夜の道路や山あいの道で、突然、シカやタヌキなどの野生動物が飛び出してくることがあります。JAFは、野生動物との衝突は「警察への連絡」「動物への対応」「保険の使い方」の3点を落ち着いて進めるよう案内しています。この記事では、JAF・北海道庁・国土交通省の公開情報をもとに、遭遇したときの心構え、衝突後の手順、保険で使う補償を整理しました。
📋 この記事の要点
✔ JAFによると、NEXCO東日本管内の高速道路では、2021年度に約20,400件のロードキルが発生(中型動物58%、小型動物40%)
✔ 北海道では、エゾシカが関係する事故が令和7年(2025年)に6,705件(北海道庁)
✔ 衝突したら、まず警察に連絡。任意保険を使うには事故証明が必要になる(JAF)
✔ 生きている動物・死んでいる動物には、素手で触れないよう注意する(JAF)
✔ 車の修理には、任意保険の車両保険を使う。自賠責保険は物損を補償しない(JAF)
📑 目次
1. 野生動物との衝突は、どのくらい起きているか
野生動物との衝突事故(ロードキル)は、山間部だけの話ではありません。JAFのQ&Aでは、2021年度にNEXCO東日本管内の高速道路で約20,400件のロードキルが発生し、タヌキ・キツネなどの中型動物が全体の58%、鳥類などの小型動物が40%を占めたと紹介されています。
📊 ロードキルに関する公開データ
| データ | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| NEXCO東日本管内の高速道路(2021年度) | 約20,400件のロードキル。内訳は、タヌキ・キツネなどの中型動物が58%、鳥類などの小型動物が40% | JAFクルマ何でも質問箱(2023年10月現在の掲載) |
| 北海道内のエゾシカが関係する事故(令和7年) | 6,705件(道東2,340件、道北1,653件、道央2,148件、道南564件) | 北海道庁(2026年3月25日更新のページ) |
| 発生時期(北海道・エゾシカ) | 年間発生件数の約41%が10月から11月に発生 | 北海道庁 同上 |
| 発生時間帯(北海道・エゾシカ) | 70%以上が16時から24時の間に発生 | 北海道庁 同上 |
📌 補足
エゾシカは、本州以南のニホンジカより体が大きく、オスは最大で体長190cm・体重150kgに達すると、北海道庁が紹介しています。大型動物との衝突は、車が大きく壊れるだけでなく、乗っている人が負傷する事故につながるおそれがあります。
2. 遭遇しやすい場所・時間帯と、走り方の心構え
動物が飛び出すおそれのある道路には、「動物が飛び出すおそれあり」という警戒標識が設置されている地域があります(JAF)。この標識を見たら、速度を落として走るのが基本です。
📊 走行中の心構え
| 心構え | 内容 | 根拠・補足 |
|---|---|---|
| 警戒標識を意識する | 標識のある区間では、速度を落とし、道の両側に注意する | JAFの案内 |
| 夕方から夜間・早朝に注意 | 北海道の統計では、16時から24時に事故が集中している | 北海道庁(令和7年) |
| 秋から初冬は特に注意 | 北海道では、10月から11月に約41%が発生 | 北海道庁(令和7年) |
| 目の反射を探す | 夜間、ヘッドライトに反射する動物の目に気づいたら、すぐに減速する | 北海道庁の注意点 |
| 1頭見たら、ほかにもいると考える | シカは群れで行動することがあり、1頭が渡ったあとにも続くことがある | 北海道庁の注意点 |
| アスファルト上のシカは逃げ遅れる | 路面上のシカは、すぐには逃げないことがある。減速して距離をとる | 北海道庁の注意点 |
💡 ポイント
北海道庁は、上の「早朝・夕方」「秋から初冬」「目の反射」「逃げ遅れ」「群れ」などの点を、エゾシカ事故の防止ポイントとして案内しています。北海道以外でも、動物が多い地域では、同じ心構えが役立ちます。
3. 衝突してしまったら:手順
🧭 衝突直後の基本手順
安全を確保する
ハザードランプをつけ、可能なら安全な場所に停車します。後続車に注意し、車外に出るときは周囲を確認します。人が負傷している場合は、救急(119番)を優先します。
警察に連絡する
JAFは、事故の発生を警察に連絡するよう案内しています。任意保険を使う場合は事故証明が必要になるため、必ず通報します。
動物の状態を確認する
生きているか、死んでいるかで、対応が変わります(次の表を参照)。素手で触れないように注意します。
車の状態を確認する
ライト、タイヤ、ラジエーター周りなど、走行に影響する損傷がないかを確認します。不安があれば、走行せずにロードサービスを呼びます。
保険会社・販売店に連絡する
修理に保険を使うかを含め、保険会社に事故の状況を連絡します。
📊 動物の状態別の対応
| 動物の状態 | JAFの案内する対応 |
|---|---|
| 生きている | 衛生面・安全面から、素手で触らないよう注意し、タオルやダンボールなどで保護して、動物病院や保護施設に運ぶ。動物が暴れるなどして保護が難しい場合は、動物病院や保護施設に連絡して指示に従う。基本的に治療費はドライバーの負担(野生動物を無償で治療する施設や病院もある) |
| 死んでいる | 素手で触れないようにして、できるだけ交通の妨げにならないよう、動物を路肩に移動させる。動物は、道路管理者または自治体が処理する |
| 高速道路などで、轢かれた動物を見つけた | JAFは、道路緊急ダイヤル「#9910」への連絡を案内(全国共通、固定電話・携帯電話から無料) |
⚠️ 無理に動物を移動させない
大型動物や、暴れている動物には、近づかないでください。けがをするおそれがあります。動物の扱いに迷うときは、警察や動物病院・保護施設などに連絡して、指示を受けてください。
4. 保険の使い方と、事故証明
JAFは、野生動物との衝突で車が壊れた場合は、単独事故の扱いになると説明しています。自賠責保険は物損を補償しないため、車の修理には、任意保険の車両保険を使うことになります。
📊 損害別の補償の考え方
| 損害の内容 | 使う補償(JAFの説明) | 補足 |
|---|---|---|
| 自分の車の修理 | 任意保険の車両保険(自賠責保険では物損は補償されない) | 車両保険の有無・条件は契約による |
| ドライバーや同乗者のけが | 人身傷害補償や搭乗者傷害で補償される | 加入している補償によって異なる |
| 事故の届出 | 警察への連絡が必要。任意保険を使うには事故証明が必要 | 事故証明書の取得方法は、警察・自動車安全運転センターの案内で確認 |
| 他の車・歩行者に被害が出た場合 | 加入している任意保険の補償内容による | 個別の判断は保険会社へ |
⚠️ 注意
保険を使った場合の、等級や翌年以降の保険料への影響は、契約や保険会社によって異なります。使う前に、保険会社の窓口で確認してください。
5. 道路上の動物の死骸・落下物を見つけたとき
自分が衝突していなくても、道路に動物の死骸などがあるのを見つけることがあります。国土交通省の「道路緊急ダイヤル(#9910)」は、幹線道路(高速道路や国が管理する国道など)の異状を通報できる、全国共通の窓口です。
📊 道路緊急ダイヤル(#9910)
| 項目 | 内容(国土交通省の案内) |
|---|---|
| 電話番号 | #9910(全国共通) |
| 受付 | 24時間受付・無料(電話) |
| 通報できる内容 | 道路の穴ぼこ・路肩の崩壊などの道路損傷、落下物や路面の汚れなどの道路の異状 |
| LINEでの通報 | 2024年3月29日正午から開始。LINE公式アカウント(mlit_9910)を友だち登録して通報 |
| 注意点 | 都道府県などが管理する道路は、夜間・土日祝日に対応が遅れる場合がある。通報したものを必ず補修等するわけではない |
📌 補足
動物の死骸の扱いについては、JAFが高速道路などで轢かれた動物を見つけたときに#9910への連絡を案内しています。走行中に通報するのは危険です。必ず、安全な場所に停車してから連絡してください。
📝 出かける前に確認したいこと
☑️ 動物が出やすい地域・時間帯を通るか確認した
☑️ 加入している任意保険に、車両保険が付いているか確認した
☑️ 保険会社の事故受付の連絡先を、スマホに登録した
☑️ 事故のとき、警察に連絡することを家族と共有した
☑️ ドライブレコーダーが正常に録画しているか確認した
6. よくある質問
まとめ
野生動物との衝突は、山間部だけでなく、高速道路や住宅地の近くでも起こります。動物が出やすい場所や時間帯では速度を落とし、衝突したときは、警察への連絡、動物への対応(素手で触れない)、保険の確認(車の修理は車両保険)を落ち着いて進めましょう。任意保険を使うには事故証明が必要です。
※本記事は、JAF「クルマ何でも質問箱」(2023年10月現在の掲載)、北海道庁(2026年3月更新)、国土交通省などの公開情報をもとにした一般的な情報提供です。保険の適用は契約内容で異なります。個別の判断は、保険会社・警察などの窓口へご相談ください(2026年10月確認)。


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