ハイマウントストップランプ(補助制動灯)とは?装備義務と位置の基準

リアガラスの内側やトランク上部などに付いている、小さな赤いランプ。「ハイマウントストップランプ」の正式名称は補助制動灯で、保安基準に装備と位置の基準が定められています。この記事では、保安基準の条文、国土交通省の適用関係の告示、自動車技術総合機構の審査事務規程、NHTSA(米国運輸省道路交通安全局)の評価報告で確認できた内容を整理しました。

📋 この記事の要点

✔ 保安基準第39条の2で、専ら乗用で乗車定員10人未満の自動車と、バン型の貨物車(車両総重量3.5t以下)などに、補助制動灯の装備が義務づけられている

✔ 平成17年12月31日以前に製作された自動車は「備えることができる」、平成18年1月1日以降に製作された乗用車は義務(国土交通省の適用関係の告示)

✔ 取付位置は、照明部の下縁が地上850mm以上(または後面ガラス最下端の取付部の下方150mmより上方)で、かつ制動灯の照明部の上縁を含む水平面以上。灯光の色は赤、点灯は制動灯が点灯するときのみ

✔ 米国の効果評価は、調査により数値が異なる。1987年のデータでは追突事故を8.5%減、1989〜95年の長期では4.3%減(NHTSA)

1. 補助制動灯の基本と、装備義務の対象

📊 補助制動灯の基本

項目 内容 出典
正式名称 補助制動灯(ハイマウントストップランプ) 保安基準第39条の2
役割 自動車の後方にある他の交通に、主制動装置または補助制動装置を操作していることを示す 同第2項
装備義務の対象 専ら乗用の用に供する自動車で乗車定員10人未満のもの、バン型の貨物車で車両総重量3.5t以下のもの、など(二輪・三輪・被牽引自動車、キャタピラ及びそりを有する軽自動車を除く) 同第1項、審査事務規程7-89-1
灯光の色 赤色 審査事務規程7-89-2
緊急制動表示灯としての使用 補助制動灯を緊急制動表示灯として使用する場合、その間は、灯光の基準・取付基準は適用されない 保安基準第39条の2第4項

📌 補足

急ブレーキ時に補助制動灯を点滅させる装備(緊急制動表示灯)を持つ車もありますが、装備の有無は車種によります。詳しくは、自分の車の取扱説明書をご確認ください。

2. 日本での義務化の時期

日本では、製作された年によって扱いが異なります。国土交通省の「適用関係の整理のため必要な事項を定める告示」第43条(補助制動灯)で確認できた内容は次のとおりです。

📊 補助制動灯の適用時期

対象 平成17年12月31日以前に製作 平成18年1月1日以降に製作
乗用車(乗車定員10人未満) 補助制動灯を備えることができる(任意)。基準に適合すればよい 装備義務
バン型の貨物車(車両総重量3.5t以下) 平成21年12月31日以前に製作されたものは、「備えることができる」と読み替えて適用 平成21年12月31日以前は任意。それ以降に製作されたものは義務(告示の読み替え規定より)

⚠️ 注意

ご自身の車の扱いは、車検証の初度登録年月や製作年月、販売店で確認してください。

3. 位置・点灯の基準(車検の審査基準)

自動車技術総合機構の審査事務規程(最終改正 第64次)には、補助制動灯の取付要件が次のように書かれています。

📊 補助制動灯の取付要件(審査事務規程)

項目 基準の内容
数 1個(構造上、車両中心面に取り付けられない場合は、車両中心面の両側に1個ずつ)
高さ 照明部の下縁の高さが、地上850mm以上、または後面ガラスの最下端の取付部の下方150mmより上方であって、制動灯の照明部の上縁を含む水平面以上
位置 照明部の中心が、車両中心面上にあること(構造上、中心面上に付けられない場合は中心面から150mmまでの間、など例外あり)
尾灯との関係 尾灯と兼用でないこと(二輪自動車を除く)
点灯の条件 制動灯が点灯する場合のみ点灯する構造であること
点滅 点滅するものでないこと(運転者異常時対応システムが制御している場合を除く)
光の向き・妨害 直射光・反射光が、自車や他の自動車の運転操作を妨げないこと。前方を照射しないように取り付けられていること
状態 灯器が損傷し、またはレンズ面が著しく汚損していないこと

💡 ポイント

「地上850mm以上」というのは、条件の一つです。後面ガラスの最下端の取付部の下方150mmより上方、という基準もあり、いずれも「制動灯の照明部の上縁を含む水平面以上」であることが求められます。

4. なぜ高い位置にあるのか、効果はどれくらいか

NHTSAは、補助制動灯(CHMSL)の目的を「ブレーキがかかったとき、後続車の運転者に減速すべきことを知らせること」と説明しています。左右の制動灯より高く中央に付けるという位置の基準は、前の車の陰で低い位置の制動灯が見えにくい場面を補うという考え方によるものです(一般的な理解であり、日本の条文が理由を明記しているわけではありません)。

📊 米国での効果評価(NHTSAの報告書)

報告書 内容
NHTSA 1989年7月(DOT HS 807 442) 米国では1985年9月1日から乗用車に標準装備(FMVSS 108)。1987年のデータ(11州の警察報告)では、補助制動灯付きの車は、ブレーキ中に後ろから衝突される可能性が17%低かった(信頼区間13〜21%)。この報告の前の予備評価(1986年夏の事故データ)では22%とされていた
NHTSA 1998年3月(DOT HS 808 696) 乗用車はモデルイヤー1986から、ライトトラックは1994から標準装備。追突事故の減少は、1987年に8.5%(信頼区間6.1〜10.9%)。1988〜89年に低下したあと横ばいになり、1989〜95年は4.3%(信頼区間2.9〜5.8%)で、これが長期的な効果とされた

📌 補足

2つの報告書は、比較の基準(「ブレーキ中に追突される可能性」と「追突事故全体」)や年次が違うため、数値をそのまま並べて比べることはできません。どちらの報告書も、補助制動灯は費用対効果の高い安全装置としています。

5. 車検で問題になりやすい点と、自分でできる確認

🧭 補助制動灯の自己確認の手順

1

ブレーキを踏み、点灯するか確認する

一人が運転席でブレーキを踏み、もう一人が後方から確認します。補助制動灯は、制動灯が点灯するときに点灯する構造であることが基準です。

2

ブレーキを離して、消灯するか確認する

常時点灯していないかを確認します。

3

色が赤で、点滅していないか確認する

灯光の色は赤色、点滅しないことが基準です(緊急制動表示灯としての作動を除く)。

4

レンズ面が汚れていたり、割れていたりしないか確認する

灯器の損傷やレンズ面の著しい汚損は、基準に適合しない状態です。

5

ランプの上に、ステッカーやフィルムを貼っていないか確認する

視認性や光の基準に影響するおそれがあります。適合するかは、検査を行う機関(運輸支局・指定整備工場等)にご確認ください。

📝 チェックリスト

☑️ ブレーキを踏んだとき、補助制動灯が点灯する

☑️ ブレーキを離すと、補助制動灯が消える

☑️ 灯光の色が赤色で、点滅していない

☑️ レンズに割れ・著しい汚れがない

☑️ 後付けのLED等に交換した場合、位置・色・点灯条件が変わっていない

6. よくある質問

Q. ハイマウントストップランプは、全ての車に義務ですか?

A. 保安基準第39条の2では、専ら乗用で乗車定員10人未満の自動車と、バン型の貨物車(車両総重量3.5t以下)などが対象です。二輪・三輪・被牽引自動車は対象から除かれています。製作時期によっても扱いが異なります。

Q. 日本ではいつから義務ですか?

A. 国土交通省の適用関係の告示では、平成17年12月31日以前に製作された自動車は「備えることができる」、平成18年1月1日以降に製作された乗用車は義務です。

Q. 取付位置に決まりはありますか?

A. 審査事務規程では、照明部の下縁が地上850mm以上(または後面ガラス最下端の取付部の下方150mmより上方)で、制動灯の照明部の上縁を含む水平面以上、中心は車両中心面上、と示されています。

Q. 追突事故を、どのくらい減らしていますか?

A. NHTSAの報告では、1987年のデータで8.5%(別の報告では17%)、1989〜95年の長期では4.3%とされています。調査の方法や年次によって数値が異なります。日本での効果を示した資料は、今回確認できませんでした。

まとめ

ハイマウントストップランプの正式名称は補助制動灯で、乗用車(定員10人未満)などに装備が義務づけられ、平成18年1月1日以降に製作された乗用車は義務です。取付位置・色・点灯条件は審査事務規程に定められており、ブレーキを踏んだときのみ点灯する赤色の灯火であることが基準です。効果は、米国のNHTSA報告で1987年に8.5%、長期では4.3%とされています。点灯・色・レンズの状態を、定期的に確認しましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。法律・制度に関する個別の判断は、警察・運輸支局・検査場などの公的窓口や専門家にご相談ください。基準・手数料・期間は変更されることがあるため、最新の内容は各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。

アイキャッチ画像: 996 Carrera 4S third brake light by Jan, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

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