75歳以上の運転免許更新、「認知機能検査」とは?内容と結果後の流れを解説

運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が75歳以上のドライバーは、免許の更新の際に「認知機能検査」等を受けなければなりません。この記事では、警察庁と警視庁の公表情報をもとに、対象・検査の内容・採点と判定・結果のあとの流れ、運転技能検査や高齢者講習との関係、運転を続ける・やめるときの選択肢までを整理します。

📋 この記事の要点

✔ 対象は、免許証の更新期間が満了する日の年齢が75歳以上の方。検査は、更新期間が満了する日の6か月前から受けられる

✔ 検査は、「手がかり再生」と「時間の見当識」の2項目。総合点が36点未満だと「認知症のおそれがある」、36点以上は「おそれがない」と判定される

✔ 「おそれがある」と判定されても、直ちに免許が取り消されるわけではない。臨時適性検査(専門医の診断)または診断書提出命令により、医師の診断を受ける

✔ 一定の違反歴がある方は、運転技能検査に合格しなければ更新できない。対象は、免許の有効期間の満了日の直前の誕生日の160日前の日前3年間の違反歴

✔ 運転を続ける選択肢として、サポートカー限定免許がある。運転をやめる場合は、申請による取消し(自主返納)ができる

動画でも解説しています。(YouTube「くるまのかーぎーくん」)

1. 誰が、いつ、どう受けるのか(対象と全体の流れ)

📊 認知機能検査の対象と時期

項目 内容(警察庁・警視庁の公表情報)
対象 運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が75歳以上のドライバー。普段の運転頻度にかかわらず、更新するには検査を受けている必要がある
受検できる時期 更新期間が満了する日の6月前から受けられる
通知 対象の方には、更新期間が満了する日の6月前までに、認知機能検査等の通知が警察から届く
予約 東京都の場合は予約制(警視庁の案内。WEBまたは電話)。予約の方法は都道府県ごとに異なるため、お住まいの警察の案内を確認する

🧭 更新までの一般的な流れ(警視庁の案内をもとにした整理)

1

通知(はがき)を確認する

更新期間満了日の6か月前までに、検査と講習のお知らせが警察から届きます。

2

認知機能検査を予約・受検する

検査後、結果は書面(はがき等を含む)で通知されます。

3

高齢者講習を受講する

東京都の案内では、普通自動車対応免許を持つ方は、実車指導のある講習を受講します(内容・手数料は後述)。

4

運転技能検査を受検する(該当者のみ)

一定の違反歴がある方は、合格しないと更新できません。

5

免許の更新手続をする

検査結果通知書などの必要書類を持参して、更新します。

📌 補足

警視庁の案内では、更新時の誕生日が令和4年10月12日以降の方は、認知機能検査・高齢者講習・運転技能検査(該当者のみ)を受ける順番は自由とされています。他の都道府県の取扱いは、各警察の案内でご確認ください。

2. 検査の内容と、採点・判定

警察庁によると、認知機能検査は、記憶力や判断力を測定する検査で、検査用紙に受検者が記入する方法、またはタブレットにタッチペンで入力する方法で行われます。

📊 認知機能検査の2つの検査項目

検査項目 内容(警察庁)
手がかり再生 記憶力を検査する。一定のイラストを記憶し、採点には関係しない課題を行ったあと、記憶しているイラストをヒントなしに回答し、さらにヒントをもとに回答する(警視庁の案内では、16種類の絵を記憶して回答)
時間の見当識 時間の感覚を検査する。検査時における年月日、曜日および時間を回答する

📊 総合点と判定(警察庁「採点方法」)。総合点は、手がかり再生の点をA、時間の見当識の点をBとして「2.499×A+1.336×B」で算出

総合点 判定
36点未満 認知症のおそれがある方
36点以上 認知症のおそれがない方

⚠️ 注意

警察庁は、認知機能検査は、記憶力や判断力の状況を確認するための簡易な手法であり、医師の行う認知症の診断や医療検査に代わるものではないとしています。「おそれがある」という判定は、直ちに認知症であることを意味しません。

3. 結果のあとの流れ

📊 検査結果とその後(警察庁)

判定 その後
認知症のおそれがない 検査結果通知書などを持参して、更新の手続に進む
認知症のおそれがある 公安委員会(警察)から連絡があり、臨時適性検査(専門医の診断)を受けるか、診断書提出命令により医師の診断書を提出する。認知症であると診断された場合は、聴聞等の手続を経たうえで、免許の取消しまたは効力の停止を受ける

警察庁のQ&Aによると、「おそれがある」と判定されても、直ちに運転免許が取り消されるわけではありません。ただし、記憶力・判断力が低下すると、信号無視や一時不停止の違反をしたり、進路変更の合図が遅れたりする傾向が見られるため、今後の運転に十分注意し、医師や家族に相談することが勧められています。

📊 結果が出たあとの相談・再受検

よくある疑問 警察庁のQ&Aの内容
再度、受検できるか 検査は何回でも受けられるが、受けるたびに手数料が必要。再受検して「おそれがない」と判定された場合は、臨時適性検査または診断書提出命令の対象にならない
運転に不安があるとき 運転免許試験場等で、安全運転相談を行っている。認知症については、医師に相談するとよい
家族が認知症で、免許を取り消してほしいとき 運転免許試験場・センターの安全運転相談窓口や、お近くの警察署に相談する

4. 臨時認知機能検査と運転技能検査:違反があった場合

75歳以上のドライバーが、信号無視など特定の交通違反をした場合は、更新のタイミングとは別に、臨時に認知機能検査が行われます(検査の実施要領は同じ)。臨時認知機能検査で「おそれがある」と判定された場合も、臨時適性検査または診断書の提出となります。また、直近に受検した検査で「おそれがない」と判定された方が「おそれがある」と判定された場合等は、臨時の高齢者講習を受講します(警察庁)。

📊 2つの検査の対象違反は、一覧が異なります

検査 対象となる違反(警察庁・警視庁)
臨時認知機能検査の対象となる「特定の交通違反」 信号無視/通行禁止違反/通行区分違反/横断等禁止違反/進路変更禁止違反/遮断踏切立入り等/交差点右左折方法違反/指定通行区分違反/環状交差点左折等方法違反/優先道路通行車妨害等/交差点優先車妨害/環状交差点通行車妨害等/横断歩道等における横断歩行者等妨害/横断歩道のない交差点における横断歩行者妨害/徐行場所違反/指定場所一時不停止等/合図不履行/安全運転義務違反
運転技能検査の対象となる違反(11種類) 信号無視/通行区分違反/通行帯違反等/速度超過/横断等禁止違反/踏切不停止等・遮断踏切立入り/交差点右左折方法違反等/交差点安全進行義務違反等/横断歩行者等妨害等/安全運転義務違反/携帯電話使用等

📊 運転技能検査(令和4年5月13日施行の制度)

運転技能検査 内容(警察庁・警視庁)
対象者 75歳以上で、普通自動車対応免許を所持している方のうち、免許証の有効期間が満了する日の直前の誕生日の160日前の日前3年間に、上記の一定の違反歴がある方
検査内容 普通自動車でコースを運転し、課題(指示速度による走行、一時停止、右折・左折、信号通過、段差乗り上げ)を行う
採点・合格 100点満点からの減点方式。第一種免許は70点以上、第二種免許は80点以上で合格
更新との関係 合格しなければ、運転免許証の更新を受けることができない
代わりの検査 運転技能検査の代わりに、自動車教習所等が行う公安委員会認定の検査を受けることができる

5. 受検義務の免除・高齢者講習・費用(東京都の例)

警察庁のQ&Aによると、免許証の更新期間が満了する日前6月以内に、臨時適性検査を受けた方や、診断書提出命令を受けて診断書を提出した方、認知症に該当する疑いがないと認められるかどうかに関する医師の診断書等を公安委員会に提出した方などは、認知機能検査の受検義務が免除されます。詳しくは、運転免許試験場・センター等にお問い合わせください。

警視庁の案内(更新日:2025年4月1日と表記)では、東京都の場合の検査手数料・講習の内容は次のとおりです。手数料は改定されることがあり、他の都道府県では異なります。最新の内容は、お住まいの警察の案内でご確認ください。

📊 検査・講習の所要時間と手数料(東京都の例。2026年9月25日に確認)

区分 所要時間 内容 手数料(警視庁の案内)
認知機能検査(警察施設で実施の場合) – 手がかり再生、時間の見当識 1,050円(教習所で実施の場合は、教習所ごとに異なる)
高齢者講習(普通自動車対応免許所持者) 2時間 座学・運転適性検査(60分)、実車(60分) 6,600円
高齢者講習(原付・二輪・小特・大特のみの方、または運転技能検査該当者) 1時間 座学・運転適性検査(60分) 2,950円
運転免許取得者等教育(高齢者講習同等) 2時間以上(実車指導なしの方は1時間以上) 座学・運転適性検査等(60分以上)、実車(60分以上) 教習所ごとに異なる

※表は横にスクロールできます

💡 ポイント

医師の診断書で受検義務の免除を受ける場合、警視庁の案内では、診断書に、HDS-R、MoCA、DASC-21、MMSE、ABC-DSなどの認知症に関する神経心理学的検査の結果や、医師の判定、作成日などが必要で、作成時期は有効期間の満了日前6か月以内とされています。提出前に、必ず警察の案内を確認してください。

6. 運転を続けたい・やめたいときの選択肢

📊 運転を続ける・やめるときの選択肢

選択肢 内容(警察庁)
サポートカー限定免許 申請により、運転できる自動車の範囲を「サポートカー」に限定する条件を付与できる。更新申請と併せて申請することも可能。付与できる免許は普通免許のみ
サポートカーの条件 衝突被害軽減ブレーキ(対車両・対歩行者)を搭載していること。ペダル踏み間違い時加速抑制装置も搭載(MT車は衝突被害軽減ブレーキのみ)。後付けの装置は対象外。対象車両は、車台番号とメーカー別の対象車両リストを照合して確認する
限定条件の解除 公安委員会の審査を受ける必要がある(指定自動車教習所で限定解除のための教習を受けた場合は、運転技能の審査が免除される)
運転免許の取消し(自主返納) 運転をやめたい場合は、申請により免許の取消しを受けることができる。取消し後(または失効後5年以内)に、運転経歴証明書の交付を申請できる

⚠️ 注意

警察庁は、サポートカーの安全運転支援システムには限界があり、運転者が絶えず周囲を確認しながら操作することが前提の技術であるため、過信せずに運転するよう呼びかけています。サポートカー限定免許で、サポートカー以外の普通自動車を運転すると、免許条件違反となります。

📝 免許更新前のチェックリスト(75歳以上の方・ご家族向け)

☑️ 更新期間満了日の6か月前までに、警察から通知(はがき)が届いているか確認した

☑️ 認知機能検査、高齢者講習、運転技能検査(該当者)の予約が必要か、警察の案内で確認した

☑️ 過去3年間に、運転技能検査の対象となる違反がないか確認した(直前の誕生日の160日前の日前3年間)

☑️ 医師の診断書で受検義務の免除を受ける場合は、診断書の基準と作成時期を確認した

☑️ 運転に不安がある場合は、運転免許試験場等の安全運転相談や、医師・家族への相談を検討した

☑️ サポートカー限定免許や、運転経歴証明書(自主返納)などの選択肢についても、家族で話し合った

出典(公式)

7. よくある質問

Q. 「認知症のおそれがある」と判定されたら、すぐに免許が取り消されますか?

A. いいえ。警察庁のQ&Aによると、直ちに免許が取り消されるわけではありません。臨時適性検査(専門医の診断)または診断書提出命令により医師の診断を受け、認知症であると診断された場合に、聴聞等の手続を経て、取消しまたは停止となります。

Q. 検査は何回でも受けられますか?

A. 警察庁のQ&Aによると、何回でも受けられますが、受けるたびに手数料が必要です。再受検して「おそれがない」と判定された場合は、臨時適性検査または診断書提出命令の対象になりません。

Q. 普段、ほとんど運転しない場合も、検査を受ける必要がありますか?

A. 警察庁のQ&Aによると、免許証の更新期間が満了する日の年齢が75歳以上の方が更新するには、普段の運転頻度にかかわらず、検査を受けている必要があります。医師の診断書等により受検義務が免除される場合もあります。

Q. 運転技能検査は、誰が受けるのですか?

A. 75歳以上で普通自動車対応免許を持ち、免許証の有効期間の満了日の直前の誕生日の160日前の日前3年間に、信号無視、速度超過、通行区分違反など一定の違反歴がある方です。合格しなければ、更新を受けることができません。

まとめ

更新期間満了日の年齢が75歳以上の方は、免許の更新に際して、認知機能検査(手がかり再生と時間の見当識)を受けます。総合点が36点未満の場合は「認知症のおそれがある」と判定され、医師の診断を経て、免許の取消し・停止の判断につながります。ただし、検査は医学的な診断ではなく、判定の後にも、再受検や相談窓口などの手段があります。一定の違反歴がある方は運転技能検査にも合格する必要があります。都道府県ごとに運用が異なる部分もあるため、お住まいの警察の案内を確認し、ご家族とも話し合っておきましょう。

※本記事は、警察庁・警視庁の公表情報(2026年9月25日に確認)をもとにした一般的な情報提供です。予約方法・手数料・実施場所などは都道府県ごとに異なり、改定されることがあります。個別の判断は、お住まいの都道府県警察、運転免許試験場、医師などにご確認ください。

アイキャッチ画像: Volvo steering wheel by SamH, CC BY-SA 3.0

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