若葉マークの貼り忘れは反則金4,000円・1点?高齢者マークは努力義務の理由を条文で解説

運転免許を取ってから貼る「若葉マーク」と、高齢の運転者が付ける「高齢者マーク」。どちらも車に付けるマークですが、貼り忘れたときに反則金の対象になるのは、実は若葉マークのほうです。同じ「マーク」でも、法律上の義務の重さがまったく違います。

この記事は、YouTubeショート動画「若葉マークの貼り忘れは反則金4,000円?もみじマークは努力義務」の内容を、道路交通法・同施行令・同施行規則の現行条文(e-Gov法令検索)と、警視庁・警察庁の案内、国会会議録で確認し直して、くわしくまとめたものです。動画で触れていない「1年の数え方」「免除される人」「義務化が止まった経緯」「標識を付けた車を守る周囲の運転者の義務」も取り上げます。

📋 この記事の要点

✔ 若葉マーク(初心運転者標識)は、準中型・普通免許を受けて通算1年に達しない人の表示義務(第71条の5)。免許の停止期間は数えない。貼り忘れは1点・反則金 普通車4,000円

✔ 高齢運転者標識は、70歳以上で身体機能の低下が運転に影響するおそれがあるときの努力義務。罰則はなく、現行の様式は四つ葉(従来のもみじマークも使える)

✔ 75歳以上の表示義務は2008年6月1日に施行されたが、2009年4月24日公布の改正法(平成21年法律第21号)が道路交通法の附則に第22条を加え、「当分の間、適用しない」とされた

✔ 標識を付けた車への幅寄せや、必要な距離を保てなくなる進路変更は、周囲の運転者の違反(初心運転者等保護義務違反)。1点・普通車6,000円、反則金を納めないと5万円以下の罰金

✔ 表示位置は車の前面と後面の地上0.4m以上1.2m以下(施行規則第9条の6)。形と色は施行規則の別記様式で決まっている

🎬 動画で見る(ショート)

この記事の元になった、かーぎーくんのショート動画です。動画では触れられなかった詳しい内容や条文・公式情報は、このあと記事で確認できます。

▶ YouTubeで見る(YouTube「くるまのかーぎーくん」)

動画の補足(2点):動画では高齢運転者標識を「もみじマーク」と呼んでいますが、現行の標識は2011年2月1日から四つ葉のデザインです(従来のもみじマークも当分の間使えます。警察庁)。また、動画の「無理な割り込み」は、条文では「進路を変更した結果、後方から来る標識付きの車が必要な車間距離を保てなくなるときは進路を変更しない」という形で書かれています(第4章)。動画の数字(4,000円・6,000円・1点・2008年・2009年)は、いずれも一次情報で確認できました。

1. 若葉マークの表示義務:誰が・いつまで・どこに

車に付ける4つの標識と義務の重さの比較
図:車に付ける4つの標識(初心運転者標識・高齢運転者標識・聴覚障害者標識・身体障害者標識)の、義務の重さと違反時の扱い(自作イラスト。標識の絵は簡略化したイメージ)

若葉マークの正式名称は「初心運転者標識」です。道路交通法第71条の5は、準中型自動車免許または普通自動車免許を受けた人で、その免許を受けていた期間が通算して1年に達しない人は、標識を付けずに運転してはならないと定めています。

📜 道路交通法 第71条の5第2項(条文の要約)

準中型自動車免許または普通自動車免許を受けた者で、当該免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して一年に達しないもの(政令で定めるものを除く。)は、内閣府令で定めるところにより普通自動車の前面及び後面に内閣府令で定める様式の標識を付けないで普通自動車を運転してはならない。

📊 若葉マーク(初心運転者標識)のルール早見表

項目 内容(根拠)
対象の人 準中型自動車免許・普通自動車免許を受けた人で、免許を受けていた期間が通算1年に達しない人(免除あり。第71条の5)
対象の車 準中型自動車・普通自動車(軽自動車も含む。警視庁)。2020年12月1日の法改正以降に準中型免許を受けた人で、準中型免許または普通免許を受けていた期間が通算1年に達しない場合は、準中型自動車だけでなく普通自動車を運転するときも表示が必要(警視庁の注記)
表示する場所 車の前面と後面の両方(第71条の5)。位置は地上0.4メートル以上1.2メートル以下の、前方または後方から見やすい位置(施行規則第9条の6)
標識の様式 施行規則第9条の7・別記様式第五の二。縁の色は白、縁線は黒、地の左の部分は黄、右の部分は緑で、地の部分には反射材料を使う。図面には縦18.5・横11.6(単位センチメートル)の寸法が示されている
前面ガラス 警視庁は、保安基準の規定により前面ガラスには取り付けられないと案内している

「通算1年」の数え方:免許の停止期間は数えない

条文は「免許を受けていた期間(効力が停止されていた期間を除く)が通算して一年に達しない」と書いています。つまり、免許の停止(いわゆる免停)になった日数は1年に数えないので、その分だけ表示義務の期間は後ろにずれます。同じ「通算1年」の数え方は、初心運転者期間の再試験制度(第100条の2)でも使われています。

若葉マークの1年の数え方(免許の停止期間は数えない)
図:免許の効力が停止された期間は「通算1年」に数えない(条文の考え方を示す自作イラスト。期間の長さは仮の例)

表示義務を免除される人(施行令第26条の4)

次のような人は、政令で表示義務を免除されています。普通自動車免許を受けた人のケースを要約します(準中型免許を受けた人は規定が少し異なります)。

免除される人 内容
上位免許を持っていた・持った人 免許を受けた日の前6か月以内に、中型免許・大型免許などの上位免許を受けていたことがある人。または、免許を受けた日以後に上位免許を受けた人
前の免許を1年以上持っていた人 免許を受けた日の前6か月以内に、準中型免許または普通免許を通算1年以上受けていた人(免許を取り直した場合など)。ただし、再試験に合格できなかったことなどで免許を取り消された人は除かれる(第104条の2の2)
外国の免許を持っていた人 免許を受けた日の前6か月以内に、普通自動車に相当する外国等の免許を受けていて、その国に通算1年以上滞在していた人
取消し後に取り直した場合は? 動画は「免許を取り消されて取り直した場合は、1年を過ぎていても表示義務が再スタートするケースがある」と説明しています。条文の構造では、取り直した免許について「通算1年に達しない」間は表示義務の対象になり、上の免除に当たるかどうかで決まります。取消し・停止からの具体的な取り扱いは、運転免許センターや警察署にご確認ください。

2. 貼り忘れたときの罰則・反則金・点数

若葉マークを付けないで運転した場合は「初心運転者標識表示義務違反」です。違反点数と反則金は、道路交通法施行令の別表で定められています。

📊 初心運転者標識表示義務違反の扱い

項目 内容(根拠)
違反点数 1点(施行令別表第二)
反則金 普通車4,000円/大型車(準中型を含む)6,000円(施行令別表第六。警視庁の案内も同じ)
反則金を納めない場合 2万円以下の罰金または科料(道路交通法第121条第1項第11号)。過失による場合も同じ(第121条第3項)
反則金を納めた場合 その行為について、公訴を提起されない(道路交通法第128条第2項)

違反点数は1点でも、初心運転者期間(免許を受けた日から通算1年)に点数がたまり、施行令第36条の基準に達すると、再試験の対象になる制度があります(道路交通法第100条の2、施行令第36条)。免許を取ったばかりの1年間は、マークの貼り忘れも含めて、点数を意識して運転しましょう。

3. 高齢運転者標識:努力義務と、義務化が止まった経緯

高齢運転者標識(通称「高齢者マーク」)について、道路交通法第71条の5第4項は70歳以上の人が、加齢に伴う身体の機能の低下が運転に影響を及ぼすおそれがあるときは、標識を付けて運転するように努めなければならないと定めています。努力義務なので、付けなくても罰則はありません。

📜 道路交通法 第71条の5第4項(条文の要約)と附則第22条(引用)

第4項:普通自動車対応免許を受けた者で七十歳以上七十五歳未満のものは、加齢に伴つて生ずる身体の機能の低下が自動車の運転に影響を及ぼすおそれがあるときは、普通自動車の前面及び後面に標識を付けて運転するように努めなければならない。
附則第22条:「第七十一条の五第三項の規定は、当分の間、適用しない。この場合において、同条第四項中「七十歳以上七十五歳未満」とあるのは、「七十歳以上」とする。」

第3項は、75歳以上の人に表示を義務づけた規定です。しかし附則第22条で「当分の間、適用しない」とされているため、現在は75歳以上でも表示義務はなく、第4項の年齢は「70歳以上」と読み替えられています。

高齢運転者標識の義務化から努力義務に戻るまでの年表
図:75歳以上の高齢運転者標識の表示義務が施行され、適用停止になるまでの経緯(2008〜2011年。自作イラスト)

📊 高齢運転者標識の経緯(確認できたもの)

時期 できごと(出典)
2008年6月1日 75歳以上の運転者に標識の表示を義務づける規定が施行された(2009年4月15日の衆議院内閣委員会での政府答弁)。施行後1年は取締りでなく指導にとどめる運用だった
2009年4月24日 平成21年法律第21号「道路交通法の一部を改正する法律」が公布された(成立は4月17日。日本法令索引)。改正法が道路交通法の附則に第22条を加え、表示義務の規定を「当分の間、適用しない」とした。同日に施行された政令で、高齢運転者標識表示義務違反の点数と反則金の規定は削除された(警察庁)
政府の説明 表示率が75.4%に向上したことなどから、罰則による担保よりも広報啓発を中心に表示を高めていくことが適当、という趣旨の答弁(2009年4月15日、衆議院内閣委員会)
2011年2月1日 標識の様式が変更された(施行規則別記様式第五の二の二)。従来のもみじマークも当分の間使用できる(施行規則附則、警察庁)

現行の様式(別記様式第五の二の二)は、四つの葉の色が、黄緑・橙・緑・黄と決められています。動画で「もみじマーク」と呼ばれていた従来の標識も、当分の間は使えますが、現在の様式は四つ葉です。

条番号について:警察庁のページには「道路交通法第71条の5第3項等」とありますが、この記事では2026年10月時点のe-Gov法令検索に掲載されている条番号(70歳以上の努力義務は第4項)で書いています。警察庁のページは「第71条の5第3項等」と書いていますが、現行条文では、第3項が75歳以上の義務規定(附則第22条により適用停止)、70歳以上の努力義務は第4項です。

4. 標識を付けた車を守る「初心運転者等保護義務」

標識は、付けた人が守られるための目印でもあります。道路交通法第71条第5号の4は、標識を付けた車(表示自動車)に対する、周囲の運転者の義務を定めています。

📜 道路交通法 第71条第5号の4(条文の要約)

標識を付けた表示自動車が運転されているときは、危険防止のためやむを得ない場合を除き、進行している当該表示自動車の側方に幅寄せをし、又は、当該自動車が進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる表示自動車が当該自動車との間に第二十六条に規定する必要な距離を保つことができないこととなるときは進路を変更しないこと。

標識を付けた車への幅寄せと進路変更の禁止
図:標識を付けた車への「幅寄せ」と、必要な距離を保てなくなる「進路変更」の禁止(自作イラスト。日本の左側通行で、進行方向は右向き)

📊 初心運転者等保護義務違反の扱い

項目 内容(根拠)
対象になる標識 初心運転者標識・高齢運転者標識・聴覚障害者標識・身体障害者標識。条文は仮免許の練習標識も表示自動車に含めている(第71条第5号の4、第87条第3項)
違反点数 1点(施行令別表第二)
反則金 普通車6,000円/大型車等7,000円/二輪車6,000円/小型特殊5,000円(施行令別表第六。警視庁・警察庁の案内もほぼ同じ)
反則金を納めない場合 5万円以下の罰金(道路交通法第120条第1項第10号)

ポイントは、高齢運転者標識が努力義務でも、付けた車を守る規定は初心運転者標識と同じという点です。標識を付けている側には罰則がなくても、周囲の運転者が幅寄せなどをすれば違反になります。条文の「進路を変更しない」は、割り込みそのものではなく、変更の結果として後方の標識付きの車が必要な距離を保てなくなる場合を指しています。

5. 聴覚障害者標識・身体障害者標識との違い

車に付ける標識には、ほかに第71条の6の2種類があります。ここでも「義務」と「努力義務」で扱いが分かれます。

聴覚障害者標識 身体障害者標識
対象 政令で定める程度の聴覚障害を理由に、免許に条件を付されている人(準中型・普通) 肢体不自由であることを理由に、普通自動車対応免許に条件を付されている人
義務の性質 表示義務(第71条の6第1項・第2項) 努力義務(第71条の6第3項。肢体不自由が運転に影響するおそれがあるとき)
違反時 1点・普通車4,000円(点数は施行令別表第二、反則金は施行令別表第六と警視庁の反則金一覧表。点数の確認状況は表の下の補足を参照) 罰則なし(警視庁)
様式 別記様式第五の二の三(縁は白、マークは黄、地は緑) 別記様式第五の二の四(縁・マークは白、地は青)

聴覚障害の程度は、施行令第26条の4の2で「両耳の聴力が補聴器を用いても内閣府令で定める基準に達しない程度」とされ、施行規則第9条の7の2は、その基準を「10メートルの距離で、90デシベルの警音器の音が聞こえること」としています。

聴覚障害者標識の点数について:聴覚障害者標識表示義務違反の1点は、道路交通法施行令別表第二(2026年10月時点のe-Gov法令検索)の、一般違反行為の「1点」の欄に「聴覚障害者標識表示義務違反」として掲げられており、同表の備考では第71条の6第1項または第2項の違反と定義されています。反則金も、施行令別表第六で初心運転者標識表示義務違反と同じ区分で、大型車6,000円・普通車または二輪車4,000円と定められています。ただし、警視庁の「交通違反の点数一覧表」(2026年4月1日更新)の1点の欄には、初心運転者標識表示義務違反は載っていますが、聴覚障害者標識表示義務違反の行はありません。警視庁の「反則行為の種別及び反則金一覧表」(同日更新)には、聴覚障害者標識表示義務違反が普通車4千円で載っています。警視庁の点数一覧表だけでは1点を確認できないため、この記事では施行令別表第二を根拠にしています。

6. よくある質問

Q. 軽自動車にも若葉マークは必要ですか?

A. 必要です。警視庁の案内では、初心運転者標識の表示対象自動車は準中型自動車と普通自動車で、「軽自動車も含む」とされています。

Q. バイクにも若葉マークの表示義務はありますか?

A. 道路交通法第71条の5は、準中型自動車と普通自動車の前面・後面への表示を定めています。警視庁の表でも表示対象は準中型自動車と普通自動車で、二輪車は挙げられていません。条文上、二輪車に初心運転者標識の表示義務はありません。なお、二輪免許を受けて通算1年に達しない人は、運転者以外を乗せて運転できません(道路交通法第71条の4第6項・第7項。免除規定があるため、細部は警察の案内で確認してください)。

Q. 70歳になったら、必ず高齢者マークを付けなければいけませんか?

A. いいえ。第71条の5第4項は、70歳以上の人が、身体機能の低下が運転に影響するおそれがあるときに付けるよう努める「努力義務」で、付けなくても罰則はありません。75歳以上の義務規定も、附則第22条により当分の間適用されていません。

Q. 若葉マークは前面ガラスに貼ってもよいですか?

A. 警視庁は「保安基準の規定により前面ガラスに取り付けることはできない」と案内しています。位置は、地上0.4メートル以上1.2メートル以下で、前方・後方から見やすい場所です(施行規則第9条の6)。

Q. 免許を取り消されて取り直した場合も、若葉マークは必要ですか?

A. 取り直した免許について「通算1年に達しない」間は表示義務の対象になり、前の免許を一定期間以上持っていた場合などは、施行令第26条の4の免除に当たるかどうかで決まります。再試験に合格できなかったことなどによる取消しは、免除の対象から除かれています。個別のケースは運転免許センターや警察署にご確認ください。

まとめ

若葉マークと高齢者マークの違いを整理します。(1)若葉マーク(初心運転者標識)は、準中型・普通免許を受けて通算1年に達しない人の表示義務で、免許の停止期間は数えません。貼り忘れは1点・普通車4,000円です(第71条の5、施行令別表)。(2)高齢運転者標識は、70歳以上の努力義務で罰則はありません。75歳以上の義務規定は、2008年6月1日に施行された後、2009年4月24日公布の改正法が道路交通法の附則に第22条を加え、「当分の間、適用しない」とされています。(3)どちらの標識を付けた車でも、周囲の運転者が幅寄せなどをすれば1点・普通車6,000円の違反です(第71条第5号の4)。

マークは「付ける人の義務」だけでなく、「周りの運転者に配慮してもらうための目印」でもあります。付けている車を見かけたら、車間距離をあけて、無理な幅寄せや進路変更をしないようにしましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。法令・反則金・標識の様式は改正されることがあるため、最新の内容や個別の判断(免許の停止期間・取消し後の取り扱いなど)は、警察庁・各都道府県警察・運転免許センターなど公的機関の公式情報でご確認ください(2026年10月時点)。図の標識の絵は簡略化した自作のイメージで、正式な形・色は施行規則の別記様式で定められています。

参考(一次情報・公的機関): e-Gov法令検索 道路交通法(第71条第5号の4・第71条の5・第71条の6・第100条の2・第120条・第121条・第128条・附則第22条)/同 道路交通法施行令(第26条の4・第36条・別表第二・別表第六)/同 道路交通法施行規則(第9条の6・第9条の7・別記様式第五の二〜第五の二の四)/警視庁 自動車の運転者が表示する標識(マーク)について/警視庁 交通違反の点数一覧表/警視庁 反則行為の種別及び反則金一覧表/警察庁 高齢運転者標識を活用しましょう!/警察庁 政令の概要(高齢運転者標識表示義務違反の点数等の削除)/第171回国会 衆議院内閣委員会 第9号(2009年4月15日)/日本法令索引 平成21年法律第21号

図はすべて自作のイラストです(AI生成なし)。標識の絵は簡略化したイメージです。

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