「よくある交通違反はどれか」は、自分が気をつけるべき点を知るうえで大切な問いです。ただし、その答えは、思い込みや印象ではなく、公表されている統計で確かめる必要があります。この記事では、警察庁が2026年2月26日に公表した「令和7年中における交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」をもとに、取締り件数の多い違反TOP7、代表的な違反の点数と反則金、そして取締り件数の多い違反と、死亡事故につながる違反の違いを整理します。
📋 この記事の要点
✔ 令和7年(2025年)の道路交通法違反の告知・送致件数は403万1,621件。最多は一時不停止(113万6,083件、構成率28.2%)、次いで最高速度違反(86万5,691件、同21.5%)
✔ 座席ベルト装着義務違反は、別枠の「点数告知」で25万104件。ヘルメット、幼児補助装置とあわせた点数告知の合計は27万629件
✔ 取締り件数の多い違反が、そのまま死亡事故の多い違反とは限らない。死亡事故の法令違反別では、漫然運転・運転操作不適・脇見運転・安全不確認などの「安全運転義務違反」が全体の56.1%
✔ 普通車の反則金・点数は、警視庁の一覧で確認できる。たとえば、一時不停止は2点・7,000円、信号無視(赤色等)は2点・9,000円、携帯電話使用等(保持)は3点・18,000円
✔ 点数は、最後の違反日から過去3年間の累積で計算される。前歴がない場合、6点で30日間の免許停止の対象
📑 目次
1. 取締り件数の多い違反TOP7(令和7年)
警察庁の資料では、道路交通法違反の取締り状況が、違反の種別ごとに公表されています。令和7年(2025年12月末)の「告知・送致件数」の合計は、403万1,621件でした。前年(令和6年)の420万3,537件から、4.1%減少しています。ここでは、その中から件数の多い順に、上位7つの違反を表にしました。
📊 道路交通法違反の告知・送致件数の上位7種別(警察庁、令和7年12月末。確認日: 2026年9月25日)
| 順位 | 違反種別 | 令和7年の件数 | 構成率 | 前年(令和6年)の件数 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | 一時不停止 | 1,136,083件 | 28.2% | 1,177,767件 | -3.5% |
| 2位 | 最高速度違反 | 865,691件 | 21.5% | 846,943件 | +2.2% |
| 3位 | 通行禁止違反 | 505,417件 | 12.5% | 551,589件 | -8.4% |
| 4位 | 信号無視 | 384,057件 | 9.5% | 404,032件 | -4.9% |
| 5位 | 歩行者妨害 | 301,152件 | 7.5% | 323,268件 | -6.8% |
| 6位 | 携帯電話使用等 | 181,799件 | 4.5% | 196,894件 | -7.7% |
| 7位 | 追越し・通行区分違反 | 134,026件 | 3.3% | 140,102件 | -4.3% |
※表は横にスクロールできます
構成率は、道路交通法違反の告知・送致件数の合計(403万1,621件)に対する割合です。なお、最高速度違反は、超過した速度の区分ごとに集計されており、上の件数は、区分ごとの件数を合計した「小計」です。
📊 ほかの主な違反の件数(警察庁、令和7年12月末)
| そのほかの違反・区分 | 令和7年の件数 | 補足(警察庁の資料) |
|---|---|---|
| 駐車禁止場所等違反 | 116,835件(うち放置駐車違反106,954件) | 駐停車禁止場所等違反は19,826件。放置違反金納付命令は、別枠で630,209件 |
| 免許証不携帯 | 24,723件 | 前年の36,006件から31.3%減少 |
| 飲酒運転 | 20,399件 | 内訳は、酒酔い運転884件、酒気帯び運転19,515件(呼気0.25以上14,741件、0.25未満4,774件) |
| 無免許運転 | 18,986件 | 前年の18,031件から5.3%増加 |
| 座席ベルト装着義務違反 | 250,104件 | 「行政処分の点数告知件数」という別枠の集計。ヘルメット着用義務違反6,827件、幼児補助装置使用義務違反13,698件と合わせて、合計270,629件 |
⚠️ 「取締り件数」は「違反の発生件数」ではありません
この統計は、警察が取締りを行って告知・送致した件数です。実際の違反の発生件数そのものではなく、取締りの重点や実施状況にも左右されます。警察は、無免許運転、飲酒運転、著しい速度超過、交差点関連の違反などの悪質性・危険性の高い違反や、駐車違反などの迷惑性の高い違反に、重点を置いて取締りを推進している、と説明しています(令和6年警察白書)。
2. 代表的な違反の点数と反則金(普通車)
違反をすると、その内容に応じた「基礎点数」がつき、点数は累積されます。反則行為に当たる軽微な違反は、反則金を納めることで刑事手続きに進まない仕組み(交通反則通告制度)です。警視庁は、違反の点数一覧表と、反則行為の種別・反則金一覧表を公表しています。ここでは、上位の違反を中心に、普通車の点数と反則金を表にまとめます。なお、普通車とは、普通自動車、軽自動車(二輪車を除く)、ミニカーを指します(警視庁の一覧の区分)。
📊 代表的な違反の点数と反則金(警視庁、点数一覧表・反則金一覧表は2026年4月1日更新版。確認日: 2026年9月25日)
| 違反 | 点数 | 反則金(普通車) | 補足 |
|---|---|---|---|
| 指定場所一時不停止等 | 2点 | 7,000円 | 取締り件数1位の「一時不停止」に当たる |
| 最高速度(超過15km/h未満) | 1点 | 9,000円 | 超過速度20km/h未満は、点数1点 |
| 最高速度(超過15km/h以上20km/h未満) | 1点 | 12,000円 | |
| 最高速度(超過20km/h以上25km/h未満) | 2点 | 15,000円 | |
| 最高速度(超過25km/h以上30km/h未満) | 3点 | 18,000円 | 一般道路。反則金の一覧には、これより大きい超過(一般道路)は載っていない |
| 信号無視(赤色等) | 2点 | 9,000円 | 信号無視(点滅)は、2点・7,000円 |
| 通行禁止違反 | 2点 | 7,000円 | |
| 横断歩行者等妨害等 | 2点 | 9,000円 | 取締り件数5位の「歩行者妨害」に当たる |
| 携帯電話使用等(保持) | 3点 | 18,000円 | 携帯電話使用等(交通の危険)は6点で、反則金の一覧には載っていない |
| 追越し違反・通行区分違反 | 各2点 | 各9,000円 | |
| 座席ベルト装着義務違反 | 1点 | 一覧に記載なし | 点数のみ(警視庁の点数一覧表) |
| 放置駐車違反(駐停車禁止場所等) | 3点 | 放置違反金18,000円 | 専用駐車区間等ではない場合。放置駐車違反(駐車禁止場所等)は2点、放置違反金15,000円 |
※表は横にスクロールできます
📌 一覧に載っていない違反について
警視庁の反則金の一覧には、反則行為(反則金を納めることで手続きが終わる違反)だけが載っています。より重い違反は、一覧に載っておらず、刑事手続きの対象になる場合があります。個別の事案の扱いは、警察や公安委員会などにご確認ください。
📊 行政処分の基準点数(前歴が0回の場合。警視庁、2024年4月1日更新版)
| 過去3年間の累積点数(前歴なしの場合) | 行政処分(警視庁の基準点数表) |
|---|---|
| 1〜5点 | 処分の記載なし |
| 6〜8点 | 免許停止30日 |
| 9〜11点 | 免許停止60日 |
| 12〜14点 | 免許停止90日 |
| 15〜19点 | 免許取消し(欠格期間1年) |
点数は、減点方式ではなく累積方式で、最後の違反日を起算日として、過去3年間の累積点で計算します(警視庁)。また、前歴の回数によって、処分の基準が変わります。たとえば、前歴が1回の場合は、4点や5点で免許停止60日になるなど、前歴がない場合より基準が厳しくなります。
3. 取締りの多い違反と、死亡事故につながる違反の違い
取締り件数が多い違反と、死亡事故につながる違反は、必ずしも同じではありません。警察庁の資料には、「一般原付以上運転者(第1当事者)の法令違反別死亡事故件数」が掲載されています。第1当事者とは、最初に事故に関与した当事者のうち、最も過失の重い者をいいます。令和7年(2025年)の死亡事故件数は2,495件、死者数は2,547人でした。
📊 一般原付以上運転者(第1当事者)の法令違反別死亡事故件数(警察庁、令和7年12月末。確認日: 2026年9月25日)
| 法令違反(第1当事者) | 令和7年の死亡事故件数 | 構成率 | 前年(令和6年) |
|---|---|---|---|
| 漫然運転(安全運転義務違反) | 365件 | 16.2% | 336件 |
| 運転操作不適(安全運転義務違反) | 295件 | 13.1% | 307件 |
| 脇見運転(安全運転義務違反) | 244件 | 10.8% | 272件 |
| 安全不確認(安全運転義務違反) | 232件 | 10.3% | 247件 |
| 歩行者妨害等 | 202件 | 8.9% | 205件 |
| 交差点安全進行 | 99件 | 4.4% | 111件 |
| 信号無視 | 97件 | 4.3% | 85件 |
| 通行区分 | 93件 | 4.1% | 109件 |
| 最高速度 | 93件 | 4.1% | 114件 |
| 優先通行妨害 | 74件 | 3.3% | 73件 |
| 一時不停止 | 63件 | 2.8% | 61件 |
| 酒酔い運転 | 14件 | 0.6% | 21件 |
※表は横にスクロールできます
安全運転義務違反(漫然運転、脇見運転、運転操作不適、安全不確認など)の合計は1,266件で、全体の56.1%を占めます。また、飲酒運転(酒酔い、酒気帯び、基準以下、検知不能を含む「飲酒あり」)による死亡事故は125件(5.5%)でした。取締り件数では1位の一時不停止も、死亡事故の件数では63件(2.8%)にとどまりますが、これは「一時不停止が安全だ」という意味ではありません。交差点での事故は、歩行者妨害等や交差点安全進行、優先通行妨害などとも関わっています。
💡 ポイント
統計から分かるのは、「違反として摘発されやすい行為」と「死亡事故に結びつきやすい行為」の両方に、注意が必要だということです。標識に従うことに加えて、前を見続ける、周囲の安全をしっかり確認するといった、基本的な運転の積み重ねが大切です。
4. 違反を避けるための、日常の運転チェック
統計から見えた注意点を、日常の運転で使いやすい形に整理しました。統計はあくまで傾向で、個別の状況の判断は、教習所や自治体の交通安全講習、警察の案内などをご確認ください。
📊 違反を避けるための、日常のチェックポイント
| 場面 | 統計・制度から見えること | 運転前・運転中の確認 |
|---|---|---|
| 一時停止の標識・停止線がある交差点 | 一時不停止は、取締り件数1位。点数2点、反則金7,000円(普通車) | 標識・停止線の手前で、いったん完全に停止し、左右を確認する |
| 速度の出しすぎ | 最高速度違反は、取締り件数2位。超過25km/h以上30km/h未満で3点、反則金18,000円(普通車) | 制限速度を確認する。急ぐ日ほど、出発時刻に余裕を持つ |
| 信号と横断歩道 | 信号無視は4位、歩行者妨害は5位。歩行者妨害等は、死亡事故でも202件 | 横断歩道に近づくときは、歩行者の有無を確認し、譲る準備をする |
| 携帯電話・スマートフォン | 携帯電話使用等は6位。保持は3点・18,000円(普通車)。交通の危険は6点 | 運転前に設定を済ませ、運転中は手に持たない。着信は、安全な場所に停止してから対応 |
| シートベルト | 座席ベルト装着義務違反は、点数告知で25万104件。点数1点 | 全席で着用し、同乗者にも声をかける |
| 飲酒 | 飲酒運転の取締りは20,399件。飲酒ありの死亡事故は125件 | 飲酒したら運転しない。帰宅手段を事前に決めておく |
🧭 運転中の基本の進め方
出発前に、時間と経路を確認する
急ぐ気持ちが、速度超過や信号無視につながりやすくなります。時間に余裕を持ちます。
スマートフォンは、走り出す前に設定を済ませる
ナビや音楽の設定は、停車中に済ませます。
交差点では、標識と周囲を確認する
一時停止の標識、横断歩道、信号を確認し、歩行者や自転車に注意します。
疲れたら、休憩する
漫然運転や脇見運転は、死亡事故の法令違反別で、上位を占めています。眠気や疲れを感じたら、安全な場所で休憩します。
📝 運転前チェックリスト
☑️ シートベルトを、全席で着用した
☑️ 制限速度と、通る道の規制(一時停止、通行禁止など)を意識している
☑️ スマートフォンの設定は済ませ、運転中は触らない
☑️ 飲酒や、眠気・疲れがない
☑️ 横断歩道・交差点では、歩行者や自転車がいる前提で進む
☑️ 免許証を携帯している(免許証不携帯は、反則金の対象)
出典(確認日: 2026年9月25日)
- 警察庁「令和7年中における交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」(政府統計の総合窓口 e-Stat)
- 警察庁「統計表」(交通事故統計)
- 警視庁「交通違反の点数一覧表」
- 警視庁「反則行為の種別及び反則金一覧表」
- 警視庁「行政処分基準点数」
- 警視庁「点数計算の原則」
- 令和6年警察白書「交通事故抑止に資する交通指導取締り」
5. よくある質問
📚 あわせて読みたい
▶ 一時停止・スピード違反の違反点数と反則金一覧、代表的な違反まとめ
▶ 免許・運転にまつわる素朴な疑問Q&A|警察庁・警視庁公式で点数制度やゴールド免許の誤解を検証
まとめ
令和7年の取締り件数は、一時不停止が最も多く、最高速度違反、通行禁止違反、信号無視、歩行者妨害、携帯電話使用等と続きます。一方、死亡事故では、漫然運転や脇見運転などの安全運転義務違反が半数以上を占め、取締りの件数の順位とは異なります。標識に従うことと、周囲をよく見て運転することの両方を意識し、点数や反則金の制度は、警視庁などの公式の一覧で最新の内容を確認してください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。統計の数値は警察庁の公表資料(令和8年2月26日公表)、点数・反則金は警視庁の公表資料にもとづきます。制度・金額は改正等により変わることがあるため、最新の情報は警察・公安委員会などの公的窓口でご確認ください(2026年10月時点)。
アイキャッチ画像: Traffic Light in Chiba, Japan by Red Whale, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons


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