マフラー交換したら車検に通らない!?音量規制と「性能等確認済表示」の見方

「マフラーを交換したら、車検に通らなくなった」というトラブルは、いまも少なくありません。音量規制の基準は、車の生産時期や、マフラーの種類によって考え方が変わります。この記事では、国土交通省の保安基準の細目告示(第196条)と、近接排気騒音の測定方法(別添38)、不正改造の罰則のページをもとに、車検で見られるポイントと、交換前の確認事項を整理します。

📋 この記事の要点

✔ 消音器(マフラー)は、加速走行騒音を有効に防止するものであることが求められる。純正表示、自・E・eマーク、性能等確認済表示などで確認する(国土交通省)

✔ 消音器の全部・一部の取り外し、切断、内部の騒音低減機構の除去は不可(保安基準の細目告示第196条)

✔ 近接排気騒音は、消音器を改造・交換していない場合、新車時に確認した値に5dBを加えた値を超えないこと。性能等確認済表示のある交換用マフラーは、その表示の近接排気騒音値に5dBを加えた値

✔ 不正改造(保安基準に適合しなくなる改造)の実施者には、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(道路運送車両法第99条の2、第108条)

✔ 不適合の車には、整備命令が出ることがあり、従わない場合は使用停止命令や50万円以下の罰金の対象

1. 車検で見られる3つの観点

マフラーが車検に通るかどうかは、単に「音が大きいか」だけではなく、(1)消音器が壊されたり改造されたりしていないか、(2)加速走行騒音を有効に防止するものとして確認できるか、(3)近接排気騒音が基準内か、の3つの観点があります。

📊 車検で見られる3つの観点(国土交通省の告示・報道発表より。2026年9月25日確認)

観点 内容 出典
(1)消音器の状態 消音器の全部または一部が取り外されていない。本体が切断されていない。内部にある騒音低減機構が除去されていない。破損・腐食がない。騒音低減機構を容易に除去できる構造でない 保安基準の細目告示 第196条第2項(国土交通省)
(2)加速走行騒音を有効に防止するもの 消音器は、加速走行騒音を有効に防止するものであること。純正表示、自・E・eマーク、性能等確認済表示(全開加速走行騒音が82dB以下であることを確認したマフラーに表示)などで、適合性を確認する 国土交通省(自動車騒音規制の推移、平成22年騒音規制)
(3)近接排気騒音 消音器を改造・交換していない四輪自動車等は、新車時の近接排気騒音値(車検証等に記載)に5dBを加えた値を超えないこと。性能等確認済表示のある交換用マフラーは、その表示に記載された近接排気騒音値に5dBを加えた値を超えないこと 保安基準の細目告示 第196条第1項第3号ロ、国土交通省の報道発表(平成30年11月30日)

📌 補足

国土交通省は、平成22年(2010年)4月1日以降、使用過程車の消音器が加速走行騒音を有効に防止するものであることを義務付けました。さらに、平成28年(2016年)4月20日の改正で、証明機関による騒音性能表示等を義務付け、加速走行騒音を有効に防止するものであるか不明な消音器を備えた自動車等は、保安基準不適合の扱いになるとしています。

2. 近接排気騒音の基準:「新車時の値+5dB」の考え方

国土交通省は、平成30年(2018年)11月30日に、新車時の近接排気騒音が車種ごとに定められた一定の値を超える四輪自動車等に、交換用マフラーを備える場合は、使用過程における近接排気騒音が新車時から悪化しないこと(新車時の値に5dBを加えた値以下であること)を確認する「相対値規制」を導入する改正を行いました。

📊 相対値規制が適用される車種ごとの一定の値(国土交通省 報道発表資料 平成30年11月30日より。2026年9月25日確認)

車の区分 一定の値(新車時の近接排気騒音がこれを超える場合に適用)
乗合車・貨物車(車両総重量3.5t超、最高出力150kW超) 94dB
乗合車・貨物車(車両総重量3.5t超、最高出力150kW以下) 93dB
乗合車・貨物車(車両総重量3.5t以下) 92dB
乗用車(車両後部にエンジンを有するもの) 95dB
乗用車(車両後部にエンジンを有するもの以外) 91dB

💡 国土交通省が示している計算例

乗用車(後部エンジン以外)で、新車時の近接排気騒音が92dB(91dBを超える)の場合、規制値は、92+5=97dBです。交換用マフラーを装着した場合も、この値を超えないことが求められます。

上の表は、平成30年の報道発表時点の内容です。その後の告示の改正で扱いが変わっている可能性があるため、最新の告示と、相対値規制の対象でない車の基準、細かい区分は、車検証の記載とともに、整備工場や運輸支局等でご確認ください。

3. 近接排気騒音の測定方法(国土交通省 別添38)

車検場や整備工場では、停止した状態で、次の方法で近接排気騒音を測ります。基準内かどうかは、音の「聞こえ方」ではなく、騒音計で測った数値で判断されます。

📊 近接排気騒音の測定方法(国土交通省 別添38より。2026年9月25日確認)

項目 内容(別添38「近接排気騒音の測定方法」より)
車の状態 点検・整備要領等により整備され、走行して十分に暖機されている。停止状態、変速位置は中立、クラッチは接続状態
測定する回転数 原動機を、最高出力時の回転速度の75%の回転速度(±100rpm)で、連続して5秒間程度、無負荷運転する。車の種別や最高出力時の回転速度によっては、50%や3,750rpmなど、異なる回転速度が定められている
測定するタイミング 上の状態から、加速ペダルを急速に放したときの、自動車騒音の大きさの最大値を測定する
マイクロホンの位置 排気流の方向を含む鉛直面と、外側後方45度に交わる排気管の開口部中心を含む鉛直面上で、開口部中心から0.5m離れた位置。高さは開口部中心の高さ(地上高さ0.2m未満の場合は0.2m)
測定場所 概ね平坦で、車両の外周およびマイクロホンから2m程度の範囲内に、壁・ガードレール等の顕著な音響反射物がない場所
騒音計など JIS C1509-1のクラス1またはこれと同等の性能の騒音計。周波数補正回路はA特性、動特性は速い動特性(FAST)

⚠️ ご自身で測る音は、目安にとどめて

市販の簡易な騒音計と、車検場での測定は、条件(回転数、マイクの位置、測定場所)が異なります。事前の確認は、整備工場や、測定に対応する店舗に相談するのが確実です。

4. マフラー交換前のチェックリストと、進め方

📝 交換前に確認すること

☑️ 交換用マフラーに、性能等確認済表示など、適合を示す表示があるか

☑️ 製品の適合車種・年式・型式が、愛車に合っているか

☑️ 車検証に記載の近接排気騒音値(記載がある場合)を確認した

☑️ 車の生産時期・型式によって適用される規制を、販売店・整備工場に確認した

☑️ 内部の騒音低減機構の除去や、切断などの加工をしていない

☑️ 取り付け後、実際の音量を測ってもらえる店舗か確認した

☑️ 純正マフラーを、保管しておく(戻せるようにしておく)

🧭 交換の進め方

1

愛車の情報を整理する

車検証を用意し、型式、生産時期、近接排気騒音の記載の有無を確認します。

2

交換用マフラーの表示を確認する

性能等確認済表示など、適合を示す表示があるかを、製品や説明書で確認します。表示の意味は、販売店に確認します。

3

取り付けを依頼する店舗に、車検適合について確認する

取り付け前に、車検に通る想定か、測定の対応が可能かを確認します。

4

取り付け後、音量を確認する

基準内に収まっているかを、測定に対応できる店舗で確認してもらいます。

📌 補足

業界団体などによる独自の認定や証明と、国の基準で求められる「性能等確認済表示」の関係は、製品や認定の種類によって異なります。表示の意味や、車検で認められるかどうかは、販売店・メーカー・整備工場にご確認ください。

5. 不正改造の罰則と、整備命令

📊 不正改造の罰則等(国土交通省のページより。2026年9月25日確認)

対象 内容(国土交通省「不正改造に対する罰則等」より)
不正改造の実施者 保安基準に適合しなくなるような自動車の改造、装置の取り付け、取り外し等を行った場合、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(道路運送車両法第99条の2、第108条)
不正改造車の使用者 自動車が改造によって保安基準に適合しない状態にあるとき、使用者に対し必要な整備を行うよう命じることができる(道路運送車両法第54条の2)
整備命令に従わない場合 車両の使用停止命令や、50万円以下の罰金の対象(道路運送車両法第54条の2、第108条、第109条)

国土交通省は、消音器(マフラー)の切断・取り外し、基準に適合しないマフラーの装着を、不正改造の例として挙げ、騒音の増大により周囲に多大な迷惑をかけることになるため、禁止していると説明しています。

6. よくある質問

Q. マフラーを交換すると、必ず車検に通らなくなりますか?

A. いいえ。国土交通省の基準に適合しているかどうかで決まります。消音器が加速走行騒音を有効に防止するものとして確認でき、近接排気騒音が基準内であることが求められます。

Q. 音が小さければ、表示がなくても問題ないですか?

A. 国土交通省は、加速走行騒音を有効に防止するものであるか不明な消音器を備えた自動車等は、保安基準不適合の扱いになるとしています(平成28年4月20日の改正)。音量だけでなく、表示等の確認も求められます。

Q. 近接排気騒音の基準は、何dBですか?

A. 車種や生産時期で異なります。消音器を改造・交換していない場合は、新車時に確認した値(車検証等に記載)に5dBを加えた値を超えないことが求められます。車検証の記載と整備工場での確認をおすすめします。

Q. マフラーを切って、音を大きくするのは大丈夫ですか?

A. 消音器の切断や、内部の騒音低減機構の除去は、告示第196条で認められていません。不正改造として、罰則(6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)の対象になる場合があります。

まとめ

マフラー交換で車検に通らなくなる主な原因は、消音器の改造・切断、加速走行騒音を有効に防止するものと確認できないマフラーの装着、近接排気騒音が基準を超えることです。近接排気騒音は、新車時に確認した値に5dBを加えた値が目安になります。交換前に、性能等確認済表示などの表示と、車検証の記載を確認し、取り付け後の測定まで見据えて、整備工場に相談しましょう。不正改造は罰則の対象です。

※本記事は、国土交通省の告示・報道発表・ホームページの公開情報(2026年9月25日確認)をもとにした一般的な情報です。基準の適用は、車の型式・生産時期・使用状況によって異なります。法令や個別の判断は、運輸支局・整備工場・専門家にご確認ください。

アイキャッチ画像: Close up of the exhaust pipe of a car by Nenad Stojković, CC BY 2.0

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