原付で右折するとき、「片側3車線以上の道路では二段階右折」とは聞いても、「3車線」はどこを数えるのか、信号のない交差点ではどうなるのか、2025年4月に加わった125ccの新しい原付は対象なのか、と聞かれると迷う方は多いのではないでしょうか。
この記事では、道路交通法の現行条文(e-Gov法令検索)、道路交通法施行令・施行規則、道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(標識令)、警察庁の「交通の方法に関する教則」と車両区分見直しの資料、警視庁の点数表・反則金一覧、JAFの解説をもとに、原付の二段階右折を整理します。YouTubeのショート動画「原付の二段階右折は何車線から必要?125ccは?違反は何点・何円?」で紹介した内容に、条文の言い回しや動画で省いた条件を加えて詳しく解説します(確認日: 2026年10月)。
📋 この記事の要点
✔ 原付(一般原動機付自転車)が二段階右折をするのは、交通整理が行われている交差点で、「二段階」の標識がある道路、または自分の進行方向側の車両通行帯が3以上ある道路(「小回り」標識がある道路を除く)で右折するとき(道路交通法第34条第5項)
✔ 信号機のない交差点など交通整理が行われていない交差点や、車両通行帯が2以下の道路では、自動車と同じ小回り右折(第34条第2項。一方通行の道路では第4項)
✔ 2025年4月1日から、50cc超125cc以下で最高出力4.0kW以下の二輪車も原付免許で運転できる。この新基準原付も一般原動機付自転車なので、二段階右折の対象。最高出力が4.0kWを超える125ccは普通自動二輪車で、小回り
✔ 自転車と特定小型原付(電動キックボード等)は、第34条第3項により、どの交差点でも交差点の側端に沿って右折する
✔ 違反は「交差点右左折方法違反」で、違反点数1点。反則金は原付3,000円(普通車・二輪車は4,000円、大型車は6,000円)
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この記事の元になった、かーぎーくんのショート動画です。動画では触れられなかった詳しい内容や条文・公式情報は、このあと記事で確認できます。
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📑 目次
1. 二段階右折が必要になるのはどんなとき?
原付の右折の方法は、道路交通法第34条に定められています。原則は、自動車と同じ「小回り右折」(第34条第2項。一方通行の道路では第4項)です。二段階右折になるのは、その例外として第5項が定めている場合だけです。
📜 道路交通法 第34条第2項(条文の引用。小回り右折)
自動車、一般原動機付自転車又はトロリーバスは、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ、交差点の中心の直近の内側(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を徐行しなければならない。
📜 道路交通法 第34条第5項(条文の引用。二段階右折)
一般原動機付自転車は、第二項及び前項の規定にかかわらず、道路標識等により交通整理の行われている交差点における一般原動機付自転車の右折につき交差点の側端に沿つて通行すべきことが指定されている道路及び道路の左側部分(一方通行となつている道路にあつては、道路)に車両通行帯が三以上設けられているその他の道路(以下この項において「多通行帯道路」という。)において右折するとき(交通整理の行われている交差点において右折する場合に限る。)は、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて徐行しなければならない。ただし、多通行帯道路において、交通整理の行われている交差点における一般原動機付自転車の右折につきあらかじめ道路の中央又は右側端に寄るべきことが道路標識等により指定されているときは、この限りでない。
この条文を分けて読むと、二段階右折になるかどうかは、次の3つの条件で決まります。

📊 二段階右折になる条件(条文の言い方と、公的資料の補足)
| 条件 | 条文・資料の記載 | 読み取り |
|---|---|---|
| (1) 交通整理が行われている交差点で右折する | 第5項「(交通整理の行われている交差点において右折する場合に限る。)」。教則は「信号機などにより交通整理の行われている交差点」 | 信号機のある交差点が代表例。JAFは、信号がない交差点や、警察官の手信号による交通整理が行われていない交差点では、3車線以上でも二段階右折をする必要はないと解説している |
| (2)-A 「二段階」の標識で指定されている道路 | 標識令 別表第一「一般原動機付自転車の右折方法(二段階)」(327の8)。第34条第5項本文の道路標識として、交通整理の行われている交差点で、原付が交差点の側端に沿って通行すべきことを指定する標識 | 標識があれば、車両通行帯の数に関係なく二段階右折(JAFも、車線の数に関わらず標識どおりに二段階右折が必要と解説) |
| (2)-B 車両通行帯が3以上ある道路 | 第5項「道路の左側部分(一方通行となつている道路にあつては、道路)に車両通行帯が三以上設けられているその他の道路」 | 自分の進行方向側で数える。反対方向の通行帯は数えない。一方通行の道路は、その道路全体で数える |
| (3) 「小回り」の標識がない | 第5項ただし書。標識令 別表第一「一般原動機付自転車の右折方法(小回り)」(327の9) | (2)-Bの道路でも、「小回り」の標識があれば、二段階右折ではなく小回り右折 |
「車両通行帯」とは
第5項の「車両通行帯」は、道路交通法第2条第1項第7号で、次のように定義されています。
📜 道路交通法 第2条第1項第7号(定義の部分の引用)
車両が道路の定められた部分を通行すべきことが道路標示により示されている場合における当該道路標示により示されている道路の部分をいう。
つまり、道路標示(白線など)で通行すべき部分として区切られた帯が、車両通行帯です。教則は、二段階右折の対象になる「3以上」の数え方について、「交差点の付近に設けられた右左折のための車両通行帯を含みます」と書いています。
2. 二段階右折のやり方と、信号の見方

二段階右折のやり方は、警察庁の教則に書かれています。
📜 交通の方法に関する教則 第8章第3節(二段階の右折方法。原文の引用)
「一般原動機付自転車の右折方法(二段階)」の標識(付表3(1)35の2)のある道路や車両通行帯(交差点の付近に設けられた右左折のための車両通行帯を含みます。)が3以上ある道路(「一般原動機付自転車の右折方法(小回り)」の標識(付表3(1)35の3)のある道路を除きます。)の信号機などにより交通整理の行われている交差点では、あらかじめできるだけ道路の左端に寄つて、その交差点の手前の側端から30メートルの地点に達したときに右折の合図を行い、青信号で徐行しながら交差点の向こう側までまつすぐに進み、その地点で止まつて右に向きを変え、ここで合図をやめ、前方の信号が青になつてから進むようにしなければなりません。なお、このような場合は、青の矢印の信号によつて右折することはできません。
📊 二段階右折の手順(教則・道路交通法施行令・道路交通法)
| 順番 | すること | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 | あらかじめ、できるだけ道路の左端に寄る | 第34条第5項・教則 |
| 2 | 交差点の手前の側端から30メートル手前の地点で、右折の合図を出す | 道路交通法施行令第21条第1項の表(右折する場合は、交差点の手前の側端から30メートル手前の地点に達したとき) |
| 3 | 青信号のとき、徐行しながら、交差点の向こう側までまっすぐ進む | 第34条第5項・教則 |
| 4 | その地点で止まり、右に向きを変えて、合図をやめる | 教則。合図は、右折が終わったらやめる(第53条第4項) |
| 5 | 前方の信号が青になってから進む | 教則 |
信号は、こう扱われる(道路交通法施行令第2条)
二段階右折をする原付は、信号の意味が、自動車とは少し違います。施行令第2条の表は、第34条第5項の二段階右折の対象になる原付を「多通行帯道路等通行一般原動機付自転車」と呼び、次のように定めています。
📜 道路交通法施行令 第2条の表「青色の灯火」(条文の引用)
多通行帯道路等通行一般原動機付自転車、特定小型原動機付自転車(法第十七条第三項に規定する特定小型原動機付自転車をいう。以下この条及び第四十一条の三第一項において同じ。)及び軽車両は、直進(右折しようとして右折する地点まで直進し、その地点において右折することを含む。青色の灯火の矢印の項を除き、以下この条において同じ。)をし、又は左折することができること。
📜 同「青色の灯火の矢印」(条文の引用)
車両は、黄色の灯火又は赤色の灯火の信号にかかわらず、矢印の方向に進行することができること。この場合において、交差点において右折する多通行帯道路等通行一般原動機付自転車、特定小型原動機付自転車及び軽車両は、直進する多通行帯道路等通行一般原動機付自転車、特定小型原動機付自転車及び軽車両とみなす。
つまり、青信号では右折地点まで直進でき、青の矢印が出ていても右折はできません(教則も「青の矢印の信号によつて右折することはできません」と書いています)。施行令は、すでに右折している地点で信号が赤になったら、その場所で停止しなければならないとも定めています(「赤色の灯火」の欄)。右向きの青矢印の意味は、矢印信号の解説記事でも整理しています。
右折レーンがあっても入らない
第35条第1項は、交差点で進行する方向ごとに通行区分が指定されている場合でも、二段階右折をする原付には、その通行区分に従う義務を課していません(括弧書きで除外)。教則も、二段階の右折方法によらなければならない交差点で右左折する原付は、道路の左端に寄って通行しなければならないと書いています。右折専用レーンから右折するのではなく、左端から二段階で右折します。
小回り右折のやり方
小回り右折は、第34条第2項のとおり、あらかじめ道路の中央に寄り、交差点の中心のすぐ内側を徐行して右折します。教則は、小回りの右折の場合は「青の矢印の信号に従つて右折することができます」と書いています。右折の合図は、二段階右折と同じく、交差点の手前の側端から30メートル手前で出します(施行令第21条)。一方通行の道路で小回り右折をする場合は、第34条第4項により、あらかじめ道路の右側端に寄り、交差点の中心の内側を徐行して右折します(教則も「一方通行の道路から右折するときは、道路の右端に寄り」と書いています)。環状交差点(ラウンドアバウト)は別の規定(第35条の2)で、この記事の対象外です。
3. 原付は何ccまで?2025年4月からの新基準原付
二段階右折の対象は「一般原動機付自転車」です。これは、原動機付自転車のうち特定小型原動機付自転車(電動キックボード等)を除いたもので、大きさは道路交通法施行規則第1条の2が定めています。
📜 道路交通法施行規則 第1条の2(条文の引用)
法第二条第一項第十号イの内閣府令で定める大きさは、二輪のもの及び内閣総理大臣が指定する三輪以上のものにあつては、総排気量については〇・〇五〇リットル(二輪のもののうち、構造上出すことができる最高出力が四・〇キロワット以下の原動機を有するものにあつては、〇・一二五リットル)、定格出力については〇・六〇キロワットとし、その他のものにあつては、総排気量については〇・〇二〇リットル、定格出力については〇・二五キロワットとする。
括弧書きの部分が、2025年4月に加わった基準です。警察庁は、令和7年4月1日から、総排気量50cc以下の従来の原付に加え、総排気量125cc以下の二輪車で最高出力が4.0キロワット以下のものも、原付免許で運転できるようになったと案内しています。背景について、警察庁の通達は、令和7年11月以降に新たに製作される総排気量50cc以下で設計最高速度が50km/hを超える原付に、新しい排ガス規制が適用されることを挙げています。

📊 新基準原付の主なポイント(警察庁掲載の啓発ポスターより)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 総排気量50cc超125cc以下で、最高出力4.0kW以下の二輪車 |
| 交通ルール | ポスターは「交通ルールは今までの原付一種と同じ」とうたい、最高速度30km/h以下・二段階右折・二人乗り禁止・最大積載重量30kgなどを挙げている(最高速度は道路交通法施行令第11条でも、原動機付自転車は一般道路で30キロメートル毎時) |
| 最高出力4.0kW超の125cc | 「原付免許では運転できません」。普通自動二輪車で、右折は小回り(施行規則第2条の自動車の種類・第34条第2項) |
| 見分け方 | ポスターは、総排気量だけでなく最高出力をカタログ等や販売店で確認するよう呼びかけている。国土交通省は、新区分の原付について、型式認定で原動機に総排気量に加えて最高出力も表示させると説明している |
普通自動二輪車は、道路交通法施行規則第2条で「二輪の自動車(側車付きのものを含む。)で、大型特殊自動車、大型自動二輪車及び小型特殊自動車以外のもの」とされ、原動機付自転車は自動車に含まれない(法第2条第1項第9号)ため、同じ125ccでも、最高出力が4.0kWを超えるものは普通自動二輪車、4.0kW以下に制御されたものは原付、と分かれます。JAFの解説ページは「50cc以下の原付」を前提に書かれていますが、2025年4月以降の新基準原付も、条文上は同じ「一般原動機付自転車」です。
4. 自転車・特定小型原付・ほかの二輪車の右折
右折の方法は、乗り物によって次のように分かれます。
📊 乗り物ごとの右折の方法
| 乗り物 | 右折の方法 | 根拠 |
|---|---|---|
| 原付(一般原動機付自転車。新基準原付を含む) | 原則は小回り。第5項の条件(交通整理のある交差点で、「二段階」標識または片側の車両通行帯3以上。「小回り」標識がない)のときは二段階 | 第34条第2項・第5項 |
| 普通自動二輪車・大型自動二輪車・自動車 | 小回り(あらかじめ道路の中央に寄り、交差点の中心のすぐ内側を徐行) | 第34条第2項 |
| 特定小型原動機付自転車(電動キックボード等)・自転車などの軽車両 | どの交差点でも、できる限り道路の左側端に寄り、交差点の側端に沿って徐行して右折。青の矢印の信号では進めない | 第34条第3項(「特定小型原動機付自転車等」=特定小型原動機付自転車と軽車両。第18条第1項)・施行令第2条・教則 |
第3項には、第5項のような「交通整理が行われている交差点に限る」「車両通行帯が3以上」といった条件がありません。JAFも、特定小型原付については、原付のような例外となる事例は書かれていないため、自転車と同じく、すべての交差点が二段階右折になると解説しています。電動キックボードのルールは特定小型原付の解説記事で、自転車の反則金は自転車の青切符の解説記事で整理しています。
5. 違反したら何点・いくら?
原付が、第34条で指定された右折の方法(二段階右折または小回り右折)をとらなかった場合は、交差点右左折方法違反になります。違反点数は道路交通法施行令の別表第二、反則金は別表第六で確認しました。警視庁の一覧表(2026年4月1日更新)も同じ内容です。
📊 交差点右左折方法違反の点数と反則金
| 違反 | 根拠 | 違反点数 | 反則金(原付等) | 反則金(普通車・二輪車) | 反則金(大型車) |
|---|---|---|---|---|---|
| 交差点右左折方法違反 | 道路交通法第34条第1項〜第5項 | 1点 | 3,000円 | 4,000円 | 6,000円 |
反則金の区分の「原付等」は、施行令別表第六の備考で、小型特殊自動車・原動機付自転車・軽車両と定められています。新基準原付は原動機付自転車ですので、条文上は「原付等」の3,000円の区分にあたります。なお、警視庁の一覧表の注記は二輪車を50ccを超えるものと説明していますが、施行令別表第六の備考は「二輪車」を大型自動二輪車及び普通自動二輪車としています。個別の取り扱いは、警察などにご確認ください。
違反点数表の「自動車等交差点右左折方法違反」は、第34条の第1項・第2項・第4項・第5項の違反です。自転車や特定小型原付の右折方法(第3項)は、この点数の対象に含まれていません。反則金の表は第1項〜第5項の違反を対象にしています。
6. よくある質問
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まとめ
原付の二段階右折を整理します。(1)二段階右折になるのは、交通整理が行われている交差点で、「二段階」の標識がある道路、または片側の車両通行帯が3以上ある道路(「小回り」標識の道路を除く)を右折するときです(第34条第5項)。信号機のない交差点などは小回りです。(2)2025年4月から加わった125cc以下・最高出力4.0kW以下の新基準原付も、一般原動機付自転車として二段階右折の対象です。最高出力が4.0kWを超える125ccは普通自動二輪車で、小回りです。(3)自転車と特定小型原付は、第34条第3項により、どの交差点でも交差点の側端に沿って右折します。(4)違反は交差点右左折方法違反で、1点・原付は3,000円です。
ルールを知っておくと、原付や自転車がどう動くかを予想しやすくなり、車を運転するときも、右折する原付と接触しにくくなります。標識・標示や信号をよく見て走りましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。法令・反則金・点数は改正されることがあるため、最新の内容や個別の判断は、警察庁・各都道府県警察・公安委員会など公的機関の公式情報でご確認ください(確認日: 2026年10月)。条文の引用は、e-Gov法令検索の現行版(2026年10月18日取得)の原文のままです。
参考(一次情報・公的機関・JAF): e-Gov法令検索 道路交通法(第2条・第18条・第34条・第35条・第53条・第121条・第125条・第128条)/同 道路交通法施行令(第2条・第11条・第21条・別表第二・別表第六)/同 道路交通法施行規則(第1条の2・第2条)/同 道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(別表第一・別表第二)/警察庁 交通の方法に関する教則(第8章第3節・付表1)/警察庁 一般原動機付自転車の車両区分の見直しについて/警察庁 道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令等について(通達)/警察庁ほか 原付一種に新たな区分基準が追加されます(ポスター)/国土交通省 一般原動機付自転車について/警視庁 交通違反の点数一覧表/警視庁 反則行為の種別及び反則金一覧表/JAF クルマ何でも質問箱「原動機付自転車の右折方法とは?」
図はすべて自作のイラストです(AI生成なし)。標識のイラストは標識令の色の指定に沿って描いたイメージで、実物とは異なります。実際の交差点の形や標示は、場所によって異なります。


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