地震で愛車が壊れたら車両保険で直せる?2026年開始の新特約と備え方

「地震で愛車が壊れたら、車両保険で直せる」と思っていませんか。実は、地震・噴火・津波(これらによる津波を含む)を原因とする車の損害は、通常の車両保険では補償の対象外とされています。備えるには、保険会社が用意している特約に入る必要があります。2026年1月には、AIG損害保険が、既存の特約を上乗せして100万円・200万円・300万円から補償額を選べる新しい特約を発売しました。この記事では、保険会社の公式情報で確認できる範囲に絞って、地震と車両保険の関係、各社の特約の特徴、契約の確認ポイントを整理します。

📋 この記事の要点

✔ 通常の車両保険は、地震・噴火・またはこれらによる津波による損害を補償しない。地震保険でも車は対象にならない(アクサ損保の案内)

✔ 備えるには「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」などの特約が必要。多くの社で一時金は50万円(車両保険金額が50万円未満の場合はその金額)

✔ 支払われるのは、特約が定める「全損」となった場合。車両保険などの「全損」とは内容が異なる社がある

✔ AIG損保は、2026年1月1日以降に保険始期を迎える契約から「拡張払特約」を発売。既存の特約と組み合わせて100万・200万・300万円から選べる(車両保険金額が上限)

✔ 特約の有無・金額・「全損」の定義は、保険会社や契約プランで異なる。証券や代理店・保険会社で確認を

動画でも解説しています。(YouTube「くるまのかーぎーくん」)

1. なぜ、地震で車が壊れても車両保険では出ないのか

アクサ損害保険の案内では、通常の車両保険は「地震・噴火またはこれらによる津波により被った損害」を補償しません。あわせて、車は火災保険の家財の範囲に含まれず、地震保険でも補償の対象にならないため、地震で車が被害を受けても、通常はどちらの保険でも補償されない、という整理になっています。東京海上日動、あいおいニッセイ同和損保のよくある質問でも、通常の車両保険では、地震・噴火・津波による車の損害は補償されないと案内されています。

📊 「原因」で変わる、車両保険の対象

原因 車両保険(一般的な扱い) 確認したいこと
地震・噴火 補償の対象外 「地震・噴火・津波危険」の特約に入っているか
地震にともなう津波 補償の対象外(津波による水没・流失は、特約が想定する損害の例として案内されている) 特約の支払条件(全損の定義)
台風・大雨・洪水による水没 契約の補償範囲によって、車両保険の対象になる場合がある(アクサ損保の案内では、大雨や洪水による水没は通常の車両保険で補償されるとされている) 車両保険のタイプ(補償範囲)、免責金額
車の事故・盗難・いたずらなど 契約している車両保険のタイプによって異なる 保険証券・約款・重要事項説明書

⚠️ 「地震のあとの水没」と「大雨による水没」は別扱いです

地震(あるいは噴火)を原因とする津波で水没した場合と、大雨・洪水で水没した場合とでは、補償の考え方が異なります。原因の判断は保険会社が行います。実際に被害に遭ったときは、写真などの記録を残し、早めに保険会社・代理店へ連絡しましょう。

2. 備えるための特約:「地震・噴火・津波危険 車両全損時一時金」などの特約

東日本大震災のあと、各社で、地震・噴火・津波で車が全損になったときに一時金を支払う特約が用意されるようになりました。名称や条件は会社ごとに異なるため、下表は、各社の公式ページ(よくある質問など)で確認できた範囲をまとめたものです。掲載しているのは一部の会社です。

📊 各社の地震・噴火・津波関連の特約(公式ページで確認できた範囲)

保険会社 特約名(公式ページの表記) 一時金の額 主な条件・注意点(公式ページの記載)
損保ジャパン 地震・噴火・津波車両全損時一時金特約 50万円(車両保険金額が50万円を下回る場合はその金額) 一般条件での車両保険契約が必須。全損の判定は約款の基準に従い、同社が行う。保険金の支払い後も、契約者が車の所有権を保持する
三井住友海上 地震・噴火・津波「車両全損時定額払」特約 最大50万円(車両保険金額が50万円未満の場合は、その金額) 車両保険(一般補償)をセットしている場合のみ付帯できる。この特約の「全損」は、車両保険などの「全損」と内容が異なる。保険金の支払い後も、保険会社は車の所有権を取得せず、廃車費用なども負担しない
あいおいニッセイ同和損保 地震・噴火・津波車両全損時定額払特約(FAQでの表記) 最大50万円(車両保険金額が低い場合はその金額) 車両保険がついている契約が対象。地震・噴火・津波で車が全損と判断された場合に定額を支払う
アクサ損保 地震・噴火・津波危険「車両全損時一時金」特約 車両保険金額が50万円以上なら50万円。50万円未満ならその金額と同額 全損の定義は、通常の車両保険などとは異なる。例として、大きな地割れに巻き込まれる、噴石の直撃、津波による水没・流失などが案内されている
東京海上日動 地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約 (詳細は、商品・パンフレットで確認) 全損の場合が対象で、一部損傷は対象外。一部の契約は加入できない場合がある(FAQの記載)

※表は横にスクロールできます

📌 補足

特約の名称は「一時金」「定額払」など会社によって異なり、同じ50万円でも、支払いの条件や「全損」の定義、付帯できる車両保険のタイプに違いがあります。上の表は、あくまで各社の公開情報の要点です。契約や加入の可否は、各社・代理店にご確認ください。

⚠️ 「全損」の定義が、通常の車両保険とは違う場合があります

複数の社が、この特約でいう「全損」は、車両保険などで使う「全損」と内容が異なると案内しています。「ひどく壊れた」と感じても、特約の全損の基準に当てはまらなければ、一時金の支払対象にならない場合があります。基準は、約款・重要事項説明書で必ず確認してください。

3. AIG損保が2026年1月に発売した「拡張払特約」

AIG損害保険は、2026年1月20日付のニュースリリースで、「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金の拡張払特約」の新発売を発表しました。2026年1月1日以降に保険始期を迎える契約が対象です。従来の「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」(一時金50万円)と組み合わせることで、100万円・200万円・300万円から選べる、とされています。

📊 AIG損保の拡張払特約の概要

項目 内容(AIG損保のニュースリリース)
特約名 地震・噴火・津波危険車両全損時一時金の拡張払特約
対象となる契約 2026年1月1日以降に保険始期を迎える契約
前提 既存の「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」と組み合わせる
選べる金額 100万円、200万円、300万円(車両保険金額を超える設定はできない)
支払いの条件 地震・噴火、またはこれらによる津波により、車両が特約が定める全損となった場合に一時金を支払う
全損の定義・保険料など パンフレットや取扱代理店・AIG損保への確認が必要(ニュースリリース上は、詳細な定義や保険料は示されていない)

AIG損保が、この特約を発売した背景として、リリースには次のような調査・統計が示されています。

📊 リリースに示された調査結果と価格の目安

数値 内容 出典(リリースの記載)
45.6% 「特約をセットしないと、地震・噴火・津波による車両損害は自動車保険の対象外であることを知らなかった」と回答 AIG損保の調査(2024年7月実施、全国の20〜69歳・自動車保険の車両保険加入者2,000名)
55.1% 「地震・噴火・津波の損害に備えるために、新たな車両購入を可能にするような高額な一時金の補償を今の自動車保険に追加することを検討したい」と回答 同上
約264万円 新車の平均購入価格 日本自動車工業会「2023年度乗用車市場動向調査」
約95万円 中古車の平均取引価格 オークネット「中古車市場価格指数」(2025年10月)

💡 一時金額の考え方の目安

車の買い替えに必要な金額は、車種や購入するタイミングで大きく異なります。リリースに示された平均価格はあくまで参考であり、ご自身の車の価値や、地震のあとに必要になる費用をふまえて検討しましょう。本記事は、特定の保険会社・特約を勧めるものではありません。

4. 自分の契約を確認する手順と、検討のポイント

🧭 契約内容の確認の流れ

1

保険証券・契約内容の通知を確認する

車両保険に入っているか、車両保険のタイプ(補償範囲)は何かを確認します。

2

地震・噴火・津波に関する特約の有無を確認する

「地震・噴火・津波」「車両全損時」などの名称が付いた特約があるかを、証券や契約内容の通知で探します。

3

特約がある場合は、金額と「全損」の定義を確認する

一時金の額(車両保険金額が低い場合は、その金額になる社があります)と、どのような状態が全損にあたるかを、約款・重要事項説明書で確認します。

4

特約がない場合は、追加できるか・保険料の見積もりを、保険会社・代理店に相談する

保険会社や契約プランによって、加入できない場合もあります(東京海上日動のFAQ)。

5

自分の車の使い方・価値と照らして、必要性を検討する

通勤・通学・介護など、車が生活に欠かせない度合いも判断材料になります。

📊 特約を検討するときの視点

検討の視点 確認したいこと
車両保険に入っているか 各社の特約は、車両保険を付けていることが前提とされている(損保ジャパン、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保の案内)
車両保険のタイプ 損保ジャパンは一般条件、三井住友海上は一般補償が条件とされている。補償範囲が限定されたタイプでは、特約が付けられない場合がある
一時金の額と、車の価値 多くの社の一時金は最大50万円(車両保険金額が50万円未満なら、その金額)。AIG損保は拡張払特約で、車両保険金額を上限に100万〜300万円を選べる
「全損」の定義 通常の車両保険とは異なる場合がある。約款で確認
支払い後の車の扱い 損保ジャパンは、保険金支払い後も契約者が所有権を保持すると案内。三井住友海上は、廃車費用などを負担しないと案内
保険料 特約の保険料は、各社・契約条件で異なる。見積もりで確認

📝 契約確認のチェックリスト

☑️ 車両保険に入っているか、タイプ(一般など)を確認した

☑️ 地震・噴火・津波に関する特約の有無を確認した

☑️ 一時金の額と、「全損」の定義を、約款で確認した

☑️ 特約がない場合、追加の可否と保険料を、保険会社・代理店に問い合わせた

☑️ 契約者本人だけでなく、家族が使う車の契約も確認した

☑️ 万一のときの連絡先(保険会社・代理店)を、控えておいた

5. よくある質問

Q. 地震で車が壊れたら、通常の車両保険で修理費は出ますか?

A. 出ません。アクサ損保などの案内では、通常の車両保険は、地震・噴火またはこれらによる津波により被った損害を補償しません。備えるには、専用の特約(一時金・定額払など)に加入する必要があります。

Q. 地震保険に入っていれば、車の被害も補償されますか?

A. アクサ損保の案内では、車は火災保険の家財の範囲に含まれず、地震保険でも補償の対象にならないとされています。住まいの地震保険とは別に、車の備えを考える必要があります。

Q. 地震の特約に入れば、修理費が全額出ますか?

A. 出ません。各社の特約は、地震・噴火・津波で車が「全損」となった場合に、定額の一時金を支払うものです。多くの社は最大50万円で、車両保険金額が50万円未満なら、その金額です。AIG損保の拡張払特約でも、支払われるのは全損の場合の一時金で、金額は100万・200万・300万円から選ぶ形です(車両保険金額が上限)。

Q. AIG損保の拡張払特約は、単独で入れますか?

A. ニュースリリースでは、既存の「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」と組み合わせることで100万円・200万円・300万円から選べる、と説明されています。加入条件や保険料は、AIG損保や取扱代理店に確認してください。

Q. 大雨や台風で車が水没した場合と、地震・津波で水没した場合は、扱いが違いますか?

A. 違う場合があります。アクサ損保の案内では、津波による水没は特約の対象となる損害の例として示され、大雨や洪水による水没は通常の車両保険で補償されるとされています。原因の判断や補償の可否は、契約内容と保険会社の判断によります。

まとめ

地震・噴火・津波による車の損害は、通常の車両保険では補償の対象外で、地震保険でも車は対象になりません。備えるには、各社の「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金」などの特約が必要で、多くの社で一時金は最大50万円、支払われるのは特約が定める「全損」の場合です。AIG損保は2026年1月に、既存の特約に組み合わせて100万・200万・300万円から選べる拡張払特約を発売しました。特約の有無・金額・全損の定義は社や契約で異なるため、まずは証券で車両保険と特約の内容を確認し、不明な点は保険会社・代理店へ相談しましょう。

※本記事は各社の公開情報にもとづく一般的な情報提供を目的としたもので、特定の保険商品の推奨や、個別の契約についての助言ではありません。補償内容・保険料・加入条件は、保険会社・契約プランによって異なり、変更されることがあります。ご自身の契約の詳細は、加入している保険会社・代理店に必ずご確認ください(2026年10月時点)。

アイキャッチ画像: Parking lot, Japan by Ka23 13, CC BY 4.0

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