排気装置の点検|保安基準・車検・一酸化炭素の注意点

排気装置(マフラー・触媒などを含む排気系)は、エンジンからの排ガスを車外へ導き、音と有害物質を減らす役割があります。この記事では、保安基準と点検基準での位置づけ、車検の確認項目、不正改造の考え方、雪の中の一酸化炭素中毒の注意点を、国土交通省・JAFの公表内容で整理しました。修理費用の相場や、DIYの修理手順は、公式で確認できなかったため載せていません。

📋 この記事の要点

✔ 保安基準第30条は、内燃機関の自動車に、騒音の発生を有効に抑止する消音器を備えるよう定めている

✔ 保安基準第31条は、自動車が、排気管から排出される一酸化炭素・炭化水素などを多量に発散しないよう、性能の基準に適合させるよう定めている

✔ 車検では、排気ガス検査(一酸化炭素・炭化水素)と、下回り検査(排気ガス発散防止装置など)が行われる(国土交通省)

✔ 消音器の切断や取り外し、基準不適合のマフラーの取付けは、不正改造として禁止されている(国土交通省)

✔ 雪で埋まった車では、マフラー周辺の除雪が、一酸化炭素中毒を防ぐために最も重要(JAF)

1. 排気装置の構成と、保安基準・点検基準での位置づけ

排気系は、エンジンから出た排ガスを、触媒で浄化し、マフラーで音を抑えたうえで、車外へ排出する流れで構成されています。各部品は、法令上、次のように位置づけられています。

📊 排気装置の部品と、基準での位置づけ

部品・装置 役割(一般的な説明) 法令・基準での位置づけ
排気管・マフラー(消音器) 排ガスを導き、騒音を抑える 保安基準第30条:内燃機関を原動機とする自動車には、騒音の発生を有効に抑止できる消音器を備えなければならない。点検基準:「エグゾースト・パイプ及びマフラ」の取付けの緩み及び損傷、マフラの機能
触媒(触媒反応方式等排出ガス減少装置) 排ガス中の有害物質を減らす 保安基準第31条:排気管から排出される一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物、粒子状物質及び黒煙を多量に発散しない。点検基準:「触媒反応方式等排出ガス減少装置の取付けの緩み及び損傷」など
排気の状態(原動機) エンジンの状態を、排気から確認する 点検基準(定期点検):原動機の「排気の状態」

⚖️ 保安基準(第30条・第31条)

第30条は騒音防止装置、第31条は、ばい煙、悪臭のあるガス、有害なガス等の発散防止装置を定めています。具体的な基準値は、告示(道路運送車両の保安基準の細目を定める告示)で定められています。

📊 排気系に関連する点検基準の項目(1年ごと・2年ごとの点検に含まれる)

点検箇所(自動車点検基準 別表第6) 点検内容 補足
原動機 排気の状態。エア・クリーナ・エレメントの状態
ばい煙、悪臭のあるガス、有害なガス等の発散防止装置 一酸化炭素等発散防止装置:触媒反応方式等排出ガス減少装置の取付けの緩み及び損傷。二次空気供給装置の機能。排気ガス再循環装置の機能。減速時排気ガス減少装置の機能。配管の損傷及び取付状態 装置の有無は、車種・年式で異なる
エグゾースト・パイプ及びマフラ 取付けの緩み及び損傷。マフラの機能 取付けの緩み及び損傷は、走行距離が少ない場合、省略できることがある(基準の注)
その他 車載式故障診断装置の診断の結果(OBD点検) 令和3年10月1日から義務化(国土交通省)

2. 車検での確認と、不正改造の考え方

📊 車検・不正改造に関する国土交通省の情報(2026年9月25日確認)

場面 内容(国土交通省)
車検の検査項目 新規検査・継続検査などで、自動車の安全性能と、排気ガスの低減性能を確認する
排気ガス検査 一酸化炭素、炭化水素を検査する(このほか、車種等により、OBD検査や黒煙検査などの検査項目がある)
下回り検査(ピット方式) かじ取装置、緩衝装置、原動機、動力伝達装置、車わく・車体、排気ガス発散防止装置、燃料装置、電気装置、走行装置などを確認する
不正改造の例(消音器) 基準不適合マフラーの装着や、消音器の取り外し・切断により騒音が増大し、周囲に多大な迷惑を与えるため、禁止されている(保安基準第30条)
交換用マフラー 新車時の近接排気騒音が車種ごとの一定の値を超える四輪自動車等に交換用マフラーを備える場合は、使用過程での近接排気騒音が新車時から悪化しないことを確認する相対値規制を適用(平成30年11月30日公布・施行)

⚠️ マフラーの交換・カスタムは、基準適合の確認を

国土交通省は、不正改造とは、改造・装置の取り付け・取り外しなどによって、保安基準に適合しなくなるものを言う、と説明しています。交換用マフラーを選ぶ際は、基準への適合を確認できる製品かを、販売店・整備工場で確認しましょう。基準の詳細は、車の年式・車種で異なります。

3. 雪の日の一酸化炭素中毒:マフラー周辺の除雪

エンジンの排気ガスには、有毒な一酸化炭素(CO)が含まれています。一酸化炭素は、空気より軽く、無色・無臭・無刺激の気体で、発生に気づきにくい、とJAFは説明しています。JAFのユーザーテストの結果を、整理します。

📊 雪で埋まった車内のCO濃度(JAFユーザーテスト)

条件(JAFユーザーテスト) 結果(JAFの説明)
ボンネットの上まで雪で覆い、エンジンをかけて、空調を外気導入にした 排ガスが車体の下側にたまり、エアコンの外気導入口を伝って、車内に吸い込まれた。車内のCO濃度は、16分後に400ppm、その後6分で1,000ppmに達した。この数値は、身体への影響が「3時間ほどで致死」という非常に危険な状態
空調を内気循環にした 車体の隙間などから、排ガスが車内に入る危険性がある
マフラー周辺を除雪しておいた 車がボンネットの上まで雪で埋まった状態でエンジンをかけても、車内のCO濃度はほとんど上がらなかった
マフラー周辺を除雪せず、運転席の窓を5cmほど開けた 初めはあまり上昇しなかったが、風が止むと、濃度が「2時間で失神」する危険レベルまで上昇した

🧭 雪の日の一酸化炭素中毒を防ぐ流れ

1

降雪時は、できるだけエンジンを切る

JAFは、降雪時に車内にとどまる場合は、できるだけエンジンを切るよう案内しています。

2

エンジンをかける必要があるときは、マフラー周辺を除雪する

一酸化炭素中毒を防ぐために最も重要な対策は、マフラーの周辺を定期的に除雪することです(JAF)。

3

窓を少し開けるだけで安心しない

窓を5cmほど開けた場合でも、風が止むと濃度が危険レベルまで上昇しました(JAF)。

4

備えを車内に用意しておく

除雪用のスコップ、防寒着、毛布などを、冬場は車内に用意しておくとよい、とJAFは案内しています。

⚠️ 「においがしないから安全」ではありません

一酸化炭素は無色・無臭で、気づくことが難しい有毒ガスです(JAF)。軽い頭痛や疲労感から始まり、症状が進むと、意識障害・けいれん・昏睡に至り、最終的には死に至ると説明されています。少しでも体調に異変を感じたら、エンジンを切り、換気して、救援を求めてください。

4. 異常のサインと、自分でできる確認

📊 排気まわりのサインと確認

サイン 確認すること 対応
排気音が大きくなった・音質が変わった マフラーや排気管の取付けの緩み・損傷、マフラーの機能(点検基準の項目) 整備工場で点検。放置すると、騒音の基準に適合しなくなるおそれ
エンジン警告灯が点灯 警告灯だけでは、異常部位を特定できない(JAF) 走行は勧められない。点検・診断を受ける
下回りに、錆・穴・ぶら下がりがある 排気管やマフラーの取付けの緩み及び損傷(点検基準の項目) 整備工場で点検。ジャッキアップが必要な確認は、整備工場に依頼
白煙・黒煙が多い エンジンの状態が関係している可能性(排気の状態は、点検基準の項目) 当サイトの解説記事で見分け方を確認し、整備工場で診断
車検で排気ガス検査を通らない 一酸化炭素・炭化水素の濃度検査(国土交通省) 原因は、エンジン・触媒・センサーなど多岐にわたるため、整備工場で診断

📝 日ごろの確認と、点検に出すときのチェック

☑️ 排気音が、いつもと違わないか意識した

☑️ 駐車場の地面や車の下に、異常がないか確認した

☑️ エンジン警告灯が点灯していないか確認した

☑️ 定期点検で、排気管・マフラーの取付けの緩み・損傷、触媒まわりの点検を受けた

☑️ マフラーを交換する場合は、基準に適合する製品か、販売店で確認した

☑️ 雪の日は、マフラー周辺が雪で塞がれていないか確認した

📌 補足

排気管の穴あき修理の手順や、修理キットの使い方は、公式で確認できる資料が見つからなかったため、この記事では扱いません。車の下に入る作業や、熱を持つ部品の作業は危険をともなうため、整備工場に依頼してください。

5. よくある質問

Q. マフラーの交換は、車検に通りますか?

A. 車検では、排気ガス検査と、騒音などの保安基準への適合が確認されます。国土交通省は、消音器の取り外しや基準不適合のマフラーの装着は不正改造として禁止しています。製品ごとの適合は、販売店・整備工場で確認してください。

Q. 排気管に穴が開いた場合は、自分で直せますか?

A. 公式で、DIY修理の手順は確認できませんでした。排気管の取付けの緩み・損傷、マフラーの機能は、自動車点検基準の点検項目です。ジャッキアップなど、安全上のリスクが大きい作業を含むため、整備工場に相談してください。

Q. 雪で車が埋まったとき、エンジンをかけたままでもよいですか?

A. JAFは、降雪時に車内にとどまるときは、できるだけエンジンを切るよう案内しています。エンジンをかける場合は、マフラー周辺を定期的に除雪することが、一酸化炭素中毒を防ぐ最も重要な対策です。

Q. 排気ガス検査では、何を測りますか?

A. 国土交通省の車検の案内では、排気ガス検査で、一酸化炭素と炭化水素を検査すると示されています。車種等により、OBD検査や黒煙検査が加わります。

まとめ

排気装置は、保安基準第30条(消音器)と第31条(排出ガスの発散防止)で位置づけられ、定期点検ではマフラーや触媒の取付けの緩み・損傷などが確認されます。車検では、排気ガス検査(一酸化炭素・炭化水素)と下回り検査が行われ、消音器の切断や基準不適合のマフラーは不正改造にあたります。雪で車が埋まったときは、マフラー周辺の除雪が一酸化炭素中毒の防止に最も重要です。修理費用の相場やDIY手順は、公式で確認できなかったため、整備工場に相談してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。

アイキャッチ画像: CRX OEM Muffler by CrowzRSA, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

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