パワーステアリングは、ハンドルを回す力を軽くする装置です。ただし、すべての車に「パワーステアリング・フルード」があるわけではありません。JAFは、パワーステアリングの方式を「油圧式」「電動油圧式」「電動式」に分けて説明しており、現在は電動式が主流としています。この記事では、JAF、国の自動車点検基準、トヨタの点検整備リスト、BMW Japanの公式ページで確認できたことだけを整理しました。
📋 この記事の要点
✔ JAFは、パワーステアリングの方式を「油圧式」「電動油圧式」「電動式」と説明。電動式はモーターで直接アシストし、現在は多くの車種が電動式(JAF、2025年7月現在)
✔ トヨタの点検整備リストでは、パワー・ステアリング装置の油漏れ及び油量の点検は「電動非油圧式」は不要と示されている(プリウスのリスト、2025年5月7日版)
✔ 国が定める日常点検の15項目に、パワーステアリングの液は含まれていない。エンジンルーム内の日常点検は、ウォッシャー液・ブレーキ液・バッテリー液・冷却水・エンジンオイルの5項目
✔ BMW Japanのサービス・インクルーシブの点検整備項目一覧に、パワーステアリング・フルードは載っていない。サービス時期は、車の表示(CBS)で示される
✔ BMWの各モデル・年式の方式や指定フルード、交換の要否・時期は、公開ページでは確認できなかった。車専用の取扱説明書(Driver’s Guide)や正規ディーラーで確認する
📑 目次
1. パワーステアリングの3つの方式と、フルードの関係
JAFは、パワーステアリングの「アシスト方式」を、次の3つに分けて説明しています。フルード(作動油)が関係するのは、油圧を使う方式です。ご自身の車がどの方式かで、点検すべきものが変わります。
📊 パワーステアリングの方式(JAF、確認日: 2026年9月25日)
| 方式 | 仕組み(JAFの説明) | フルードとの関係 |
|---|---|---|
| 油圧式 | エンジンで駆動するオイルポンプが発生させた油圧で、操舵をアシストする | 油圧を使う方式。作動油のリザーバー(タンク)があり、量や漏れの点検が関わる |
| 電動油圧式 | 油圧式のオイルポンプを、電動にしたタイプ | 油圧を使う方式。作動油の点検が関わる |
| 電動式 | モーターで直接アシストする。エンジンの負担が抑えられ、環境性能が向上する | 油圧を使わない方式(モーターで直接アシスト)。トヨタの点検整備リスト(プリウス)の備考には、「電動非油圧式」は油漏れ及び油量の点検が不要と書かれている。呼び方はメーカー資料の表現で、JAFの区分と1対1で対応するかは、確認できていない |
📌 補足
JAFは、「昔の電動式はアシストの感触が不自然、操舵感が希薄などの欠点があったが、改良が進んだ結果、現在は多くの車種が電動式を採用している」と説明しています。BMWの各モデル・年式がどの方式かは、BMW Japanの公開ページでは確認できませんでした。
2. 国の基準で見る、パワーステアリングの点検
パワーステアリング装置は、日常点検の15項目には入っていません。一方、定期点検の基準(自動車点検基準)には、次の項目があります。
📊 日常点検と定期点検での位置づけ(確認日: 2026年9月25日)
| 点検の種類 | 内容 | 時期 |
|---|---|---|
| 日常点検(15項目) | エンジンルーム内の点検は、ウォッシャー液、ブレーキ液、バッテリー液、冷却水、エンジンオイルの5項目。パワーステアリングの液は含まれていない(JAF・国土交通省) | ユーザー自身が行う |
| 定期点検(別表第6) | パワー・ステアリング装置:ベルトの緩み及び損傷 | 1年ごと・2年ごと |
| 定期点検(別表第6) | パワー・ステアリング装置:油漏れ及び油量、取付けの緩み(取付けの緩みは、走行距離などの条件がつく項目がある) | 2年ごと |
| トヨタの点検整備リスト(プリウス)の備考 | 「電動式」「ギヤ駆動式」「電動非油圧式」はベルトの点検は不要。「電動非油圧式」は油漏れ及び油量の点検が不要 | リストの備考欄(2025年5月7日版) |
💡 ポイント
定期点検の項目にあるのは、「点検」です。パワーステアリング・フルードの「交換時期」を定めた項目は、自動車点検基準の別表では確認できませんでした。交換の要否や時期は、メーカーの取扱説明書・メンテナンスノートで確認します。
3. BMW公式ページで確認できたこと・できなかったこと
📊 BMW公式ページで確認できたこと・できなかったこと(確認日: 2026年9月25日)
| 項目 | 確認できた内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 車専用の取扱説明書 | Driver’s Guideは、BMW/BMW i専用の取扱説明書をスマートフォンなどで見られるアプリ。車台番号(VIN)を入力すると、その車に装備された全てのオプションを含む、専用の取扱説明書が見られる | BMW Japan Driver’s Guide |
| サービスの時期の決まり方 | サービス・インクルーシブの案内では、点検整備の時期は、車のディスプレイまたはインジケーターにサービス時期が表示されたとき、またはBMWが定める点検整備時期に達した場合。サービス時期はCBS(コンディション・ベースド・サービス)により表示される | BMW Japan サービス・インクルーシブ(2025年1月1日現在) |
| サービス・インクルーシブの点検整備項目 | エンジン・オイル/フィルター交換、マイクロ・フィルター交換、ブレーキ液交換、スパーク・プラグ交換、ワイパー・ブレード交換、エア・クリーナー・エレメント交換、車両チェック(BMW指定点検)、法定1年定期点検、AdBlueの補充。モデルにより適用されない項目がある。パワーステアリング・フルードは、この一覧には載っていない | BMW Japan サービス・インクルーシブ |
| 各モデル・年式のパワーステアリング方式 | 公開ページでは確認できなかった | — |
| 指定されているフルードの種類・交換の要否と時期 | 公開ページでは確認できなかった | — |
| 非純正品を使った場合の保証への影響 | 保証の条件は、保証書と購入した正規ディーラーで確認する | — |
⚠️ 「一覧に載っていない」は、「不要」という意味ではありません
サービス・インクルーシブの一覧は、パッケージに含まれる項目を示したものです。パワーステアリング・フルードが不要という意味ではありませんし、必要という意味でもありません。ご自身の車の方式と、必要な点検・交換は、取扱説明書と正規ディーラーで確認してください。
4. ハンドルが重い・警告灯がついたとき
パワーステアリングに異常があると、警告灯が点灯し、ハンドル操作が重くなることがあります。JAFは、次のように説明しています。
📊 警告灯とハンドルの重さ(JAF、確認日: 2026年9月25日)
| 状況 | JAFの説明 | 取るべき行動 |
|---|---|---|
| 「EPS(エレクトリック・パワーステアリング)」「PS」「ハンドルマーク」のいずれかの警告灯が点灯・点滅している | パワーステアリングに異常があると警告灯が点灯し、ハンドル操作が重くなる。ハンドル操作が非常に重いため、走行はお勧めしない | 点検が必要な状態のため、JAFなどのロードサービスへ救援要請をする |
| 警告灯が点灯・点滅したまま走行する | 警告灯が点灯・点滅している状態での走行は、保安基準違反となる可能性がある | 走行を続けず、安全な場所に停車して連絡する |
🧭 警告灯がついたときの流れ
安全な場所に停車する
ハンドルが急に重くなったときは、慌てず、周囲の安全を確認しながら、速度を落として安全な場所に停車します。
警告灯の表示と、症状を記録する
どの警告灯・メッセージが出たか、いつから重いか、走行状況を、写真やメモに残します。
取扱説明書(Driver’s Guide)で、警告灯の意味を確認する
車専用の取扱説明書で、表示の意味と、取るべき行動を確認します。
ロードサービス・正規ディーラーに連絡する
警告灯が点いたままの走行は勧められていません。状況を伝えて、指示を受けます。
⚠️ 注意
ハンドルが重い状態での走行は、危険です。作業の要否を含めて、正規ディーラーや専門の整備工場に相談してください。
5. 依頼前の確認と、チェックリスト
🧭 確認から依頼までの流れ
自分の車の方式を確認する
Driver’s Guide(車専用の取扱説明書)や、ディーラーへの問い合わせで、油圧式・電動油圧式・電動式のどれかを確認します。
点検の記録を確認する
点検整備記録簿や、サービスの表示(CBS)を見て、これまでの点検内容を確認します。
症状があれば、具体的に伝える
ハンドルの重さ、異音、警告灯の有無、いつから起きているかを、メモして伝えます。
作業内容と見積もりの内訳を確認する
どの部分を、何のために作業するのかを確認します。金額は依頼先で異なるため、この記事では載せていません。
📝 依頼前のチェックリスト
☑️ 自分の車のパワーステアリングの方式を、取扱説明書かディーラーで確認した
☑️ 警告灯・メッセージの有無と、表示された内容を記録した
☑️ ハンドルの重さや異音がいつから起きているか、メモした
☑️ 点検整備記録簿・サービスの表示(CBS)を用意した
☑️ 作業を依頼する場合は、内容と見積もりの内訳を確認した
☑️ ご自身での作業は、方式や指定フルードを確認できるまで行わない
✅ チェック
一般的な情報です。個別の点検・整備の判断は、正規ディーラーや整備工場などの専門家にご相談ください。
6. よくある質問
📚 あわせて読みたい
▶ BMWのショックアブソーバー・ストラット点検と交換の考え方
▶ BMWの異音|症状別の切り分けとBMW公式の点検サービス
まとめ
パワーステアリングは、JAFの説明では油圧式・電動油圧式・電動式の3方式があり、現在は電動式が主流です。油圧を使わない電動式の車では、フルードの交換という考え方自体が当てはまらない場合があります。BMW Japanの公開ページで確認できたのは、車専用の取扱説明書(Driver’s Guide)があること、サービスの時期はCBSで示されること、サービス・インクルーシブの点検整備項目にパワーステアリング・フルードは載っていないことまでです。年式別のフルードの種類や交換時期は確認できませんでした。ハンドルが重い・警告灯がついたときは、走行を続けず、取扱説明書の確認とロードサービス・正規ディーラーへの連絡を優先してください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・基準・製品仕様は変更されることがあるため、最新の内容は、公的機関・メーカー・各公式サイトでご確認ください(2026年10月時点)。
アイキャッチ画像: BMW 3 SERIES SEDAN (G20) China.jpg by Dinkun Chen, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

コメント