タイヤの点検と交換時期ガイド|溝・空気圧・製造年・ひび割れの見方をJAF・JATMAの公式情報で解説

Photo(資料写真・摩耗したタイヤのトレッド): Shixart1985 / Wikimedia Commons, CC BY 2.0(一部をトリミング)

クルマの重さを支え、走る・曲がる・止まるをすべて担っているのに、路面と接する面積は、タイヤ1本あたり「ハガキ約1枚分」(JAF)しかありません。そのタイヤのトラブルは、JAFのロードサービスの出動理由の第2位で、高速道路では第1位です。この記事では、JAF、日本自動車タイヤ協会(JATMA)、ブリヂストン、マツダの取扱説明書などの公式情報をもとに、タイヤの点検のしかた(空気圧・溝・ひび割れ)と、交換時期の見きわめ方を、順番にまとめます。

📋 この記事でわかること
・タイヤのトラブルは、どれくらい起きているのか(JAF・JATMAのデータ)
・「溝」より先に見るべきものは何か
・空気圧の測り方と、点検の頻度
・溝の限度(1.6mm)と、早めに替えたい目安(4mm)
・製造年週の読み方と、5年・10年の意味
・スタッドレスタイヤの使用限度
・パンク・バーストしたときの対処

💡 先に結論(6つのポイント)
月に1回、空気圧をエアゲージで測る。タイヤの空気は、パンクしていなくても自然に抜けます(JAF)。
② JATMAの点検(2025年)で最も多かった整備不良は空気圧不足で、溝不足は340台中2台でした。
溝は1.6mm未満だと車検に通りません。ただし、残りが4mm以下になると制動距離が伸びやすいため、その前の交換も検討します(JAF)。
製造年週は、サイドウォールの4桁(例:2524=2024年の第25週)で確認できます。
使用開始から5年を超えたら、専門店で点検を受けます。製造から10年を超えたタイヤは、外観が良くても交換が推奨されます(あくまで目安)。
⑥ スタッドレスタイヤは、溝が新品時の50%未満(プラットホームが出たら)で、冬タイヤとしては使えません。

データで見る:タイヤのトラブルは、どれくらい起きているか

JAFのロードサービス(2025年度)

JAFの救援件数は、2025年度に四輪・二輪合計で230万9,716件(約13.7秒に1件)でした。出動理由の第2位が、「タイヤのパンク・バースト・エアー圧不足」の48万2,696件(構成比20.90%)です(第1位はバッテリー上がりで99万7,116件・43.17%)。

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区分(2025年度) 「タイヤのパンク・バースト・エアー圧不足」の件数 構成比・順位
四輪・二輪合計(全体) 482,696件 20.90%・第2位
四輪・一般道路 442,300件 20.55%・第2位
四輪・高速道路 26,985件 44.02%・第1位
BEV(電気自動車) 3,335件 30.7%・第1位
2025年ゴールデンウイーク・高速道路(四輪・二輪合計) 1,031件 38.70%・第1位

JAFは、四輪のタイヤのトラブルが、一般道路では全体の約20%なのに対し、高速道路では約40%と、2倍以上になっていると説明しています。高速道路ではバースト(破裂)が多く、空気圧が低下したまま高速で連続走行すると、タイヤのたわみが大きくなり、発熱して、最後にはバーストにいたります。この現象を「スタンディングウェーブ現象」と呼び、バーストにいたらなくても、セパレーション(はく離)を起こす危険があります(JAF)。

JATMAのタイヤ点検(2025年)

日本自動車タイヤ協会(JATMA)は、「タイヤの日」の点検や、東名高速の浜名湖サービスエリアでの点検などを実施しています。2025年の年間の点検結果(高速道路と一般道路の合計)は、次のとおりです。

項目(2025年、JATMA) 台数・件数 不良率
点検した車両 340台(高速道路213台・一般道路127台)
タイヤ整備不良の車両 183台 53.8%(高速47.4%・一般64.6%)
空気圧不足 169件 49.7%
偏摩耗 5件 1.5%
外傷(コードに達するもの) 3件 0.9%
タイヤ溝不足 2件 0.6%
釘・異物踏み 0件 0.0%
その他 18件 5.3%

「溝」より先に、「空気圧」です。この点検では、タイヤの整備不良の大半が空気圧不足で、溝不足は340台中2台でした。なお、これはJATMAが点検会場で実施した点検の結果であり、全国のドライバー全体の割合ではありません。また、1台で複数の不良がある場合があり、空気圧は実測値(走行後の温まった状態を含む)です(JATMAの注記)。ブリヂストンは、乗用車用タイヤは1か月で5%程度も空気圧が低下するとされ、JATMAの調べでは約4台に1台が空気圧不足で走行している、と紹介しています。

点検1:空気圧(月に1回、エアゲージで)

JAFは、タイヤ内の空気は自然に抜けていくため、少なくとも1か月に1回くらいは空気圧の点検を行うよう案内しています。空気圧は目で見ても正確には判断できないため、必ずエアゲージ(空気圧計)で測ります。

点検の手順(JAF)

  1. 指定空気圧を確認する。一般的には運転席のドアの開口部に書かれています(取扱説明書にも記載)。単位はkPa(キロパスカル)で、前後輪で数値が異なる場合があります。純正以外のサイズに変更している場合は、指定空気圧が異なるため、事前に確認します。
  2. エアバルブのキャップを外す(なくさないように)。
  3. エアゲージで測定する。押し当てる角度が悪いと、空気が抜けてしまいます。
  4. 必要なら、メーカー推奨の空気圧に調整する。
  5. キャップを取り付ける(忘れずに)。

測るタイミングと、調整の考え方

  • 走行前の冷えた状態で測るのが基本です(ブリヂストン)。高速道路での長距離走行の直後など、タイヤが温まっていると、空気圧が高めに表示される場合があります(JAF)。
  • ブリヂストンは、自然漏れを考慮し、指定空気圧を基準に、0〜+20kPaの範囲内で調整・管理することをすすめています。走行途中で調整する場合は、指定空気圧より20〜30kPa高めにし、冷えた状態になったら再調整します。
  • スペアタイヤ(応急用タイヤ)も忘れずに。テンパータイヤと呼ばれる応急用タイヤの指定圧は、普通のタイヤの約2倍で、側面などに記載があります(JAF)。

空気圧が「低い」「高い」と、何が起きるか

状態 起きること(ブリヂストン・JAF)
空気圧が不足 偏摩耗(片減り・肩落ち)/摩耗寿命の低下/操縦安定性が悪くなる(ハンドルがとられる)/燃費の低下/タイヤの損傷(ヒートセパレーションなど)/パンクの危険が高まる。高速走行では、スタンディングウェーブ現象からバーストのおそれ
空気圧が過多 偏摩耗(センター摩耗)/摩耗寿命の低下/乗り心地の悪化/燃費の低下/直進安定性の悪化/カットやショックによるコード切れ、バーストの懸念

空気圧の測定には、タイヤ空気圧ゲージの比較や、走行中に空気圧を確認できるタイヤ空気圧センサー(TPMS)の比較も参考になります。

点検2:溝の深さ(限度は1.6mm、早めの目安は4mm)

道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(第89条)では、タイヤの溝はすべての部分で1.6mm以上の深さが必要とされています(JAF)。1.6mm未満のタイヤは、車検に通りません。JATMAも、タイヤの使用限度は残り溝1.6mmで、それ以前に新品タイヤと交換するよう案内しています。

  • スリップサイン:タイヤの側面(サイドウォール)に「△」マークがあり、その延長線上にある溝の底が少し高くなっています。これがスリップサインで、タイヤの表面に出たら、残り溝が1.6mmになったことを示します(JAF・JATMA)。
  • スリップサインが出たまま走ると、道路運送車両法の保安基準に違反し、整備不良車両として罰則の対象になります(JAF)。
  • 4mm以下で、制動距離が伸びやすくなります。JAFは、残りの溝が4mm以下になると制動距離が伸びやすいため、スリップサインが出る前の段階での交換を検討するよう案内しています。
  • ハイドロプレーニング現象:水の溜まった道路を高速で走ると、タイヤの溝で路面の水を排除しきれず、タイヤが水の上を滑る現象が起きることがあります(JATMA)。

点検3:ひび割れ・傷・偏摩耗・異物

JATMAは、日常点検のポイントとして、次の症状が出たら、新しいタイヤ(バルブ)に交換するよう案内しています。

チェック項目 交換が必要な症状(JATMA)
溝の深さ スリップサインが露出している
摩耗の状態 偏摩耗によって、コードが露出している
外傷 ベルト・カーカスに達する傷
トレッド・サイドのふくらみ 局部的なふくれがある
その他 各部位の極端な変形
バルブ・バルブコア 変形、亀裂、腐食
  • ひび割れ:コードに達している外傷や、ゴム割れのあるタイヤは使用しないでください(JATMA)。細かいひび割れなら、ただちに交換が必要とは限りませんが、深く大きくつながったひびは、バーストのリスクが高まります。ひび割れは一度発生すると修復できません(JAF)。
  • 釘・金属片・ガラス・石:タイヤに刺さっていたり、溝に噛み込んでいたりしないか確認します。発見したら、タイヤ販売店に相談したうえで取り除きます。取り除くと、急激に空気が抜けるおそれがあるためです(JATMA)。
  • 偏摩耗:タイヤの内側や外側だけが極端にすり減る症状で、主な原因は、空気圧不足、過充填、ホイールアライメントのずれです。見つけたら、タイヤ交換とあわせて、アライメント調整も依頼します(JAF)。

交換時期:製造年週と、「5年」「10年」の意味

製造年週の読み方

タイヤのサイドウォールには、製造番号の末尾に4桁の数字が刻印されています(2000年以降の製造)。前半2桁が製造週、後半2桁が製造年(西暦の下2桁)です。

刻印(末尾の4桁) 意味 出典
2524 2024年の第25週(6月ごろ)に製造 JAF
1220 2020年の第12週に製造 JATMA
3桁(例:249) 1999年以前の製造。前半2桁が週、末尾1桁が年。製造から25年以上が経過しているため、使っているならすみやかに交換 JAF・JATMA

刻印は、タイヤの片側にしかない場合が多く、装着したままでは見えないことがあります。見当たらないときは、タイヤの内側に印字されている可能性があるため、カー用品店やタイヤ専門店、整備工場で確認してもらいます(JAF)。

年数と交換の目安

経過年数 目安(JAF・JATMA)
新品〜製造から3年程度 保管環境が適切なら、性能の低下はほとんど生じないとされます(JAF)。購入時に製造から1〜2年経っていても、過度に気にする必要はありません。
使用開始から4〜5年 夏タイヤは、一度点検・交換を検討する時期(冬タイヤは3〜4年)。溝が十分でも、ゴムの硬化で、排水性能やグリップ力は少しずつ低下します(JAF)。
使用開始から5年超 年に1回以上は、専門店で点検を受けます(JAF)。JATMAも、使用開始後5年以上経過したタイヤは、継続使用に適しているかを、すみやかにタイヤ販売店などで点検することをすすめています(スペアタイヤも同様)。
製造から10年超 外観に異常がなくても、スペアタイヤを含めて交換が推奨されます(JAF・JATMA)。

⚠️ 「10年」は、あくまで目安です
JATMAは、10年という年数は目安であり、そのタイヤの実際の使用期限を示すものではないとしています。環境条件・保管条件・使い方によっては、10年を経過していても使えるタイヤもあれば、10年に満たなくても継続使用に適さないタイヤもあります。また、5年・10年という年数は、各タイヤメーカーなどの品質保証期間を示すものでもありません。外観の劣化や、車両メーカーが取扱説明書に書いている点検・交換時期も、あわせて確認してください。

スタッドレスタイヤの使用限度:溝は新品時の「50%」まで

JAFによると、スタッドレスタイヤは、残りの溝が新品時の50%未満になると、積雪路・凍結路での性能が低下し、冬タイヤとしては使えなくなります。溝の深さ50%の位置には、使用限界を表す「プラットホーム」が設けられており、タイヤ側面の「⇧」印の位置で確認できます。プラットホームが地面に触れる状態になっていたら、冬タイヤとしては限界です。

  • スタッドレスタイヤは、一般的には3シーズンから5シーズンは使用できるといわれます(JAF)。使用環境によって摩耗や劣化の具合は変わります。
  • プラットホームとスリップサインは別物です。スリップサイン(1.6mm)は、タイヤとしての使用限度で、こちらが出たら冬用でも夏用でも交換が必要です。
  • 保管は、融雪剤や泥、油を水洗いして落とし、水気を拭き取ってから、直射日光が当たらない、温度変化の少ない通気性のよい場所で行います(JAF)。

タイヤを長持ちさせるコツ

  • 月1回の空気圧点検を習慣にする(JAF)。
  • 5,000〜10,000kmごとのローテーションで、偏摩耗を防ぐ(JAF)。FF車は前輪、FR車は後輪に、摩耗が進みやすい傾向があります。ローテーションのパターンは、駆動方式やタイヤの種類で異なるため、自分で判断が難しいときは、整備工場やタイヤ専門店に依頼します。JATMAは、タイヤに回転方向や取り付け方の指定がある場合は、その指定どおりに装着するよう案内しています。
  • 縁石にタイヤの側面を当てない、道路の凹みや突起物の乗り越えを避ける、急発進・急加速・急旋回・急制動を避ける(JATMA)。
  • 使わないタイヤは、紫外線と湿気を遮断して保管する(JAF)。ホイール付きは横置きで積み重ね、ホイールなしは縦置きが適しています。

高速道路・行楽の前に:出発前チェック

JAFの統計では、連休の高速道路でも、タイヤのトラブルが出動理由の第1位です(2025年ゴールデンウイークは1,031件・38.70%)。長距離を走る前は、空気圧(冷えた状態で)、溝、ひび割れ・釘、スペアタイヤ(またはパンク修理キット)を確認しておきましょう。スペアタイヤが積んでいない車は、パンク修理キットの説明書に、使用時の注意点や、修理剤の有効期限が書かれている場合があるため、事前に確認します(JAF)。

パンク・バーストしたときの対処

マツダ CX-8の取扱説明書には、次のように書かれています。

  • パンク・バーストが考えられるサイン:ハンドルがとられる、異常な振動がある、車両が異常に傾く。
  • 走行中にパンク・バーストしたら、あわてない。ハンドルをしっかり持ち、徐々にブレーキをかけて速度を落とす。急ブレーキは、ハンドルをとられるおそれがあります。

JATMAは、走行中に操縦が不安定になったり、異常な音や振動を感じたりしたときは、速やかに安全な場所に停車して、車両とタイヤを点検するよう案内しています。外観に異常がなくても、できる限り低速で移動して、タイヤ販売店などに点検を依頼します。自力で対処できないときは、JAFのロードサービス(#8139)などに連絡します。

タイヤ点検チェックリスト

  • ☐ 【月1回】エアゲージで空気圧を測る(走行前の冷えた状態で。指定空気圧は運転席ドアの開口部)
  • ☐ 【月1回】スペアタイヤの空気圧も確認する(応急用タイヤの指定圧は約2倍)
  • ☐ 【月1回】ひび割れ・傷・ふくらみ・釘などの異物がないか、目で見る
  • ☐ 【月1回】スリップサイン(△マークの延長線上)が出ていないか見る。残り溝が4mm以下なら、交換を検討する
  • ☐ 【月1回】偏摩耗(内側・外側だけ減っている)がないか確認する
  • ☐ 【5,000〜10,000kmごと】ローテーションをする
  • ☐ 【年1回】製造年週を確認する。使用開始から5年を超えていたら、専門店で点検を受ける
  • ☐ 【製造から10年】外観が良くても、スペアタイヤを含めて交換を検討する
  • ☐ 【冬前】スタッドレスタイヤのプラットホームが出ていないか確認する

よくある質問(FAQ)

Q. タイヤの空気圧は、どれくらいの頻度で測ればいいですか?

A. JAFもブリヂストンも、少なくとも1か月に1回の点検をすすめています。タイヤ内の空気は自然に抜けるためです。

Q. 溝が1.6mm以上あれば、交換しなくても大丈夫ですか?

A. 1.6mmは、車検に通る、使用限度の基準です。JAFは、残り溝が4mm以下になると制動距離が伸びやすくなるため、スリップサインが出る前の交換も検討するよう案内しています。

Q. 走っていないタイヤでも、古くなりますか?

A. はい。ゴムは、紫外線・熱・オゾンの影響で、未使用のまま保管していても経年劣化が進むことがあります(JAF)。新品を買うときは、サイドウォールの刻印で製造年週を確認できます。

Q. 製造から10年たったら、必ず交換ですか?

A. JAF・JATMAは、10年を超えたタイヤの交換を推奨しています。ただしJATMAは、10年は目安であり、実際の使用期限ではないとしています。外観の状態と、専門店での点検の結果もあわせて判断してください。

Q. 高速道路を走るときは、空気圧を高めにしたほうがいいですか?

A. 空気圧不足のまま高速で連続走行するとバーストのおそれがあるため、まず指定空気圧を保つことが大切です(JAF)。ブリヂストンは、走行途中で調整する場合、指定より20〜30kPa高めにし、冷えたら再調整するよう案内しています。車種によって指定が異なるため、取扱説明書やドアの空気圧ラベルも確認してください。

出典(2026年9月20日確認)

※本記事は、2026年9月20日時点で公開されている公式情報を、当サイトが整理したものです。交換の目安は、環境条件・保管条件・使い方によって変わります。お乗りの車の取扱説明書と、タイヤ販売店・整備工場での点検の結果を、必ずご確認ください。

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