台風接近前にガソリンを満タンにしておくべき理由

台風が近づくと、「早めにガソリンを満タンに」という呼びかけを目にします。この記事では、政府広報オンライン、資源エネルギー庁、自治体、JAFの公開情報をもとに、なぜ満タンが勧められるのか、給油の目安、車を電源として使えるか、停電時のガソリンスタンドの状況を整理しました。台風前の「何時間前に給油すべきか」という一律の公的基準は確認できなかったため、時期は断定しません。

📋 この記事の要点

✔ ガソリンスタンドは電力でポンプを動かして給油している。停電するとポンプが止まり、手動ポンプでの給油になって時間がかかり、待ちの渋滞が懸念される(政府広報オンライン)

✔ 満タンにしておけば、タンク容量や燃費によるが、400km程度の移動が可能(政府広報オンライン)

✔ 高知県は、車の燃料が半分になる前に満タン給油するよう呼びかけている(災害時には緊急車両等への給油が優先され、一般車両への給油は制限されるため)

✔ 停電時にも給油できる「住民拠点SS」は、2026年3月31日時点で、全国約30,000か所のSSのうち14,215か所(資源エネルギー庁)

✔ JAFのテストでは、車から家電を使える程度は車の種類で大きく異なった。電気自動車・プラグインハイブリッド車・ハイブリッド車は、日頃からの充電や燃料補充が大切とされている

1. なぜ満タンが勧められるのか

📊 満タンが勧められる理由(公開情報の整理)

理由 内容 出典
停電で給油設備が止まる ガソリンスタンド(SS)は、地下タンクの燃料を、電力を使ったポンプでくみ上げて給油している。災害などで停電するとポンプが止まり、電力を利用した給油ができなくなる。手動のポンプで給油する場合は、給油時間がふだんよりかかり、給油待ちの渋滞の発生が懸念される 政府広報オンライン
災害後は、SSに行列ができる 台風による停電で多くのSSが休業した際も、営業しているSSに大行列ができた。2018年9月の北海道胆振東部地震では、自家発電設備を備えたSSに並んだ車列が、最長で300〜400メートルになった 政府広報オンライン、資源エネルギー庁
緊急車両への給油が優先される 高知県は、災害時には緊急車両等へ優先的に給油するため、一般車両への給油は制限されると説明している(南海トラフ地震への備えとして案内) 高知県
移動できる距離 車の燃料が満タンであれば、タンク容量や車両燃費により異なるが、400km程度の移動が可能 政府広報オンライン、埼玉県
通行止めや迂回で走行距離が伸びる 台風では通行止めによる迂回や、避難のための移動で、普段より長く走ることも考えられる(当サイトの考え方) (一般的な考え方)

📌 補足

全国石油商業組合連合会などが進める「満タン&灯油プラス1缶運動」は、災害時に備えて、車の燃料は常に満タンに、灯油は1缶(18L)余分に持っておこうという取り組みです(政府広報オンライン)。

2. 給油の目安とタイミング

📊 給油のタイミングの整理

項目 内容 出典
日頃の目安 高知県は、車の燃料の残量が半分以下になる前に、満タンに給油することを呼びかけている 高知県
台風への備え 気象庁の台風情報で、進路と、暴風域(平均風速25m/s以上の風が吹いているか、吹く可能性がある範囲)の予想を確認しながら、余裕のある時期に給油する 気象庁「台風の大きさと強さ」
混雑 災害の後は、営業しているSSに行列ができることがある(政府広報オンライン)。台風の直前は混雑しやすい、と考えて早めに済ませる(当サイトの考え方) 政府広報オンライン
電気自動車・プラグインハイブリッド車 JAFは、災害発生前に蓄えた電気や燃料しだいなので、日頃からバッテリーの充電や燃料の補充を心がけるよう案内している JAFユーザーテスト

🧭 台風前の給油の進め方

1

日頃から、燃料が半分になる前に給油する

高知県は、残量が半分以下になる前に満タンにすることを呼びかけています。

2

台風情報で、接近の時期を確認する

気象庁の台風情報で、進路と暴風域の予想を確認します。

3

余裕のある時期に、満タンにする

災害の後は、営業しているSSに行列ができることがあります(政府広報オンライン)。

4

電気自動車・プラグインハイブリッド車は、充電残量も確認する

JAFは、日頃からバッテリーの充電や燃料の補充を心がけるよう案内しています。

5

停電したら、住民拠点SSの営業状況を確認する

資源エネルギー庁の検索で、近くの住民拠点SSの場所と営業状況を確認できます。

📌 確認できなかったこと

台風の何時間前、何日前までに給油を済ませるべきか、という一律の公的な基準は、確認できませんでした。地域や台風の進路によって状況が異なるため、「半分になる前に給油する」を日頃の習慣にし、台風情報が出たら早めに確認する、という進め方をお勧めします。

3. 車が「非常用電源」になるか(JAFのテスト)

JAFは、2018年2月7日に、災害時に車のバッテリーで家電がどの程度使えるかを検証しました(気温7℃、水温6℃)。電気自動車(BEV)・プラグインハイブリッド車(PHV)・ハイブリッド車(HV)には、1,500Wまでの電気製品が使えるACコンセントが装備されています。一般的な車には、それがないため、定格出力1,000Wのインバーターをバッテリーに直接つないで検証しています。

📊 JAFユーザーテスト「災害時におけるクルマからの電源供給」

車の種類 テストの結果(JAF)
電気自動車(BEV) 1,250Wの電気ポット(1.2L)で、5時間の間に30回お湯を沸かした後も、バッテリーは3分の2程度残っていた(満充電から開始)
プラグインハイブリッド車(PHV) エンジンを始動せず27回お湯を沸かせたが、28回目の途中でエンジンが始動した(満充電から開始)
ハイブリッド車(HV) バッテリーが小さく、残量3分の2から開始して、お湯を沸かせたのは1回だけ。燃料があってエンジンをかけられる状況でないと、十分な電源供給ができなかった
一般的な車(インバーター使用) 電気ポット(430W)や電気ストーブ(400W・800W)は使えたが、800Wのストーブを9分間使用したところ、バッテリー(新品)の電圧が降下し、インバーターの保護回路で供給が停止した。エンジンをかけた状態でも電圧の降下が確認された

⚠️ 注意

JAFのまとめでは、一般的な車は、バッテリーや発電機に余裕がなく、消費電力が大きめの家電は長時間使えませんでした。BEVやPHVは災害時の電源として活用でき、PHVとHVは、エンジンが始動できれば燃料が続く限り電気を供給できる、とされています。エンジンをかけて給電する場合の換気や、コンセントの使い方は、車の取扱説明書で確認してください。

4. 停電時にも給油できるスタンド「住民拠点SS」

📊 住民拠点SSの基本

項目 内容 出典
住民拠点SSとは 自家発電設備を備え、災害などが原因の停電時にも、地域の住民に継続して給油できるガソリンスタンド 資源エネルギー庁
数 2026年3月31日時点で、全国約30,000か所のSSのうち、14,215か所が住民拠点SS 資源エネルギー庁
探し方 資源エネルギー庁が「住民拠点サービスステーション等検索」を用意している。震度5強以上の地震発生時などは、営業状況も地図上で確認できる 資源エネルギー庁
注意点 災害によるSSの設備の損壊などのやむを得ない事由で、給油できない場合がある。在庫不足による営業停止など、表示と実際の状況が異なる可能性もある 資源エネルギー庁
過去の例 2018年9月の北海道胆振東部地震では、自家発電設備を持つSSは営業を維持できたが、多くの住民が集中し、品切れ状態が発生した 政府広報オンライン

💡 ポイント

日頃から、自宅や通勤路の近くにある住民拠点SSの場所を、資源エネルギー庁の検索で調べておくと、停電時に慌てずに済みます。ただし、営業していても、多くの車が集まる可能性があります。

⚠️ 携行缶による備蓄について

燃料を携行缶で保管・運搬する場合は、消防法令や自治体の条例の対象になることがあります。備蓄を考えるときは、最寄りの消防署などの公的窓口に、確認してください。

📝 台風前のチェックリスト

☑️ 燃料が半分以下になっていないか確認した(半分を切る前に満タン給油)

☑️ 電気自動車・プラグインハイブリッド車は、充電残量を確認した

☑️ 近くの住民拠点SSの場所を、資源エネルギー庁の検索で確認した

☑️ 車から家電を使う予定がある場合は、取扱説明書で、使用できる電力と方法を確認した

☑️ 通行止めや迂回に備えて、余裕のある残量で出発することにした

5. よくある質問

Q. 停電したら、ガソリンスタンドは使えなくなりますか?

A. SSは通常、電力でポンプを動かして給油しているため、停電すると電力を使った給油ができなくなります。手動ポンプで給油する場合は時間がかかります(政府広報オンライン)。自家発電設備を持つ住民拠点SSは、停電時にも給油を続けられる仕組みです。

Q. 満タンにすると、どのくらい走れますか?

A. タンク容量や車両燃費によって異なりますが、400km程度の移動が可能とされています(政府広報オンライン、埼玉県)。

Q. 燃料は、どのくらい減ったら給油すればよいですか?

A. 高知県は、残量が半分になる前に満タンにすることを呼びかけています。台風に限らず、日頃からの習慣にすると、災害時にも慌てずに済みます。

Q. 電気自動車は、台風の前に何をしておけばよいですか?

A. JAFは、電気自動車やプラグインハイブリッド車は災害発生前に蓄えた電気や燃料しだいなので、日頃からバッテリーの充電を心がけるよう案内しています。

まとめ

台風接近前の満タン給油は、停電で給油設備が使えなくなるおそれや、災害後にSSに行列ができることへの備えです。満タンなら、400km程度の移動が可能とされています。高知県は、燃料が半分になる前の給油を呼びかけています。時期の一律基準は確認できなかったため、日頃の習慣にしつつ、台風情報が出たら早めに確認しましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。

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