日没の前後は、周囲の視界が徐々に悪くなり、運転者と歩行者・自転車利用者がお互いを見つけにくくなる時間帯です。警察庁は、日の入り時刻の前後1時間を「薄暮時間帯」と呼び、例年、交通死亡事故が多く発生しているとして注意を呼びかけています。この記事では、警察庁の「薄暮時間帯における交通事故防止」の内容と、日の入り時刻の目安、運転者・歩行者それぞれの対策、オートライトの制度を整理します。
📋 この記事の要点
✔ 薄暮時間帯とは、日の入り時刻の前後1時間(警察庁)。日の入り時刻は月日や都道府県によって異なる
✔ 令和3年〜令和7年の5年間の交通死亡事故の分析では、17時台〜19時台に多く発生。薄暮時間帯は自動車と歩行者が衝突する事故が最も多く、事故類型別では横断中が約8割(警察庁)
✔ 横断場所の内訳では、横断歩道以外での発生が約7割。横断歩道以外を横断していた歩行者の約7割に法令違反がある(警察庁)
✔ 運転者は「前照灯の早め点灯」と減速、歩行者・自転車利用者は明るい服装と反射材・ライトの活用が呼びかけられている
✔ オートライトは、新型車は2020年4月、継続生産車は2021年10月から義務化。既に販売されている車や中古車には搭載義務はない(JAF)
動画でも解説しています。(YouTube「くるまのかーぎーくん」)
📑 目次
1. 薄暮時間帯とは、いつのことか
警察庁は、薄暮時間帯の事故が多い理由を、周囲の視界が徐々に悪くなり、自動車や自転車、歩行者などの発見がお互いに遅れたり、距離や速度が分かりにくくなったりするためと説明しています。
📊 東京の日の入り時刻と薄暮時間帯の目安(国立天文台 暦計算室の日の出入りのデータから、東京で計算)
| 日付(2026年) | 東京の日の入り | 薄暮時間帯(前後1時間)の目安 |
|---|---|---|
| 9月1日 | 18時09分 | 17時09分〜19時09分 |
| 10月1日 | 17時26分 | 16時26分〜18時26分 |
| 11月1日 | 16時46分 | 15時46分〜17時46分 |
| 12月1日 | 16時28分 | 15時28分〜17時28分 |
📌 補足
秋から冬にかけて、日の入りは早まります。夕方の帰宅や下校の時間帯と、薄暮時間帯が重なりやすくなります。日の入り時刻は都道府県によって異なるため、お住まいの地域の時刻は国立天文台の暦計算室などで確認できます。
📊 警察庁「薄暮時間帯における交通事故防止」の要点
| 警察庁の説明 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 日の入り時刻の前後1時間 |
| 事故が多い理由 | 視界が徐々に悪くなり、互いの発見が遅れる、距離や速度が分かりにくくなる |
| 運転者への呼びかけ | 前照灯の早め点灯と、速度を落として周囲の交通状況により一層注意する |
| 歩行者・自転車利用者への呼びかけ | 明るい服装や、反射材・ライトの活用で自分の存在を知らせる |
2. 令和3年〜令和7年の5年間で分かったこと
📊 薄暮時間帯の交通死亡事故の特徴(令和3年〜令和7年)
| 分析の項目 | 結果(警察庁) |
|---|---|
| 発生時間帯 | 日の入り時刻と重なる17時台から19時台に多く発生 |
| 事故の相手 | 薄暮時間帯には、自動車と歩行者が衝突する事故が最も多く発生 |
| 事故類型別 | 横断中が約8割を占める |
| 横断場所の内訳 | 横断歩道以外での発生が約7割 |
| 歩行者の法令違反 | 横断歩道以外の横断における歩行者の約7割に法令違反がある |
⚠️ 「歩行者側の違反が多い」からといって、運転者に責任がないという意味ではありません
警察庁が示しているのは事故の特徴です。運転者は、薄暮時間帯には歩行者が道路を横断する可能性を考えて、速度を落として運転する必要があります。歩行者は、横断歩道を渡るなど、ルールを守って横断することが大切です。
割合の分母(どの事故を100%とするか)など、細かな集計の条件は、警察庁の公表資料で確認してください。この記事は、警察庁のページに書かれている表現に沿って紹介しています。
3. 運転者ができる対策:前照灯の早め点灯と減速
警察庁は、運転者の中には、周囲が見えづらくなっても前照灯を点灯せず、前方が見えなくなってはじめて点灯するケースがあると指摘しています。その段階では、他の車や歩行者が自分の車の存在を認識するのが遅れ、事故につながるおそれがあるため、薄暗くなる前から前照灯を意識的に使用する「前照灯の早め点灯」を呼びかけています。
🧭 薄暮時間帯の運転の4つのステップ
日の入り時刻を意識して出発する
夕方の運転は、日の入りの1時間前から薄暮時間帯に入ります。時刻の目安を、上の表で確認します。
薄暗くなる前に、前照灯を点灯する
前方が見えなくなってからではなく、暗くなり始める前に点灯し、自車の存在を周囲に知らせます。
速度を落とす
薄暮時間帯は視界が悪くなり始め、事故が多く発生することから、速度を落として慎重に運転します(警察庁)。
横断する人を想定して運転する
横断歩道のない場所でも、歩行者が横断する可能性を考えて注意します。
📊 オートライトの制度(国土交通省・JAF)
| オートライトに関する項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度 | 国土交通省は2016年10月7日に、周囲の明るさが一定以下となったときに前照灯が自動で点灯する「オートライト機能」を義務付ける保安基準の改正を公表。特に薄暮時における交通事故の実態を踏まえた改正と説明 |
| 義務化の時期(JAF) | 新型車は2020年4月から。継続生産車は2021年10月から(乗用車等。大型車・貨物車は2023年10月) |
| 走行中の消灯 | 新基準では、走行中はドライバーが手動で消灯できない(駐停車時のみ消灯可能。JAF) |
| 既に販売されている車・中古車 | 搭載義務はなく、オートライトがなくても車検に合格できる(JAF) |
| JAFの指摘 | 新基準の車が完全に普及するには10年単位の年数がかかると想定され、ドライバーによる早期点灯の習慣継続が必要 |
💡 ご自身の車にオートライトがあるか確認しましょう
2020年4月以降に発売された新型車や、2021年10月以降の継続生産車は義務化の対象です。それ以前の車は、搭載の有無が車種によって異なります。車の取扱説明書などで確認し、なければ意識的に早めの点灯を心がけましょう。
4. 歩行者・自転車利用者ができる対策:反射材とライト
警察庁は、歩行者や自転車利用者から自動車が接近してくるのが分かっても、運転者からは歩行者や自転車がよく見えないことがあると説明しています。明るく目立つ色の衣服を着る、靴・衣服・カバン・つえなどに反射材やライトをつけるなど、運転者から見やすくする工夫が効果的です。
📊 反射材・ライトの例
| 対象 | 反射材・ライトの例(警察庁) |
|---|---|
| 歩行者 | 腕などに付ける反射リストバンド、反射ジャンパー、反射カバン、反射かさ、靴のかかとなどに貼る反射シート、カバンに貼る反射シート |
| 自転車 | サイクル(ホイール)リフレクター、サイクルピアス |
| ライト | LEDライト |
📊 反射材の効果と注意点
| ポイント | 内容(警察庁) |
|---|---|
| 反射材とは | 再帰性の反射をする素材。自動車の前照灯の光が当たると、光が自動車の方向に戻るため、とても明るく光って見える |
| 発見される距離 | 運転者から見て、反射材を着用している歩行者は、着用していない歩行者よりも2倍以上手前で発見できるといわれている |
| 横断するとき | 薄暮時間帯や夜間は、自動車の距離や速度が分かりにくくなることが多い。横断するときや自動車とすれ違うときは、昼間と比べて一層注意する |
| 自転車の義務 | 自転車は道路交通法で、車両後部に反射材か尾灯を付けることが義務付けられている。定期的に点検する |
5. 家族で確認したい、薄暮時間帯のチェックリスト
📝 運転する人のチェックリスト
☑️ 薄暗くなる前に、前照灯を点灯している
☑️ 夕方は、いつもより速度を落としている
☑️ 自分の車にオートライトがあるかを確認した
☑️ 横断歩道のない場所でも、歩行者の横断を想定している
📝 歩行者・自転車を利用する人のチェックリスト
☑️ 明るく目立つ色の服装を選んでいる
☑️ 靴・衣服・カバンなどに、反射材やライトをつけている
☑️ 道路を横断するときは、横断歩道を渡る
☑️ 自転車の反射材や尾灯が、汚れたり外れたりしていないか点検した
☑️ 自動車の距離や速度が分かりにくいことを意識して、昼間以上に注意している
6. よくある質問
まとめ
薄暮時間帯は、日の入りの前後1時間です。警察庁の令和3年〜令和7年の分析では、17時台から19時台に多く、自動車と歩行者の衝突が最も多く、横断中が約8割でした。運転者は、薄暗くなる前から前照灯を点灯し、速度を落としましょう。歩行者・自転車利用者は、明るい服装と反射材・ライトで自分の存在を知らせることが大切です。秋から冬にかけては日の入りが早まるため、夕方の行動を早めに見直しておきましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。法令の適用や個別の判断は、警察・専門家・公的窓口へご確認ください。統計は警察庁の公表(令和3年〜令和7年の分析)、日の入り時刻は国立天文台 暦計算室(東京)、オートライトは国土交通省・JAFによる(2026年9月25日確認)。
アイキャッチ画像: Mini on a country lane at dusk by Dietmar Rabich, CC BY-SA 4.0


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