「あおり運転」をされたらどうする?対処法と罰則

「あおり運転」は、正式には「妨害運転」として、2020年に道路交通法の改正で罰則が設けられました。この記事では、警察庁、警視庁・大阪府警察の公表内容、e-Gov法令検索の条文、JAF Mate Onlineをもとに、対象となる違反類型、罰則、被害に遭ったときの行動を整理しました。

📋 この記事の要点

✔ 妨害運転罪は、2020年(令和2年)6月30日から施行。他の車両の通行を妨害する目的で、急ブレーキ禁止違反や車間距離不保持などを行うことが対象

✔ 罰則は、最大で3年の拘禁刑。著しい交通の危険を生じさせた場合は、最大で5年の拘禁刑。あわせて運転免許の取消し(警察庁)

✔ 条文上は現在「拘禁刑」。

✔ 2026年(令和8年)4月1日から、自動車等が自転車等の右側を通過する場合の通行方法の違反が、妨害運転の違反類型に追加された(警察庁)

✔ 被害に遭ったら、SA・PAなど、交通事故に遭わない場所に避難し、車外に出ることなく、ためらわずに110番通報。ドライブレコーダーも有効(警察庁)

動画でも解説しています。(YouTube「くるまのかーぎーくん」)

1. 「あおり運転」とは、何が対象か

警察庁は、「あおり運転」(妨害運転)は、重大な交通事故につながる極めて悪質・危険な行為とし、2020年6月30日から、他の車両等の通行を妨害する目的で、急ブレーキ禁止違反や車間距離不保持等の違反を行うことは、厳正な取締りの対象となったと説明しています。道路交通法(第117条の2の2第8号)は、他の車両等の通行を妨害する目的で、次の行為で、交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者を罰すると定めています。

📊 妨害運転の対象となる違反類型(条文の確認日: 2026年9月25日)

違反類型(警察庁・大阪府警察) 対応する条文(e-Gov法令検索)
通行区分違反 道路交通法第17条第4項
左側寄り通行等の違反(※) 第18条第3項
急ブレーキ禁止違反 第24条
車間距離不保持 第26条
進路変更禁止違反 第26条の2第2項
追越し違反 第28条第1項・第4項
減光等義務違反(執拗なパッシングなど) 第52条第2項
警音器使用制限違反(不必要なクラクションの繰り返しなど) 第54条第2項
安全運転義務違反 第70条
最低速度違反(高速自動車国道) 第75条の4
高速自動車国道等駐停車違反 第75条の8第1項

📌 ※ 2026年4月1日からの追加

警察庁は、令和8年4月1日、道路交通法の一部を改正する法律(令和6年法律第34号)のうち、自動車等が自転車等の右側を通過する場合の通行方法に関する規定(第18条第3項)が施行され、その違反が、妨害運転の違反類型に追加されたと公表しています。

2. 罰則と、免許の処分

e-Gov法令検索で条文を確認したところ、妨害運転の罰則は、現行の条文では「拘禁刑」と定められていました。大阪府警察の公表内容とあわせて整理します。

📊 妨害運転の罰則と行政処分(大阪府警察の公表内容・e-Gov法令検索、2026年9月25日確認)

区分 罰則 免許の処分
妨害運転(交通の危険のおそれ) 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(道路交通法第117条の2の2) 違反点数25点。免許取消し(欠格期間2年。前歴や累積点数がある場合は最大5年)
妨害運転(著しい交通の危険) 5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(道路交通法第117条の2)。高速自動車国道等で他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた場合 違反点数35点。免許取消し(欠格期間3年。前歴や累積点数がある場合は最大10年)

📌 補足

警察庁は、妨害運転をした者は、その行為のみで運転免許の取消処分の対象になるとしています。また、令和2年6月12日公布・7月2日施行の改正で、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律も改正され、危険運転致死傷罪の対象となる行為が追加されました。妨害運転のような悪質・危険な行為で人を死傷させた場合は、危険運転致死傷罪(妨害目的運転)等にあたることがあり、さらに厳しく処罰されることがあります。

⚠️ 個別の事案の判断は、専門家・公的窓口へ

どの行為が妨害運転にあたるか、どの罰則が適用されるかは、個別の状況で異なります。この記事は一般的な情報です。判断に迷うときや、被害・加害の当事者になったときは、警察や弁護士などの公的窓口・専門家に相談してください。

3. 自転車の「妨害運転」と、自転車運転者講習

自転車の運転についても、警視庁の自転車運転者講習制度の「危険行為」に、妨害運転が含まれています。警視庁は、自転車の運転に関して、一定の違反行為(危険行為)を3年以内に2回以上反復して行った者が、対象になると説明しています。

📊 自転車運転者講習制度(警視庁の案内。確認日: 2026年9月25日)

項目 内容(警視庁・e-Gov法令検索)
対象になる人 危険行為を、3年以内に2回以上反復して行った者(警視庁)。公安委員会が、さらに自転車を運転することが交通の危険を生じさせるおそれがあると認めるときに、受講が命じられる(道路交通法第108条の3の4)
危険行為の種別 警視庁の一覧では16種別。信号無視、通行禁止違反、酒気帯び運転等、安全運転義務違反、携帯電話使用等などと並び、「妨害運転」も含まれる
講習の時間と手数料 3時間、6,150円(警視庁の案内)
命令に従わなかった場合 5万円以下の罰金(警視庁)

📌 補足

受講命令の対象や手続きは、都道府県の公安委員会・警察本部によって案内されています。詳しくは、警視庁など、お住まいの地域の警察の案内で確認してください。

4. あおり運転を受けたときの行動

警察庁は、妨害運転を受けるなどした場合は、サービスエリアやパーキングエリア等、交通事故に遭わない場所に避難するとともに、車外に出ることなく、ためらわずに110番通報をするよう呼びかけています。

🧭 あおり運転を受けたときの行動の流れ(警察庁・JAF Mate Onlineの案内を整理)

1

落ち着いて、安全な場所に避難する

警察庁は、SA・PAなどへの避難を案内しています。JAF Mate Onlineは、駐車場など安全な場所に避難するとしています。一般道では、コンビニの駐車場などの、人目のある場所へ一時退避する方法も紹介されています。

2

相手にあおり返さない

急ブレーキや急加速は、非常に危険です(JAF Mate Online)。高速道路では、スピードを一定に保ち、安全なタイミングで車線を変えて、相手を先に行かせます。

3

車外に出ない。窓を閉め、ドアをロックする

警察庁は、車外に出ることなく110番通報するとしています。JAF Mate Onlineは、窓を閉め、ドアをロックすることが重要としています。

4

110番通報する

同乗者がいれば、通報を頼みます。運転者は、安全な場所に停車してから通報します(JAF Mate Online)。位置(高速道路名、キロポストなど)、相手の車の特徴(ナンバー・車種・色)、状況を伝えます。

5

ドライブレコーダーの映像を残す

警察庁は、ドライブレコーダーが、妨害運転等の悪質・危険な運転行為の抑止に有効で、警察に通報するときに重要な証拠になるとしています。

⚠️ 相手が追ってきても、車外に出て話し合おうとしない

相手が挑発してきても、取り合わず、不用意に車外に出ないことが大切です。警察官が到着するまでは、車内で安全を確保してください(警察庁の「車外に出ることなく」という案内に基づく)。

📝 あおり運転の被害・加害を防ぐチェックリスト

☑️ 車間距離を十分に保ち、不必要な急ブレーキや無理な進路変更をしない(警察庁)

☑️ 道を譲る気持ちを持ち、相手がいら立ったら、速度を落として道を譲る

☑️ ドライブレコーダーを設置し、作動していることを確認している

☑️ 避難できる場所(SA・PA、人目のある駐車場)を意識して走っている

☑️ 被害に遭ったら、車外に出ず、ドアをロックし、110番通報する

☑️ 同乗者と、通報や撮影の分担をあらかじめ共有している

5. よくある質問

Q. あおり運転は、法律上どのような罪になりますか?

A. 2020年6月30日から、妨害運転罪が創設されました。交通の危険のおそれがある場合は、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、著しい交通の危険を生じさせた場合は、5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(現行条文・大阪府警察の公表内容)。免許取消しの対象にもなります。

Q. 免許はどうなりますか?

A. 大阪府警察の公表内容では、交通の危険のおそれがある妨害運転は違反点数25点で免許取消し(欠格期間2年、前歴等がある場合は最大5年)、著しい交通の危険を生じさせた場合は35点で免許取消し(欠格期間3年、前歴等がある場合は最大10年)です。

Q. 自転車も、あおり運転で処罰されますか?

A. 警視庁の自転車運転者講習制度の「危険行為」に、妨害運転が含まれています。3年以内に2回以上の危険行為を反復した者が講習の対象になり、命令に従わなかった場合は5万円以下の罰金です。個別の適用は、警察の案内で確認してください。

Q. 被害に遭ったら、まず何をしますか?

A. 警察庁は、SA・PAなど、交通事故に遭わない場所に避難し、車外に出ることなく、ためらわずに110番通報するよう呼びかけています。ドライブレコーダーの映像も、重要な証拠になります。

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▶ 交通事故の対処ガイドまとめ

まとめ

あおり運転(妨害運転)は、2020年6月30日から罰則が設けられ、免許取消しの対象にもなる、重大な違反行為です。2026年4月1日からは、自転車等の右側を通過する場合の通行方法の違反も、違反類型に追加されました。被害に遭ったときは、相手に対抗せず、SA・PAなど安全な場所に避難し、車外に出ずに110番通報しましょう。この記事は一般的な情報です。個別の判断は、警察や弁護士などの公的窓口・専門家に相談してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。

参考: JAF「クルマ何でも質問箱」「あおり運転」をされたら、どうすればよいのでしょうか?(警察庁、内閣府「政府広報オンライン」)

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