路面の溝(グルービング)は縦と横で役目が違う?縦型・横型と高機能舗装を国交省・業界資料で確認

道路の路面に、細かい溝がずらっと並んでいるのを見たことはありませんか。あの溝は「グルービング」と呼ばれる工法で、溝を切る向きによって役目が違います。この記事では、国土交通省の説明、日本道路建設業協会の工法紹介、高速道路会社などの公開資料をもとに、縦型と横型の違い、冬の路肩の溝、溝のかわりに舗装そのものにすき間をつくる「高機能舗装」を整理します。

YouTubeのショート動画「路面の溝は縦と横で役目が違う?雨の日のスリップ対策3つ」で紹介した内容を、動画では触れなかった溝の大きさや空港の滑走路での使われ方、資料ごとの言い方の違いも加えて、詳しく解説した記事です。

📋 この記事の要点

✔ 「グルービング工法」は、舗装した路面に溝を掘って、すべりにくさを高め、排水を促す工法(国土交通省)

✔ 縦型(進行方向に沿う溝)は横すべりを防ぎ、カーブの多い路面に。横型(横切る溝)は制動距離を短くし、坂道や交差点の手前などに(日本道路建設業協会)

✔ 冬は路肩に溝を切って、雪解け水が道路に流れ込むのを防ぎ、凍結を防ぐ使い方もある(国土交通省の出張所)

✔ 溝のかわりに、舗装にすき間をつくる「高機能舗装」もある。雨水が舗装の中を流れ、水はねが減り、騒音も下がる(NEXCO西日本・名古屋高速道路公社)

✔ 溝や高機能舗装があっても、雨の日の危険がなくなるわけではない。速度を控えめにし、タイヤの溝も確認する

🎬 動画で見る(ショート)

この記事の元になった、かーぎーくんのショート動画です。動画では触れられなかった詳しい内容や条文・公式情報は、このあと記事で確認できます。

▶ YouTubeで見る(YouTube「くるまのかーぎーくん」)

動画の補足:動画の内容は、国土交通省・日本道路建設業協会・国土交通省の出張所・名古屋高速道路公社の資料と大筋で一致していました。補足が3点あります。(1)動画の「騒音が約3デシベル減る」は、名古屋高速道路公社が、高機能舗装について「一般的に約3dB」と説明している数字です。NEXCO西日本の説明には、騒音を減らす効果は書かれていますが、数値は載っていませんでした。(2)溝の大きさや使われる場所、舗装の種類は、道路や管理者によって異なります。高速道路のすべての路面に溝があるわけではありません。(3)動画の「雨の日のスリップを防ぐ効果」は、国土交通省の回答では縦型の溝の効果として書かれています。また、動画の「ハイドロプレーニング現象を防ぐ」は名古屋高速道路公社の説明で、記事の後半のとおり「起きない」とまでは言えません。

1. グルービングとは?国土交通省の説明と溝の大きさ

国土交通省の「道の相談室」は、グルービング工法を次のように説明しています。

📜 国土交通省 道の相談室「「グルービング工法」とは何ですか?」(回答の引用)

グルービング工法は、舗装路面に溝を掘ることにより、路面のすべり抵抗性を高めたり、路面の排水を促進する工法で、縦型の溝は横方向のすべり防止や路面排水を速やかに行うことにより雨天時のスリップを防止する効果があります。

つまり、グルービングは「路面の水はけをよくして、すべりにくくする」ための溝です。舗装した路面に、専用の切断機械で溝を切る工法です(日本道路建設業協会)。

溝の大きさと切り方(日本道路建設業協会)

日本道路建設業協会の工法紹介には、グルービングの寸法の目安が書かれています。

項目 同協会の説明(要旨)
溝の大きさ 幅6〜9mm、深さ4〜6mmの溝を、40〜60mm間隔で設けることが多い
切り方 多数のダイヤモンドカッタを備えた専用の切断機械で、舗装路面に複数の溝を切る
排水の仕組み 切った溝に路面の水(路面排水)を流すことで、舗装路面のすべり抵抗を増やす
主な用途・適用箇所 急勾配、交差点の手前、橋の上、急カーブなど、すべり抵抗性と排水性が求められる場所。空港の滑走路にも使われる
数字の読み方について:この寸法は、同協会のウェブページの記載(2026年10月確認)です。ページ上の文は語の位置が一部入れ替わって表示されており、「幅6〜9mm・深さ4〜6mm・間隔40〜60mm」という対応は、前後の文脈から読み取ったものです。また、実際の溝の大きさや間隔は、道路の管理者や場所によって異なります。

2. 縦型と横型で役目が違う

縦型と横型のグルービングの違い
図:縦型(進行方向に沿った溝)と横型(進行方向を横切る溝)の違い(自作の模式図。左側通行で描いています。溝の本数や間隔は実際とは異なります)

日本道路建設業協会は、グルービングには車両の進行方向に沿って設ける「縦型」と、横断方向に設ける「横型」があると説明しています。役目と使われる場所は、次のように整理されています。

📊 縦型と横型の違い(日本道路建設業協会・国土交通省の説明より)

縦型 横型
溝の向き 車の進行方向に沿う 進行方向を横切る(横断方向)
主な役目 横方向のすべり抵抗を高める。遠心力を防ぐ効果があり、コーナリング時の操縦安定に効果を発揮する(国土交通省は、縦型の溝は横方向のすべり防止と雨天時のスリップ防止の効果があるとしている) 車の制動距離を短くする効果が高い。坂道などでブレーキの効きを助ける
使われる場所の例 横方向のすべり抵抗を高めたいカーブの多い路面 坂道、交差点の手前など
その他 ― 走行時に出る音と振動で、ドライバーに合図や、居眠り運転・速度超過などの警告をすることもできる

国土交通省の回答は、縦型の効果(横方向のすべり防止と雨天時のスリップ防止)を挙げています。横型の効果と使われる場所は、日本道路建設業協会の説明です。路面排水を速やかにしてスリップを防ぐことは、日本道路建設業協会の説明ではグルービング工法全体の特徴として挙げられています。「縦は横すべり、横は止まる」と覚えると分かりやすいでしょう。

使われる場所について:協会の説明は「主に」「多い」という書き方で、設置場所に一律の決まりがあるわけではありません。今回確認した公的な資料では、「どこに必ず設置する」という基準は見つかりませんでした。

3. 冬の路肩の溝と、空港の滑走路の溝

冬は「凍結防止」の溝にもなる

グルービングは、雨の日のスリップ防止だけに使われるわけではありません。国土交通省(中国地方整備局)の郡家国道維持出張所は、道路の路肩の路面に溝を切ることで、路肩の雪解け水が道路面に流れ込むのを防ぎ、路面の水をなくして凍結を防ぐ工法だと説明しています。

雨の日のスリップ防止 冬の凍結防止(路肩)
溝を切る場所 走行する路面 道路の路肩の路面
溝の目的 路面の水はけをよくして、すべりにくくする 路肩の雪解け水が道路に流れ込むのを防ぎ、凍結を防ぐ
説明している資料 国土交通省 道の相談室、日本道路建設業協会 国土交通省の郡家国道維持出張所

空港の滑走路では横断方向に溝がある

日本道路建設業協会は、用途・適用箇所の一つに空港の滑走路を挙げています。国土技術政策総合研究所(国総研)のレポート(2019年)は、空港の滑走路等では、雨水を速やかに排水するため、幅・深さ6mmの溝が路面の横断方向に施工されていると説明しています。溝は、舗設から一定期間(使う混合物によって1か月以上〜2か月以上)たってから切られ、その間は溝のない状態で運用されるとも書かれています。

4. 溝のかわりの「すき間のある舗装」(高機能舗装)

一般的な舗装と高機能舗装の雨水の通り道
図:一般的な舗装(密粒舗装)と高機能舗装(すき間のある舗装)の、雨水の通り道の違い(自作の模式図。層の厚さや空隙の大きさは実際とは異なります)

溝を切るのではなく、舗装そのものにすき間(空隙)をつくる方法もあります。NEXCO西日本の「よくあるご質問」は、同社が管理する高速道路の舗装について、平成10年から従来の舗装から「高機能舗装」と呼ばれる舗装に切り替わったと説明しています。資料ごとの説明は、次のとおりです。

📊 高機能舗装の効果:資料ごとの説明(2026年10月確認)

資料 書かれていること
NEXCO西日本(よくあるご質問) 従来の舗装よりすき間が多く、雨水が舗装内部を流れるため、路面に水がたまらない。前走車の水はねや水けむりが少なくなり、滑りにくくなるなど走行安全性が向上する。すき間に音が吸収され、走行騒音が低減する(騒音の数値は示されていない)
名古屋高速道路公社(環境保全の取り組み) 一般的な舗装(密粒舗装)より路面に空隙が多く、タイヤと路面の摩擦音を舗装の中に逃がして騒音を減らす。一般的に約3dBの騒音低減効果があり、交通量が半減した場合と同様の効果。雨天時は雨水が舗装内に浸透し、ハイドロプレーニング現象や路面の照り返しを防止して、走行時の安全性も向上する
国土交通省道路局の資料(2015年6月) 「排水性舗装」を、空隙率が大きい透水層を通り抜けた雨水が不透水性の層の上を流れることで、雨天走行時の安全性向上と、道路交通騒音の減少の効果を持つ舗装として紹介(旧い資料のため、現行の基準ではなく、仕組みの説明として引用)

同じ「すき間のある舗装」でも、NEXCO西日本は「高機能舗装」、国土交通省の資料は「排水性舗装」と呼んでおり、書かれている効果も少しずつ違います。この記事では、資料ごとに、書かれていることだけを並べました。騒音の「約3dB」は名古屋高速道路公社の説明で、全国の道路すべてに当てはまる数字として確認できたわけではありません。

なお、名古屋高速道路公社の資料には、一般的な舗装では、タイヤの溝と舗装面の間にはさまれた空気の逃げ場がなく、圧縮された空気が解放されるときに膨張音(エアポンピング音)が出る、という説明もあります。高機能舗装では、舗装内のすき間に空気が逃げることで、この音が出にくくなる、とされています。

5. 路面に溝があっても、雨の日はタイヤの溝と速度が大事

溝のある路面も、すき間のある舗装も、雨の日の危険を減らすための工夫です。しかし、危険をなくすものではありません。JAF Mateの特集(2026年6月7日、モータージャーナリストの菰田潔さんの解説)は、ハイドロプレーニング現象が起きる条件を、「車速」「水深」「タイヤの溝の深さ」の3つと説明しています。路面の溝や舗装が助けになる場面があっても、ドライバー側の条件が残ります。

タイヤの溝の影響は、JAFのテストで数字になっています。JAFユーザーテスト「摩耗タイヤの検証」(2015年3月22日、GKNテストコース)の、時速100kmからの直線ブレーキの結果です。

JAFの摩耗タイヤのブレーキテスト(時速100km)
図:JAFユーザーテスト「摩耗タイヤの検証」の、時速100kmからの制動距離(直線・平均。自作のグラフ)。道路の溝や高機能舗装の効果を測ったものではありません

📊 時速100kmからの制動距離(JAFテスト、直線ブレーキ・平均)

タイヤの溝 かわいた路面 ぬれた路面
夏用タイヤ(10分山) 47.5m 47.6m
夏用タイヤ(5分山) 44.1m 50.8m
夏用タイヤ(2分山) 42.6m 70.5m
スタッドレスタイヤ(プラットホーム出現) 51.1m 72.2m

JAFは、このテストのまとめで、路面がぬれていると制動距離が伸びること、速度が上がるにつれてハイドロプレーニング現象も起きやすくなることから、高速走行時などはブレーキ操作に注意することを挙げています。このテストは、タイヤの溝の深さを比べたものです。道路の溝や高機能舗装の効果を測ったものではない点に注意してください。表のとおり、かわいた路面では溝の深さによる差は小さく(2分山は10分山より短い結果でした)、ぬれた路面で大きく開いています。

雨の日の基本:速度は控えめに。水しぶきなどで前が見えにくいときは、車間距離を広めに。JAF Mateの特集は、水たまりを見つけたら減速してできるだけ避けること、ハイドロプレーニング現象が起きたら、アクセルを戻して耐え、無理にハンドルを切らないことを挙げています。タイヤの溝の見方や交換の目安は、下の「あわせて読みたい」の記事で詳しく整理しています。

6. よくある質問

Q. 路面の溝は、どこの道路にもあるのですか?

A. いいえ。日本道路建設業協会の説明は、急勾配、交差点の手前、橋の上、急カーブなど、すべり抵抗性と排水性が求められる場所を適用箇所として挙げています。ただし、今回確認した資料では、設置場所の一律の基準は見つかりませんでした。溝の大きさや場所は、道路の管理者によって異なります。

Q. 横型の溝を走ると、ガタガタ音や振動がするのはなぜですか?

A. 日本道路建設業協会は、横型のグルービングは、走行時に発生する音と振動によって、ドライバーに合図や、居眠り運転・速度超過などの警告をすることができると説明しています。

Q. 縦の溝は、バイクや自転車だと危ないと聞きました。

A. 乗りものニュース(2024年1月7日)は、縦溝は二輪車では走行時にバランスを崩しやすく、「怖い」という声もあると紹介しています。ただし、これは報道による紹介で、今回確認した公的機関の資料では、二輪車への影響は確認できませんでした。二輪車や自転車で溝のある路面を通るときは、速度を落とし、急な操作を避けるのが無難です(JAF Mateの特集は四輪の運転解説ですが、雨の日は急な操作を避けるよう説明しています)。

Q. 高機能舗装なら、ハイドロプレーニング現象は起きませんか?

A. 「起きない」とは言えません。名古屋高速道路公社は、高機能舗装は雨水が舗装内に浸透し、ハイドロプレーニング現象などを防止すると説明していますが、JAF Mateの特集は、現象が起きる条件を、車速・水深・タイヤの溝の深さの3つと説明しています。舗装がすき間のあるものでも、速度や、タイヤの溝が浅いことなどの条件が重なれば、危険は残ると考えて走りましょう。

Q. 冬の路肩の溝は、何のためですか?

A. 国土交通省(中国地方整備局)の郡家国道維持出張所は、路肩の路面に溝を切ることで、路肩の雪解け水が道路面に流れ込むのを防ぎ、路面に水がなくなることで凍結を防ぐ工法だと説明しています。

まとめ

路面の溝(グルービング)は、舗装した路面にあとから溝を切って、水はけをよくし、すべりにくくする工法です。溝の向きで役目が違い、縦型は横すべりを防ぎ(カーブの多い路面など)、横型は制動距離を短くします(坂道や交差点の手前など)。冬の路肩には、雪解け水の流入と凍結を防ぐ溝もあります。溝のかわりに、舗装にすき間をつくる高機能舗装もあり、NEXCO西日本や名古屋高速道路公社は、水はねの減少や騒音の低減などの効果を挙げています。

ただし、溝や高機能舗装があっても、雨の日の危険がなくなるわけではありません。ハイドロプレーニング現象は、車速・水深・タイヤの溝の深さで決まります。雨の日は速度を控えめにして、水しぶきなどで前が見えにくいときは車間距離を広めにとり、タイヤの溝も定期的に確認しましょう。次に道路を走るときは、路面に細かい溝がないか、見てみてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。溝の寸法や使われる場所、舗装の種類は、道路や管理者によって異なります。資料の内容や基準は変わることがあるため、最新の内容や個別の判断は、各道路管理者などの公式情報でご確認ください(2026年10月時点)。

参考(公的機関・道路会社・業界団体・JAF): 国土交通省 道の相談室「「グルービング工法」とは何ですか?」/国土交通省 郡家国道維持出張所「凍結防止対策『グルービング』とは?」/日本道路建設業協会「グルービング工法」/国土技術政策総合研究所「国総研レポート2019」(空港舗装のグルービング)/NEXCO西日本 よくあるご質問(その他)/名古屋高速道路公社 環境保全の取り組み(沿道環境への対策)/国土交通省道路局「路面温度上昇抑制機能を有する舗装技術の効果検証計画(案)」(平成27年6月)/JAFユーザーテスト「摩耗タイヤの検証」/JAF Mate「雨の日の運転で注意すべきポイントとは?」/乗りものニュース「バイクだと「怖い?」道路に刻まれたレコード盤のような溝 なんのためにある?」(報道。二輪車への影響の紹介のみ)

図はすべて自作のイラスト・グラフです(AI生成なし)。実際の道路の溝や舗装の形は、場所によって異なります。

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