ホイールスペーサーを付けると、タイヤの位置が外側へ出ます。見た目や、ホイールのオフセット調整のために使われますが、車検(保安基準)に適合するかどうかは、装着の仕方で変わります。この記事では、道路運送車両法・保安基準の条文と、自動車技術総合機構(NALTEC)の審査事務規程、国土交通省の構造等変更の案内・依命通達(2026年9月25日確認)をもとに、タイヤ・ホイールのはみ出しの基準、通達に基づく構造等変更との関係、不正改造の罰則を整理しました。原記事にあった「ねじ山10mm以上」「薄型5〜10mm・厚型10mm超」などの目安は、公的な根拠を確認できなかったため削除しています。
📋 この記事の要点
✔ 保安基準の中に、ホイールスペーサーを名指しで禁止する条文は、確認できなかった。装着の結果が、保安基準に適合するかで判断される
✔ 車枠・車体は、堅ろうで運行に十分耐えること、取付けが確実で、振動・衝撃でゆるみを生じないことが求められる(審査事務規程7-28-1)
✔ タイヤやホイールが、フェンダー(車体)より外側へ突出していないことが必要。乗用車などでは、最外側がタイヤの部分は、突出量10mm未満なら「突出していない」とみなされる
✔ スペーサーは、通達の指定部品の別紙に載っていない(2026年9月25日確認)。ボルトで固定する場合、幅が±2cmなどの範囲を超えると、記載事項の変更に当たる場合がある
✔ 保安基準に適合しない状態の運行は、不正改造として、6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金の対象になる場合がある
動画でも解説しています。(YouTube「くるまのかーぎーくん」)
📑 目次
1. 保安基準は、スペーサーをどう扱うか
道路運送車両の保安基準第18条は、車枠及び車体について、(1)堅ろうで運行に十分耐えること、(2)鋭い突起がない、回転部分が突出していないなど、他の交通の安全を妨げるおそれがないこと、などを定めています。ホイールスペーサー自体を名指しで規制する規定は確認できず、装着した結果が、これらの基準に適合するかで判断されます。
📊 車枠及び車体の基準(保安基準第18条・審査事務規程7-28)
| 基準の内容 | 審査事務規程の該当部分(NALTEC) | スペーサーとの関係 |
|---|---|---|
| 車枠・車体は、堅ろうで運行に十分耐える | 7-28-1(1)① | 装着で、強度が不足しないこと |
| 車体は、車枠に確実に取り付けられ、振動・衝撃などによりゆるみを生じない | 7-28-1(1)② | 固定のゆるみ、取付けの確実さ |
| 車枠・車体は、著しく損傷していない | 7-28-1(1)③ | 部品の損傷・破損がないこと |
| 鋭い突起がなく、回転部分が突出するなど、他の交通の安全を妨げるおそれがない | 7-28-1(2) | タイヤ・ホイールの、フェンダーからのはみ出し |
📌 補足
原記事は「ボルトのネジ山が10mm以上」などの数値を挙げていましたが、審査事務規程の該当部分(7-28)や国土交通省の案内では、そのような数値は確認できませんでした。固定の方法や必要なボルト・ナットの長さは、スペーサーと車両の仕様に合わせて、製品の取扱説明書や、専門店の指示に従ってください。
2. タイヤ・ホイールのはみ出しの基準
審査事務規程7-28-1(3)は、次のような車体を、「他の交通の安全を妨げるおそれがない」ものとして扱うとしています。タイヤやホイールが、フェンダーなどより外側に出ていない状態が、基本の考え方です。
📊 タイヤ・ホイールのはみ出しの基準
| 項目 | 内容(審査事務規程7-28-1(3)①) |
|---|---|
| 確認する範囲 | 自動車が直進姿勢をとったとき、車軸中心を含む鉛直面と、車軸中心を通って前方30°及び後方50°に交わる2平面にはさまれる範囲 |
| 確認する部分 | 走行装置の回転部分(タイヤ、ホイール・ステップ、ホイール・キャップなど) |
| 基準 | 当該部分の真上の車体(フェンダなど)より、車両の外側方向に突出していないこと |
| タイヤの特例 | 専ら乗用の用に供する自動車(乗車定員10人以上の自動車、二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車及び被牽引自動車を除く)で、上記の範囲の最外側がタイヤとなる部分は、外側方向への突出量が10mm未満なら、「外側方向に突出していないもの」とみなす |
⚠️ 注意
10mm未満のみなしの規定は、「最外側がタイヤとなる部分」に限られます。最外側がホイールやホイールナットの場合や、貨物車など対象外の車種は、この特例では判断できません。装着前後で、はみ出しを確認しましょう。
3. 寸法の変化と、構造等変更検査
スペーサーで車幅が変わると、車検証の記載事項の変更や、構造等変更検査が関わる場合があります。国土交通省の通達(自技第234号)は、部品の種類と取付方法で、扱いを分けています。
📊 通達による扱いと、スペーサー
| ケース | 内容(自技第234号・第235号) | スペーサーとの関係 |
|---|---|---|
| 簡易な取付方法(手で容易に着脱できる)の部品 | 寸法・重量の範囲の条件なし | スペーサーは、ホイールボルト・ナットで固定する部品のため、通常は当たらない(要確認) |
| 指定部品を、固定的取付方法(ボルトなど)で装着 | 寸法・重量の範囲の条件なし | 指定部品の別紙に、「タイヤ」「ホイール」はあるが、ホイールスペーサーは載っていない |
| 指定外部品を、固定的・恒久的取付方法で装着 | 長さ±3cm・幅±2cm・高さ±4cm、重量(小型・軽は±50kg、普通は±100kg)の範囲内であること | スペーサーは、この扱いになると考えられる。幅の変化が、±2cmの範囲内かが目安 |
📊 スペーサーと構造等変更の整理
| 論点 | 確認できたこと | 確認できなかったこと |
|---|---|---|
| 指定部品の一覧 | 別紙には、タイヤ、ホイール、コイル・スプリング、ショック・アブソーバなどが載っている | ホイールスペーサーは、別紙に載っていない(別紙の最終改正は平成15年) |
| 幅の範囲 | 幅は、車検証の記載値に対して±2cm(国土交通省) | 実際にスペーサーで何cm変わるかは、車両・タイヤ・ホイールで異なる |
| 範囲を超える場合 | 記載事項の変更に当たり、使用者は変更記録を受ける義務がある(道路運送車両法第67条第1項) | 検査の要否・手続きの詳細は、運輸支局等で確認 |
💡 ポイント
寸法の変化が範囲内でも、保安基準に適合している必要があります(通達)。適合しない場合は、道路運送車両法第54条第1項に基づく整備命令の対象になりうるとされています。判断に迷う場合は、装着前に、運輸支局等や、車検に詳しい整備工場に相談しましょう。
4. 不正改造の禁止と罰則
道路運送車両法第99条の2は、有効な車検証の交付を受けている自動車について、改造や装置の取付け・取り外しなどで、保安基準に適合しないこととなるものを、何人も行ってはならないと定めています(不正改造等の禁止)。
📊 関連する罰則(2026年9月25日確認)
| 違反の内容 | 根拠 | 罰則(条文上) |
|---|---|---|
| 保安基準に適合しない改造・装置の取付け等 | 道路運送車両法第99条の2 | 第108条:6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金 |
| 有効な車検証の交付を受けずに運行の用に供する | 第58条第1項 | 第108条:6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金 |
| 車検証の記録事項の変更記録を受けない(変更の事由があった日から15日以内) | 第67条第1項 | 第110条:30万円以下の罰金 |
📌 補足
2025年6月から、刑法の「懲役」は「拘禁刑」に一本化されており、現行の条文は「拘禁刑」と書かれています。原記事の「懲役」は、現行の表記に合わせました。実際の処分は、個別の事情によって異なります。
5. 装着前後のチェックリストと、進め方
📝 装着前後のチェックリスト
☑️ 装着後に、タイヤ・ホイールが、フェンダー(車体)より外側へ出ていない
☑️ 乗用車の場合、最外側がタイヤの部分は、突出量が10mm未満である
☑️ 取付けが確実で、走行中の振動でゆるまない(取扱説明書の指定のトルクなどに従う)
☑️ 部品に、損傷や破損がない
☑️ 幅などの変化が、通達の範囲(幅±2cmなど)に収まっているかを確認した
☑️ 判断が難しい場合は、運輸支局等や整備工場に相談した
🧭 装着から車検までの進め方
装着の目的と、車両の仕様を確認する
ホイールのオフセットや、車の寸法を確認します。
装着後の状態を、基準と照らして確認する
タイヤ・ホイールのはみ出しと、取付けの確実さを確認します。
寸法の変化が範囲内かを確認する
幅などの変化が、±2cmなどの範囲に収まっているかを確認します。範囲を超える場合は、運輸支局等に確認します。
迷う場合は、車検の前に相談する
運輸支局等や、整備工場に、判断を確認します。
⚠️ 注意
以上は一般的な制度の説明です。保安基準への適合の判断は、車両・部品・検査場で異なる場合があります。装着前に、運輸支局等や整備工場にご確認ください。
6. よくある質問
まとめ
ホイールスペーサーは、装着そのものが禁止されているわけではなく、装着した結果が、保安基準に適合するかで判断されます。タイヤ・ホイールがフェンダーより外側へ突出しないこと、取付けが確実でゆるまないことが基本で、乗用車の最外側がタイヤの部分は突出量10mm未満がみなしの目安です。幅などの変化が通達の範囲(幅±2cm)を超える場合は、記載事項の変更・構造等変更の手続きも関わります。装着前に、運輸支局等や整備工場へ確認しましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。


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