「チャイルドシートは6歳未満」とはよく聞きますが、誰に、何を義務づけている決まりなのか、6歳未満なら例外はないのか、守らないとどうなるのか、と聞かれると答えに迷う方も多いのではないでしょうか。この記事では、YouTubeのショート動画「チャイルドシートはいつまで?義務は6歳未満、JAFの推奨目安は身長150cm未満」の内容を、道路交通法の条文から読み直します。
確認に使ったのは、e-Gov法令検索の道路交通法・同施行令・道路運送車両の保安基準、警察庁・国土交通省・警視庁・神奈川県警察・JAFの公開情報です(2026年10月確認)。年齢や身長の「目安」の話は、すでに公開している記事に詳しくまとめているため、この記事では法律の中身(誰が・何を・どんな例外があり・違反するとどうなるか)に絞って整理します。
📋 この記事の要点
✔ 義務を負うのは運転者。道路交通法第71条の3第3項は、幼児用補助装置を使用しない幼児を乗せて自動車を運転することを禁じている。「幼児」は6歳未満(第14条第3項)
✔ 「幼児用補助装置」とは、座席に固定して使う、道路運送車両法の基準に適合した装置。クッション・座布団・クーファンは代わりにならない(神奈川県警察)
✔ 6歳未満でも対象外になるのは、座高が十分な幼児(条文の括弧書き)と、施行令第26条の3の2第3項が定める8つの場合
✔ 違反点数は1点(警視庁の点数表)。反則金はなし(反則行為の一覧に含まれていない)。ただし、反則金がないことは、安全上の軽さを意味しない
✔ 6歳以降はチャイルドシートの法律上の使用義務はない(座席ベルトの着用義務は別にある)。警察庁は体格等でベルトを適切に着けられないときの使用を呼びかけ、JAFは身長150cm未満での使用を推奨、国土交通省は学童用の目安を身長150cm以下としている
🎬 動画で見る(ショート)
この記事の元になった、かーぎーくんのショート動画です。動画では触れられなかった詳しい内容や条文・公式情報は、このあと記事で確認できます。
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📑 目次
義務を負うのは誰か:条文の読み方
チャイルドシートの使用義務は、道路交通法第71条の3第3項に書かれています。条文は次のとおりです(e-Gov法令検索。警察庁のページにも同じ文が掲載されています)。
📜 道路交通法 第71条の3第3項(条文の引用)
自動車の運転者は、幼児用補助装置(幼児を乗車させる際座席ベルトに代わる機能を果たさせるため座席に固定して用いる補助装置であつて、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定に適合し、かつ、幼児の発育の程度に応じた形状を有するものをいう。以下この項において同じ。)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
📊 条文の言葉を分けて読む
| 項目 | 条文の言葉 | 意味 |
|---|---|---|
| 誰が | 自動車の運転者は | 義務を負うのは運転者。同乗する子どもや保護者ではない。神奈川県警察は、知人の車に乗せてもらうときも、運転者が幼児を同乗させる理由にかかわらず使用が必要と案内している |
| 何を | 幼児用補助装置を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない | チャイルドシート(幼児用補助装置)を使わせずに幼児を乗せて運転することが禁止される |
| 誰に(対象) | 幼児 | 道路交通法第14条第3項は、幼児を「六歳未満の者」と定めている(児童は六歳以上十三歳未満) |
| どの車 | 自動車 | 第71条の3の冒頭で、大型自動二輪車と普通自動二輪車は「自動車」から除かれている |
| いつから | (施行) | 国土交通省と神奈川県警察は、平成12年(2000年)4月1日から6歳未満の幼児にチャイルドシートの使用が義務づけられたと説明している |
「幼児用補助装置」とは何か
条文の「幼児用補助装置」は、チャイルドシートなら何でもよいという意味ではありません。括弧書きの定義を分けると、次の3つの条件になります。
| 条件 | 条文の言葉 | 実際の確認方法 |
|---|---|---|
| 座席に固定して使う | 座席ベルトに代わる機能を果たさせるため座席に固定して用いる補助装置 | 取扱説明書どおりに、ISOFIXまたはシートベルトで車に固定する |
| 国の基準に適合している | 道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定に適合 | 神奈川県警察は、保安基準を満たしたチャイルドシートには国土交通大臣が型式指定したマークが本体に貼付されていると説明している |
| 幼児の発育に応じた形状 | 幼児の発育の程度に応じた形状を有する | 子どもの身長・体重に合う区分(乳児用・幼児用・学童用)のシートを選ぶ |
「国の基準」の中身は、道路運送車両の保安基準第22条の5第3項が、座席ベルト等を損傷しないこと、衝突の衝撃を受けたときに装着した者に傷害を与えるおそれが少ないこと、容易に着脱できることなどを求め、詳しい技術基準は告示で定めています。国土交通省は平成26年(2014年)1月24日に、国連の新しいチャイルドシート規則(R129)を採用し、側面衝突試験を加えたと発表しました。このとき従来の規則(R44)も「当分の間、有効」とされました。
その後、自動車技術総合機構の審査事務規程(2026年10月確認時点の最終改正は第74次)は、R44に適合する装置を基準適合として扱う読み替えについて、令和5年(2023年)8月31日までに製作されたものなど(座席に組み込まれた装置は別の扱い)に限ると定めています。つまり、この日までに製作されたR44適合のシートは引き続き基準適合として扱われる一方、これより後に製作されるシートはR129などへの適合が前提になります。お手持ちのシートの製造時期や適合表示は、本体のラベルや取扱説明書、メーカー・販売店で確認してください(告示本文そのものは今回確認できていません)。
📊 「チャイルドシートの代わり」になるもの・ならないもの(神奈川県警察のQ&Aより)
| 使おうとするもの | 代わりになるか | 理由(警察の説明) |
|---|---|---|
| クッション・座布団 | ならない | 滑りやすく、腰が安定しない |
| クーファン(赤ちゃんを寝かせるかご) | ならない | 固定する装置が付いていないので、追突などの衝撃で外に放り出されることがある |
| 大人が抱っこする | ならない(チャイルドシートは必要) | 事故の強い衝撃は人の力では支えられない。時速40kmで衝突した場合、体重10kgの子どもは約300kgに相当する |
| シートベルトを首にかからないよう補正する商品 | 保安基準の観点から認められない | 一方で、ベルト型の「幼児用補助装置」のなかには適合要件を満たすものがあり、本体に型式指定のマークが貼られているため、必ず確認する |
6歳未満でも対象外になる場合

(1) 座高が十分な幼児は、義務の対象に含まれない
第71条の3第2項(座席ベルトの同乗者への義務)には、次の括弧書きがあります。「幼児(適切に座席ベルトを装着させるに足りる座高を有するものを除く。以下この条において同じ。)」。「以下この条において同じ」とあるため、この「幼児」の意味は第3項にも及びます。神奈川県警察のQ&Aも、6歳未満でも適切に座席ベルトを装着させるに足りる座高を有する幼児は使用義務を免除され、この場合はシートベルトを使用すると案内しています。
(2) 施行令第26条の3の2第3項の8項目
もう1つは、第71条の3第3項ただし書の「政令で定めるやむを得ない理由」です。道路交通法施行令第26条の3の2第3項が、次の8つを定めています。

📊 施行令第26条の3の2第3項(要約)と、警察の補足
| 号 | 免除される場合(要約) | 補足(条文のかっこ書き・警察の説明) |
|---|---|---|
| 1 | その構造上、幼児用補助装置を固定して用いることができない座席に乗せるとき | 他の座席で使わせられる場合は除く。神奈川県警察は、座席が幼児専用の幼児専用車は取り付けられないため免除、座席にシートベルトがある車両は免除されないと案内 |
| 2 | 運転者席以外の座席の数以上の人を乗せるため、乗せる幼児の数だけ固定できない場合の、その数の幼児 | 乗車人員の制限(第57条第1項本文)を超えない場合に限る。神奈川県警察は、全員が免除されるのではなく、可能な限り多くの幼児に使用させる必要があると案内 |
| 3 | 負傷または障害のため、使用させることが療養上または健康保持上適当でない幼児 | (疾病の場合は、条文本文のただし書にも同趣旨の規定がある) |
| 4 | 著しい肥満など身体の状態により、適切に使用させられない幼児 | |
| 5 | 運転者以外の者が授乳などの日常生活上の世話を行うとき | 使用させたままでは行えないものに限る。神奈川県警察は、できるだけ車を停止して世話をするよう案内 |
| 6 | 一般旅客自動車運送事業(バス・タクシーなど)の運転者が、その旅客である幼児を乗せるとき | 道路運送法第3条第1号に掲げる事業 |
| 7 | 自家用有償旅客運送など、道路運送法第78条第2号・第3号に当たる運送で幼児を乗せるとき | 特定の者の需要に応じて運送の用に供されるものを除く |
| 8 | 応急の救護のため、医療機関・官公署などへ緊急に搬送する必要がある幼児を乗せるとき | 神奈川県警察は、迷子の保護などの場合も免除と案内 |
違反したときの扱い(点数・反則金・罰則)
ショート動画では触れていませんでしたが、「守らないとどうなるのか」も条文と公開資料で確認しました。
| 項目 | 確認できた内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 違反点数 | 幼児用補助装置使用義務違反は1点 | 警視庁「交通違反の点数一覧表」(2026年4月1日更新)、施行令別表第二。JAFもQ&Aで「行政処分の基礎点数が1点付加」と説明 |
| 反則金 | なし。施行令別表第六(反則行為の種別と反則金)に、この違反は含まれていない | 警視庁「反則行為の種別及び反則金一覧表」にも掲載なし。神奈川県警察は「点数1点で反則金等はありません」と案内 |
| 罰則(刑事罰) | 道路交通法の罰則の章(第117条〜第123条)に、第71条の3を挙げた規定は見つからなかった | e-Gov法令検索の条文で、罰則の各条を確認(2026年10月) |
施行令の定義では、「幼児用補助装置使用義務違反」は法第71条の3第3項に違反する行為をいう、と書かれています(別表第二の備考)。
なお、6歳以上の子どもにも座席ベルトを着用させる義務は別にあります(第71条の3第2項)。ただし、施行令の定義では、運転者席の横以外の座席に座席ベルトをしない人を乗せた場合の違反点数の対象は「高速自動車国道等におけるもの」に限られています。点数の有無にかかわらず、義務そのものがなくなるわけではありません。
6歳以降は?3つの公的な書き方を比べる
6歳になると、第71条の3第3項の対象(6歳未満の幼児)ではなくなります。その後の目安は、機関によって書き方が違います。ショート動画で紹介した内容を、元の資料の表現に沿って並べ直しました。
📊 6歳以上の子どもについての記載の比較
| 出典 | 記載(要約) | 性格 |
|---|---|---|
| 警察庁「子供を守るチャイルドシート」 | 6歳以上でも、体格等の事情によりシートベルトを適切に着用させることができない場合は、チャイルドシートを使用しましょう | 呼びかけ(ページ本文は数値を示さない。同ページ掲載のリーフレットには、日本自動車工業会・JAFが身長150cm未満を目安に推奨している旨の注記がある) |
| 国土交通省 自動車総合安全情報 | 学童用は「身長150cm以下、4〜12歳くらい」(身長・年齢は目安)。座面を上げて背の高さを補い、腰ベルトの位置を子どもの腰部に合わせて、大人用の座席ベルトが使えるようにするもの | 製品区分の目安 |
| JAF「チャイルドシート完全ガイド」 | 体格の目安は身長150cm未満。ただし目安で、確認のポイントはシートベルトが首や腹部にかからないこと。機種やクルマの構造により目安が異なる場合がある | 推奨(2024年9月に「140cm未満」から変更) |
国土交通省は「150cm以下」、JAFは「150cm未満」と書いており、ちょうど150cmの子どもでは言葉の上で食い違いが出ます。どちらも「目安」とされているので、身長の数字だけで決めず、実際にシートベルトのかかる位置で確認することが大切です。

JAFは、身長140cm・145cm・150cmの子どもが後部座席に座る検証を行い、ジュニアシートなしでは140cmと145cmでシートベルトが首やおなかにかかり、150cmでも首にかかった一例を示しています。ジュニアシートを使うと、140cmと145cmでは肩や腰骨に、150cmでは肩にベルトがかかったとされています。JAFは、これは一例で、体格や車種によって個人差があると断っています。JAF Mate Onlineは、身長150cmがおおむね12歳児の平均身長に等しいことも紹介しています。
なお、乳児用・幼児用・学童用の区分ごとの身長・体重の目安は、国土交通省・神奈川県警察・JAFの資料で数字が少しずつ異なります(たとえば学童用の下限は、神奈川県警察で背もたれありの場合100cm、なしの場合125cm)。JAFは、新しい規則(R129)では体重ではなく身長で区分する考え方に変わったと説明しています。区分ごとの数字は資料や製品で違うため、実際に使うシートの取扱説明書に書かれた対象の身長・体重を最優先にしてください。
よくある質問
まとめ
チャイルドシートの義務を条文で読むと、(1)義務を負うのは運転者で、対象は「幼児用補助装置を使用しない幼児」(6歳未満)を乗せて運転すること、(2)幼児用補助装置とは、座席に固定して使う、道路運送車両法の基準に適合した装置、(3)6歳未満でも、座高が十分な幼児と施行令の8項目は対象外、(4)違反点数は1点で反則金はなし、(5)6歳以降はチャイルドシートの法律上の使用義務はない(座席ベルトの着用義務は別にある)が、警察庁・国土交通省・JAFが体格に合わせた使用を呼びかけている、という整理になります。
ショート動画で紹介した「義務は6歳未満、JAFの推奨目安は身長150cm未満」は、この整理の一部です。年齢や身長の数字は目安として、最後はシートベルトが首やおなかにかからず、肩と腰骨にかかっているかを確認しましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。法令・基準・各機関の案内は改正・変更されることがあるため、最新の内容や個別の判断(免除に当たるか、手持ちのシートが適合品か、など)は、警察庁・各都道府県警察・国土交通省・製品メーカーの公式情報や取扱説明書でご確認ください(2026年10月時点)。図はすべて自作の模式図・整理図で、実際の状況とは異なる場合があります。
参考(一次情報・公的機関・JAF): e-Gov法令検索 道路交通法(第14条・第71条の3・第117条〜第123条)/同 道路交通法施行令(第26条の3の2・別表第二・別表第六)/同 道路運送法(第3条・第78条)/同 道路運送車両の保安基準(第22条の5)/警察庁 子供を守るチャイルドシート/国土交通省 自動車総合安全情報 チャイルドシート/国土交通省 年少者用補助乗車装置に係る新協定規則の採用(2014年1月24日)/自動車技術総合機構 審査事務規程 7-47・8-47 年少者用補助乗車装置等/警視庁 交通違反の点数一覧表/警視庁 反則行為の種別及び反則金一覧表/神奈川県警察 チャイルドシートQ&A/JAF チャイルドシート完全ガイド/同 準備編(R129の説明)/JAF Q&A チャイルドシートはいつまで使用すればいいですか?/JAF Mate Online 使用を推奨する身長の目安を150cmに引き上げへ(2024年9月12日)
図はすべて自作のイラストです(AI生成なし)。


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