バス停のポール前後10mは停車も駐車も禁止?バスの発進を妨げる違反と反則金・点数を条文で解説

バス停の標示柱(京都市バス・川端二条)

バス停のポールのすぐ前に車が停まっていて、バスが入れずに困っている場面を見たことはないでしょうか。「少し人を降ろすだけ」「すぐ戻るから」と思って停めた場所が、実は停車も駐車も禁止されている場所だった、というケースは少なくありません。また、停留所を出ようとするバスがウインカーを出したとき、後ろの車に道を譲る義務があることは、意外と知られていません。

この記事では、道路交通法の現行条文(e-Gov法令検索)、道路交通法施行令の別表、旅客自動車運送事業運輸規則、警視庁の違反点数表をもとに、バス停まわりの3つのルールを整理します。YouTubeで好評だったショート動画を、条文と数字つきで詳しく解説した長尺動画の内容を、記事にまとめたものです。

📋 この記事の要点

✔ バス停の標示柱・標示板がある位置から10メートル以内は、そのバス停に係る運行系統のバスの運行時間中、停車も駐車も禁止(道路交通法第44条第1項第5号)

✔ 人の乗り降りのための短い停止も「停車」にあたるため、禁止の対象。ただし、バス自身が乗降のために停まる場合などは、第44条第2項の適用除外

✔ 違反した場合、普通車の駐停車違反は違反点数2点・反則金12,000円。運転者が車を離れて放置したと判断されると、放置駐車違反で3点・反則金18,000円(道路交通法施行令別表第六、警視庁の点数表)

✔ 停留所を発進するバスが手または方向指示器で合図したら、後ろの車はその進路の変更を妨げてはならない(第31条の2)。違反は乗合自動車発進妨害で1点・反則金6,000円(普通車)

✔ ポールの形やデザインそのものを定めた条文は、今回調べた範囲では確認できなかった。運輸規則が事業者に求めているのは、停留所名・運行系統・発車時刻などの掲示

🎬 動画で見る(約5分)

この記事の内容を、かーぎーくんが条文を示しながら約5分で解説した動画です。詳しい数字や例外は、このあと記事で確認できます。

▶ YouTubeで見る(YouTube「くるまのかーぎーくん」)

1. バス停のポールの前後10メートルは「停車も駐車も禁止」(第44条)

バス停の標示柱(京都市バス・川端二条)
写真:京都市バスのバス停(川端二条)。道路脇に立つ標示柱と標示板が、第44条第1項第5号の「位置」の起点になる(撮影:Koichiro Yoshida、CC BY-SA 2.0、Wikimedia Commons経由)

道路交通法第44条は、「停車及び駐車を禁止する場所」を定めた条文です。第1項には、交差点や横断歩道、踏切、トンネルなどと並んで、バス停の標示柱または標示板が設けられている位置から10メートル以内の部分が、第5号として挙げられています。

📜 道路交通法 第44条第1項第5号(条文の引用)

乗合自動車の停留所又はトロリーバス若しくは路面電車の停留場を表示する標示柱又は標示板が設けられている位置から十メートル以内の部分(当該停留所又は停留場に係る運行系統に属する乗合自動車、トロリーバス又は路面電車の運行時間中に限る。)

📊 第5号のルールを分解すると

項目 内容
起点 乗合自動車の停留所を表示する標示柱または標示板が設けられている位置
範囲 その位置から10メートル以内の部分
禁止される行為 停車と駐車の両方(第44条第1項の柱書)
時間 当該停留所に係る運行系統に属するバス等の運行時間中に限る

「停車」も禁止。人を降ろすだけでも対象

第44条が禁止しているのは「駐車」だけではなく「停車」も含みます。道路交通法第2条は、「駐車」を、客待ち・荷待ち・故障などで継続的に停止すること(人の乗降のための停止と、5分を超えない貨物の積卸しのための停止は除く)、または運転者が車を離れて直ちに運転できない状態で停止することと定め、「停車」を停止のうち駐車以外のものと定めています。人の乗降のための停止は駐車から除かれているため、停車にあたります。そのため、「ちょっと家族を降ろすだけ」でも、この範囲では止まれません。

禁止されるのは「運行時間中」だけ

第5号のかっこ書きには、「運行時間中に限る」とあります。そのバス停に係る運行系統のバスが走っている時間帯だけが対象で、バスの運行がない時間帯には、第5号による禁止は及びません。ただし、同じ場所に別の駐停車禁止・駐車禁止の標識や標示がある場合は、そちらのルールが別に適用されます。

注意:「運行時間中」の具体的な範囲(始発前・終発後の扱いなど)や、現場の標識・道路標示の有無によって、取締りの判断は変わる場合があります。迷う場所では停めない、が一番確実です。個別の判断は、管轄の警察署や公安委員会にご確認ください。

第2項の「適用除外」

第44条第2項には、第1項が適用されない場合が定められています。バス停まわりに関係するのは次の2つです。

対象の車 適用除外となる場合
乗合自動車(路線バス等) 運行系統に係る停留所で、乗客の乗降のため停車するとき、または運行時間を調整するため駐車するとき
旅客運送用の自動車(乗合自動車を除く。タクシーなど) 停留所で乗客の乗降のため停車、または運行時間の調整のため駐車するとき。ただし、地域住民の生活に必要な旅客輸送の確保に有用で、道路・交通の状況により支障がないことについて、一般乗合旅客自動車運送事業者・公安委員会などが合意し、その旨を公安委員会が公示した停留所に限る

つまり、タクシーが常にバス停で乗客を乗せ降ろしできるわけではなく、公示された停留所に限った例外です。一般のマイカーには、この例外はありません。なお、第1項の柱書には、法令の規定や警察官の命令による場合、危険を防止するために一時停止する場合も除かれています。

参考:駐車禁止(第45条)との違い。「駐車禁止」の場所では駐車が禁止されますが、停車は認められます。「駐停車禁止」の第44条の場所は、停車も駐車もできません。バス停の10メートル以内は、後者です。

2. 違反したときの点数・反則金・放置違反金

第44条第1項に違反して停車・駐車した場合の違反点数と反則金は、次のとおりです(普通自動車)。反則金は道路交通法施行令の別表第六、点数は警視庁の違反点数表で確認しました。

📊 バス停10メートル以内(駐停車禁止場所)の違反点数・反則金【普通車】

区分 違反点数 反則金(普通車) 補足
駐停車違反(駐停車禁止場所等) 2点 12,000円 大型車15,000円、二輪車・原付等7,000円
放置駐車違反(駐停車禁止場所等) 3点 18,000円 運転者が車を離れ、すぐに運転できない状態で放置されたと判断された場合。大型車25,000円、二輪車・原付等10,000円
放置違反金(車の使用者に対して) (点数なし) 18,000円 標章取付けの翌日から30日以内に運転者が反則金を納付しないなどの場合に、車の使用者に納付が命じられる(道路交通法第51条の4、施行令別表第一)。普通車の場合

このほか、違反点数が累積すると、免許の停止や取消しの対象になります。バス停の前に停める行為は、12,000円を払うだけでは済まず、違反点数も付く点に注意が必要です。

金額・点数について:反則金の額は法令の改正によって変わることがあります。この記事の金額は、道路交通法施行令の現行条文(e-Gov掲載分)と、警視庁の公開している点数表で確認した内容です(2026年10月時点)。最新の内容は、警察庁・各都道府県警察の公式ページでご確認ください。

3. ウインカーを出したバスには道を譲る(第31条の2)

2つ目は、停留所から発進するバスの進路を、後続車が妨げてはいけないというルールです。道路交通法第31条の2は「乗合自動車の発進の保護」という見出しで、次のように定めています。

📜 道路交通法 第31条の2(条文の引用)

停留所において乗客の乗降のため停車していた乗合自動車が発進するため進路を変更しようとして手又は方向指示器により合図をした場合においては、その後方にある車両は、その速度又は方向を急に変更しなければならないこととなる場合を除き、当該合図をした乗合自動車の進路の変更を妨げてはならない。

📊 第31条の2が適用される条件

条件 内容
①バスの状態 停留所で、乗客の乗降のため停車していた乗合自動車
②バスの行動 発進するために進路を変更しようとする
③合図 手または方向指示器(ウインカー)で合図をした
後続車の義務 その後方にある車両は、バスの進路の変更を妨げてはならない
除外 後続車が、速度または方向を急に変更しなければならなくなる場合は、この義務を負わない

ポイントは「除外」です。急ブレーキや急ハンドルが必要になるような場面では、譲る義務は生じません。無理に譲って追突などの危険を招くことのないよう、安全に減速できる余裕があるときには譲る、というルールだと整理できます。

違反すると「乗合自動車発進妨害」

項目 内容
違反の名称 乗合自動車発進妨害
違反点数 1点(警視庁の点数表)
反則金 普通車6,000円(大型車7,000円、二輪車6,000円、原付等5,000円)
法律上の罰則 5万円以下の罰金(道路交通法第120条第1項第2号)

運転中の心がけ。これは条文の解釈ではなく運転上のポイントですが、バス停の手前でバスのウインカーが点滅していたら、早めにアクセルを戻して車間をあけ、バスが出られる余地をつくるのが基本です。譲り合いが、乗客の安全と定時運行を支えています。

4. バス専用レーンのような「路線バス等優先通行帯」(第20条の2)

もう1つ、バスに関係するルールが路線バス等優先通行帯です。道路標識等で「路線バス等の優先通行帯」と表示された車両通行帯がある道路では、第20条の2により、一般の自動車には次の義務があります。

場面 一般の自動車の義務
その車線に入ろうとするとき 後方からバスが接近してきたときに、交通の混雑でその車線から出られなくなるおそれがあるなら、その車線を通行してはならない
すでにその車線を走っているとき 後方からバスが接近してきたら、バスの正常な運行に支障を及ぼさないよう、すみやかにその車線の外に出なければならない
例外 他の規定でその部分を通行すべき場合や、道路の状況その他の事情によりやむを得ない場合は、この限りでない

違反すると、路線バス等優先通行帯違反として、違反点数1点、反則金は普通車6,000円です(警視庁の点数表、道路交通法施行令別表第六)。法律上の罰則は5万円以下の罰金(第120条第1項第3号)です。

5. ポールに掲示される内容と、ポールのデザイン

最後に、バス停のポールそのものの話です。会社や地域によって、ポールの色や形がさまざまに違うことに気づいた方も多いと思います。

愛知県豊山町の青山東栄のバス停
写真:同じ場所に事業者の違う標識が並ぶバス停の例(青山東栄。撮影:円周率3パーセント、CC BY-SA 4.0、Wikimedia Commons経由)

掲示する内容は「運輸規則」で決まっている

旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号)の第5条第3項は、路線定期運行を行う一般乗合旅客自動車運送事業者に、停留所ごとに次の主な事項を公示することを求めています(このほかにも定めがあります)。

公示する事項 内容
1 事業者および当該停留所の名称
2 当該停留所に係る運行系統
3 運行系統ごとの発車時刻(運行回数の頻繁な運行系統では、始発・終発の時刻と運行間隔時間)

また、第12条は早発の禁止を定めています。一般乗合旅客自動車運送事業者は、停留所に掲示した発車時刻より前に、事業用自動車を発車させてはなりません。バスが時刻表どおりに走るのは、サービスであると同時に、規則上の義務でもあります。

ポールの「形」を定めた条文は確認できなかった

今回確認した道路交通法と運輸規則には、ポールの形や色、デザインそのものを細かく定めた条文は見当たりませんでした(条文の範囲での確認です。事業者ごとの設置基準や、自治体のガイドラインなどは別に存在する可能性があります)。条文が求めているのは、あくまで掲示する内容です。

鹿児島県屋久島の白谷雲水峡のバス停
写真:屋久島の白谷雲水峡のバス停。事業者ごとに色も形も異なる(撮影:TangoDiscovery、CC BY-SA 3.0、Wikimedia Commons経由)

ファンの間の呼び名「ひまわり型」「あじさい型」

ポールの形については、バスファンや雑誌の記事で、俗称がつけられています。ベストカーWebの記事では、次のような呼び方が紹介されています。これは公式な規格名や法令上の名称ではありません。

俗称 特徴(同記事による)
ひまわり型 コンクリート台座にポールが1本。中ほどに時刻表などを掲示する四角い板が付き、最上部に停留所名と事業者名を記した丸いプレートがある
あじさい型 台座とポール1本の構成はひまわり型と同じで、時刻表などを掲示する部分が板ではなく厚みのある箱状

6. よくある質問

Q. バス停のポールの前に、人を降ろすだけの短い時間でも停められませんか?

A. 第44条第1項第5号の範囲(標示柱・標示板の位置から10メートル以内)では、停車も駐車も禁止されています。人を乗り降りさせるための停止も停車にあたるため、運行時間中は停められません。条文上の例外は、第2項のバス自身や、公示された停留所のタクシーなどです。

Q. バスが走っていない夜間や早朝なら、停めても大丈夫ですか?

A. 第5号の禁止は「運行時間中に限る」ため、そのバス停に係る運行系統のバスの運行がない時間帯には、第5号による禁止は及びません。ただし、同じ場所に別の駐停車禁止・駐車禁止の標識や標示がある場合は、そちらが適用されます。始発前・終発後の具体的な扱いは、管轄の警察署にご確認ください。

Q. バス停の前に停めて違反になると、いくら払うことになりますか?

A. 普通車の駐停車違反は、違反点数2点・反則金12,000円です。車を離れて放置したと判断された場合は、放置駐車違反として3点・反則金18,000円です(道路交通法施行令別表第六、警視庁の点数表)。

Q. バスのウインカーが点滅したら、必ず先に行かせなければいけませんか?

A. 第31条の2は、停留所で乗降のため停まっていたバスが発進するために合図をしたとき、後続車に進路の変更を妨げない義務を課しています。ただし、速度や方向を急に変更しなければならないこととなる場合は、この義務は生じません。

Q. バス停のポールのデザインは、法律で決まっているのですか?

A. 今回確認した道路交通法と旅客自動車運送事業運輸規則では、ポールの形やデザインそのものを定めた条文は確認できませんでした。運輸規則(第5条第3項)が求めているのは、停留所名・運行系統・発車時刻などの掲示です。

まとめ

バス停まわりの3つのルールを整理します。(1)バス停の標示柱・標示板の位置から10メートル以内は、そのバス停のバスの運行時間中、停車も駐車も禁止です(第44条第1項第5号)。違反は普通車で2点・12,000円、放置と判断されれば3点・18,000円です。(2)停留所を発進するバスが合図をしたら、後続車は進路の変更を妨げてはいけません(第31条の2)。違反は1点・6,000円です。(3)ポールに掲示する内容(停留所名・運行系統・発車時刻など)は運輸規則に定めがありますが、形やデザインそのものを定めた条文は確認できませんでした。

バス停の前を、バスが安全に発着できる空間として空けておくこと。ウインカーを出したバスを先に出してあげること。この2つを意識するだけで、バス停まわりの違反と危険は大きく減らせます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。法令・反則金・基準は改正されることがあるため、最新の内容や個別の判断は、警察庁・各都道府県警察・公安委員会など公的機関の公式情報でご確認ください(2026年10月時点)。

参考(一次情報): e-Gov法令検索 道路交通法(第20条の2・第31条の2・第44条・第120条)/同 道路交通法施行令(別表第一・別表第六)/同 旅客自動車運送事業運輸規則(第5条・第12条)/警視庁 違反点数。俗称の紹介:ベストカーWeb「ひまわり、すいせん!? 実は名前があった!! バス停看板の名称7選」

写真クレジット: 「Bus Stop Kawabata-Nijō, Nijō Street, Kyoto – Aug 30, 2014.jpg」撮影 Koichiro Yoshida(CC BY-SA 2.0)/「Aoyama Toei Busstop 20170330-01.jpg」撮影 円周率3パーセント(Enshuritsu 3 percent)(CC BY-SA 4.0)/「MatsubandaKotsuBus busstop.jpg」撮影 TangoDiscovery(CC BY-SA 3.0)。いずれもWikimedia Commons経由。

コメント

タイトルとURLをコピーしました