自動車盗難は2025年まで4年連続で増加。主な手口と複合防犯の考え方2026年10月版

警察庁の統計によると、自動車盗難の認知件数は2021年に5,182件と底を打ち、その後、2025年まで4年連続で増えました。2025年は6,386件で、そのうち約78%(4,970件)は、車内にキーがない、いわゆる「キーなし」の状態から盗まれています。一方で、2026年1〜3月は前年同期を大きく下回りました。この記事では、統計、主な手口、防犯の考え方、盗まれた場合の対応を、警察庁・JAF Mate Online・自動車盗難防止協会の情報で整理します。

📋 この記事の要点

✔ 自動車盗難の認知件数は、2021年の5,182件から、2022年5,734件、2023年5,762件、2024年6,080件、2025年6,386件と、4年連続で増加した(警察庁)

✔ 2025年は、「キーあり」1,416件、「キーなし」4,970件。キーなしは全体の約78%

✔ 2025年の都道府県別は、愛知県1,051件、埼玉県756件、神奈川県649件、茨城県540件、千葉県539件の順

✔ 自動車盗難防止協会によると、2026年1〜3月の認知件数は1,085件で、前年同期比で42.1%減。通年の傾向は、今後の統計を確認する必要がある

✔ JAF Mate Onlineで元刑事は、1つの対策に頼らず、最低でも3つ以上の対策を組み合わせる「複合防犯」を勧めている

動画でも解説しています。(YouTube「くるまのかーぎーくん」)

1. 統計で見る自動車盗難の現状

自動車盗難の認知件数は、2003年の64,223件をピークに、長く減少が続きました。ところが、2021年の5,182件を底に、2022年以降は増加に転じています(警察庁「自動車盗難等の発生状況等について」)。

📊 自動車盗難の認知件数の推移(警察庁の資料より)

年 認知件数 前年との差 備考
2003年 64,223件 — ピーク
2021年 5,182件 −28件 近年で最少
2022年 5,734件 +552件 増加に転じる
2023年 5,762件 +28件
2024年 6,080件 +318件
2025年 6,386件 +306件(+5.0%) 4年連続の増加

※表は横にスクロールできます

📊 2025年の「キーなし」「キーあり」の内訳(警察庁の資料より)

区分(2025年) 件数 構成比
キーなし(車内にキーがない状態での盗難) 4,970件 約78%(77.8%)
キーあり(エンジンキーが車内に残っていた等) 1,416件 約22%
合計 6,386件 —

📊 都道府県別の認知件数(自動車盗難防止協会による警察庁データの紹介)

順位(2025年) 都道府県 認知件数 前年との差
1 愛知県 1,051件 +185件
2 埼玉県 756件 −25件
3 神奈川県 649件 +113件
4 茨城県 540件 −27件
5 千葉県 539件 −167件

※表は横にスクロールできます

上位5都県を合計すると3,935件で、全国の約6割(当サイトでの算出)に当たります。2025年に多く盗まれた車としては、ランドクルーザー(1,177台)、プリウス(424台)、アルファード(303台)が挙げられています(自動車盗難防止協会)。

📌 2026年に入ってからの動き

自動車盗難防止協会によると、2026年1〜3月の認知件数は1,085件で、前年同期比790件(42.1%)の減少でした。同協会は、減少の要因として、アルファードやランドクルーザーを狙う組織的な窃盗グループの検挙や、中東情勢による海上物流の混乱が挙げられていると紹介しています。3か月分の数字なので、この傾向が続くかどうかは、今後の警察庁の統計で確認が必要です。

2. 盗みの手口と、車が狙われる背景

近年の盗難では、窓を割る、鍵を壊すといった手口よりも、電子的な仕組みを突く手口が目立つとされています。警察庁も、CANインベーダーやリレーアタックなど特殊な機器を使った、組織的・広域的な犯行が多く見られるとしています(自動車盗難防止協会の紹介)。

📊 主な盗難の手口(JAF Mate Onlineの元刑事へのインタビュー記事より)

手口 内容(JAF Mate Online) 対策の考え方
リレーアタック スマートキーが常時発信する微弱な電波を、特殊な機器で増幅・中継して、キーが離れた場所にあってもドアを解錠する スマートキーを、玄関付近など車に近い場所に置かない。電波を遮断する方法もある
CANインベーダー 車の制御を司る通信システム(CAN)に特殊な機器を接続して、不正に侵入する。作業は、数十秒で完了するケースもあるとされる 純正のセキュリティだけでなく、後付けのイモビライザーなど、別系統の認証を検討する
キーエミュレーター(通称「ゲームボーイ」) スマートキーの電波を複製して、合鍵を作るなど、車両データからキーを生成・複製できる機器。違法に改造されたものが出回っているとされる 物理的なロック、後付けの機器など、複数の対策を組み合わせる

JAF Mate Onlineの記事では、盗難車のうち発見・回収されるのは、約6,000台のうち約2,000台(約3分の1)と紹介されています。

📌 補足

「これを付ければ絶対に盗まれない」という単一の対策はありません。元刑事は、防犯に「これで完璧」という状態はなく、手口の進化に合わせて対策を更新する必要があると指摘しています。

3. 防犯対策:複合防犯の考え方

JAF Mate Onlineで、元刑事の佐々木成三氏は、「1つの対策に頼らず、多層的に車を防御する」複合防犯を提案しています。目安として、最低でも3つ以上の対策を組み合わせることが望ましいとしています。

📊 複合防犯の主な対策(JAF Mate Onlineの記事より)

対策 内容 注意点
スマートキーの保管 玄関付近など、車に近い場所に置かない。電波を遮断する方法を検討する 遮断ケースの効果は、製品によって異なる。使用前に、キーの電波が遮断されるかを確認する
ハンドルロック・タイヤロック 乗るたびに着脱する手間が「面倒くささ」になり、窃盗犯への抑止になる(JAF Mate Online) 単独では過信せず、他の対策と組み合わせる
後付けイモビライザー CANの配線に組み込み、正しい認証がなければエンジンがかからない仕組み。警察も推奨していると紹介されている 分解して本体を取り外されれば、突破される可能性はあるが、時間がかかるため、断念することも多いとされる
ボディカバー 車種を特定させにくくする(JAF Mate Online) 風の強い日の使い方など、製品の注意書きに従う
駐車場所・向きの工夫 駐車場所の選び方や、車の向きを工夫する 周囲に、人目や照明のある場所を選ぶ

🧭 対策を始める流れ

1

現在の状況を確認する

車種、スマートキーの置き場所、駐車場所、すでに付いているセキュリティの内容を書き出します。

2

手軽に始められる対策から、実施する

スマートキーの保管場所の見直し、ハンドルロックなど。

3

車種に合わせて、後付けの機器を検討する

イモビライザーなどは、取付店で、車種への適合と保証を確認します。

4

3つ以上の対策を組み合わせているか、確認する

元刑事は、最低でも3つ以上の組み合わせが望ましいとしています。

📝 防犯対策のチェックリスト

☑️ スマートキーを、玄関付近など、車に近い場所に置いていない

☑️ ハンドルロックやタイヤロックなど、物理的な対策を1つ以上している

☑️ 後付けイモビライザーなど、純正とは別系統の対策を検討した

☑️ 駐車場所や向きに、目立たない・死角を作らない工夫をしている

☑️ 3つ以上の対策を組み合わせている

☑️ 短時間の外出でも、エンジンをかけたまま車を離れていない

☑️ 車両保険の内容(盗難時の補償)を、契約書で確認している

⚠️ 注意

取付けを伴う機器(イモビライザー等)は、車種や取付方法により保証・車検・保険の扱いが異なる場合があります。取付店・メーカー・保険会社に確認してください。

4. 盗難に遭った場合の対応と、保険の扱い

盗難に気づいたら、まず警察に通報し、盗難届を出します。そのうえで、加入している保険会社や、ローン・リース会社にも連絡します。

🧭 盗難に気づいたときの流れ(一般的な流れ)

1

警察に通報し、盗難届を出す

駐車していた場所、時刻、車種、ナンバー、車内の持ち物などを伝えます。

2

保険会社・代理店に連絡する

車両保険の対象になるか、必要な書類は何かを確認します。

3

ローン会社・リース会社にも連絡する

ローンやリースを利用している場合は、契約先にも連絡します。

4

鍵・車検証などの状況を整理する

鍵の本数、車検証の保管場所などを、聞かれたときに答えられるようにしておきます。

📊 盗難と車両保険・等級(一般的な情報)

項目 内容 出典・確認日
等級の扱い 契約車両の盗難・落書き、台風による損害などで車両保険を使った場合は、「1等級ダウン事故」になる。事故有係数の適用期間は、1等級ダウン事故1件につき「1年」が加算される ソニー損保・SBI損保などの公式FAQ(2026年9月25日確認)
補償の範囲 車両保険のタイプ・特約により、盗難が補償されるかどうかは異なる 契約している保険の約款・重要事項説明書で確認
自己負担 免責金額の設定がある場合は、その金額は自己負担 契約内容で確認

📌 補足

盗難と保険の請求の流れは、当サイトの別記事でも詳しく解説しています。個別の契約でどうなるかは、保険会社や代理店にご確認ください。

5. よくある質問

Q. 自動車盗難は今も増えているのですか?

A. 警察庁の統計では、2021年を底に、2025年まで4年連続で増加しました(2025年は6,386件)。ただし、自動車盗難防止協会によると、2026年1〜3月の認知件数は1,085件で、前年同期比で42.1%減少しています。3か月分のデータのため、通年の傾向は今後の統計で確認が必要です。

Q. 鍵をかけていれば安全ですか?

A. 2025年は、認知件数6,386件のうち4,970件(約78%)が、車内にキーがない、いわゆる「キーなし」の盗難でした。施錠していても被害に遭う例が多いため、複数の対策の組み合わせが勧められています。

Q. 後付けのイモビライザーがあれば大丈夫ですか?

A. JAF Mate Onlineでは、正しい認証がなければエンジンがかからない仕組みとして紹介されていますが、分解されて取り外されれば突破される可能性はあります。あくまで対策の1つとして、他の対策と組み合わせることが大切です。

Q. 盗難に遭ったら、車両保険は使えますか?

A. 車両保険のタイプ・特約によって、盗難が補償対象かどうかは異なります。契約内容を確認し、保険会社・代理店にご相談ください。なお、盗難で車両保険を使った場合は、一般的に「1等級ダウン事故」として扱われます(各社の公式FAQ)。

Q. スマートキーは、どこに置けばよいですか?

A. JAF Mate Onlineの記事では、リレーアタックへの対策として、玄関付近など車に近い場所への保管は危険とされています。電波を遮断する方法も含め、置き場所を見直しましょう。

まとめ

自動車盗難は、2021年を底に2025年まで4年連続で増え、2025年は6,386件で、その約78%はキーなしの盗難でした。手口はリレーアタックやCANインベーダーなど電子的なものが目立ち、単一の対策で防ぎきるのは難しいとされています。元刑事が勧める「複合防犯」を参考に、キーの保管、物理ロック、後付けの機器などを組み合わせましょう。2026年1〜3月は大きく減少しましたが、通年の傾向は今後の統計で確認する必要があります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。統計は警察庁の公表資料、自動車盗難防止協会、JAF Mate Onlineの記事に基づきます(2026年9月25日確認)。保険・法律に関する個別の判断は、保険会社・警察・専門家にご相談ください。特定の防犯製品を推奨するものではありません。

アイキャッチ画像: Night Street in Warsaw with Church by Oleslawlama, CC BY-SA 4.0

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