追越し車線を譲らない車、左から抜いていく車。どこからが違反なのか、道路交通法の条文と警察の公開情報で確認し直しました。この記事は、YouTubeの長尺動画「追越しと追抜きの違い」の内容を紹介しながら、動画で触れきれなかった条文の原文・数字の根拠・別の切り口の整理を加えたものです。
確認日は2026年10月24日です。道路交通法はe-Gov法令検索の現行版(2026年7月21日施行分)、施行令は2026年9月1日施行分を確認しました(未施行の改正予定は見つかりませんでした)。警察庁の「交通の方法に関する教則」は、2024年11月13日版のPDFで確認しています。その後に教則の改正(2026年4月1日施行分)があることが警察庁の通達に書かれており、追越しの項への影響までは確認できていません。最新版は警察庁のサイトでご確認ください。
📋 この記事の要点
✔ 「追越し」の定義(第2条第1項第21号)は、進路を変えて、追い付いた車両の側方を通過し、前方に出ること。「追抜き」という言葉は、道路交通法の条文には出てこない(警察庁の教則・神奈川県警察の説明で使われている)
✔ 神奈川県警察は、高速道路の追越し車線(第三通行帯)から一つ左の第二通行帯に移り、しばらく走ってから車線を変えずに前に出た例を「追抜き」で違反ではないとする一方、一連の動作の時間や距離が短いと左側追越し違反になると注意している(数字の基準は確認できなかった)
✔ 原則として、追越し車線を追越し以外で走り続けると通行帯違反(第20条)。普通車の反則金6,000円・違反点数1点。神奈川県警察はこれを高速道路の設問で説明していて、一般道では右折や障害物の回避などで右の車線を通る場合もある、とも書いている。追越しをするときは、いま通っている通行帯のすぐ右側の通行帯を通る
✔ 追いつかれた側の義務(第27条)は、追越しが終わるまで速度を増してはならないこと。車両通行帯のない道路で十分な余地がないときは、できる限り左側端に寄って進路を譲る(車両通行帯のある道路は第2項の対象外)。違反は6,000円・1点
✔ 左側からの追越し(第28条第1項)は追越し違反で9,000円・2点。ただし、他の車の通行を妨害する目的で危険のおそれのある方法でした場合は妨害運転(3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金・25点)
▶ YouTubeで見る(YouTube「くるまのかーぎーくん」)
1. 動画の内容(要約)
動画(約7分)は、3つのポイントで進みます。章の開始時刻は動画のチャプターと同じです。
📊 動画の流れ
| 時間 | 章 | 内容 |
|---|---|---|
| 00:00 | ポイントは3つ | 「追越し」と「追抜き」の違い/追越し車線を走り続けたときの通行帯違反/後ろから追いつかれたときの義務 |
| 00:27 | 1つ目: 追越しと追抜きの違い | 第2条第1項第21号の定義と、警察庁の教則の説明。「追抜き」は条文に出てこない |
| 01:15 | 神奈川県警察の例 | 高速道路の第三通行帯から左の第二通行帯に移ってから前に出た場合は「追抜き」。ただし一連の動作が短いと左側追越し違反 |
| 02:06 | 追抜きでも禁止される場所/追越しの方法 | 横断歩道・自転車横断帯の手前30m以内(追越しは第30条第3号、追抜きは第38条第3項)。第28条第1項(前車の右側を通行)と、追越し違反の9,000円・2点 |
| 02:42 | 2つ目: 追越し車線を走り続けると | 第20条第1項・第3項。二車線は左、三車線以上は最も右を追越し用に空ける。通行帯違反は6,000円・1点 |
| 04:11 | 3つ目: 追いつかれたときの義務 | 第27条第1項・第2項。法定の最高速度。車両通行帯のない道路では左に寄って進路を譲る |
| 05:39 | 譲らない車に腹が立っても | 妨害運転の要件と罰則 |
| 06:14 | まとめ | 3つのポイントの確認 |

2. 動画で触れきれなかった補足(条文の原文・数字の根拠)
追越しの定義と、警察庁の教則の説明
📜 道路交通法 第2条第1項第21号(追越し)
車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう。
📜 交通の方法に関する教則(警察庁サイトで公開) 第6節1(1)
追越しとは、車が進路を変えて、進行中の前の車の前方に出ることをいいます。(続けて「追越しは、進路を変え、加速した上で再び進路を戻すという複雑な運転操作を必要とします。」と書かれています)
道路交通法の本則・附則を機械検索すると、「追抜き」「追い抜き」という言葉は1件も出てきません(2026年10月24日確認)。一方、警察庁の教則と警察庁の「横断歩道は歩行者優先です」のページには「ほかの車を追い越したり、追い抜いたりしてはいけません」とあり、追越しと追抜きを並べて書いています。第38条第3項の条文は、横断歩道等の手前30m以内で「側方を通過してその前方に出てはならない」と書き、「追越し」という語を使わない書き方です。
神奈川県警察の説明(追抜きの例と、一連の動作が短い場合)
神奈川県警察の「妨害運転、ダメ!絶対!!」(2023年7月25日更新)の問4は、高速道路の第三通行帯(いちばん右)を走っていて、前の車が遅いので左の第二通行帯に車線変更し、しばらく走って様子を見たあと、車線を変えずに第三通行帯の車の前に出た、という例です。回答は「違反には当たらない」で、理由を次のように説明しています。
📜 神奈川県警察 問4の回答(抜粋)
問4のドライバーが左側車線に車線変更したのは、前車を追い越すことができないために走行車線に戻ったのであって、前車を追い越すためではありません。 その後、しばらくの間走行車線での走行を続けたうえで車線変更することなく第三通行帯を走行中の車両の前に出ているので、これは、追い越しではなく「追い抜き」となり、違反ではありません。
📜 同ページの注意(原文)
ただし、追い越しに一連の動作が完了するまでにかかった時間や距離が短い場合は、運転者が「追越しではなく追い抜きだ」と申し立てたとしても、左側追い越し違反となりますので、十分注意してください。

追越しの方法(第28条)と、追越しの手順(教則)
📜 道路交通法 第28条第1項
車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両(以下この節において「前車」という。)の右側を通行しなければならない。
📜 同 第28条第2項(大意)
前車が、道路外へ出るための右折(第25条第2項)や右折(第34条第2項・第4項)のため道路の中央又は右側端に寄って通行しているときは、第1項にかかわらず、その左側を通行しなければならない。
📜 同 第28条第4項(大意)
追越しをしようとする車両は、反対の方向又は後方からの交通及び前車の前方の交通にも十分に注意し、前車の速度及び進路並びに道路の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。
📊 教則が示す追越しの運転手順(第6節3。要点)
| 順 | 手順(教則の記載の要点) |
|---|---|
| 1 | 追越し禁止の場所でないことを確かめる |
| 2 | 前方の安全を確かめるとともに、バックミラーなどで右側や右斜め後方の安全を確かめる |
| 3 | 右側の方向指示器を出す |
| 4 | 約3秒後、最高速度の制限内で加速しながら進路を緩やかに右にとり、前の車の右側を安全な間隔を保ちながら通過する |
| 5 | 左側の方向指示器を出す |
| 6 | 追い越した車がルームミラーで見えるくらいの距離までそのまま進み、進路を緩やかに左にとる |
| 7 | 合図をやめる |
追越しが禁止される場所(第30条)・二重追越し(第29条)・追抜きも禁止される場所(第38条第3項)
| 規定 | 内容(大意) |
|---|---|
| 第30条 | 道路標識等により追越しが禁止されている道路の部分のほか、(1)道路の曲がり角付近・上り坂の頂上付近・勾配の急な下り坂 (2)トンネル(車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る) (3)交差点(優先道路を通行している場合の交差点を除く)・踏切・横断歩道・自転車横断帯と、これらの手前の側端から前に30m以内の部分では、他の車両を追い越すため進路を変え、又は前車の側方を通過してはならない |
| 第29条 | 前車が他の自動車又はトロリーバスを追い越そうとしているときは、追越しを始めてはならない(二重追越しの禁止) |
| 第38条第3項 | 横断歩道等及びその手前の側端から前に30m以内の道路の部分では、「第30条第3号の規定に該当する場合のほか」、前方を進行している他の車両等の側方を通過してその前方に出てはならない(追越しの禁止そのものは第30条第3号。第38条第3項は、側方を通過して前に出る追抜きなども含む書き方) |
通行帯の原則(第20条)の原文と、施行令の通行方法
📜 道路交通法 第20条第1項
車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によつて指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。
📜 同 第20条第3項
車両は、追越しをするとき、第十八条第四項、第二十五条第一項若しくは第二項、第三十四条第一項から第五項まで若しくは第三十五条の二の規定により道路の左側端、中央若しくは右側端に寄るとき、第三十五条第一項の規定に従い通行するとき、第二十六条の二第三項の規定によりその通行している車両通行帯をそのまま通行するとき、第四十条第二項の規定により一時進路を譲るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、前二項の規定によらないことができる。この場合において、追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない。
📜 道路交通法施行令 第9条(三以上の車両通行帯が設けられている場合の通行方法)
法第二十条第一項ただし書の規定による自動車の通行方法は、法第二十二条第一項の規定により当該道路において定められている自動車の最高速度より著しくおそい速度で通行し、このため他の自動車の通行を妨げることとなる場合を除き、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)の最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行するものとする。
📜 警察庁の教則(左寄り通行の項)
同一の方向に二つの車両通行帯があるときは、左側の車両通行帯を通行しなければなりません。また、三つ以上の車両通行帯があるときは、最も右側の車両通行帯は追越しのために空けておき、それ以外の車両通行帯を通行することができます。
📜 警察庁の教則(第6節2(3))
車両通行帯のある道路で、最も右側の車両通行帯を通行して追越しをする場合は、追越しが終わつたときは、速やかにそれ以外の車両通行帯に戻らなければなりません。

第20条第3項の例外のうち「道路の状況その他の事情によりやむを得ないとき」に当たる場面を、数字で決めた基準は条文にありません。どの場面が当たるかは、個別の状況で警察が判断します。神奈川県警察は、一般道では右折や路外施設への進入、駐車車両などの障害物を避けるときに最も右の車線を通る場合があるとしたうえで、高速自動車国道等では前車を追い越すとき以外に最も右の車線を通る必要がないため、最も右の車線を走り続ける車両には積極的に指導取締りを行っていると説明しています(同ページ問1の回答)。
追いつかれた車両の義務(第27条)の原文と、「最高速度」の意味
📜 道路交通法 第27条第1項
車両(道路運送法第九条第一項に規定する一般乗合旅客自動車運送事業者による同法第五条第一項第三号に規定する路線定期運行又は同法第三条第二号に掲げる特定旅客自動車運送事業の用に供する自動車(以下「乗合自動車」という。)及びトロリーバスを除く。)は、第二十二条第一項の規定に基づく政令で定める最高速度(以下この条において「最高速度」という。)が高い車両に追いつかれたときは、その追いついた車両が当該車両の追越しを終わるまで速度を増してはならない。最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。
📜 同 第27条第2項(前半を引用)
車両(乗合自動車及びトロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、最高速度が高い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路の右側端。以下この項において同じ。)との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合においては、第十八条第一項の規定にかかわらず、できる限り道路の左側端に寄つてこれに進路を譲らなければならない。
第2項の後半は、最高速度が同じか低い車両に追いつかれ、十分な余地がなく、追いついた車両より遅い速度で進み続けようとするときも同様、と書いています。「車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き」とあるため、第2項(左に寄って進路を譲る義務)は車両通行帯のある道路には及びません。一方、警察庁の教則(第6節2(4))は、次のように書いています。
📜 警察庁の教則 第6節2(4)
追い越されるときは、追越しが終わるまで速度を上げてはいけません。また、追越しに十分な余地のない場合は、できるだけ左に寄り進路を譲らなければなりません。
教則の文は、道路が車両通行帯のある道路かどうかを分けて書いていません。条文(第2項)と教則の言い回しの違いは、「通行帯のある道路では、追越し車線を走り続けない(第20条)ことで、追いついた車に道が空く」と整理すると分かりやすくなります(この整理は記事の筆者の読み方で、公的な解釈ではありません)。警察庁交通局の資料「誤りです!高速道路のこんな認識・走り方」にも、追越しを始められたら追越しが終わるまで加速してはいけない、追越車線は追越しが終わったら速やかに走行車線に戻る、という案内があります。
📊 第27条の「最高速度」=政令で定める最高速度(標識で指定された速度ではない)
| 道路 | 区分 | 最高速度 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 一般道路(高速自動車国道の本線車道等以外) | 自動車。高速自動車国道の本線車道以外の部分・自動車専用道路・中央線又は車両通行帯のある一般道路・往復の方向別に分離された一般道路 | 60km/h | 施行令第11条第1項第1号 |
| 同上 | 自動車。上の道路以外の一般道路 | 30km/h | 施行令第11条第1項第2号 |
| 高速自動車国道の本線車道等 | 普通自動車・準中型自動車・大型自動二輪車・普通自動二輪車など(三輪・けん引の一部を除く)。大型自動車のうち専ら人を運搬する構造のもの等 | 100km/h | 施行令第27条第1項第1号 |
| 同上 | 大型自動車のうち前記以外のもの(大型トラックなど)・中型自動車のうち前記以外のもの | 90km/h | 同第2号 |
| 同上 | 前の2つ以外の自動車 | 80km/h | 同第3号 |
上の表は区分を要約したもので、細かい条件(三輪・けん引など)は施行令の原文で確認してください。けん引中などの特例は施行令第12条にあります。第27条の「高いか低いか」は、それぞれの車両に法令が定める最高速度で比べるため、たとえば高速自動車国道の本線車道では、普通自動車(100km/h)に追いつかれた大型トラック(90km/h)は「最高速度が高い車両に追いつかれた」側にあたります(条文からの読み取り)。

違反の種別の範囲と、反則金の一覧(警視庁)
施行令の別表第二の備考は、違反の種別を次のように定めています。
| 種別の名前 | 当たる条文(施行令別表第二 備考) |
|---|---|
| 追越し違反 | 法第28条から第30条までの規定の違反となるような行為 |
| 通行帯違反 | 法第20条の規定の違反となるような行為 |
| 追い付かれた車両の義務違反 | 法第27条の規定の違反となるような行為 |
| 進路変更禁止違反 | 法第26条の2第2項又は第3項の規定の違反となるような行為 |
📊 反則金の額(単位:円。警視庁「反則行為の種類及び反則金一覧表」更新日2026年4月1日)
| 種別 | 点数 | 大型車 | 普通車 | 二輪車 | 小型特殊車 | 原付車 | 軽車両 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 追越し違反 | 2点 | 12,000 | 9,000 | 7,000 | 6,000 | 6,000 | 6,000 |
| 通行帯違反 | 1点 | 7,000 | 6,000 | 6,000 | 5,000 | 5,000 | 5,000 |
| 追いつかれた車両の義務違反 | 1点 | 7,000 | 6,000 | 6,000 | 5,000 | 5,000 | 5,000 |
「普通車」は警視庁の区分で、普通自動車・軽自動車(二輪車を除く)・ミニカーのことです。点数は警視庁「交通違反の点数」(更新日2026年4月1日)で確認しました。反則金は、反則者に通告される額で、通告を受けた日の翌日から起算して10日以内に納めると、その行為について公訴を提起されません(道路交通法第128条)。無免許の人や、その反則行為をして交通事故を起こした人などは「反則者」から除かれ、反則金の手続きの対象外です(第125条第2項)。

3. 違った観点から整理する
(1)場面別の判定表:追越しか、追抜きか、違反か
条文の定義と、警察の公開情報で確認できた範囲だけで、場面ごとに整理しました。数字の基準が確認できない点は、備考欄にその旨を書いています。
| 場面 | 定義の「追越し」か | 関係する条文・警察の説明 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 右の車線へ進路を変えて前の車の前に出て、元の車線へ戻る | 当たる | 第2条第1項第21号。第28条第1項(前車の右側を通行)。第20条第3項(いまの通行帯の直近の右側の通行帯を通る) | 右側の通行帯を使った追越しが終わったら速やかに戻る(教則) |
| 自分の車線を変えずに、隣の遅い車線の車の前に出る | 当たらない(進路を変えない) | 第2条第1項第21号の定義。神奈川県警察は、車線変更せずに前に出た例を「追抜き」とする | 横断歩道・自転車横断帯の手前30m以内は追越しも追抜きも禁止 |
| 右の車線で前が遅いので左へ移り、移ってすぐ前に出る | 追越しとして扱われうる | 神奈川県警察: 一連の動作にかかった時間や距離が短い場合は、追抜きと申し立てても左側追越し違反 | 神奈川県警察の例ではなく、筆者が「一連の動作が短い」場合として置いた場面。秒数・距離の基準は確認できなかった |
| 右の車線で前が遅いので左へ移り、しばらく走って様子を見たうえで、車線を変えずに前に出る(高速道路の第三通行帯の例) | 当たらない(神奈川県警察の例) | 神奈川県警察の問4: 追越しではなく「追抜き」で、違反ではない | 左に移った理由が「前の車を追い越すため」でないこと |
| 前の車が右折のため道路の中央に寄っている | 追越しをするなら左側を通る | 第28条第2項(第25条第2項・第34条第2項・第4項) | 教則にも同様の記載 |
| 横断歩道・自転車横断帯とその手前30m以内 | 追越しも追抜きも禁止 | 追越し=第30条第3号。追抜き(側方を通過して前に出る)=第38条第3項、警察庁「横断歩道は歩行者優先です」 | |
| 前の車が他の自動車を追い越そうとしている | 追越しを始めてはならない | 第29条(二重追越しの禁止) | |
| 追越し車線を追越し以外で走り続ける | 追越しではない(通行帯の問題) | 第20条。神奈川県警察は「通行帯違反」と説明 | 第3項の例外(やむを得ないとき等)の線引きは条文に数字がない |
(2)立場別:まず何を確認するか
| 立場 | まず確認すること | 根拠 |
|---|---|---|
| 後ろから速い車に追いつかれた側 | (1)追越しをされている間は加速しない (2)車両通行帯のない道路で十分な余地がなければ、できる限り左側端に寄って進路を譲る (3)原則として、追越し以外で追越し車線を走り続けていないか | 第27条第1項・第2項、第20条、教則第6節2(3)(4) |
| 追い越す側 | (1)前車の右側を通る(前車が右折のため中央に寄っているときは左側) (2)後方・前方・反対方向の安全に注意 (3)二重追越し・追越し禁止の場所でないこと (4)最も右の車線で追越しをしたら、終わったら速やかにほかの車線へ戻る | 第28条、第29条、第30条、教則第6節 |
| 三車線以上の道路で、中央の通行帯を走る人 | 最も右以外の通行帯は通行できる。ただし施行令第9条は、法定の最高速度より著しくおそい速度で通行し他の自動車の通行を妨げることとなる場合を、この通行方法から除いている(警察庁の資料は、トレーラ・大型貨物自動車など最高速度の低い車両は最も左側の通行帯を通行するよう案内) | 第20条第1項ただし書、施行令第9条、警察庁交通局の資料 |
(3)「やらなかったらどうなるか」:違反の重さの比べ方
同じ「違反」でも、反則金で済む軽い反則行為と、刑事罰の上限が重い行為では扱いが大きく違います。条文に書かれた罰則の上限と、反則金・点数を並べました。
| 行為 | 反則金(普通車)・点数 | 罰則の上限(法定刑) | 条文 |
|---|---|---|---|
| 追越し車線を追越し以外で走り続ける(通行帯違反) | 6,000円・1点 | 5万円以下の罰金 | 第20条、第120条第1項第3号 |
| 追いつかれたのに加速する(追い付かれた車両の義務違反) | 6,000円・1点 | 5万円以下の罰金 | 第27条、第120条第1項第2号 |
| 前車の左側から追越し(追越し方法の違反) | 9,000円・2点(追越し違反) | 3月以下の拘禁刑又は5万円以下の罰金 | 第28条、第119条第1項第6号 |
| 追越し禁止場所での追越し | 9,000円・2点(追越し違反) | 3月以下の拘禁刑又は5万円以下の罰金 | 第30条、第119条第1項第5号 |
| 妨害運転(交通の危険のおそれ。第28条第1項違反などの行為を、通行を妨害する目的で、危険のおそれのある方法でする) | 25点(施行令別表第二) | 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 | 第117条の2の2第1項第8号 |
反則金は、反則金の手続きの対象となる反則行為について、納めれば公訴を提起されないしくみです。納めない場合や、反則者から除かれる場合は、罰則の上限が表のとおり適用されうる、というのが条文の構造です(実際の処理は事案ごとに異なります)。
(4)よくある言い方を、条文と警察の情報で確かめる
| よくある言い方 | 確認結果 | 根拠 |
|---|---|---|
| 制限速度を守っていれば、追越し車線を走り続けてもよい | 神奈川県警察は、高速道路の設問で「正しくない」と回答(追越し車線を走り続けると通行帯違反)。同ページは、一般道では右折や障害物の回避などで右の車線を通る場合もあり、直ちに「正しい運転ではない」とはいえない、とも説明している | 神奈川県警察 問1。第20条第1項・第3項 |
| 後ろに速い車が来たら、必ず道を譲らなければならない | 条文は「必ず譲る」とは書いていない。第1項は追越しが終わるまで速度を増さないこと。第2項の「左に寄って進路を譲る」は、車両通行帯のない道路で十分な余地がないとき | 第27条第1項・第2項 |
| 左から抜くのは、すべて違反 | 前車を追い越す(進路を変えて前に出る)場合は前車の右側を通る。進路を変えずに前に出る追抜きは、定義の追越しに当たらない(神奈川県警察の例)。ただし一連の動作が短いと左側追越し | 第28条第1項、第2条第1項第21号、神奈川県警察 |
| 追越しかどうかは、抜く前に進路変更したかで決まる | 定義は「進路を変えて、側方を通過し、前方に出る」。神奈川県警察は追越しのための一連の動作かどうかを、時間や距離も含めて見る、と説明している(確認できたのは同県警察のみ。数字の基準は確認できず) | 第2条第1項第21号、神奈川県警察 |
| 「追抜き」は法律で定義されている | 道路交通法の本則・附則に、この言葉は出てこない | e-Gov法令検索で確認(2026年10月24日) |
| 追抜きなら、どこでもしてよい | 横断歩道・自転車横断帯とその手前30m以内は、追越しも追抜きも禁止 | 追越し=第30条第3号、追抜き=第38条第3項、警察庁 |
よくある質問
まとめ
(1)「追越し」は、条文では進路を変えて、追い付いた車両の側方を通過し、前方に出ることです。「追抜き」は条文に出てこない言葉で、神奈川県警察の説明では進路を変えずに前に出る場合に使われます。ただし、同県警察は一連の動作が短い場合は左側追越し違反になると注意しており、数字の基準は確認できませんでした。(2)原則として、追越し車線を追越し以外で走り続けると通行帯違反(普通車6,000円・1点)。最も右の車線で追越しをしたら、終わったら速やかにほかの車線へ戻ります。(3)追いつかれたら、追越しが終わるまで速度を増さない(第27条第1項)。車両通行帯のない道路で余地がなければ左に寄って進路を譲る(第2項)。
迷ったときは、条文と警察の公式の案内で確かめる。それが、いちばん確実な判断材料です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。ある運転が追越しにあたるか、「やむを得ない」場合にあたるかは、道路・交通の状況によって個別に判断されます。法令・反則金・点数は改正されることがあります(確認日: 2026年10月24日)。実際の違反の取り扱いは、警察などの公式の案内にご確認ください。
参考(一次情報・警察庁・警察): e-Gov法令検索 道路交通法(第2条・第20条・第22条・第26条・第27条・第28条〜第30条・第38条・第117条の2の2・第119条・第120条・第125条・第128条・別表第二)/同 道路交通法施行令(第9条・第11条・第12条・第27条・別表第二・別表第六)/警察庁 交通の方法に関する教則(PDF。2024年11月13日版を確認)/警察庁 横断歩道は歩行者優先です/警察庁交通局 誤りです!高速道路のこんな認識・走り方(PDF)/神奈川県警察 妨害運転、ダメ!絶対!!(2023年7月25日更新)/警視庁 交通違反の点数(更新日2026年4月1日)/警視庁 反則行為の種類及び反則金一覧表(更新日2026年4月1日)
図はすべて自作のイラストです(AI生成なし)。車の形・車線の数・位置は模式図で、実際の道路や車両とは異なります。


コメント