高速道路の「事前通行規制」とは?通行止めの基準と大雨時の対処法2026年10月版

台風や前線による大雨のたびに、高速道路や国道で「事前通行規制」による通行止めが発表されます。実際に土砂崩れや冠水が起きてからではなく、危険が高まる前に先回りして通行止めにする仕組みです。この記事では、国土交通省・NEXCO各社の公開情報をもとに、事前通行規制とは何か、どのような基準で判断されるのか、2026年6月に関東で出された合同発表の内容、出発前・走行中に確認したい情報源と行動の考え方を整理します。

📋 この記事の要点

✔ 事前通行規制は、大雨や台風による土砂崩れ・落石などが心配される箇所で、過去の記録をもとに基準を定め、災害が起きる前に通行止めなどを行う仕組み(国土交通省)

✔ 基準は道路・区間ごとに異なる。NEXCO西日本の公表例では、連続雨量・組合せ雨量・強風・地震(計測震度)などが基準になっている

✔ 通行止めの解除は、雨が止んですぐではなく、無降雨の見込みの確認、点検・清掃、警察機関との安全確認などを経て行われる(NEXCO中日本)

✔ 2026年6月26日には、関東地方整備局・NEXCO・首都高速などが「事前通行規制の可能性(第1報)」を合同で発表した

✔ 大雨の予報があるときは、出発前だけでなく走行中も最新の交通情報を確認し、「通行止め」表示が出たら最寄りのICから流出する

動画でも解説しています。(YouTube「くるまのかーぎーくん」)

1. 事前通行規制とは何か

国土交通省の説明では、事前通行規制とは、大雨や台風による土砂崩れや落石などが心配される箇所について、過去の記録などをもとにそれぞれ規制の基準を定め、災害が発生する前に「通行止」などの規制を実施して、道路を利用する人の安全を確保するものです。「災害が起きてから止める」のではなく、「起きるかもしれない段階で先に止める」点が特徴です。

通行止めには理由による違いがあります。NEXCO中日本のよくある質問では、地震や降雨などに関する通行止めは、過去の災害の発生状況などから、おおむね災害が発生する可能性がある場合を想定して決めている基準があるとされています。一方、交通事故による通行止めは、お客さまの安全な走行が確保できない状況などについて、警察の判断で実施されると説明されています。

📊 通行止めの種類と判断の考え方

通行止めの種類 判断の考え方(公式の説明) 主な情報の出どころ
事前通行規制(降雨・台風など) 過去の記録などをもとに、区間ごとに定めた基準に達した、または達する見込みの場合に、災害が発生する前に実施する(国土交通省・NEXCO) 道路管理者(国土交通省、NEXCO各社、首都高速など)
地震にともなう通行止め 地震に関する通行止め基準に基づく(NEXCO中日本)。NEXCO西日本の基準表では、区間ごとに計測震度の基準が示されている 道路管理者
強風・高波にともなう通行止め 風速や波の状況などにより、必要と認められる場合に実施。NEXCO西日本の基準表では、10分間の平均風速20m/s以上を目安とし、継続または継続が予想され、必要と認められる場合とされている 道路管理者
交通事故にともなう通行止め 安全な走行が確保できない状況などについて、警察の判断で実施(NEXCO中日本) 警察・道路管理者

📌 補足

事前通行規制は、「必ず災害が起きる」ことを意味するものではありません。過去の災害の発生状況を踏まえ、安全側に判断して規制するものです。規制が出たときは、いつ・どこが対象になるかを、道路管理者の発表で確認しましょう。

2. どんな基準で通行止めになるのか

基準の具体的な数値は、道路・区間ごとに個別に決められています。NEXCO西日本は「異常気象等による事前通行規制基準」を区間ごとに公表しており、その表に、基準の考え方が注記されています。以下は、2026年(令和8年)8月14日現在としてNEXCO西日本が掲載していた表からの抜粋です。東日本・中日本や首都高速など、他社の管理区間の数値ではありません。

📊 基準に出てくる用語の意味

用語(NEXCO西日本の注記) 意味
連続雨量 雨の降り始めから降り終わりまで、2mm/hを超える雨が6時間以上の中断を伴わずに継続した場合の累積雨量
組合せ雨量 連続雨量と、その時点の時間雨量の組合せで定められる雨量。例えば、基準値が連続雨量200mm・時間雨量50mmの場合、任意の時点で連続雨量が200mmを超え、かつその時点で時間雨量が50mm以上になれば通行止めとなる、という考え方
計測震度 NEXCO西日本の観測局における揺れの強さを数値化したもの。4.5以上は震度5弱、5.0以上は震度5強に相当
強風 10分間の平均風速が20m/s以上を目安とし、継続または継続が予想され、必要と認められる場合に通行止めを実施

📊 区間ごとに基準値が異なる例(NEXCO西日本・令和8年8月14日現在の公表表から抜粋)

区間の例(NEXCO西日本) 連続雨量 組合せ雨量(連続雨量+時間雨量) 計測震度
名神高速道路 八日市IC〜竜王IC 200mm 180mm かつ 50mm 5.0以上
長崎自動車道 東脊振IC〜佐賀大和IC 410mm 320mm かつ 60mm 5.0以上
沖縄自動車道 那覇IC〜許田IC 360mm 220mm かつ 65mm 5.0以上

※表は横にスクロールできます

このように、同じ「大雨」でも、通行止めになる雨量は区間ごとに大きく違います。地形や過去の災害の履歴などが反映されているためで、「ある場所で走れたから別の場所でも走れる」とは限りません。

⚠️ 基準に達していなくても規制されることがあります

基準値は目安であり、気象状況や現地の状況によって、規制が行われる場合があります。また、区間によっては、過去ののり面災害などで応急復旧している箇所に、通常より低い暫定基準が設定されていることもあります(NEXCO西日本の基準表の注記)。

💡 解除までの流れ

NEXCO中日本によると、降雨基準の超過による通行止めでは、雨が止んだあとでも地盤が緩み、道路の外から土砂が流れ込んだり、のり面が崩れたりする恐れがあるため、(1)無降雨が一定時間続く気象予測を確認、(2)道路の点検、路面付着物の除去、災害が起きた場合の復旧、(3)警察機関と路面等の安全を確認、(4)再度、無降雨が続くことを確認、という流れを経てから解除するとされています。雨が上がっても、通行止めがすぐには解除されないのはこのためです。

3. 2026年6月26日の合同発表(関東)を読み解く

2026年(令和8年)6月26日、国土交通省関東地方整備局、関東運輸局、北陸信越運輸局、気象庁東京管区気象台、NEXCO東日本関東支社、NEXCO中日本東京支社、首都高速道路が連名で、「高速道路と国道の事前通行規制の可能性(第1報)」を発表しました。発表資料によると、前線や台風第7号・第8号の影響で、非常に激しい雨が降り、27日にかけて警報級の大雨となる所がある見込みとされ、警戒が必要な地域や時間帯は外出を控えるよう呼びかけています。

📊 通行止めの可能性がある区間の例(6月26日13時時点の発表資料から抜粋。全19区間のうち一部)

路線 区間 管理者 通行止め等の開始見込み時間
国道18号 横川(安中市〜軽井沢町) 国土交通省 27日 0時以降
C3 東京外環自動車道 三郷南IC〜高谷JCT NEXCO東日本 27日 6時以降
C4 首都圏中央連絡自動車道 圏央厚木IC〜あきる野IC NEXCO中日本 27日 6時以降
E1 東名高速道路 大井松田IC〜沼津IC NEXCO中日本 27日 6時以降
E1A 新東名高速道路 伊勢原JCT〜新秦野IC NEXCO中日本 27日 6時以降
E85 小田原厚木道路 小田原西IC〜厚木IC NEXCO中日本 27日 6時以降
E1 東名高速道路 東名川崎IC〜厚木IC NEXCO中日本 27日 18時以降
CA 東京湾アクアライン連絡道 袖ケ浦IC〜木更津JCT NEXCO東日本 27日 18時以降
E16 横浜横須賀道路 朝比奈IC〜逗子IC NEXCO東日本 27日 18時以降

※表は横にスクロールできます

発表資料には、「今後の気象状況等により、規制開始時間が前後する等の可能性があります」「このほかの高速道路(首都高を含む)、国道についても通行止めとなる可能性があります」と注記されています。つまり、この表は確定した通行止めの一覧ではなく、「可能性がある区間と見込み時間」の第1報です。実際の規制の実施状況は、その後の各道路管理者の発表で確認する必要があります。

📊 合同発表に示された、道路利用者へのお願い

発表資料にある、道路利用者へのお願い 内容
災害発生の恐れがある場合 大雨や強風、越波により災害発生の恐れがある場合は、通行止めになる可能性がある
外出の判断 今後発表される各種情報に注意し、警戒が必要な地域や時間帯は、外出を控える
冠水しやすい場所 アンダーパス構造の箇所や低い土地の箇所では、道路が冠水し、通行できない可能性がある

📌 補足

同資料には、過去の台風にともなう道路災害の例として、倒木、越波・高波、電柱倒壊、冠水、法面崩壊の写真が掲載されています。大雨のときの道路の危険は、雨量だけでなく、風・波・地盤など複数の要因から生じます。

4. 出かける前・走行中に確認する方法

NEXCO中日本は、降雨の3日前から注意喚起の広報を行っており、お出かけ前に最新の気象予測や道路交通情報を確認するよう呼びかけています。NEXCO西日本も、令和8年度の豪雨・台風時の案内で、最新の気象情報・道路交通情報の確認を求めています。

📊 大雨・台風のときに確認したい情報源

確認先 内容(公式の案内)
日本道路交通情報センター(JARTIC) 道路交通に関する情報。関東地方整備局の合同発表資料にも、道路情報サイトとして掲載
国土交通省 各地方整備局 道路管理者としての情報。関東地方整備局は、関東甲信地域における道路冠水注意箇所マップも公開
NEXCO東日本・NEXCO中日本・NEXCO西日本・首都高速道路の各公式サイト 通行止めの可能性、開始・解除の情報。NEXCO中日本は、公式Xで支社ごとの情報も発信
iHighway(NEXCO中日本・NEXCO西日本のアプリ・サイト) NEXCO中日本の案内では、24時間のリアルタイム交通情報やライブカメラを確認できる。NEXCO西日本は、アイハイウェイアプリの登録・利用を案内
道路情報板・ハイウェイラジオ 走行中の最新情報の確認手段。JAFも、ハイウェイラジオや道路情報板で最新情報を確認することを案内

🧭 大雨の日の行動の流れ

1

数日前〜前日:気象予報と、通行止めの可能性の発表を確認する

道路管理者は、通行止めの可能性を事前に知らせています。移動そのものの延期やルート変更も、選択肢に入れましょう。

2

出発直前:最新の交通情報を再確認する

発表は更新されます。開始見込み時間が前後することもあります。

3

走行中:サービスエリア・パーキングエリアなどで、こまめに情報を見る

停車できる安全な場所で、規制情報を確認します。運転しながらのスマートフォン操作はしないでください。

4

「通行止め」の表示が出たら、速やかに最寄りのICから流出する

NEXCO西日本は、道路情報板などに「通行止め」と表示された際は、安全確保のため速やかに最寄りのICからの流出を求めています。

5

無理をしない

規制がなくても、大雨・強風のときは、移動を中止・延期する判断も大切です。

📝 出発前のチェックリスト

☑️ 気象庁の警報・注意報や、大雨・台風の予報を確認した

☑️ JARTICと、通る道路の管理者(NEXCO・首都高速・国道の管理者)の情報を確認した

☑️ 通る予定の区間に、通行止めの可能性が出ていないか確認した

☑️ アンダーパスや低い土地など、冠水しやすい場所を通らないルートを検討した

☑️ タイヤの状態、ワイパーブレードのゴム、窓の汚れを点検した(JAFの案内)

☑️ 燃料や充電に余裕を持たせ、無理な移動は延期する選択肢も考えた

5. 高速道路の走行中に大雨に遭ったら

JAFの「クルマ何でも質問箱」では、高速道路上で大雨に遭遇した場合、ライトを点灯させ、安全な速度まで落として走行することが最優先と案内されています。以下は、JAFの案内などを整理したものです。個々の状況に応じた判断は、周囲の交通や路面の状況を見て行ってください。

📊 走行中の考え方

場面 考え方(JAFの案内など)
視界が悪いとき ライトを点灯し、安全な速度まで落とす。スピードを控えめにし、できる限り車間距離を広げる
走行する車線 走行車線を走行する。水しぶきなど、周囲の車から受ける危険も考える
近くにSA・PAがあるとき 停車して、雨が通り過ぎるのを待つ。停める場所が近くにあるなら、積極的に活用する
トンネルの出口付近 突風にハンドルをとられないよう注意する
ハイドロプレーニング現象 タイヤが水膜の上に浮いて、路面との間で十分なグリップが得られなくなる現象。タイヤの溝が減っていると発生しやすいとされる。速度を落とすことが対策になる
「通行止め」の表示が出た NEXCO西日本の案内のとおり、安全確保のため、速やかに最寄りのICから流出する

⚠️ 急ブレーキ・急ハンドルは避けましょう

路面が滑りやすくなっているときの急な操作は、車両の挙動が乱れる原因になります。前の車との距離を十分にとり、早めの減速を心がけましょう。ハイドロプレーニングを感じたときの対処など、細かな運転操作は、JAFなどの解説でご確認ください。

6. よくある質問

Q. 事前通行規制と、災害が起きてからの通行止めは何が違いますか?

A. 事前通行規制は、大雨や台風による土砂崩れや落石などの恐れがある箇所について、災害が発生する前に通行止めなどの規制を行うものです(国土交通省)。災害が起きたあとの通行止めとは、実施するタイミングの考え方が異なります。

Q. 雨が止んだのに、通行止めがなかなか解除されないのはなぜですか?

A. NEXCO中日本によると、雨が止んだあとでも地盤が緩み、土砂の流入やのり面の崩落の恐れがあるためです。無降雨が続く気象予測の確認、道路の点検・清掃、警察機関との安全確認などを経てから解除されます。

Q. 通行止めになる雨量は、どの高速道路でも同じですか?

A. 同じではありません。基準は道路・区間ごとに個別に定められています。NEXCO西日本の公表表でも、連続雨量や組合せ雨量の数値は区間によって大きく異なります。

Q. 6月26日の関東の発表は、通行止めが確定したという意味ですか?

A. 発表のタイトルは「事前通行規制の可能性(第1報)」で、資料には規制開始時間が前後する可能性がある旨が注記されています。確定した通行止めの一覧ではなく、可能性のある区間と見込み時間の第1報です。

Q. 大雨の予報のとき、高速道路を走ってもよいですか?

A. 一律に「走ってはいけない」ということではありませんが、出発前に最新の気象・交通情報を確認し、警戒が必要な地域や時間帯は外出を控えるよう、関東地方整備局などが呼びかけています。移動の延期やルート変更も、選択肢として検討しましょう。

まとめ

事前通行規制は、大雨や台風による災害が起きる前に、過去の記録をもとにした基準にしたがって通行止めなどを行う仕組みです。基準は道路・区間ごとに異なり、解除も、雨が止んですぐではなく、点検や安全確認を経て行われます。台風や前線による大雨が予想されるときは、出発前だけでなく走行中も、JARTICや道路管理者の最新情報を確認し、「通行止め」の表示が出たら速やかに流出しましょう。移動の延期や、ルート変更も大切な判断です。規制の基準や運用は道路管理者ごとに異なり、変更されることもあるため、最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。

アイキャッチ画像: Typhoon Nakri off Japan(NASA MODIS、パブリックドメイン)



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