「車庫飛ばし」とは?違法性と罰則を解説

実際には車を保管しない場所を、車庫証明の保管場所として申請する。あるいは、実際の使用の本拠とは違う住所で登録する。こうした行為は、俗に「車庫飛ばし」と呼ばれます。この記事では、「自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)」と同施行令、保険法、警視庁の案内(いずれも2026年9月25日確認)をもとに、車庫法の決まり、罰則の内容、正しい手続きを整理しました。原記事にあった保険料の地域区分や刑法の罪名の説明は、根拠を確認できなかったため削除しています。

📋 この記事の要点

✔ 自動車の保有者は、道路以外の場所に、保管場所を確保しなければならない(車庫法第3条)

✔ 保管場所は、使用の本拠の位置から2km以内であること、支障なく出入りでき全体を収容できること、使用する権原があることが要件(施行令第1条)

✔ 保管場所について虚偽の書面を提出して登録などの処分を受けると、20万円以下の罰金(車庫法第17条第2項)

✔ 保管場所の位置を変更したときは、変更した日から15日以内に届け出る。怠る・虚偽の届出は10万円以下の罰金(第7条・第17条第3項)

✔ 車庫証明は、保管場所の所在地を管轄する警察署に申請する。申請から交付まで、警視庁の案内では3日から7日

動画でも解説しています。(YouTube「くるまのかーぎーくん」)

1. 車庫法の決まりと、「車庫飛ばし」が問題になる理由

車庫法は、自動車の保有者に保管場所を確保させ、道路を保管場所として使わせないことなどで、道路使用の適正化や交通の円滑化を図る法律です。保管場所とは、車庫、空地その他、自動車を通常保管するための場所を指します(第2条)。

📊 車庫法の基本

決まり 内容 根拠
保管場所の確保 自動車の保有者は、道路上の場所以外の場所に、保管場所を確保しなければならない 車庫法第3条
保管場所の要件(1) 自動車の使用の本拠の位置との間の距離が、2kmを超えないこと 施行令第1条第1号
保管場所の要件(2) 通行できる道路から、支障なく出入りでき、全体を収容できること 施行令第1条第2号
保管場所の要件(3) 保有者が、保管場所として使用する権原を有すること 施行令第1条第3号
証明書の提出 登録の処分を受けようとする人は、警察署長が交付する保管場所証明書などを、行政庁に提出しなければならない 車庫法第4条
軽自動車の場合 新規に運行の用に供するときは、保管場所の位置を管轄する警察署長に届け出る(適用地域あり) 車庫法第5条

車庫飛ばしは、この「使用の本拠の位置」と「保管場所」の関係をごまかす行為に当たります。実際には保管していない場所や、使用する権原のない場所(他人の土地など)を、保管場所として申請すれば、法が定める要件を満たさないまま、登録の処分を受けることになります。

📌 補足

車庫法の保管場所の規定は、人口の少ない地域など、政令で定める地域以外では適用されません(附則第2項)。自分の地域が適用されるかは、警察署や都道府県警察のページで確認してください。

2. 罰則の内容(車庫法第17条)

📊 車庫法の罰則(2026年9月25日確認)

違反の内容 根拠 罰則(条文上)
自動車の保管場所に関する虚偽の書面を提出し、または虚偽の通知を行わせて、登録などの処分を受けた 第17条第2項第1号 20万円以下の罰金
保管場所の変更の届出(15日以内)をしない、または虚偽の届出をした 第17条第3項第1号(第7条) 10万円以下の罰金
軽自動車の保管場所の届出(第5条)をしない、または虚偽の届出をした 第17条第3項第1号(第5条) 10万円以下の罰金
道路上の場所を、自動車の保管場所として使用した 第17条第1項第2号(第11条第1項) 3月以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金
同じ場所に、引き続き12時間以上(夜間は8時間以上)駐車することとなる行為 第17条第2項第2号(第11条第2項) 20万円以下の罰金
公安委員会の運行供用制限の命令に違反した 第17条第1項第1号(第9条第1項) 3月以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金

📌 補足

法人の代表者や従業者が、業務に関して違反したときは、行為者のほか、法人にも罰金刑が科されます(第18条)。2025年6月から、刑法の「懲役」は「拘禁刑」に一本化されており、現行の条文は「拘禁刑」と書かれています。

⚠️ 注意

原記事は、悪質な場合に刑法の「公正証書原本不実記載罪」などを問われる可能性があると書いていましたが、車庫法や関連する公的資料では確認できませんでした。この記事では、条文で確認できた罰則だけを記載しています。個別の判断は、弁護士や行政書士へご相談ください。

3. 使用の本拠を偽ると、税や保険で何が問題になるか

車庫飛ばしに限らず、実際の使用の本拠と違う住所で手続きすると、車庫法以外でも問題が生じるおそれがあります。ここでは、公的な資料で確認できた範囲で整理します。

📊 虚偽の申告が及ぼしうる影響

分野 確認できた内容 出典
自動車税(種別割) 自動車の主たる定置場のある都道府県が、課税している。納税先は、実際の定置場に関わる 東京都主税局
損害保険の告知義務 保険契約者・被保険者が、告知事項について、故意または重大な過失により、事実を告げず、または不実のことを告げたときは、保険者は損害保険契約を解除できる 保険法第28条第1項
解除の効果 解除した場合、解除の時までに発生した保険事故の損害を、原則として、保険者は補償しない(ただし、告知事項に基づかない事故は除く) 保険法第31条第2項第1号

⚠️ 注意

自動車保険の保険料の決まり方(地域の区分など)は、保険会社ごとに異なります。原記事にあった「全国を7つの地域に区分」という説明は、根拠を確認できなかったため削除しました。保険の申込みでは、実際の使用の本拠や保管場所などの情報を、正しく申告してください。個別の判断は、保険会社や専門家にご相談ください。

4. 正しい車庫証明の取り方(警視庁の案内の例)

保管場所証明書(車庫証明書)は、運輸支局で、自動車の新規・移転・変更登録を受けるために必要な書類です。申請先は、保管場所の所在地を管轄する警察署(交通課の車庫証明窓口)です。以下は、警視庁の窓口での申請の案内(2026年7月17日更新)の内容で、手数料などは都道府県によって異なります。

📊 車庫証明の申請の概要(警視庁の例)

項目 警視庁の案内の内容(2026年9月25日確認)
申請先 保管場所(車庫)の所在地を管轄する警察署(交通課の車庫証明窓口)
受付時間 午前8時30分から午後4時30分まで(土曜、日曜、祝日、休日及び12月29日から1月3日を除く)
申請に必要な書類 (1)自動車保管場所証明申請書 (2)保管場所の所在図・配置図 (3)保管場所の使用権原を疎明する書類
使用権原の書類 自分の所有地なら、保管場所使用権原疎明書面(自認書)。貸し駐車場なら、保管場所使用承諾証明書(保管場所の所有者・管理者等が作成)
申請手数料 2,400円(窓口での申請)
交付までの期間 申請から3日から7日
運輸支局への提出 証明日から概ね1か月以内
軽自動車・保管場所だけの変更 保管場所届出手続の対象

🧭 車庫証明の取得の流れ

1

保管場所を確保する

使用の本拠の位置から2km以内で、出入りでき、全体を収容できる場所を、使用する権原とともに確保します。

2

書類を作成する

申請書、所在図・配置図、使用権原の書類(自認書または保管場所使用承諾証明書)を用意します。

3

警察署の窓口に申請する

保管場所の所在地を管轄する警察署に提出し、手数料を納めます。

4

証明書を受け取る

申請から3日から7日かかります。受け取るときに、記載内容を確認します。

5

運輸支局で、登録の手続きを行う

証明日から概ね1か月以内に、運輸支局へ提出します。

⚠️ 注意

警視庁の案内では、原則として交付後の書類の訂正はできないため、受け取るときに確認するよう案内されています。また、手続は保管場所(車庫)を確保してから申請するよう案内されています。

5. 引っ越し・車庫の変更のときの届出

意図せず違反状態にならないよう、引っ越しや、車庫の場所の変更のときの決まりも確認しておきましょう。車庫法第7条では、保有者が、証明された保管場所の位置を変更したときは、変更した日から15日以内に、変更後の保管場所の位置を管轄する警察署長に届け出なければならないとされています。

📊 引っ越し・車庫変更のときの手続き

状況 必要な手続きの考え方 根拠・出典
保管場所(車庫)だけを変更した 変更した日から15日以内に、変更後の保管場所の位置を管轄する警察署長へ、変更の届出をする 車庫法第7条
引っ越しで、使用の本拠の位置が変わる(登録自動車) 変更登録(使用の本拠の位置の変更)を受けるため、保管場所証明書を提出する 車庫法第4条
軽自動車で、保管場所の位置が変わる 保管場所届出手続(警視庁の案内では、軽自動車は届出) 車庫法第5条・第7条、警視庁
届出を忘れた 届出をしないと、10万円以下の罰金の対象になる場合がある。忘れていた場合は、早めに管轄の警察署へ相談する 車庫法第17条第3項

📝 車庫まわりのチェックリスト

☑️ 車を保管している場所が、申請した保管場所と同じである

☑️ 保管場所が、使用の本拠の位置から2km以内である

☑️ 貸し駐車場の場合、保管場所使用承諾証明書を、所有者・管理者に作成してもらった

☑️ 引っ越しや車庫の変更があったとき、15日以内に届け出る

☑️ 道路を、保管場所として使っていない(12時間以上、夜間は8時間以上の駐車をしていない)

☑️ 自動車保険の申込みで、使用の本拠や保管場所を、正しく申告した

⚠️ 注意

以上は一般的な制度の説明です。個別の判断は、警察署や、弁護士・行政書士などの専門家へご相談ください。

6. よくある質問

Q. 「車庫飛ばし」とは、何ですか?

A. 実際には保管しない場所を、保管場所として申請するなど、実際の使用の本拠や保管場所と異なる内容で手続きをすることを指す、俗称です。条文としては、保管場所に関する虚偽の書面を提出して登録などの処分を受けると、20万円以下の罰金の対象です(車庫法第17条第2項)。

Q. 引っ越して、届出を忘れました。どうなりますか?

A. 保管場所の位置を変更したときは、15日以内の届出が必要で、怠ると10万円以下の罰金の対象になる場合があります(車庫法第7条・第17条第3項)。気づいたら、管轄の警察署へ早めに相談してください。

Q. 車庫証明は、どこで、いくらでとれますか?

A. 保管場所の所在地を管轄する警察署です。警視庁の案内では、窓口での申請の手数料は2,400円、交付まで3日から7日です。手数料などは、都道府県で異なるため、管轄の警察の案内で確認してください。

Q. 保管場所は、家から何km以内が必要ですか?

A. 施行令第1条第1号で、自動車の使用の本拠の位置から、2kmを超えないことが要件とされています。ほかに、出入りと全体の収容ができること、使用する権原があることも必要です。

まとめ

車庫飛ばしは、実際の保管場所や使用の本拠と異なる内容で車庫証明などの手続きを行うことを指す俗称です。車庫法では、保管場所に関する虚偽の書面を提出して登録などの処分を受けると20万円以下の罰金、保管場所の変更の届出を怠ると10万円以下の罰金の対象になります。車庫証明は、保管場所を確保したうえで、管轄の警察署に正しく申請しましょう。引っ越しや車庫の変更のときは、15日以内の届出をお忘れなく。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。

アイキャッチ画像: 伊勢崎警察署駅前交番 by Suikotei, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

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