赤信号なのに、青い矢印が出ている。進んでいいのか、止まるべきなのか、迷ったことはないでしょうか。また、右向きの矢印では「Uターンもできる」と聞いたことがあっても、本当なのか、どこでもできるのかとなると、意外と知られていません。
この記事では、道路交通法施行令・同施行規則の現行条文(e-Gov法令検索)、警察庁の「交通の方法に関する教則」と通達、警視庁の公開情報をもとに、矢印信号の意味を整理します。YouTubeで反応のよかったショート動画「赤信号でも矢印が出ていたら進んでいい?」を、条文と公式資料で詳しく解説した記事です。
📋 この記事の要点
✔ 赤色や黄色の灯火が出ていても、青色の矢印が出ていれば、その矢印の方向に進行できる(道路交通法施行令第2条)。矢印が出ていない方向には進めない
✔ 右向きの青矢印では、右折に加えて転回(Uターン)もできる(2012年4月1日から)。ただし、転回が禁止されている場所では、矢印が出ていてもUターンはできない
✔ 二段階右折をする原付、自転車などの軽車両、特定小型原付は、右向きの矢印では進めない(教則)
✔ 矢印が出ていても、交差点での歩行者・対向車への注意義務は残る(道路交通法第36条第4項・第37条・第38条)。警察庁の通達は、右折矢印が出ている間、右折先の横断歩道の歩行者用信号を赤にすると定めている
✔ 違反点数・反則金(普通車): 信号無視(赤色等)2点・9,000円/転回禁止の場所でのUターン1点・6,000円/横断歩行者等妨害等2点・9,000円
🎬 動画で見る(ショート)
この記事の元になった、かーぎーくんのショート動画です。動画では触れられなかった詳しい内容や条文・公式情報は、このあと記事で確認できます。
▶ YouTubeで見る(YouTube「くるまのかーぎーくん」)
(1)動画では「右向きの矢印だと、Uターンが認められてる場所もある」と紹介しましたが、法令上は、右向きの青矢印の意味に転回(Uターン)が含まれます。「場所による」のは、転回禁止の標識・標示がある場所では使えない、という点です(本文2)。
(2)動画の説明欄では「後発式・先発式・右折車分離式」を矢印式信号のタイプとして紹介しましたが、参考にした解説記事では、後発式・先発式は矢印を使わない時差式、矢印を使うのは右折車分離式のみとされています。この呼び名は、この記事で確認した法令・教則・警察庁の通達には出てきません。この記事では、警察庁の通達の用語(右折矢印信号現示)で説明します(本文4)。
(3)「矢印式信号機が近年増えている」という点は、全国の設置数の推移を示す公的な統計を確認できなかったため、この記事では数字には触れていません。
📑 目次
1. 赤信号でも青い矢印の方向には進める

信号の種類と意味は、道路交通法施行令第2条の表に定められています。「青色の灯火の矢印」の欄には、次のように書かれています。
📜 道路交通法施行令 第2条第1項の表「青色の灯火の矢印」(条文の引用)
車両は、黄色の灯火又は赤色の灯火の信号にかかわらず、矢印の方向に進行することができること。(以下、二段階右折の原付・特定小型原付・軽車両の扱いを定める後段あり)
つまり、赤色(または黄色)の灯火と青い矢印が同時に出ているときは、矢印の方向に限って進行できます。矢印が出ていない方向には、赤色や黄色の灯火の意味がそのまま当てはまります。信号に従う義務は、道路交通法第7条に定められています。
📜 道路交通法 第7条(条文の引用)
道路を通行する歩行者等又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等…に従わなければならない。
矢印の種類(道路交通法施行規則 別表第一の二)
青色の灯火の矢印の種類は、道路交通法施行規則第4条第2項と別表第一の二で、3種類が定められています。
📊 青色の矢印の種類と意味(施行規則の定め)
| 矢印 | 施行規則の表現 |
|---|---|
| 上向き(↑) | 車両等が直進することができることとなるもの |
| 左向き(←) | 車両等が左折することができることとなるもの |
| 右向き(→) | 車両等(多通行帯道路等通行一般原動機付自転車・特定小型原動機付自転車・軽車両を除く)が右折し、又は転回することができることとなるもの |
黄色の矢印と「左折可」の標示板は別のもの
黄色の灯火の矢印は、施行令第2条で路面電車が矢印の方向に進行できる信号とされています。教則の付表1も、歩行者や自動車は進んではいけないと書いています。また、道路の左端や信号機にある白地に青の左向きの矢印の標示板は、矢印「信号」とは別の仕組みで、教則では、前方の信号が赤や黄でも、歩行者など周りの交通に注意しながら左折できるとされています(施行令第2条第2項)。
2. 右向きの矢印ではUターン(転回)もできる

右向きの矢印の意味は、前の章で見たとおり、施行規則別表第一の二で「右折し、又は転回することができることとなるもの」と定められています。転回とは、いわゆるUターンのことです。
📜 道路交通法施行規則 第4条第2項・別表第一の二(条文の引用)
青色の灯火の矢印及び黄色の灯火の矢印の種類及び形状は、別表第一の二のとおりとする。(別表の右向きの矢印)車両等(令第二条第一項の多通行帯道路等通行一般原動機付自転車、特定小型原動機付自転車及び軽車両を除く。)が右折し、又は転回することができることとなるもの
この定めは、2012年(平成24年)4月1日に施行された改正によるものです。警察庁交通局の平成23年(2011年)9月12日付の資料には、矢印信号に関する規定の整備として、右折を可能とする青色の矢印信号が表示されている場合には、右折に加えて転回もできることとする改正が示され、施行期日は平成24年4月1日と書かれています。交通の方法に関する教則の付表1にも、右向きの矢印の場合には転回することもできる、と明記されています。
ただし、どんな場合でも転回できるわけではありません。次の場合は、右向きの矢印が出ていても転回や右折ができません。
📊 右向きの矢印が出ていても、Uターンや右折ができない場合
| 場合 | 内容と根拠 |
|---|---|
| 転回禁止の標識・標示がある場所 | 道路交通法第25条の2第2項は、道路標識等により転回が禁止されている道路の部分では、禁止された行為をしてはならないと定めています。矢印信号が出ていても、この禁止は残ります。違反は「指定横断等禁止違反」で、普通車1点・6,000円です |
| 他の交通を妨げるおそれがあるとき | 第25条の2第1項は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、転回してはならないと定めています |
| 二段階右折をする原付、自転車などの軽車両、特定小型原付 | 施行規則の別表は、右向きの矢印の対象から、多通行帯道路等通行一般原動機付自転車・特定小型原動機付自転車・軽車両を除いています。教則も、これらは右向きの矢印では進めないと書いています(教則 付表1) |
3. 矢印が出ていても注意が必要なこと
青い矢印は「その方向に進んでよい」という意味で、周りの交通への注意義務をなくすものではありません。道路交通法には、交差点を通るときの注意義務が次のように定められています。これらの規定について、矢印信号の場合を除くという書き方は、条文にはありません。
📊 交差点で矢印に従って進むときも関係する主な規定
| 条文 | 内容(要約) | 違反の名称・点数・反則金(普通車) |
|---|---|---|
| 道路交通法第36条第4項 | 交差点に入ろうとし、及び交差点内を通行するときは、交差道路を通行する車両等、反対方向から進行してきて右折する車両等、交差点又はその直近で道路を横断する歩行者に特に注意し、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない | 交差点安全進行義務違反 2点・9,000円 |
| 道路交通法第37条 | 右折する場合に、その交差点で直進又は左折しようとする車両等があるときは、その進行を妨げてはならない | 交差点優先車妨害 1点・6,000円 |
| 道路交通法第38条第1項 | 横断歩道に接近するときは、横断し、又は横断しようとする歩行者等があるとき、その直前で一時停止し、通行を妨げないようにしなければならない | 横断歩行者等妨害等 2点・9,000円 |
教則も、交差点を通るときの注意を具体的に書いています。右折車、歩行者などに気を配ること、特に右折するときは、対向車線を直進する二輪車が見えにくくなることがあるので十分注意すること(第5章第7節 交差点の通り方)。また、信号は前方の信号を見ること、横の信号が赤でも前方が青とは限らないこと(例として、全方向が一時的に赤になる信号や、時差式信号機)も挙げています(第1章第2節 信号、標識・標示に従うこと)。
矢印が消えたときに交差点の中にいたら
施行令第2条の表の「赤色の灯火」の欄には、交差点において既に右折している車両等は、そのまま進行できる(この場合、青色の灯火で進行できる車両等の進行妨害をしてはならない。二段階右折の原付や軽車両などは除く)と書かれています。右折矢印が消えたあとに交差点の中に残ったときは、この規定と、次の章で見る「矢印の終わりには黄色と全赤が入る」という通達の運用が関係します。
4. 右折矢印はどんな順番で点灯する?なぜ設置される?

右折矢印の運用については、警察庁が令和6年3月26日付の通達「右折矢印信号現示による制御に関する運用指針の制定について」(警察庁丁規発第50号)で指針を定めています。通達は都道府県警察に向けた運用の指針で、道路を通行する人に直接義務を課す法令ではありません。通達に書かれている主な内容は次のとおりです。
📊 右折矢印信号現示の運用指針(警察庁通達)の主な内容
| 項目 | 通達の内容(要約) |
|---|---|
| 設置する場所 | 十字交差点等で、右折需要が多く青信号表示でさばくことができない場合、または、右折車両と対向直進車両等の衝突事故を防止するために直進・左折と分けて右折車両をさばく必要が高い場合で、右折専用車線または右折待ち車両が滞留できる車線幅員があるとき |
| 歩行者用の信号 | 右折矢印で進む車両と右折先の横断歩行者との交錯を防ぐため、歩行者用の信号灯器を必ず設置する。右折矢印が出ている時間帯は、右折先の横断歩道の歩行者用灯器を赤信号にする |
| 灯器の配置(横型) | 左折矢印は青色の灯器の下、直進矢印は黄色の灯器の下、右折矢印は赤色の灯器の下に設置する(縦型では、それぞれ右に設置) |
| 点灯の順番A (青に続けて右折矢印) |
黄色信号の表示後、赤信号の表示開始と同時に矢印の表示を開始する。矢印の終了時は、黄色信号を表示した後に全赤信号を表示する |
| 点灯の順番B (直進・左折矢印に続けて右折矢印) |
黄色信号の表示後、全赤信号を表示し、その後に右折矢印を表示する。矢印の終了時は、黄色信号を表示した後に全赤信号を表示する |
動画で紹介した「本信号が青から黄色、赤に変わった瞬間に矢印が点灯する」形は、上のAにあたります。ただし、Bのように、全赤をはさんでから右折矢印を出す形もあります。通達の図3・図4は、右折矢印の段階では右折の動線だけを描いています。なお、通達の本文に「対向車を止める」という文言は確認できませんでした。また、通達は「指針」で、実際の信号は交差点によって違う場合があります。
なぜ右折矢印が設置されるのか
警視庁の公開しているよくある質問(2021年9月21日更新)は、青時間帯や信号の変わり目に右折車両が曲がりきれずに残る場合には、右折矢印信号の設置を検討すると説明しています。設置には右折レーンが必要で、右折する車が少ない場所に設置すると他の方向で渋滞が起きることもあるため、他方向の交通量も考えて検討するとしています。通達の設置場所の考え方(右折需要が多い場合、右折車と対向直進車の衝突事故を防ぐ必要が高い場合)とも合っています。
なお、「矢印式信号機が増えている」ことを示す全国的な数字は、今回確認した公的資料の中には見つかりませんでした。件数や増加率は、この記事では書いていません。
5. 違反点数・反則金の一覧
矢印信号に関係する主な違反の点数と反則金です(普通自動車)。点数は警視庁の違反点数一覧表(更新日: 2026年4月1日)、反則金は道路交通法施行令の別表第六(現行条文)で確認しました。
📊 矢印信号に関係する違反点数・反則金【普通車】
| 違反の名称 | どんな行為か | 根拠 | 違反点数 | 反則金(普通車) |
|---|---|---|---|---|
| 信号無視(赤色等) | 赤色や黄色の灯火に従わずに進行する(矢印が出ていない方向へ進む場合を含む) | 道路交通法第7条 | 2点 | 9,000円 |
| 指定横断等禁止違反 | 転回禁止の標識・標示がある場所でUターンをする | 第25条の2第2項 | 1点 | 6,000円 |
| 交差点安全進行義務違反 | 交差点で、交差道路の車・対向右折車・横断する歩行者に特に注意せず進行する | 第36条第4項 | 2点 | 9,000円 |
| 交差点優先車妨害 | 右折の際に、直進・左折しようとする車両等の進行を妨げる | 第37条(ほか第36条第1項) | 1点 | 6,000円 |
| 横断歩行者等妨害等 | 横断歩道を横断し、または横断しようとする歩行者の通行を妨げる | 第38条 | 2点 | 9,000円 |
反則金は、大型車・二輪車・原付などで金額が異なります(施行令別表第六。信号無視(赤色等)・交差点安全進行義務違反・横断歩行者等妨害等は十六の項で、大型車12,000円・二輪車7,000円・原付等6,000円。指定横断等禁止違反・交差点優先車妨害は十八の項で、大型車7,000円・二輪車6,000円・原付等5,000円)。信号無視(第7条違反)には、反則金とは別に、道路交通法第119条第1項第2号で「3月以下の拘禁刑又は5万円以下の罰金」も定められています。
6. よくある質問
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まとめ
矢印信号のルールを整理します。(1)赤色や黄色の灯火が出ていても、青い矢印が出ていれば、矢印の方向に進行できます(施行令第2条)。矢印が出ていない方向には進めません。(2)右向きの矢印では、右折に加えて転回(Uターン)もできます(施行規則別表第一の二。2012年4月1日から)。ただし、転回禁止の標識・標示がある場所では、矢印が出ていてもUターンはできません(第25条の2第2項)。二段階右折の原付、軽車両、特定小型原付は、右向きの矢印では進めません。(3)矢印が出ていても、交差点での歩行者・対向車への注意義務は残ります(第36条第4項・第37条・第38条)。(4)警察庁の通達は、右折矢印が出ている間は右折先の横断歩道の歩行者用信号を赤にすると定めていますが、実際の信号は交差点ごとに違う場合があります。
赤信号に矢印が出ているときは、「進める方向は矢印の向きだけ」「歩行者や対向車の確認は変わらない」の2点を押さえておくと、迷いにくくなります。標識・標示と、前方の信号をよく見て走りましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。法令・反則金・基準は改正されることがあるため、最新の内容や個別の判断は、警察庁・各都道府県警察・公安委員会など公的機関の公式情報でご確認ください(2026年10月時点)。信号機の形や配置、点灯の順番は、交差点によって異なる場合があります。事故の責任の判断など個別の事案は、警察や弁護士などの専門家にご相談ください。
参考(一次情報・公的機関・JAF): e-Gov法令検索 道路交通法(第7条・第25条の2・第36条〜第38条・第119条)/同 道路交通法施行令(第2条・別表第二・別表第六)/同 道路交通法施行規則(第4条・別表第一の二)/警察庁 交通の方法に関する教則(2024年11月1日付PDF。矢印・転回の本文は後の版でも同じ)/警察庁通達 右折矢印信号現示による制御に関する運用指針の制定について(令和6年3月26日)/警察庁交通局 「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令」等について(平成23年9月12日)/警視庁 交通違反の点数一覧表/警視庁 信号表示が交通実態と合っていない(信号機の設置などについて)/秋田県警察 時差式信号現示について/JAF Mate 右折矢印信号が出たときのUターン(補助的に参照)
図はすべて自作のイラストです(AI生成なし)。実際の信号機の形・配置・点灯の順番は、交差点によって異なります。


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