交通事故の「実況見分」とは?流れと立ち会いの注意点

交通事故のあと、警察から「実況見分に立ち会ってください」と言われることがあります。初めての人には、何をされるのか、どこまで協力する必要があるのか、分かりにくい手続きです。この記事では、犯罪捜査規範・刑事訴訟法・道路交通法の条文と、国土交通省の案内で確認できた範囲で、実況見分の位置づけ、立ち会う前の準備、その後の手続きを整理しました。所要時間や過失割合への影響など、公的資料で確認できない点は、目安を示していません。

📋 この記事の要点

✔ 実況見分は、犯罪捜査規範第104条に定められた、事実発見のための手続き。関係者の立会いを得て行い、結果を実況見分調書に記載する

✔ 実況見分調書は、客観的に、関係者の指示説明の範囲をこえないように記載するとされている(同第105条)

✔ 令状に基づく「検証」(刑事訴訟法第218条)とは別に、令状のない任意の取調べ(同第197条第1項)も捜査の方法として認められている

✔ 事故を起こした運転者等の報告義務(道路交通法第72条)は、実況見分への立会いとは別のもの

✔ ドライブレコーダーの映像の保存、現場の記録、医師の診断は、国土交通省も案内している基本の備え

動画でも解説しています。(YouTube「くるまのかーぎーくん」)

1. 実況見分とは(条文で確認できること)

📊 実況見分の位置づけ(e-Gov法令検索・2026年9月25日確認)

項目 内容 根拠
位置づけ 犯罪の現場その他の場所、身体又は物について、事実発見のため必要があるときに行う(「行わなければならない」と規定) 犯罪捜査規範第104条第1項
立会い 居住者、管理者その他関係者の立会いを得て行う 同第104条第2項
記録 結果を実況見分調書に正確に記載する。できる限り図面と写真を添付し、写真には説明を付記する 同第104条第2項〜第4項
記載の範囲 客観的に記載し、関係者に説明を求めた場合も、指示説明の範囲をこえて記載しない 同第105条第1項
供述を記載するとき 指示説明の範囲をこえて供述を記載する必要があるときは、刑事訴訟法の定める手続きによる。被疑者には、自己の意思に反して供述をする必要がない旨をあらかじめ告げる 同第105条第2項
検証・任意の取調べとの関係 検察官・警察職員は、裁判官の令状により検証をすることができる。また、捜査については、令状がなくても必要な取調べをすることができる(強制の処分は、法律に特別の定めがある場合に限る) 刑事訴訟法第218条第1項・第197条第1項

⚠️ 注意

実況見分に立ち会うかどうか、断った場合にどうなるかは、事故の内容や立場(加害者・被害者など)で変わりえます。この記事では、個別の法的な判断はしていません。呼び出しを受けて不安なときは、警察に確認するとともに、弁護士などの専門家に相談してください。

事故後の手続きには、実況見分のほかにもいくつかあります。混同しやすいので、整理しておきます。

📊 事故後の主な手続き

手続き 内容 根拠
事故の報告 運転者等は、日時・場所、死傷者の数と負傷の程度、損壊した物とその程度、積載物、講じた措置を、警察官に報告する 道路交通法第72条第1項
実況見分 警察官が、関係者の立会いを得て、現場の状況を図面・写真などで記録する 犯罪捜査規範第104条
交通事故証明書 自動車安全運転センターが交付する、事故の事実を証明する書面。自賠責保険金(共済金)の請求などで必要。人身事故は、事故発生から5年が経過すると原則交付されない 国土交通省 自賠責ポータル
保険会社等への連絡 契約している保険会社等への連絡。手順は契約の約款で確認する 各契約の約款

2. 立ち会う前の準備

国土交通省の自賠責ポータルは、事故にあったとき、警察への届け出、相手方の確認、目撃者の確保、自分でも記録すること、医師の診断を大切なこととして挙げています。実況見分の前後でも、同じ備えが役立ちます。

📝 実況見分の前に済ませておきたいこと

☑️ 警察への事故の報告を済ませた(道路交通法第72条)

☑️ 相手方の情報(車両の登録ナンバー、住所・氏名・連絡先、加入している保険)を控えた

☑️ 目撃者がいれば、氏名と連絡先をメモした

☑️ ドライブレコーダーがある場合、映像を上書きされないよう保存した

☑️ 現場の見取図、事故の経過、写真など、自分でも記録を残した

☑️ けがの有無にかかわらず、医師の診断を受けた(速やかに受診しないと、事故との因果関係が認められないことがある)

☑️ 自分が見たこと・行ったことと、推測や、記憶があいまいな点を、分けて整理した

💡 ポイント

実況見分調書は、関係者の指示説明の範囲で、客観的に記載される決まりです(犯罪捜査規範第105条)。一般的な心がけとして、実際に見たこと・行ったことを事実のとおりに説明し、覚えていない点は、覚えていないと伝えることが大切です。

3. 当日の流れ(条文から読み取れる範囲)

🧭 実況見分の基本の流れ

1

現場で、関係者が立ち会う

実況見分は、関係者の立会いを得て行うとされています(犯罪捜査規範第104条第2項)。日時や場所は、警察の案内に従います。

2

警察官が、現場・車両・物を確認する

規範上の対象は「場所、身体又は物」です。当事者は、事故時の位置や動きを、指示説明として求められることがあります。

3

図面・写真で記録される

調書には、できる限り図面と写真が添付されます(同第104条第3項)。

4

実況見分調書にまとめられる

客観的に、関係者の指示説明の範囲をこえないように記載されます(同第105条)。

📌 補足

所要時間、実施回数、当日どんな質問がされるかは、事故の内容によって異なります。公的資料で目安を確認できなかったため、この記事では示していません。日程の都合が合わないときは、警察に相談しましょう。

4. 調書のあとの手続きと、相談先

📊 調書のあとの主な場面

場面 確認できること 相談先
保険金の請求 自賠責保険金(共済金)の請求などで、交通事故証明書が必要になる。自動車安全運転センターが交付する 自動車安全運転センター・保険会社
示談・損害賠償 実況見分調書などの資料が、どのように使われるかは、事案によって異なる 保険会社・弁護士
調書の内容の確認・取り寄せ 取得できるかどうか、方法は、事故の内容や刑事手続きの進み方で異なる(公的資料での確認は未了) 警察署・検察庁・弁護士
刑事責任・行政処分 個別の事案で判断される 弁護士

⚠️ 注意

「実況見分調書が、示談交渉や過失割合の判断で決め手になる」といった説明を見かけることがありますが、公的資料では確認できていません。調書がどう使われるかは、事案で異なります。疑問があるときは、弁護士や保険会社にご相談ください。

5. よくある質問

Q. 実況見分への立ち会いは、断れますか?

A. 犯罪捜査規範は、実況見分を「関係者の立会いを得て」行うと定めています。令状による検証(刑事訴訟法第218条)とは別の枠組みです。ただし、断った場合の影響は、事故の内容や立場で変わりえます。警察に確認し、不安があれば弁護士等に相談しましょう。

Q. 実況見分には、どのくらい時間がかかりますか?

A. 公的資料で目安を確認できなかったため、時間は示していません。事故の内容によって異なるので、日時や見込みは警察に確認しましょう。

Q. 実況見分に立ち会う前に、何をしておけばいいですか?

A. 警察への報告、相手方の情報の控え、目撃者の連絡先、ドライブレコーダー映像の保存、現場の記録、医師の診断が基本です。国土交通省の自賠責ポータルも、同様の備えを案内しています。

Q. 実況見分調書は、どのように使われますか?

A. 調書は、事実を客観的に記録する書面として作成されます(犯罪捜査規範第105条)。示談や保険手続きなどでどのように使われるかは、事案によって異なります。個別のことは、保険会社や弁護士にご相談ください。

まとめ

実況見分は、犯罪捜査規範に基づき、関係者の立会いを得て現場の状況を記録する手続きで、結果は実況見分調書にまとめられます。事故の報告義務(道路交通法第72条)や交通事故証明書とは別の手続きです。事前に、警察への報告、相手方の情報、ドライブレコーダー映像の保存、医師の診断などを済ませておくと安心です。立会いの扱いや調書の使われ方は事案で異なるため、不安なときは警察や弁護士に確認しましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。法律・保険に関する個別の判断は、弁護士、保険会社、公的窓口などの専門家にご相談ください。制度や各社の内容は変更されることがあるため、最新の内容は公式情報でご確認ください(2026年10月時点)。

アイキャッチ画像: 埼玉県警察 トヨタ・クラウン(GRS180)パトロールカー by PRiMENON, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

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