パーキングブレーキ(サイドブレーキ)の使い方と点検

パーキングブレーキ(サイドブレーキ)は、駐車中の車が動き出さないよう、車輪を固定するブレーキです。この記事では、トヨタ自動車の公式ページ、JAF(日本自動車連盟)のトラブル診断、国土交通省の自動車点検基準、保安基準をもとに、種類と使い方、点検基準、解除できないときの対処、寒冷地での注意を整理しました。

📋 この記事の要点

✔ パーキングブレーキは、レバー・スイッチ・ペダルの操作で作動し、駐停車中や坂道での不意な移動を防ぐ(トヨタ)

✔ 使用は車両が完全に停止してから。走行中は緊急時以外に使わない。かけたまま走行しない(トヨタ)

✔ 駐車の際は、パーキングブレーキをかけ、シフトレバーをPまたはギヤに入れる。坂道では輪止めも使う(トヨタ)

✔ 日常点検の項目は「駐車ブレーキ・レバーの引きしろが適当であること」。定期点検では、引きしろとブレーキの効き具合を確認する(自動車点検基準)

✔ 寒冷地では、ワイヤーが凍結することがあるため使わず、輪止めで車を固定する(JAF)

1. パーキングブレーキの種類としくみ

トヨタ自動車の公式ページは、パーキングブレーキを「駐車時に車両が動かないように車輪を固定するためのブレーキ」と説明しています。レバーやスイッチ、パーキングブレーキペダルの操作によってブレーキが作動し、駐停車中や坂道での不意な車両の移動を防ぎます。

📊 パーキングブレーキの種類と、操作・解除

種類 操作と解除(JAFのトラブル診断) 補足
レバー式 作動:レバーを引く。解除:解除ボタンを押しながら、レバーを強く引く(現在のレバー位置より更に上に引き上げると、ロックが外れる構造) 解除できないときの対処方法をJAFが案内している
足踏み式 作動・解除ともペダルで行う。解除:ペダルを強く踏み込み、ペダルから足を離す(現在のペダル位置より更に奥に踏み込むと、ロックが外れる構造) 同上
電動式 解除:スタート(パワー)スイッチをオンにし、パーキングブレーキスイッチで解除する。車種によりスイッチの場所や操作方法が異なる 最近増えている。エンジンを停止させると、自動的に作動する車種もある(JAF)

構造面では、ドラムブレーキがパーキングブレーキの用途に向いているため、大型の乗用車では、リアのディスクブレーキの内側にパーキングブレーキ用のドラムブレーキを備えた車種もあるとJAFは説明しています。

⚖️ 保安基準での位置づけ

道路運送車両の保安基準第12条は、自動車には、走行中に確実かつ安全に減速・停止でき、かつ「平坦な舗装路面等で確実に当該自動車を停止状態に保持できる」制動装置を、告示で定める基準に適合する形で二系統以上備えることを求めています(一部の低速の自動車を除く)。駐車中の保持も、制動装置の性能として定められています。

2. 正しい使い方と、やってはいけない使い方

トヨタ自動車の公式ページは、パーキングブレーキの使い方について、次の注意を挙げています。

📊 パーキングブレーキの使い方(トヨタ自動車の公式ページより)

場面 公式ページの案内(トヨタ) 起こりうること
止まるとき パーキングブレーキは、車両が完全に停止してから使用する 停止前に使うと、パーキングブレーキが故障して車両が動き出し、思わぬ事故につながるおそれがある。ケーブルが破断して効かなくなる、部品が過熱して効きが悪くなる・早く摩耗する可能性もある
走行中 緊急時以外は、走行中にパーキングブレーキを使用しない 後輪がロックして車両が不安定になり、事故につながるおそれがある。緊急時に使った場合は、故障していないか必ず点検する
発進するとき パーキングブレーキをかけたまま走行しない ブレーキ部品の早期摩耗、過熱による効きの低下、火災の原因になる。JAFも、リアブレーキ装置の損傷や火災のおそれを指摘
駐車するとき パーキングブレーキをかけ、シフトレバーをPまたはギヤに入れる そうしないと、車が動き出したり、誤ってアクセルペダルを踏み込んだときに急発進するおそれがある
坂道に駐車するとき シフトをPレンジやギヤに入れた状態で、パーキングブレーキを確実に効かせ、タイヤの前後に輪止めをかける 坂道の途中で駐車する場合は、必要に応じて輪止めを使用する

🧭 駐車から発進までの流れ(トヨタ自動車の公式ページをもとに整理)

1

ブレーキペダルを踏んで、完全に停止する

車が完全に止まってから、パーキングブレーキの操作に移ります。

2

パーキングブレーキをかける

レバー式は確実に引き、電動式はスイッチで作動させます。作動の表示は、取扱説明書で確認します。

3

シフトレバーをP(MT車はギヤ)に入れる

MT車は、ギヤを入れて駐車します。

4

坂道では輪止めを使う

タイヤの前後に輪止めをかけます。

5

発進するときは、解除を確認してから

警告灯が消灯し、パーキングブレーキが解除されていることを確認してから発進します。

⚠️ 走行中の使用と、かけたままの走行は避ける

走行中の使用は緊急時に限り、緊急時に使ったときは必ず故障の有無を点検します。かけたまま走行すると、部品の摩耗や過熱、火災の原因になります(トヨタ)。

3. 点検基準に見るパーキングブレーキ

📊 自動車点検基準のパーキングブレーキ関連項目(自家用乗用自動車等、e-Gov法令検索で2026年9月25日に確認)

点検の種類 点検箇所 点検内容(自動車点検基準の記載)
日常点検 ブレーキ 駐車ブレーキ・レバーの引きしろが適当であること
定期点検(1年ごと) 駐車ブレーキ機構 引きしろ。ブレーキの効き具合
劣化又は摩耗により生ずる状態(別表第8) 制動装置 駐車ブレーキのきき具合の不良

トヨタ自動車の法定24ヶ月点検の項目にも、「パーキングブレーキの引きしろ(踏みしろ)」が含まれています。トヨタは、パーキングブレーキも継続使用により部品が摩耗・劣化すると、効きが弱くなって車両が動き出すなど思わぬ事故につながるおそれがあるとして、日常点検や定期的な点検・整備を行い、常に正常な状態で使用することが大切だとしています。

📌 補足

日常点検基準の記載は「駐車ブレーキ・レバー」ですが、ペダル式・電動式の車は、点検の見かたが異なります。取扱説明書で、お手持ちの車の確認方法を調べてください。引きしろの具体的な数値(ノッチ数など)は、車種ごとの取扱説明書に記載されるものであり、本記事では公式に確認できなかったため掲載していません。

4. 解除できない・警告灯が消えない・寒冷地でのトラブル

📊 解除できない・警告灯が消えないときの対処(JAFのトラブル診断)

症状 JAFの案内 補足
レバー式が解除できない サイドブレーキレバーを、解除ボタンを押しながら強く引く。改善しない場合は救援要請を かけたまま走行すると、リアブレーキ装置の損傷や火災のおそれ
足踏み式が解除できない パーキングブレーキペダルを強く踏み込み、ペダルから足を離す。改善しない場合は救援要請を 同上
電動式が解除できない スタート(パワー)スイッチをオンにし、パーキングブレーキスイッチで解除。スイッチの場所・操作は車種で異なるため、取扱説明書で確認。改善しない場合は救援要請を 同上
ブレーキ警告灯(赤)が点灯 パーキングブレーキが解除できていない可能性がある。解除して消灯するか確認。消灯しない場合、走行は危険で、救援要請を ブレーキフルードの低下や、ブレーキ機構の故障の可能性もある。車種により電球切れでも点灯する場合がある
シフトレバーが「P」から動かない ブレーキペダルが踏み込めていない可能性(シフトレバーはブレーキペダルと関連している)。通常の操作で動かない場合は、シフト機構の不具合が考えられる 改善しない場合は救援要請を
シフトレバーが「P」に入らない 物理的な障害(コインやゴミの挟まり)や操作ミス、電気・機械的故障の可能性。異物を確認し、ブレーキをしっかり踏み込んでシフトレバーを操作 解消しない場合は救援要請を

寒冷地では、パーキングブレーキのワイヤーが凍結してしまうことがあります。JAFは、寒冷地での駐車の基本として、なるべく平坦な場所を選ぶこと、パーキングブレーキは使わないこと、車体の対角線上に位置する前後2か所に輪止めを設置することを挙げています。AT車はPレンジに、MT車は1速ギヤ(下り坂ならリバースギア)に入れて完了とされています。

💡 電動式パーキングブレーキの車は、事前に取扱説明書を

電動式には、エンジンを停止させると自動的にパーキングブレーキが作動する車種があります。寒冷地で、自動作動を避ける必要がある場合の対処は、車種により異なります。JAFは、事前に取扱説明書を参照するよう案内しています。

⚠️ 解除できない状態で走らない

解除できていない状態での走行は、リアブレーキの損傷や火災のおそれがあります。無理に発進せず、解除の操作を確認し、改善しない場合は、JAFや保険付帯のロードサービス、整備工場に連絡してください。

5. チェックリストと、整備工場への伝え方

📝 パーキングブレーキのセルフチェック

☑️ 停止してから、パーキングブレーキを使う習慣がある

☑️ 駐車するとき、パーキングブレーキとP(MT車はギヤ)の両方を使っている

☑️ 坂道では、輪止めも使っている

☑️ 発進前に、警告灯が消灯し、解除されていることを確認している

☑️ 引きしろ(踏みしろ)に、以前との違い(引きが深くなった、効きが甘くなった)がない

☑️ 定期点検で、引きしろと効き具合を確認してもらった(点検整備記録簿で確認)

☑️ 寒冷地に行く前に、取扱説明書で凍結時の扱いを確認した

📊 状況別の最初の行動

状況 最初の行動
引きしろが深くなった、効きが甘い 整備工場で点検・調整を受ける。走行を続けず、駐車時は輪止めも使う
解除しても警告灯が消えない 走行せず、ロードサービスや整備工場へ連絡
解除できない 取扱説明書と上記の操作を確認。改善しなければロードサービスへ
寒冷地で、凍結が心配 パーキングブレーキは使わず、輪止めを使う(JAF)。電動式は取扱説明書を確認

💡 ポイント

整備工場に依頼するときは、「いつから」「レバー(ペダル・スイッチ)の引きしろや手応えがどう変わったか」「坂道で車が動いたことがあるか」を伝えると、点検がスムーズです。

6. よくある質問

Q. 走行中に、パーキングブレーキを使ってもよいですか?

A. トヨタ自動車の公式ページでは、緊急時以外は走行中に使用しないよう案内しています。走行中に使うと後輪がロックして車両が不安定になり、事故につながるおそれがあります。緊急時に使った場合は、故障していないか必ず点検してください。

Q. 駐車するとき、パーキングブレーキだけで足りますか?

A. トヨタ自動車の公式ページは、パーキングブレーキをかけ、シフトレバーをPまたはギヤに入れるよう案内しています。そうしないと、車が動き出したり、誤ってアクセルペダルを踏み込んだときに急発進するおそれがあります。坂道では輪止めも使います。

Q. パーキングブレーキが解除できなくなりました。

A. JAFは、レバー式は解除ボタンを押しながら強く引く、足踏み式はペダルを強く踏み込んで足を離す、電動式はスタート(パワー)スイッチをオンにしてパーキングブレーキスイッチで解除する、と案内しています。改善しない場合は、JAFなどに救援要請をします。

Q. 冬の寒冷地で、パーキングブレーキを使ってよいですか?

A. JAFは、ワイヤーが凍結することがあるため、寒冷地ではパーキングブレーキを使わず、輪止めで車を固定するよう案内しています。電動式は、エンジン停止で自動作動する車種があるため、取扱説明書で対処を確認してください。

まとめ

パーキングブレーキは、駐車中の車が動き出さないよう車輪を固定するブレーキです。完全に停止してから使い、走行中は緊急時以外使わず、かけたまま走らないことが基本です(トヨタ)。駐車ではPまたはギヤに入れ、坂道では輪止めも使います。点検基準では、引きしろと効き具合が確認されます。解除できない、警告灯が消えないときは、無理に走らず救援要請を。記事内の数値・基準は、各公式ページに記載のあるものだけを掲載しています。車種・年式・グレードで異なるため、実際の点検時期や手順は、お手持ちの車の取扱説明書・メンテナンスノートで確認してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。

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