自動車保険の「等級」は、保険料を左右する大きな要素ですが、仕組みを言葉で説明されても、実際にいくら変わるのかはイメージしにくいものです。この記事では、等級の基本の考え方を確認しながら、等級ごとの割引率の数字、事故の種類による等級の動き、そして「事故有係数」が保険料に与える影響の計算例を紹介します。制度のくわしい解説は、当サイトの既存の2記事にまとめているため、こちらは「数字の具体例と考え方」を中心にしています。
📋 この記事の要点
✔ 等級は1〜20等級。新たに契約する場合は原則6等級(S)から(損保ジャパンの公式ページ)
✔ 7等級以上は、同じ等級でも「無事故」と「事故有」で割引率が異なる(20等級は、無事故63%割引・事故有51%割引)
✔ 3等級ダウン事故は翌年3等級ダウン・事故有係数3年、1等級ダウン事故は1等級ダウン・事故有係数1年、ノーカウント事故は等級が下がらず翌年1等級上がる
✔ 割引前の保険料を10万円と仮定した簡易計算では、20等級で3等級ダウン事故を起こすと、3年間で約49,000円の増加(損保ジャパンの割増引率表による試算)
✔ 割増引率は保険会社ごとに異なる。この記事の数字は、あくまで一社の公式表を使った例
動画でも解説しています。(YouTube「くるまのかーぎーくん」)
📑 目次
1. 等級制度の基本ルール(おさらい)
等級制度は、正式には「ノンフリート等級別料率制度」といいます。所有・使用する自動車の総契約台数が9台以下の契約に適用され、1等級〜20等級の区分と「事故有係数適用期間」によって、保険料が割引・割増される仕組みです(損保ジャパンの公式ページの説明)。
📊 等級のルールの要点
| 項目 | ルール(損保ジャパンの公式ページ) |
|---|---|
| 等級の範囲 | 1等級〜20等級。数字が大きいほど割引率が大きい |
| 新規契約の等級 | 6(S)等級から始まる。事故有係数適用期間は0年 |
| 複数所有の新規契約 | 11等級以上の契約に既に加入している人が、2台目以降を新たに契約し、一定の条件を満たす場合は、7(S)等級から始まる |
| 1年間無事故 | 翌年の等級に「1」を加える |
| 3等級ダウン事故 | 事故1件につき「3」を引く。事故有係数適用期間は「3年」を加える |
| 1等級ダウン事故 | 事故1件につき「1」を引く。事故有係数適用期間は「1年」を加える |
| ノーカウント事故 | 事故の件数に数えない。翌年は1等級上がる |
| 事故有係数適用期間 | 0年なら「無事故」、1〜6年なら「事故有」の割増引率を適用。上限6年・下限0年 |
📌 仕組みの基本は、既存記事へ
等級の考え方の基本は、当サイトの「自動車保険の「等級」とは?」と「任意保険の等級制度とは?」でも解説しています。この記事は、それらの記事を読んだうえで、数字をもとに理解を深めるための内容です。
2. 等級ごとの割引率(数字で見る)
継続して契約する場合の割増引率は、損保ジャパンの公式ページに表として掲載されています(2026年7月1日以降に始まる契約の概要として掲載)。1〜6等級は、無事故・事故有の区分がなく、7等級以上で区分が分かれます。
📊 継続契約の割増引率(損保ジャパン「THE クルマの保険」の公式ページより。他社では異なる)
| 等級 | 無事故 | 事故有 |
|---|---|---|
| 1 | 108%割増 | (区分なし) |
| 2 | 63%割増 | (区分なし) |
| 3 | 38%割増 | (区分なし) |
| 4 | 7%割増 | (区分なし) |
| 5 | 2%割引 | (区分なし) |
| 6(F) | 13%割引 | (区分なし) |
| 7(F) | 27%割引 | 14%割引 |
| 8 | 38%割引 | 15%割引 |
| 9 | 44%割引 | 18%割引 |
| 10 | 46%割引 | 19%割引 |
| 11 | 48%割引 | 20%割引 |
| 12 | 50%割引 | 22%割引 |
| 13 | 51%割引 | 24%割引 |
| 14 | 52%割引 | 25%割引 |
| 15 | 53%割引 | 28%割引 |
| 16 | 54%割引 | 32%割引 |
| 17 | 55%割引 | 44%割引 |
| 18 | 56%割引 | 46%割引 |
| 19 | 57%割引 | 50%割引 |
| 20 | 63%割引 | 51%割引 |
⚠️ この表は損保ジャパンの例です
割増引率は保険会社ごとに異なり、将来変更されることもあります。損保ジャパンの公式ページにも、割増引率は将来変更となる場合がある旨や、一部の補償には割増引率が適用されない旨が記載されています。自分の契約の割引率は、保険証券や保険会社のマイページで確認してください。
この表を見ると、たとえば20等級の無事故は63%割引ですが、事故有だと51%割引です。同じ20等級でも、事故有係数が残っているかどうかで、支払う保険料の割合が大きく変わることが分かります。
3. 事故の種類と、等級・事故有係数の動き
保険を使った事故は、内容によって3種類に分けられます。損保ジャパンの公式ページでの分類は次のとおりです。
📊 事故の種類ごとの扱い
| 事故の種類 | 該当する例(損保ジャパンの公式ページ) | 翌年の等級 | 事故有係数適用期間 |
|---|---|---|---|
| 3等級ダウン事故 | ノーカウント事故・1等級ダウン事故に該当しない事故 | 3等級下がる | 3年を加える |
| 1等級ダウン事故 | いたずらや盗難、飛び石により車両保険のみが支払われる事故、故障運搬時車両損害特約の事故 など | 1等級下がる | 1年を加える |
| ノーカウント事故 | 人身傷害保険事故、弁護士費用特約事故、ロードアシスタンス特約事故、個人賠償責任特約事故、ファミリーバイク特約事故、代車費用特約事故 など | 下がらない(翌年は1等級上がる) | 加算されない |
※表は横にスクロールできます
事故有係数適用期間は、前の契約の期間から1年を引いたうえで、3等級ダウン事故なら1件につき3年、1等級ダウン事故なら1件につき1年を加えて決まります(上限6年)。
🧭 事故があった場合の計算の流れ(例)
前の契約の等級を確認する
例として、現在17等級・事故有係数適用期間0年とします。
事故の件数と種類を数える
例として、3等級ダウン事故が1件、1等級ダウン事故が1件あったとします。
翌年の等級を計算する
17から3と1を引いて、13等級になります(損保の公式解説にも同様の計算例があります)。
事故有係数適用期間を計算する
前の期間が0年なので、3年+1年で、4年になります。
割増引率の表を見る
13等級・事故有の場合は24%割引です(損保ジャパンの表の場合)。同じ13等級の無事故は51%割引なので、差は大きくなります。
4. 事故有係数の影響を、金額の目安で考える
ここでは、割増引率の表を使って、事故有係数が保険料にどれくらい影響するかを簡易的に計算してみます。割引前の保険料を10万円と仮定し、他の条件(補償内容・年齢・車の型式など)は変わらないものとします。
📊 20等級の人が、3等級ダウン事故を起こした場合の計算例(簡易計算)
| 契約年度 | 事故を起こした場合 | 支払う保険料 | 事故なしの場合(20等級・無事故) | 差額 |
|---|---|---|---|---|
| 1年目 | 17等級・事故有(44%割引) | 56,000円 | 37,000円(63%割引) | 19,000円 |
| 2年目 | 18等級・事故有(46%割引) | 54,000円 | 37,000円 | 17,000円 |
| 3年目 | 19等級・事故有(50%割引) | 50,000円 | 37,000円 | 13,000円 |
| 4年目 | 20等級・無事故(63%割引) | 37,000円 | 37,000円 | 0円 |
※表は横にスクロールできます
📊 事故前の等級ごとの保険料の増加額の目安(割引前の保険料を10万円と仮定)
| 事故前の等級(無事故) | 3等級ダウン事故:3年間の増加額の目安 | 1等級ダウン事故:3年間の増加額の目安 |
|---|---|---|
| 20等級 | 約49,000円 | 約13,000円 |
| 15等級 | 約94,000円 | 約33,000円 |
| 10等級 | 約102,000円 | 約37,000円 |
⚠️ あくまで簡易計算の目安です
この計算は、損保ジャパンの割増引率表をそのまま使い、割引前の保険料を10万円、毎年の料率改定や他の割引(ゴールド免許割引など)は考えない、という仮定で作った例です。実際は一部の補償に割増引率が適用されないことや、等級が元の水準に戻るまで差が続くことなどから、金額は変わります。特に等級が低い人は、3年を過ぎても差が残るため、増加額はこの表より大きくなる場合があります。
💡 割引前の保険料は、保険会社に確認できます
実際の増加額は、「割引前の保険料 × 差(割引率の違い)」で概算できます。ただし、正確な試算は、契約している保険会社や代理店に「保険を使った場合と使わない場合の、翌年以降の保険料」を出してもらうのが確実です。
5. 等級の引き継ぎと、注意したいポイント
📊 等級を引き継げなくなる場合などの例
| 場面 | 公式ページの説明(損保ジャパン) |
|---|---|
| 配偶者・同居の親族への引き継ぎ | 記名被保険者を、配偶者、または記名被保険者・配偶者の同居の親族以外の人に変更する場合は、原則として7等級以上を引き継げなくなる |
| 別居の未婚の子どもの車など | 別居の未婚の子どもが所有する自動車などに変更する場合は、原則として7〜20等級を引き継げなくなる |
| 継続の期限 | 前の契約の満期日(または解約日)の翌日から7日以内に継続しない場合は、原則として7〜20等級を引き継げなくなる |
| 契約の中断(廃車・車検切れなど) | 契約者の請求で「中断証明書」を発行できる。原則として、中断日の翌日から13か月以内に請求が必要 |
| 保険会社からの解除 | 前の契約が保険会社の意思表示で解除された場合は、7等級以上を引き継げない |
他社からの乗り換えでも、一定の条件を満たせば、等級と事故有係数適用期間を引き継げます(東京海上日動の公式FAQの説明)。ただし、引き継ぎの条件や書類は会社ごとに異なるため、乗り換えを検討するときは、新しい会社に確認しておきましょう。
📝 等級を守るために、チェックしておきたいこと
☑️ 現在の等級と、事故有係数適用期間(「事故有期間」と表示されることがある)を保険証券で確認した
☑️ 保険を使う前に、翌年以降の保険料の試算を、保険会社・代理店に頼んだ
☑️ 乗り換えの場合、満期日の翌日から7日以内に新しい契約を始める予定になっている
☑️ 車を手放して保険を中断する場合、中断証明書の請求期限(13か月以内)を確認した
☑️ 家族への等級の引き継ぎを考えている場合、続柄・同居の条件を確認した
6. よくある質問
📚 あわせて読みたい
▶ 自動車保険の「等級」とは?保険料が決まる仕組みをわかりやすく解説
▶ 任意保険の等級制度とは?仕組みと事故時の等級ダウンを解説
まとめ
自動車保険の等級は1〜20等級で、7等級以上は「無事故」と「事故有」で割引率が分かれます。事故の種類によって等級の下がり方と事故有係数の期間が変わり、たとえば割引前の保険料を10万円と仮定した簡易計算では、20等級の人が3等級ダウン事故を起こすと、3年間で約49,000円の増加になります。実際の金額は保険会社や契約内容で異なるため、保険を使うかどうか迷うときは、翌年以降の保険料の試算を保険会社・代理店に頼んで比べるのが確実です。
※本記事は、損保ジャパン・東京海上日動・おとなの自動車保険など各社の公式ページの内容をもとにした一般的な情報です(2026年9月25日確認)。割増引率・事故の分類・引き継ぎの条件は保険会社や契約時期で異なり、変更されることがあります。個別の判断は、ご契約の保険会社・代理店にご確認ください。金額の計算例は仮定に基づく簡易計算で、実際の保険料を示すものではありません。
アイキャッチ画像: A car accident in Tokyo by Shuets Udono, CC BY-SA 2.0


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