タイヤチェーンの種類・装着位置・チェーン規制の基本

タイヤチェーンは、「積んでおけば安心」ではなく、どの規制で必要になるのか、どの種類を選ぶのか、どのタイヤに付けるのかを知っておいてこそ役に立つ装備です。この記事では、国土交通省、NEXCO、JAF、タイヤ公正取引協議会などの公式な情報をもとに、チェーン規制と冬用タイヤ規制の違い、チェーンの種類、装着位置、走行時の注意点を整理しました。製品の比較や価格は、公的な基準がないため記載していません。

📋 この記事の要点

✔ チェーン規制は、大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪のときに実施される。スタッドレスタイヤ・4WD車でも、チェーンがなければ通行できない(国土交通省)

✔ チェーンの種類は3つ。金属チェーン、ウレタン・ゴムチェーン、布製カバー。スプレー薬剤タイプは、規制中は通行できない

✔ 装着位置は、駆動輪が基本。JAFのテストでは、FF車で後輪(非駆動輪)に付けると、12%の坂を上りきれなかった

✔ JAFのテストでは、時速20kmではどのチェーンも安定。30kmでは差が出て、非金属チェーンだけが安定して旋回できた

✔ 国民生活センターのアンケート(金属製チェーンの使用経験者457人)では、184人(40.3%)がトラブルを経験。緩んだ・切れた136人のうち、52人(38.2%)が30km/hを超える速度、99人(72.8%)が100km以下の走行でトラブルに遭っていた。取り付け後は必ず緩みを確認し、積雪・凍結のないアスファルト路面は避けるよう助言している

🎬 動画で見る(ショート)

この記事の元になった、かーぎーくんのショート動画です。動画では触れられなかった詳しい内容や、国民生活センター・JAFなどの確認結果は、このあと記事で確認できます。

▶ YouTubeで見る(YouTube「くるまのかーぎーくん」)

チェーンが必要になる場面と、規制の種類

冬の道路の規制は、大きく3つに分けて考えると整理しやすくなります。

📊 冬の道路の3つの規制

規制・ルール 内容 出典
都道府県の規則(滑り止め措置の義務) 積雪・凍結した路面では、冬用タイヤの装着やチェーンの取り付けが必要。違反の反則金は、大型7,000円・普通6,000円・二輪6,000円・原付5,000円。違反点数の加点はない タイヤ公正取引協議会
冬用タイヤ規制(高速道路など) 規制が実施されているときは、全車輪に冬用タイヤ(スタッドレス、スノーフレークマーク付きのオールシーズンなど)を装着するか、チェーンを付けて走る NEXCO西日本・JAF
チェーン規制 大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪のときに実施。スタッドレスタイヤ・4WD車でも、チェーンがなければ通行できない 国土交通省

📊 チェーン規制の実施例

チェーン規制の実施例(国土交通省の案内) 内容
区間の長さ 直轄国道では2.5〜15.3km、高速道路では8.7〜44.7km(平成29年度の資料)
導入の時期 高速道路のチェーン規制は、平成30年12月14日の法改正により導入(日本高速道路保有・債務返済機構)
対象となるチェーン 金属チェーン、ウレタン・ゴムチェーン、布製カバー。スプレー薬剤タイプは通行できない

⚠️ 規制区間・違反した場合について

チェーン規制の区間は、過去に大きな立ち往生が起きた場所などに設けられ、変更されることがあります。最新の区間は、国土交通省・NEXCOの案内で確認してください。なお、道路管理者による通行の禁止・制限に違反して道路を通行した場合は、道路法第103条により、六月以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金の対象と定められています(e-Gov法令検索)。個別の適用は、道路管理者・警察の判断です。

チェーンの種類と、選ぶときの視点

国土交通省は、チェーン規制で使えるチェーンを3種類挙げています。JAFの案内では、それぞれの特徴が次のように整理されています。

📊 チェーンの種類と特徴(JAFの案内)

種類 メリット デメリット・注意
金属チェーン(亀甲型・ハシゴ型など) 駆動力が高い。コンパクトに収納できる 振動・騒音がある。使用後のサビ対策が必要
ウレタン・ゴムチェーン(非金属) 軽量で、低振動・低騒音。制限速度が高め。JAFは、JASAA認定品の選択が望ましいと案内 低温で着脱が難しくなることがある。収納ケースが大きい
布製カバー 着脱が容易で、軽量・コンパクト 耐久性が低い。チェーン規制に対応できない場合があり、現場係官の指示に従う必要がある

📊 チェーンの種類による走行の違い

JAFの走行テスト(2019年2月・北海道士別市) 結果
テストしたチェーン 金属(亀甲型)、金属(はしご型)、非金属(ウレタン系)
時速20kmでの旋回 すべてのチェーンで安定して走行できた
時速30kmでの旋回 非金属チェーンのみ安定して走行。亀甲型は後輪が滑るオーバーステア、はしご型は前輪が滑るアンダーステアが発生
時速40kmからの急制動 非金属チェーンが最も短い距離で止まれた。金属チェーン2種は、それより長かった

📌 補足

JAFは、路面状況や車の仕様によって結果は変わり、どのチェーンでも「急」のつく運転は避けるべきだとしています。選ぶときは、自分の車のタイヤサイズに適合しているか、取扱説明書や販売店で適合を確認できるかを、まず見ましょう。

装着する位置と、手順

チェーンを付ける位置は、駆動輪が基本です(国土交通省・NEXCO中日本の案内)。JAFは、駆動輪以外に付けた場合の危険を、テストで確認しています。

📊 チェーンの装着位置による違い

条件(JAFのテスト・FF車・圧雪路・2018年2月) 前輪(駆動輪)に装着 後輪(非駆動輪)に装着
勾配12%の坂道 スリップせずに上りきれた 途中でスリップし、上りきれなかった
旋回(時速30km・半径6m) パイロンに沿って旋回できた 前輪が滑り、走行ラインが外側に大きく膨らんだ
急ブレーキ(時速40km)の制動距離(参考) 28.0m 35.3m

⚠️ 注意

JAFは、駆動輪に装着しないと、坂を上れないだけでなく、カーブで対向車線に飛び出すなど、重大な事故につながる可能性があるとしています。前輪駆動・後輪駆動・4WDのどれに付けるかは、車の取扱説明書で確認してください。

🧭 チェーン装着の基本の流れ

1

取扱説明書を読み、事前に練習する

製品ごとに、装着方法や締め具の使い方が異なります。JAFも、事前の練習が重要だとしています。雪道で初めて付けるのは避けましょう。

2

安全な場所に止める

ハザードランプを点灯し、三角表示板を設置します。交通の妨げにならない場所を選びます。

3

駆動輪に、製品の手順どおりに装着する

タイヤの向き、チェーンのねじれ、締め具の位置を確認します。

4

取扱説明書の指示に従って、緩みを確認する

装着後の確認の方法や、増し締めの要否は、製品によって異なります。

5

外すときも、安全な場所で

取り外した後は、取扱説明書に従って手入れをし、収納します。

走行中の注意と、トラブルへの備え

📊 走行中のポイント

場面 ポイント 出典
走行の仕方 JAFのテスト結果でも、「急」のつく運転は避け、慎重に走ることが必要。走行速度の上限は、各製品の取扱説明書で確認する JAF
雪道の危険な場所 橋・陸橋・トンネル出入口は、路面凍結が進みやすく、もっとも危険。手前で十分に速度を落とす JAF
スタックしたとき ハザードランプを点灯し、三角表示板を設置。スコップでタイヤ前後の雪をかき出し、ゆっくり前後に動かして踏み固める。アクセルを強く踏み込まない JAF
自力脱出が難しいとき 無理をせず、ロードサービスを要請する JAF
雪に埋もれたとき マフラー周りを定期的に除雪し、できるだけエンジンを切る(一酸化炭素中毒の危険) JAF

📝 出発前に確認したい携行品(JAFの案内より)

☑️ タイヤチェーン(スタッドレスタイヤ装着時でも必須と案内されている。自分の車のタイヤサイズに合うもの)

☑️ ジャッキが搭載されているか確認した

☑️ スコップ、軍手・長靴、懐中電灯

☑️ アイススクレーパー・解氷スプレー

☑️ 砂・けん引ロープ、毛布

☑️ ブースターケーブル

☑️ JAF会員証などの連絡先

国民生活センターの調査:金属製チェーンの「緩み」「切れ」は、どんな場面で起きたか

国民生活センターは、2017年1月19日(同年2月3日更新)に「金属製タイヤチェーン使用時のトラブルに注意―緩みや速度超過などは、チェーン切れや思わぬ事故につながります―」を公表しました。過去5年以内に金属製チェーンを使ったことがある一般消費者457人へのアンケート(2016年11月、インターネット調査)と、市販の金属製チェーン12銘柄の調査、トラブルを想定した再現実験をまとめたものです。報告書のPDFで確認できた内容を整理します(確認日: 2026年10月18日)。

📌 この数字の読み方

アンケートの対象は、自家用車があり、金属製チェーンを所有する20〜80歳代の男女です。表の割合は、回答者の中での割合で、チェーンを使った人全体のトラブルの確率ではありません。2017年の調査のため、現在の製品の状況は、お使いの製品の取扱説明書や販売店で確認してください。

📊 アンケート結果(金属製チェーンの使用経験者457人。国民生活センター)

項目 結果
使用時のトラブル 457人中184人(40.3%)がトラブルを経験。内訳(複数回答)は、走行中に緩んだ81人(44.0%)、走行中に切れた68人(37.0%)、保管中に劣化して使えなかった35人(19.0%)、装着したら車体に干渉して使えなかった23人(12.5%)、走行中に外れた15人(8.2%)
車体などの損傷 緩んだ・切れた136人(重複を除く)のうち、車体等に何らかの損傷を受けた人は35人(25.7%)。「車体やホイールが大きく傷付いた」が多かった
トラブル時の速度 緩んだ・切れた136人のうち、52人(38.2%)が30km/hを超える速度での走行中(30〜50km/hのほぼ一定速度で直線走行中が45人、50km/h超が7人)
トラブル時の路面 緩んだ81人のうち54人(66.7%)は積雪路・凍結路面等。切れた68人のうち31人(45.6%)はアスファルト路面(ぬれた路面23人、乾いた路面8人)
トラブルまでの走行距離 緩んだ・切れた136人のうち99人(72.8%)が、100km以下の走行距離でトラブルに遭っていた(10km以下が36人、10〜100kmが63人)

📊 商品の調査と再現実験(国民生活センター)

項目 結果
市販12銘柄の調査(相模原市内のカー用品店・ホームセンターで購入) チェーン(リンク)の硬さの換算値は77.2〜83.2(平均81.0)HRAで、すべての銘柄でJIS規格(はしご型のクロスチェーンは76HRA以上)と同等以上。溶接部の不良も見られなかった。なお、はしご型にはJIS規格があるが、亀甲型はJIS規格の対象ではない
過去の商品テスト事例 消費生活センター等の依頼で調べた事例では、硬さがJIS規格未満で摩耗しやすいと考えられたもの、溶接不良が多数あったものがあった
再現実験:緩んだままの走行 緩み止めのゴムバンドや巻き上げ器を正しく使わない状態で走ると、30km/hでも遠心力でチェーンがタイヤから浮き上がり、車体に接触し、路面に強くたたき付けられた(早期摩耗の原因)。浮き上がりやたたき付けは、発進時や、雪に埋まった状態でアクセルを強く踏んで空転するときにも起こる。20km/hでも、浮き上がって外れかかることがあった。外れかかったチェーンは、早期の摩耗や破断が考えられるほか、ブレーキホース等に巻き付いて損傷させることも考えられる
再現実験:急制動 急制動を行うと、チェーンが路面とタイヤの間で大きく捻じられ、大きな負担がかかると考えられた(ゴムバンドを使わない場合は、より大きく捻じれた)
取扱説明書の記載(12銘柄) ほぼすべての銘柄の取扱説明書に、事前の取り付け練習、取り付け後の緩みの確認(徐行で数百m走行したあと)、走行速度の上限(50km/h、安全な速度は30km/h以下)を守ること、急ブレーキ・急ハンドル・急発進などの運転や空転を避けること、氷雪路以外(アスファルト路面)ではチェーンを外すこと、チェーンの摩耗の確認(摩耗量が1/3〜1/2、つまり残りが元の太さの2/3〜1/2になったら使用を中止)、といった記述があった

📊 国民生活センターの消費者へのアドバイス

アドバイス 内容
1. 装着方法の理解・練習と、装着後の緩みの確認 事前に装着方法を十分理解し、練習をして確実に装着する。装着後は必ず緩みがないか確認する。取り付けて数十〜数百m走行したあとは必ず緩みを確認し、走行途中でも時々確認する(取り付け直後のチェーンとタイヤにはズレがあり、走行することでそのズレが緩みとして現れる)
2. 速度と運転操作 スピードの出し過ぎや、「急」のつく運転操作はやめる。金属製チェーン使用時の速度の目安は商品によって異なるが、おおむね30km/h以下とされている
3. 路面 積雪や凍結のないアスファルト路面での走行は避ける(チェーンが切れる可能性が高くなる)。着脱は安全な場所で行う
4. 摩耗の点検 過度の摩耗等の異常が見られるものは、使用を中止する

💡 速度の目安は、製品ごとに取扱説明書で確認します

国民生活センターは、金属製チェーン使用時の速度の目安は商品によって異なるとしています。調べた12銘柄では、ほぼすべての取扱説明書に「上限50km/h、安全な速度は30km/h以下」の記載がありました。メーカー側の資料では、カーメイトの非金属製チェーン「バイアスロン」のブランドサイトが、「正しい速度(50km/h以下)で走行」と案内しています(非金属製の例)。金属製チェーンの速度の上限を、メーカー資料で確認できたものは、今回はありませんでした。カーメイトのページは、金属製チェーンについて、路面とのこすれで金属は摩耗するため、雪がない所を走行すると摩耗し、切断しやすくなると説明しており、国民生活センターの助言と同じ方向の内容です。お使いの製品の取扱説明書で、速度と使い方を確認してください。

使ったあとの手入れと、次のシーズンに向けて

使用後の手入れや保管の方法は、素材(金属・非金属・布製)によって異なるため、製品の取扱説明書に従うのが基本です。融雪剤(凍結防止剤)については、国土交通省が、主成分の塩化ナトリウムや塩化カルシウムによる金属腐食の程度は「濃度に依存するため、一概に判断できない」と説明しています。

📊 チェーンの手入れと点検の目安

タイミング 確認すること
使い終わったとき 取扱説明書に従って外し、汚れ・付着物を落とす。金属チェーンは、使用後のサビ対策が必要(JAF)
収納前 破損・変形がないか、目で確認する。部品が足りているか、取扱説明書で確認する
シーズン前 車のタイヤサイズに適合しているか、確認する。可能なら、乾いた場所で試しに装着してみる
タイヤを替えたとき タイヤサイズが変わると、適合が変わる。適合表を、販売店や取扱説明書で確認する

💡 ほかの冬対策との組み合わせ

スタッドレスタイヤの選び方や寿命は、当サイトの別記事にまとめています。融雪剤による車のサビ対策も、あわせて確認しましょう。

よくある質問

Q. スタッドレスタイヤを履いていれば、チェーンは不要ですか?

A. 通常は不要な場面が多いですが、大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪では、チェーン規制が実施され、スタッドレスタイヤや4WD車でも、チェーンがなければ通行できません(国土交通省)。JAFも、スタッドレス装着時でもチェーンの携行を案内しています。

Q. スプレータイプのチェーン(滑り止めスプレー)は、規制中に使えますか?

A. 国土交通省は、チェーン規制で使えるチェーンとして、金属・ウレタンとゴム・布製カバーの3種類を挙げており、スプレー薬剤タイプは、規制中は通行できないと案内しています。

Q. 4WD車は、どのタイヤにチェーンを付けますか?

A. 駆動輪が基本ですが、車によって異なります。前輪・後輪・全輪のどれに付けるかは、車の取扱説明書で確認してください。

Q. 金属製チェーンを付けたあと、何を確認しますか?

A. 国民生活センターは、取り付けて数十〜数百m走行したあとは必ず緩みを確認し、走行途中でも時々確認するよう助言しています。調べた12銘柄の取扱説明書にも、取り付け後(徐行で数百m走行したあと)の緩みの確認の記述が、ほぼすべてにありました。手順は製品ごとに違うため、取扱説明書で確認してください。

Q. 雪や氷がない道でも、チェーンを付けたまま走ってよいですか?

A. 国民生活センターは、積雪や凍結のないアスファルト路面での走行は、チェーンが切れる可能性が高くなるため、避けるよう助言しています。アンケートでは、切れた68人のうち31人(45.6%)が、アスファルト路面でトラブルに遭っていました。

Q. チェーン規制に違反すると、どうなりますか?

A. 道路管理者による通行の禁止・制限に違反して通行した場合の罰則は、道路法第103条に、六月以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金と定められています。個別の適用は道路管理者・警察の判断となるため、規制の情報に従い、無理な通行は避けてください。

この作業・点検に使う道具を比較しました

各記事では仕様を表で比べています。価格と在庫は変動するため、購入前にリンク先で最新の状態をご確認ください。

まとめ

冬の道路には、都道府県の滑り止め措置の義務、冬用タイヤ規制、チェーン規制の3つがあり、チェーン規制では、スタッドレスタイヤでもチェーンが必要です。チェーンは駆動輪に付けるのが基本で、JAFのテストでも、装着位置と走り方の違いが確認されています。国民生活センターの調査では、金属製チェーンの緩み・切れが多く、取り付け後の緩みの確認、「急」のつく運転を避けること、積雪・凍結のない路面を避けることが助言されています。雪道で慌てないよう、車に合った種類を選び、取扱説明書を読んで、事前に練習しておきましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。

アイキャッチ画像: Cable chains on car tire by Steve Morgan, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

コメント

タイトルとURLをコピーしました