下向き(30mm/h) | 安全ベスト着用は61m手前で止まれたが、黒い服は約18m手前だった |
✅ JAFのまとめ
豪雨などの悪天候時は、必ずヘッドライトを点灯し、速度を抑えて走りましょう。停止するときは、ブレーキを踏んでブレーキランプを点灯させることも重要です。歩行者は見落とされる危険性を考えて、反射材を身に着けるようにしましょう。
📌 補足
ヘッドライトの上向きは、実験では発見しやすい傾向でしたが、道路交通法第52条第2項は、夜間に他の車両と行き違う場合などで、他の車両の交通を妨げるおそれがあるときは、灯火を消し、光度を減ずるなどの操作をしなければならないと定めています。対向車や前走車がいるときは、下向きに切り替えましょう。
2. 出発前に確認したい、視界に関わる点検
JAFは、大雨に備えて、タイヤの状態、ワイパーブレードの動き、ワイパーゴムのチェック、窓をきれいにすることなどの点検を勧めています。国土交通省の日常点検の項目と合わせて整理します。
📊 視界と安全に関わる点検項目
| 項目 | 確認内容 | 出典 |
|---|---|---|
| ワイパーの拭き取り | 低速・高速の各作動が不良でないか。ウォッシャー液できれいに拭き取れるか。空拭きはガラスを傷つけるので、ウォッシャー液を噴射してから作動させる | 国土交通省「日常点検」 |
| ワイパーゴムの交換 | ゴムは半年〜1年ごと、ブレード(金具)は1〜2年ごとが交換の目安。スジ状の跡が残る、ビビリ音がする、拭きムラや水のにじみが出る、フレームのさびやがたつきがある場合は、速やかな交換がお勧め | JAF Mate |
| ウォッシャー液 | 液量が適当か。噴射の向きと高さが適当か。ノズルにゴミが詰まっていないか。空の状態でスイッチを入れるとポンプが破損することがある | 国土交通省「日常点検」 |
| ランプ類の点灯 | ヘッドランプ、ストップランプ、テールランプなどの点灯。レンズの汚れや損傷 | 国土交通省「日常点検」 |
| タイヤの溝 | スリップサインは溝の深さが1.6mm以下で現れる。溝の減ったタイヤは、ハイドロプレーニング現象が起こりやすい | 国土交通省、JAF Q&A |
| ガラスの汚れ・曇り | 窓をきれいにしておく。曇り止めスプレーを事前に使う方法もある | JAF Q&A、JAFトレコラム |
📌 撥水コーティング・曇り止めについて
JAF Mateは、ワイパーを動かすとガラス面に撥水する被膜を作る製品も出ていると紹介しています。撥水コーティングや曇り止めの効果の程度、持続期間は、製品ごとに異なります。本記事では、効果を数値で確認できなかったため、断定はしません。使用する場合は、製品の説明書に従ってください。
3. 走行中の対応
🧭 豪雨のときの走行の流れ
ヘッドライトを点灯する
JAFトレコラムは、大雨時は昼間でもライトを点灯するよう案内しています。前方の視界を確保しやすいだけでなく、自車の存在を他車に知らせるためです。
速度を落とし、車間距離を空ける
路面が滑りやすく制動距離が長くなるため、通常より速度を抑え、十分な車間距離を取ります(JAFトレコラム)。
曇りには、デフロスターやエアコンを使う
JAFトレコラムは、走行中に窓ガラスが曇った場合は、デフロスターやデフォッガー、エアコンの外気導入モードを使う方法を紹介しています。ただし、外気の温度が高い場合は、内気モードが良いこともあるとしています。
ハイドロプレーニングに注意する
タイヤが水の膜で路面から浮き、グリップを失う現象です。JAFトレコラムは、発生した場合はアクセルから足を離し、ハンドルをまっすぐ保ち、ブレーキは踏まずに、タイヤのグリップが戻るのを待つよう案内しています。
前が見えないときは、安全な場所に止まる
JAF Mateは、激しい雨で前が見えないときや道路が冠水しているときは、安全な場所にクルマを止めて、豪雨が通り過ぎるのを待つ方法を紹介しています。高速道路では、次の節を確認してください。
⚠️ 衝突被害軽減ブレーキを過信しない
JAF Mateは、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)のセンサーは雨でも作動するが、豪雨や濃霧では認識精度が低下し、止まれない場合もあるため、過信は禁物と紹介しています。
4. 高速道路と法令の確認
📊 高速道路と、ライト・停車のルール
| 場面 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| ライトの点灯(道路交通法第52条、施行令第19条) | 夜間のほか、トンネルの中、濃霧がかかっている場所など、視界が、高速自動車国道と自動車専用道路では200m、その他の道路では50m以下であるような暗い場所を通行する場合や、そこに停車・駐車している場合も、灯火をつける必要がある | e-Gov法令検索(道路交通法、同施行令) |
| 高速道路での停車(道路交通法第75条の8) | 高速自動車国道等では、法令の規定や警察官の命令、危険を防止するための一時停止などを除き、停車・駐車は原則禁止。故障などでやむを得ない場合は、十分な幅員がある路肩などに停車できる | e-Gov法令検索、JAFトレコラム |
| 高速道路で大雨に遭ったとき | ライトを点灯して安全な速度まで落とす。SAやPAがあれば積極的に利用して雨雲の移動を待つ。走行が必要な場合は、車間距離を空けて走行車線を走る。前方の事故などでやむを得ず停車するときは、ハザードランプを点灯する | JAF Q&A |
⚠️ 注意
大雨で危険だからといって、高速道路上では路肩であっても車を停めてはいけません(JAFトレコラム)。視界が悪い場合でも、停車せず、速度を落としたり、早めにSA・PAに避難したりしましょう。
📝 出発前のチェックリスト
☑️ ワイパーの拭き取りに、筋・ビビリ音・にじみがない
☑️ ワイパーゴムを最後に替えた時期を確認した(目安は半年〜1年)
☑️ ウォッシャー液が入っており、噴射の向きが適切
☑️ ランプ類が点灯し、レンズが汚れていない
☑️ タイヤの溝が、スリップサインより十分残っている
☑️ ガラスの内側・外側の汚れを落とした
☑️ 雨が強いときは、SA・PAや安全な駐車場で待つ判断も決めておいた
- JAFユーザーテスト「豪雨のとき、前方のクルマや歩行者はどう見える?」
- JAF「高速道路上で大雨に遭遇した場合の注意点はなんですか?」
- JAFトレコラム「高速道路で大雨に遭遇した際の注意点と通行止めになる基準」
- 国土交通省「日常点検」(自動車総合安全情報)
- JAF Mate「ワイパー劣化の5大サイン」
- JAF Mate「運転中、ゲリラ豪雨や台風に襲われたら?」
- e-Gov法令検索「道路交通法施行令」
- e-Gov法令検索「道路交通法」
5. よくある質問
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まとめ
台風のときの視界不良には、ワイパーとウォッシャー、ランプ類、タイヤの溝の点検が基本です。JAFの実験では、豪雨でもライトを点灯した車は見つけやすく、無灯火は見づらいという結果でした。豪雨のときは、昼間でもヘッドライトを点灯し、速度を抑えましょう。視界が確保できないときは、一般道なら安全な場所、高速道路ならSA・PAで待つ判断が大切です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。

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