ガソリンスタンドが消える「SS過疎地」問題、経産省が50店舗を重点支援2026年8月

ガソリンスタンド(SS)の数は減り続けており、近くにSSがない地域の暮らしや農業、災害時の備えへの影響が心配されています。資源エネルギー庁は、市町村内のSS数が3か所以下の自治体を「SS過疎地」として公表しています。2026年8月には、資源エネルギー庁の研究会が中間とりまとめをまとめ、最寄りのSSまでの距離が概ね15km程度以上の全国50カ所程度を「地域インフラSS」の候補として選定する方針が示されました。この記事では、資源エネルギー庁の公表資料をもとに整理します。

📋 この記事の要点

✔ 全国のSS数は、1994年度末の60,421か所をピークに減少し、2024年度末(2025年3月31日)は27,009か所(経済産業省)

✔ SS数が3か所以下の「SS過疎地」は、2025年3月31日時点で381市町村(全国1,718市町村、東京特別区を除く)。居住地から最寄りSSまで15km以上のエリアがある市町村は291

✔ 2026年8月の中間とりまとめで、令和8年度は最寄りSSまで概ね15km程度以上にある全国50カ所程度のSSを「地域インフラSS」候補として選定する方針

✔ 支援は、経済産業局や石油組合に新設する「SS過疎相談窓口」と連携した地域の燃料供給計画の策定支援と、計画に基づく設備投資等の支援強化(令和9年度概算要求に反映)

✔ 報道(共同通信配信)によると、2027年度当初予算の概算要求に関連経費として62億円を盛り込む方針。金額は報道ベースで、要確認

動画でも解説しています。(YouTube「くるまのかーぎーくん」)

1. 「SS過疎地」とは

資源エネルギー庁のSS過疎地対策のページは、SS数がガソリン需要の減少や後継者難などで減り続け、近隣にSSがない住民にとって、自家用車や農業機械への給油、移動手段を持たない高齢者への冬場の灯油配送などに支障が出る「SS過疎地問題」が顕在化している、と説明しています。

📊 SS過疎地の2つの見方

分類 定義(資源エネルギー庁)
SS過疎地(市町村内のSS数) 市町村内のSS数が3か所以下の自治体
道路距離に応じたSS過疎地 居住地から最寄りのSSまでの道路距離が15km以上ある地域がある市町村

📊 SS過疎の状況(資源エネルギー庁の一覧による)

指標(2025年3月31日時点) 市町村数
SS数が3か所以下の市町村(SS過疎地) 381市町村(全国1,718市町村、東京特別区を除く)
うち、SS数が0か所 11
うち、SS数が1か所 97
うち、SS数が2か所 129
うち、SS数が3か所 144
居住地から最寄りSSまで15km以上のエリアがある市町村 291

📌 ハンドブックの注意書き

「SS過疎地対策ハンドブック」は、SS数が3以下の自治体を機械的にSS過疎地としているため、当面は問題のない市町村(SSが多数ある市町村に隣接している、近隣市町村のSSに容易にアクセスできるなど)も一部含まれると説明しています。

2. SSが減ってきた背景

📊 全国のSS数の推移(経済産業省、登録ベース)

年度末 SS数 対前年度比 対前年度比増減率
令和2年度末(2021年3月末) 29,005 -632 -2.13%
令和3年度末 28,475 -530 -1.83%
令和4年度末 27,963 -512 -1.80%
令和5年度末 27,414 -549 -1.96%
令和6年度末(2025年3月末) 27,009 -405 -1.48%

※表は横にスクロールできます

経済産業省は、令和6年度末の揮発油販売業者数を12,113事業者(前年度末より294事業者減)、給油所数を27,009か所(前年度末より405か所減)と公表しています。資源エネルギー庁のハンドブックによると、SS数は平成6年度(1994年度)末の60,421か所をピークに減少しています。

📊 SSが減った背景

背景 内容(資源エネルギー庁「中間とりまとめ」概要、ハンドブック)
需要の減少 燃費向上などによる石油製品需要の減少で、SS数・事業者数が減少傾向。ハンドブックは、電動車の普及などが加わり、SS運営は厳しさを増しているとする
設備投資の負担 中小企業が大半を占めるSSにとって、安全規制への対応に必要な地下タンクの入替などの設備投資には余力の限界がある
人手不足・後継者難 人手不足、後継者難などの課題も重なって、SSの廃業が進んだ結果、SS過疎地が拡大している

💡 SSの役割

資源エネルギー庁は、SSを給油や灯油の配送などを通じて国民生活や経済活動を支える重要不可欠な社会インフラとし、災害時には重要施設への燃料供給などを担う「最後の砦」になると説明しています。

3. 2026年8月の中間とりまとめと「地域インフラSS」

資源エネルギー庁の「新たな地域燃料流通に関する研究会」は、2026年8月に中間とりまとめをまとめました(資源エネルギー庁のページに2026年8月24日付で掲載)。共同通信の報道は、同日に経済産業省が、燃料供給網を維持するうえで特に重要な約50店舗を22道県から選び、重点支援する方針を示したと伝えています。

📊 2026年8月の中間とりまとめ・重点支援の内容

項目 内容
背景 支援開始から10年で、地域燃料供給計画の策定は13件、施設整備は2件のみ。SS過疎地の自治体の6割が課題を認識しているが、対策を実施しているのは1割(中間とりまとめ概要)
地域インフラSS候補 令和8年度は、外形的な基準として「最寄りSSまでの距離が概ね15km程度以上」にある全国50カ所程度のSSを候補として選定(中間とりまとめ概要)
相談窓口 経済産業局や地域の石油組合に新設する「SS過疎相談窓口」と連携する(中間とりまとめ概要)
計画策定と設備投資 自治体・SS・元売事業者などによる、「地域インフラSS」の運営継続を含む地域の燃料供給計画の策定を伴走支援し、計画に基づく設備投資等への支援を強化。令和9年度概算要求に反映(中間とりまとめ概要)
新しい運営モデル 人手不足の解消や運営の低コスト化に役立つ、AI給油などのデジタル技術やコンテナ型給油設備・簡易計量機などを活用した、過疎地SSの新たなモデルを検討(中間とりまとめ概要)
予算 報道(共同通信配信)によると、2027年度当初予算の概算要求に関連経費として62億円を盛り込む方針。公式資料での金額確認は、要確認

🧭 支援の流れ(中間とりまとめ概要の記載をもとに整理)

1

国が「地域インフラSS」候補のSSを提示する

SS過疎地の自治体のうち、国が関与・支援に向けた働きかけを強化するSSの候補を示します。令和8年度は、最寄りSSまで概ね15km程度以上の50カ所程度です。

2

SS過疎相談窓口が、自治体・SS・元売事業者を支援する

経済産業局や地域の石油組合に新設する窓口と連携して、地域の燃料供給計画の策定を伴走支援します。

3

計画に基づく設備投資等を支援する

計画に基づく設備投資などへの支援を強化します(令和9年度概算要求に反映)。

4

新しい運営モデルを検討する

AI給油などのデジタル技術やコンテナ型給油設備などを活用した、過疎地SSの新たなモデルを検討します。

📊 周辺の取り組み

そのほかの取り組み 内容
自治体向けガイドライン 「自治体向け過疎地におけるガソリンスタンドの維持に関するガイドライン」を策定。SS過疎地の自治体が大規模販売店の誘致を行う際に、地域のSSネットワークへ与える影響を十分に考慮する必要があることを明記(中間とりまとめ概要)
官公需 国等は、災害時の燃料供給協定等で優先的に供給すべきとされている重要施設や緊急車両等について、石油組合との随意契約を誠実に検討することなどが、令和8年度の「官公需の基本方針」に明記された(中間とりまとめ概要)
休業日の調整 2025年6月、公正取引委員会は、SS過疎地のSS間で休業日を調整すること(休日輪番制)は、独占禁止法上問題となるものではないと回答した事例を公表(資源エネルギー庁のページによる)

⚠️ 「50店舗」は候補の選定です

中間とりまとめ概要が示しているのは、令和8年度に「地域インフラSS」の候補として選定する方針です。具体的な支援の内容や対象は、今後の資源エネルギー庁・経済産業省の発表でご確認ください。

4. 暮らしへの影響と、住民・ドライバーの備え

📊 SSが身近にない場合の影響

場面 想定される影響(資源エネルギー庁の説明)
日常の給油 近隣にSSがない地域では、自家用車への給油に支障が出る
農業 農業機械への給油に支障が出る
冬場の暮らし 移動手段を持たない高齢者などへの、冬場の灯油配送に支障を来すおそれがある
災害時 SSは災害時に重要施設への燃料供給などを担う「最後の砦」になる

📝 燃料の備えチェックリスト(一般的な情報)

☑️ お住まいや実家の市町村が、SS過疎地の一覧に載っているかを確認した

☑️ よく使うSSの営業時間や定休日を確認した

☑️ 長距離や山間部へ出かける前に、燃料の残量に余裕を持たせた

☑️ 灯油を使う家庭は、配送の日程や依頼先を早めに確認した

☑️ 災害時の燃料の入手方法を、家族や地域で話し合った

📊 SS過疎地対策の立場別の関わり(ハンドブックの構成による)

立場 ハンドブックが想定する関わり
SS事業者 地域連携、効率化、多角化などの取組メニューを検討する
行政(自治体) 地域の特性を踏まえた地域の将来像を認識し、その実現に向けて取り組む
地域の住民 地域の燃料供給の課題を知り、地域での対策に関わる

5. 最新の情報を確認する場所

📊 確認先の一覧

知りたいこと 確認先
自分の市町村がSS過疎地か 資源エネルギー庁「SS過疎地対策について」のページにある「SSが3カ所以下の市町村一覧」「15km以上距離がある市町村一覧」(令和7年3月31日時点)
SS過疎地の現状と対策の考え方 資源エネルギー庁「SS過疎地対策ハンドブック」(2022年6月改訂、2025年5月一部更新)
2026年8月の方針の詳細 資源エネルギー庁「新たな地域燃料流通に関する研究会 中間とりまとめ」のページ
全国のSS数の最新値 経済産業省の揮発油販売業者数及び給油所数の公表(毎年度)

6. よくある質問

Q. SS過疎地とは何ですか?

A. 資源エネルギー庁は、市町村内のSS数が3か所以下の自治体を「SS過疎地」としています。あわせて、居住地から最寄りのSSまで15km以上のエリアがある市町村も抽出して公表しています。

Q. SS過疎地は、全国でいくつありますか?

A. 資源エネルギー庁の2025年3月31日時点の一覧では、SS数が3か所以下の市町村は381(全国1,718市町村、東京特別区を除く)、居住地から最寄りSSまで15km以上のエリアがある市町村は291です。

Q. 「地域インフラSS」とは何ですか?

A. 2026年8月の中間とりまとめ概要で、国が自治体への働きかけと支援を強化するSSの候補として示された名称です。令和8年度は、最寄りSSまでの距離が概ね15km程度以上にある全国50カ所程度を候補として選定する方針です。

Q. 電気自動車が普及すれば、問題は解決しますか?

A. 資源エネルギー庁のハンドブックは、ガソリン需要は電動車の普及や蓄電池の技術進展の度合いに大きく左右され、5〜10年程度の間は大きな不確実性があるとしています。また、ハンドブックは、従来車は2035年以降も残るとしています。

まとめ

SS過疎地は、資源エネルギー庁の2025年3月31日時点の一覧で381市町村に上り、全国のSS数はピークの60,421か所から27,009か所まで減っています。2026年8月の中間とりまとめでは、最寄りSSまで概ね15km程度以上の全国50カ所程度を「地域インフラSS」候補として選定し、相談窓口や燃料供給計画の策定支援、設備投資等の支援を強化する方針が示されました。お住まいや実家の地域の状況は、資源エネルギー庁の一覧で確認できます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・数値・予算は変更されることがあるため、最新の内容は、資源エネルギー庁・経済産業省の公式サイトでご確認ください。62億円の概算要求額は報道による内容で、公式資料での確認は要確認です(2026年9月25日確認)。

アイキャッチ画像: Gas Station, Tokyo outskirts, Japan by AhmedAlElg, CC BY-SA 4.0

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