後部座席のシートベルトは、運転席・助手席と同じように、全ての座席・全ての道路で着用が義務です。ところが、警察庁とJAFが2025年10月から11月に行った全国調査では、後部座席の着用率は一般道路で45.8%、高速道路等で79.9%にとどまりました。この記事では、調査結果、法律上のルール、非着用の危険性を、警察庁とJAFの公表内容に沿って整理します。
📋 この記事の要点
✔ 警察庁・JAF合同調査(2025年10月6日〜11月7日、全国885カ所)。後部座席の着用率は一般道路45.8%(前年比+0.3ポイント)、高速道路等79.9%(同+0.2ポイント)
✔ 運転席・助手席の着用率はいずれも96%超(警察庁)。後部座席だけが低い状況が続いている
✔ 後部座席のシートベルト着用は全ての道路で義務。高速道路等での違反は運転者に基礎点数1点、一般道路では点数は付かない(警察庁)
✔ 後部座席で非着用の場合の致死率は、着用時の高速道路で約13.9倍、一般道路で約2.8倍(警察庁)
✔ 後席の人が前に投げ出されると、前席の人が被害を受けるおそれもある
動画でも解説しています。(YouTube「くるまのかーぎーくん」)
📑 目次
1. 調査で分かった着用率
警察庁とJAF(日本自動車連盟)は毎年、シートベルト着用状況の全国調査を合同で行っています。JAFが2026年2月16日に公表した最新の結果は、次のとおりです。
📊 座席別のシートベルト着用率(2025年調査)
| 座席 | 一般道路 | 高速道路等 |
|---|---|---|
| 運転席 | 99.1% | 99.6% |
| 助手席 | 96%超(警察庁の表記) | 96%超(警察庁の表記) |
| 後部座席 | 45.8%(前年比+0.3ポイント) | 79.9%(前年比+0.2ポイント) |
📊 調査の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査主体 | 警察庁・JAF合同 |
| 調査期間 | 2025年10月6日〜11月7日 |
| 調査場所 | 全国885カ所 |
| 結果の公表 | 2026年2月16日(JAF) |
| JAFの指摘 | 後部座席の着用率は半数にも満たない低い状況が続いている |
📌 補足
一般道路の後部座席の着用率45.8%は、100%から引くと、およそ5割強の人が着用していない計算になります。前年比の伸びは+0.3ポイントで、着用率はほとんど動いていません。
調査は着用率の実態を示すもので、着用が進まない理由までは調べていません。この記事では理由を断定せず、警察庁が示している法律上のルールと危険性を中心にまとめます。
2. 後部座席の着用義務と、違反になる場合
⚖️ 根拠となる制度
道路交通法第71条の3は、自動車の運転者に、自分がシートベルトを着用するだけでなく、座席ベルトを着用していない人を運転者席以外に乗せて運転しないことを求めています(病気などやむを得ない理由がある場合などを除く)。警察庁は、後部座席でのシートベルト着用は全ての道路で義務であると案内しています。
📊 着用義務と違反点数のまとめ
| 項目 | 内容(警察庁の案内) |
|---|---|
| 着用義務 | 運転席・助手席・後部座席を含む全ての座席が対象。運転者は同乗者にも着用させる(道路交通法第71条の3) |
| 高速道路等(高速自動車国道・自動車専用道路) | 後部座席の着用義務違反は、運転者に行政処分の基礎点数1点が付される |
| 一般道路 | 着用は義務。警察庁の案内では、点数の付く違反として示されているのは高速道路等の後部座席 |
| 例外 | 病気などやむを得ない理由がある場合は例外。6歳未満の子ども、または6歳以上でも体格などの事情でシートベルトを適切に着用できない子どもは、チャイルドシートを使用する |
⚠️ 点数が付かなくても義務は義務です
一般道路の後部座席で点数が付かないのは、着用しなくてよいという意味ではありません。警察庁は、後部座席の着用は全ての道路で義務であると明記しています。
📌 タクシー・ハイヤーの場合
警察庁の案内は「全ての座席」でシートベルトを着用するよう求めており、タクシーだけを例外とする記載はありません。ただし、法令上の例外の細かな扱いは、道路交通法施行令などで定められています。個別の疑問は、都道府県警察の窓口へ確認してください。
3. 後部座席で着用しないと、何が起きるのか
警察庁は、後部座席でシートベルトを着用せずに事故に遭った場合の危険性を、次の3つに整理しています。
📊 後部座席で非着用の場合の3つの危険
| 危険 | 警察庁の説明 |
|---|---|
| 車内で全身を強打する | 衝突の衝撃で、前席や天井、ドアなどにたたきつけられる。時速60kmで壁などに衝突した場合、高さ14mのビルから落ちるのと同じ衝撃を受ける |
| 車外に放り出される | 衝突の勢いが激しいと、後席から車外に放り出されることがある。硬いアスファルトへの衝突や、後続車にひかれるおそれがある |
| 前席の人が被害を受ける | 後席の人が前方に投げ出されると、前席の人がシートとエアバッグに挟まれ、頭に大けがを負うことがある |
📊 後部座席の致死率(警察庁。致死率は死傷者数に占める死者数の割合)
| 道路 | 非着用時の致死率(着用時との比較) |
|---|---|
| 高速道路 | 着用時の約13.9倍 |
| 一般道路 | 着用時の約2.8倍 |
📊 非着用が損害賠償に影響した例
| 裁判例(警察庁が紹介) | 内容 |
|---|---|
| 横浜地裁 平成29年5月18日 | 高速道路で追突された車の後部座席同乗者が車外に投げ出されて頭部外傷を負った事故。シートベルトを着用していなかったことが損害の拡大に寄与したとして、10%の過失相殺が認められた |
| 大阪地裁 平成22年11月1日 | 加害車両が縁石などに衝突して転覆した事故。同乗者がシートベルトを外していたことが損害の発生・拡大に寄与したとして、10%の過失相殺が認められた |
💡 前席の人を守ることにもつながります
警察庁は、後席の人がきちんとシートベルトを着用することは、前席の人の命を守ることにもつながっていると説明しています。損害賠償の場面でも、非着用が影響する場合があります。個別の事案は弁護士などの専門家へご相談ください。
4. 乗る前に確認したいこと
🧭 発進前の4つのステップ
乗車したら、全員が着用してから発進する
運転者は、同乗者にもシートベルトを着用させる立場にあります(道路交通法第71条の3)。発進前に、後部座席の人の着用を声に出して確認しましょう。
正しく着用する
警察庁は、シートベルトは正しく着用しなければ効果がないとしています。ねじれや緩みがないか、警察庁が示す正しい着用方法で確認します。
子どもはチャイルドシートを使う
6歳未満の子ども、および体格などの事情でシートベルトを適切に着用できない子どもには、チャイルドシートを使用させます。
短い距離、一般道路、タクシーでも着用する
警察庁は「全ての座席」で着用するよう案内しています。乗る場面を選ばず、習慣にすることが基本です。
📝 後部座席の着用チェックリスト
☑️ 同乗者全員が、発進前にシートベルトを着用した
☑️ ベルトにねじれや緩みがない
☑️ 6歳未満の子どもにはチャイルドシートを使っている
☑️ 体格に合わない場合は、チャイルドシートなどの適切な方法を選んだ
☑️ 病気などで着用が難しい場合は、医師などに相談した
☑️ タクシーや送迎車に乗るときも、自分で着用した
5. よくある思い込みと、公表されている事実
📊 思い込みと事実の比較
| よくある思い込み | 公表されている事実 |
|---|---|
| 一般道路なら後部座席は着けなくてもよい | 警察庁は、後部座席の着用は全ての道路で義務と案内。点数が付くのは高速道路等の違反 |
| 後ろの席は前席より安全だ | 警察庁は、後席でも車内で全身を強打する、車外に放り出されるなどの危険があると説明 |
| 自分だけの問題だ | 後席の人が前に投げ出されると、前席の人がシートとエアバッグに挟まれるおそれがある(警察庁) |
| 近所への移動なら大丈夫だ | 事故は距離に関係なく起こります。警察庁は全ての座席での着用を求めている |
6. よくある質問
まとめ
後部座席のシートベルトは、全ての道路で着用が義務です。2025年の警察庁・JAF合同調査では、一般道路の後部座席の着用率は45.8%、高速道路等は79.9%でした。警察庁は、非着用の場合の致死率が着用時の高速道路で約13.9倍、一般道路で約2.8倍であることや、前席の人への被害の危険も示しています。乗る前に全員の着用を確認することを、習慣にしましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。法令の適用や個別の判断は、警察・専門家・公的窓口へご確認ください。数値は、警察庁の公表ページとJAFの2026年2月16日付の発表による(2026年9月25日確認)。
アイキャッチ画像: Teen fastening seat belt by State Farm, CC BY 2.0


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