走行中に「ゴー」「ヒュー」という音が気になったり、いつもと違う音がしたりするとき、まず確認したいのは、その音が、快適性の問題なのか、点検が必要な異音なのかという点です。この記事では、JAF、日本自動車タイヤ協会(JATMA)、国土交通省の情報をもとに、音の出る条件の切り分け方、タイヤ・ブレーキ・マフラーに関する公的な基準、EV・ハイブリッド車の静粛性と接近通報装置を整理します。ロードノイズや風切り音の大きさを評価する公的な基準は確認できず、防音材(デッドニング)や防音グッズの効果や費用も、公式の資料がないため、載せていません。異音が続くときは、整備工場や販売店で点検を受けてください(確認日: 2026年9月25日)。
📋 この記事の要点
✔ 走行中に、異常な音や振動を感じたら、速やかに安全な場所に停車して、車両とタイヤを点検する。外観に異常がなくても、できる限り低速で移動して、タイヤ販売店などに点検を依頼する(JATMA)
✔ ブレーキをかけたときの「キーキー」という音は、パッドウェアインジケーターが、交換時期を知らせている場合がある。パッド残量は2mm以下程度で交換(JAF)
✔ 空気圧は、少なくとも1か月に1回、エアゲージで点検する。空気圧が高すぎると、直進安定性の悪化や偏摩耗の原因になる(JAF)
✔ 日本のタイヤのラベリング制度(2010年1月〜)の等級は、転がり抵抗性能とウェットグリップ性能の2つ。静粛性(騒音)の等級は、含まれていない(JATMA)
✔ ロードノイズや風切り音の大きさについて、公的な評価基準は確認できなかった。車種・グレードで異なるため、試乗で確認するのが確実
📑 目次
1. 音の出る条件で切り分ける:確認できる公的な情報
車の音は、「いつ(走り始め、一定の速度、ブレーキ時、停車後など)」「どこから」「どんな音が」で、原因の見当がつきます。JAFは、走行中にタイヤ付近から異音がする場合の原因は、タイヤに異物が刺さっていたり、走行関係の部品が傷んでいたりと多岐にわたり、複数の原因が推測される、としています。原因の特定には、点検が必要です。
📊 音・振動の出る条件と、JAFの資料で確認できた内容
| 音や症状の出る条件 | 考えられる原因(JAFの資料) | 対処(JAF) |
|---|---|---|
| 走行中にタイヤ付近から異音がする | タイヤに異物が刺さっている、走行関係の部品が傷んでいるなど、原因は多岐にわたる | 点検が必要な状態。安全を確認して、JAFなどに連絡する |
| ブレーキをかけると「キーキー」と音がする | ブレーキパッドが減ると、パッドウェアインジケーターがブレーキディスクに接して音を出す | 早急に整備工場で点検・交換する |
| ある速度域でステアリングが振動する | ホイールバランスの狂いなど。ホイールアライメントの狂いや、タイヤの偏摩耗が原因になることもある | まず空気圧を確認する。整備工場で点検を受ける |
| 走り始めに、車体がガタガタする | 長時間の駐車で、タイヤの一部が平らになる「フラットスポット」ができた可能性 | 走行を続けることで解消する場合もある。解消しなければ、整備工場へ |
| エンジンを止めたあとも、回転音がする | 一部の車種では、エンジンを冷やすため、停止後もしばらく冷却ファンが回り続ける | 冷却ファンの作動音の場合がある。長く続くときは点検 |
| エンジン始動前から、猫などの鳴き声がする | エンジンルームなどに動物が入り込んでいる場合がある | エンジンをかけると、ベルトなどに巻き込まれることがある。始動前に確認する |
⚠️ 異常な音や振動を感じたら、まず安全な場所に停車してください
日本自動車タイヤ協会(JATMA)は、走行中に操縦が不安定になったり、異常な音や振動を感じたときは、速やかに安全な場所に停車して、車両とタイヤに変形などの異常がないか確認するよう案内しています。外観に異常がなくても、できる限り低速で移動して、タイヤ販売店などに点検を依頼します。
📌 補足
風切り音(車体に当たる空気の音)について、原因や対策を示した公的な資料は、この調査では確認できませんでした。ドアや窓の周囲から音が出るように感じる場合は、販売店や整備工場に、状態を見てもらいましょう。
2. タイヤに関する確認:空気圧・溝・製造年・偏摩耗
タイヤは、点検の基準が公的な資料で確認できる部品です。タイヤの状態を確認する項目を、JAFとJATMAの資料から整理します。
📊 タイヤの点検項目と基準
| 確認項目 | 確認できる基準 | 出典 |
|---|---|---|
| 空気圧 | タイヤの空気は自然に抜けるため、少なくとも1か月に1回、エアゲージで点検する。空気圧が低いと燃費が悪化し、パンクの危険が高まる。高すぎると、直進安定性の悪化や偏摩耗の原因になる | JAF |
| 残り溝 | 使用限度は1.6mm。スリップサインが現れたら、限度。JAFは、4mm以下になった時点での交換検討をすすめている | JATMA、JAF |
| 製造年 | サイドウォールの4桁の数字(前半2桁が週、後半2桁が年)で確認できる。JAFは、使用開始から4〜5年で、点検・交換を検討するよう案内している | JAF |
| 偏摩耗・外傷 | ベルト・カーカスに達する傷、局部的なふくれ、偏摩耗によるコードの露出などがあれば、新しいタイヤに交換する | JATMA |
| タイヤの種類やサイズの変更 | 変更すると、タイヤの運動特性が変化する。慣れるまでは、走行速度などに注意して運転する | JATMA |
静粛性の高いタイヤを選びたい場合、日本のタイヤの「低燃費タイヤ等のラベリング制度」の等級は参考になりません。JATMAの説明では、この制度は、2010年1月から運用され、「転がり抵抗性能」(5等級)と「ウェットグリップ性能」(4等級)を等級分けして、ラベルに表示するものです。騒音の大きさは、等級の対象に含まれていません。静粛性は、各メーカーのカタログの説明や、試乗の体感などで確認することになります。
🧭 タイヤの確認の流れ
走行前の冷えた状態で、空気圧を測る
指定空気圧は、運転席のドアの開口部などに表示されています。エアゲージで測ります。
残り溝とスリップサインを確認する
タイヤ側面の「△」マークの延長線上の溝に、スリップサインが出ていないか見ます。
ひび割れ・傷・ふくれを見る
ベルトやカーカスに達する傷、局部的なふくれがあれば、交換が必要です。
偏摩耗を確認する
タイヤの内側や外側だけ極端に減っていないか。見つけたら、点検を依頼します。
製造年を確認する
4桁の刻印で、製造年週を確認します。見つからないときは、内側に印字されていることがあります。
3. ブレーキ・マフラー:安全と法規に関わる音
ブレーキやマフラーの音は、快適性の問題にとどまらず、安全や法規に関わります。公的な資料で確認できる内容を整理します。
📊 ブレーキとマフラーについて確認できた内容
| 部位 | 確認できる内容 | 出典 |
|---|---|---|
| ブレーキパッド | 残量が2mm以下程度で交換するように定められている。パッドウェアインジケーターが、残量が少なくなると「キーキー」と音を出して知らせる。ブレーキ液がリザーバータンクの下限を下回り、ブレーキ警告灯が点灯する場合もある。症状が出たら、早急に整備工場で点検・交換が必要 | JAF |
| マフラー(消音器)の基準 | 国土交通省が公表したマフラー規制の資料(規制案の概要)では、消音器の「全部または一部が取り外されているもの」「切断されているもの」「内部の騒音低減機構が除去されているもの」「破損または腐食があるもの」が、基準に適合しないものとされている。「騒音防止性能を容易に変更できる構造のもの」も基準不適合とすることが示された | 国土交通省 |
| 交換用マフラー | 2018年11月30日の告示改正で、新車時の近接排気騒音が一定の値を超える四輪自動車等に、交換用マフラーを備える場合は、使用過程での近接排気騒音が新車時から悪化しないことを確認する「相対値規制」を適用 | 国土交通省の報道発表 |
| 交換用マフラーの事前確認 | 交換用マフラーの騒音防止性能を、国土交通大臣が登録した機関が事前に確認し、確認した型式に「性能確認済表示」を表示する制度(規制案の概要) | 国土交通省 |
⚠️ マフラーの交換は、基準への適合を、購入の前に確認します
国土交通省の資料は、大きな騒音をまき散らす車を排除する目的で、消音器の基準が設けられたと説明しています。マフラーを社外品に交換する場合は、表示や適合の確認が、購入の前に必要です。詳しくは、当サイトの別記事でも整理しています。
- ブレーキパッドの磨耗状態はどこで分かりますか?(JAF)
- 交換用マフラーを備えた四輪自動車等の騒音規制の取扱いを見直します(国土交通省・2018年11月30日)
- 自動車等のマフラー(消音器)の規制(案)について(概要)(国土交通省)
4. EV・ハイブリッド車の静粛性と、車両接近通報装置
エンジン音の少ないEVやハイブリッド車は、車内が静かな一方、歩行者などに車の接近が気づかれにくいという課題があります。国土交通省は、2016年10月7日の保安基準の改正で、ハイブリッド自動車や電気自動車等に、歩行者等に自動車の接近を音で知らせる「車両接近通報装置」を義務付けると発表しました。
📊 車両接近通報装置の主な要件(国土交通省「ハイブリッド車等の静音性に関する対策のガイドライン」より)
| 項目 | 内容(国土交通省のガイドライン) |
|---|---|
| 対象 | 内燃機関が停止した状態で、電動機のみでの走行が可能な、電気式ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車 |
| 発音する速度域 | 少なくとも、車両の発進から車速が20km/hに至るまでの速度域、および後退時に、自動で発音する。内燃機関を有する車両は、内燃機関が作動しているときは発音を要しない |
| 音の内容 | 車両の走行状態を想起させる連続音。サイレン、チャイム、ベル、メロディ音、警音器の音、動物や昆虫の鳴き声、自然現象の音などは不適当。車速に応じて、音量または音程が自動的に変化するようにする |
| 音量 | 内燃機関のみを原動機とする車両が、時速20kmで走行する際に発する走行音の大きさを超えない程度 |
| 一時停止スイッチ | 設けることができる。設けた場合は、装置が停止していることを運転者に表示する装置を備え、停止したままにならない設定にする |
現在の保安基準の細目を定める告示では、車両接近通報装置の機能・性能などの基準は、協定規則第138号(国連の規則)の規則6.に定める基準とされています(国土交通省が公開している、2021年6月9日時点の告示の抜粋)。上の表は、義務化の前に国土交通省が示したガイドラインの内容です。適用の日付や、細かい数値は、最新の告示で確認してください。
📌 補足
音の感じ方は、人や車によって違い、車内の静粛性を評価する公的な基準は確認できませんでした。新車や中古車を選ぶときは、試乗で、高速道路や荒れた路面の音を、実際に確認しましょう。
- 「ハイブリッド自動車等の車両接近通報装置」等を義務付けます(国土交通省・2016年10月7日)
- ハイブリッド車等の静音性に関する対策のガイドライン(国土交通省)
- 第67条の3(車両接近通報装置)(国土交通省)
5. 点検・相談のしかたと、確認表
異音の原因は、複数のことが重なる場合もあり、自分の判断だけでは特定しにくいことがあります。国土交通省は、点検整備が使用者の義務であり、自家用乗用車・軽自動車は、1年ごとに29項目、2年ごとに60項目の定期点検整備が必要としています。いつもと違う音を感じたら、整備工場に相談するよう案内されています。
🧭 音が気になったときの対応の流れ
音の条件を記録する
いつ(走り始め、加速、ブレーキ、旋回など)、どこから、どんな音かを、メモにします。
安全に確認できることを見る
空気圧(冷えた状態)、タイヤの傷や異物、スリップサインを確認します。
走行を続けてよいか判断する
異常な音や振動があるときは、安全な場所に停車して、点検を依頼します(JATMA)。
整備工場・販売店に、条件を伝える
音の出る条件と、いつから出ているかを伝え、原因の説明を求めます。
見積書で、項目と金額を確認する
修理や部品交換が必要な場合は、内容と金額を、書面で確認します。
📝 音が気になったときの確認表
☑️ 音の出る条件(速度、路面、ブレーキ、旋回、天候など)を、メモにした
☑️ 空気圧を、冷えた状態でエアゲージで測った
☑️ タイヤの溝、スリップサイン、傷、偏摩耗を確認した
☑️ ブレーキ時に「キーキー」という音がないか確認した
☑️ 異常な音や振動を感じたら、安全な場所に停車できる
☑️ 整備工場・販売店に、条件を伝えて点検を依頼できる
☑️ マフラーなどを交換する場合は、基準への適合を購入前に確認する
☑️ 中古車・新車を選ぶときは、試乗で音を確認する
6. よくある質問
📚 あわせて読みたい
まとめ
車の音が気になったときは、音の出る条件を記録して、安全に確認できる点検(空気圧、溝、傷、偏摩耗)を行い、異常な音や振動があれば、速やかに安全な場所に停車して点検を依頼することが基本です。ブレーキの「キーキー」という音や、マフラーの基準、EV・ハイブリッド車の車両接近通報装置には、公的な資料で確認できる内容があります。一方、ロードノイズや風切り音の大きさの公的な基準、防音材の効果や費用は確認できなかったため、示していません。静粛性は、試乗で実際に確かめましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。


コメント